島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ北朝鮮の内情はニュースで聞きかじるくらいしか知識がなかったから、
理想郷が何を指しているのか想像ができなかった。
してやられたと言うか本当にオカルトチックなオチにならなくて良かったと言うか、
ストンと腑に落ちた読後感でしたね。
ただ、金縛り云々の下りは必要あったのかな(笑)
透明人間に対するミスリードを誘いたかったのか、少年期によくある症状を現したかったのか、
そのどちらも兼ねていたのかはわかりませんが、
さしあたってストーリーにあの場面は必要なかったような気もします。
ちょっとあざとかったかもしれないですね。
でも個人的には好きでしたよ。短さもあいまって小さく綺麗にまとまっている感じ。
表題のぶっ飛び具合から社会派小説へのシフトは良し -
Posted by ブクログ
表紙がとってもかっこいい。上下巻並べると一枚の絵になる。
東洲斎写楽は言わずと知れた正体不明の浮世絵師。1794年5月からわずか10カ月の間に150点近い作品を残し、大ヒットを飛ばした後に、忽然と消えた。その中でも第一期の大首絵の構図の斬新さは、当時活躍していたどの浮世絵師の流れも汲まず、そして忽然と消えた後も、誰も写楽の流れを追随しなかった。
現代人から見ればそれほど特異に見えない写楽の浮世絵は、当時の人々には奇怪に映った。例えば、見栄を切る場面を強調したところからもわかるように、様式美が求められる役者絵に、滑稽さを持ち込んだ。それが新鮮だった。
想像してほしい。歌舞伎役者は当時のアイドルだ。かっこよくて美しく描かれなくては浮世絵は売れない。そこに写楽はどアップで変顔をしたアイドルスナップ集を出したようなものなのだ。
様々な研究者が、これは歌舞伎への深い洞察がなければ描けないとか、役者の表面ではなく本質に迫った素晴らしい絵だ、と絶賛している。写楽=歌舞伎玄人説は暗黙の了解事項と言っていい。
しかし本当にそうなのだろうか。
そもそも、写楽がレンブラント・ベラスケスと並んで世界三大肖像画家と言われるようになったのは、1910年にドイツ人のでユリウス・クルトが『Sharaku』を発表し、絶賛してからだ。
それまで日本では写楽なんて忘れ去られていた。そんなところに海外から逆輸入される形で、写楽の再評価が始まった。だから写楽の評価にはクルトの影響が多分にある。
島田荘司は、この説を小説の中で否定している。
否定どころか、これは歌舞伎のど素人が描いた絵だ、と言っている。
これ以上はネタばれになるので書けないが、諸説ある写楽は誰だ?論を対話形式で(小説だから当たり前だけど)わかりやすく解説しているので、すっきりするし、とても面白い。
欠点は最初の100ページくらいは、写楽とは全く関係ないストーリーが続くこと。下巻の最後まで読んでも全く無意味な話だった。
あと写楽の肉筆画に描かれた文字から、江戸時代のある有名人にたどり着くのだけれども、たぶんこれは作者の創作だ。
下巻のあとがきで参考程度だが、虚実の選別は示してある。でもちょっと足りない。
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Posted by ブクログ
ネタバレ秋好被告は昭和17年、満州生まれ、その生い立ち、特に幼少期は貧困と苦労の連続です。まず、敗戦により帰国するまでの大陸での強烈な体験に始まり、無事帰国しても母の病により、小学1年生で母と乳飲み子・家畜の世話に家事全般と、学童とはいえない働きぶりです。当時はマッチもなく火打石を使っていたとか。「おしん」よりはるかに過酷な子供時代と思います。
優等生で模範生、家族思いの秋好少年は、周囲の大人の信頼も厚く、貧しいながらもすくすくと育っていくのですが…
進学の夢叶わず中卒後に働きだしてから、どうも人生の歯車が狂いだしていくような印象を受けました。
せっかくの海外赴任の話も父に取り消されたり、誤解による盗難で逮捕されたり、運がないというか間が悪いというか。ただ、秋好自身の弱さが引き起こしていることも多いのですが。都合が悪くなると、会社を無断退職してますし、あらぬ疑いをかけられても仕方ない面もありますから。
最大の運の尽きは、やはり富江と出会ってしまったことでしょうか。
とにかく川本一家が強烈。堀越主幹の言葉にもありますが、このような家族がついていては幸せは望めないと思います。それにしても、いい年した男女がどうしても結婚に家族の承認を求めようとすることには疑問を持ちました。両性の合意のみで成立するんですけど、やはり
地域性、時代背景、生育環境の影響が大きかったんでしょうか。
結局、昭和51年に川本一家殺害事件が発生してしまいます。秋好被告が殺人犯であることは明確であり庇うわけではないのですが、捜査と判決に問題あり過ぎと思います。富江も秋好逮捕後は保身に終始し、おそらく共犯と思われる節は数々あるのにお咎めなし?
冤罪事件は今でこそ表に出てくるものもありますが、これは氷山の一角で闇に葬られた冤罪はいったいどれくらいあったんでしょうか。
被害者のためにも、公正な捜査と裁判を説に望みます。
昭和という時代は、直接的・間接的に戦争の影響が時代にも人間にも及んでいたように思います。秋好にも富江にも川本一家にも。