あらすじ
英国へ留学した夏目漱石は、下宿先で夜毎、亡霊の声に悩まされ、思い余ってシャーロック・ホームズに相談した。このことがきっかけで、彼はホームズが抱える難事件の解決に一役買うことになる。それは、呪いをかけられた男が、一夜にしてミイラになってしまったという、世にも奇怪な事件であった!? 著者が、自信を持って読者に贈る、本格ミステリーの力作。【本電子版は、ルビは総ルビではなく、旧版に基づいています】
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Posted by ブクログ
島田荘司の作品にハズれなし。素晴らしいホームズ・パスティーシュなだけでなく、夏目漱石のユーモア溢れる文体までそっくりに書いていて、尚且つしっかりと本格ミステリの醍醐味を味わえるのだから恐れ入る。
謎がとても魅力的。密室状態の部屋で死体が一瞬でミイラ化、外からの侵入は不可能、果たしてトリックは如何に? ミステリ好きなら涎が垂れるであろう。私は垂れた(笑)。
巻末のエッセイは島田さんの少年期のエピソードが知れて興味深かった。私も世代は全く違えど、小学生の頃の愛読書は江戸川乱歩の少年探偵シリーズだったので共感である。
本作を「総ルビ版」として再刊行した意義についても触れられており、推理小説(探偵小説、本格推理小説)の読者の裾野が広がって欲しいという願いには賛同しかない。
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初島田荘司作品。
Audibleにて。
シャーロック・ホームズは、映像作品でしか知らないので読んだことないし、漱石も脱落した人間だけど楽しめました。
自分の好みの文体なのかも。
本編もいいけど、最後のエッセイが素晴らしくて、少年少女じゃないけど胸にじーんと響いた。
そして、作者のことが好きになった。
我ながら単純すぎる。
だけど本当に、この人の作品をもっと読みたいと思った。
絶対読む!
近頃がっかり作品ばかりが続いていたから、余計に感激したのかも。
Posted by ブクログ
吉敷シリーズを数冊読み、緻密な謎解きを堪能してからこの作品に来た。
面白い!構成が楽しい!
こんなにユーモアあふれる作風だとは、開いてみるまで分からなかったから、ものすごく得した気分。
ホームズも漱石も、大満足だろう。
巻末の特別エッセイは、島田荘司ファンのみならず、小説を愛する老若男女にとって、これだけでお金出して買う価値あり。
Posted by ブクログ
『漱石から見たホームズ、ワトソン君』と『ワトソン君から見たホームズ、漱石』の対比が面白かった
全体的に良かったと思う
島田荘司で一二番目に好きかもしれない
Posted by ブクログ
ホームズにドップリハマっていた中学時代に読んで、いい意味で度肝を抜かれた作品^^
漱石視点で見る新しいホームズ像と、お馴染みワトソン君の伝記スタイルで描かれる旧来のホームズ像の落差が、面白おかしく描かれています。
英国留学中の漱石が、宿で夜な夜な「出ていけ〜」と亡霊に囁かれたことをホームズに相談したのをきっかけに、名探偵の活躍譚に一役買う、というパロディ。
中国で呪いをかけられた男が一晩でミイラになってしまう、という謎にホームズ&ワトソンと漱石が挑むんですが、
漱石くん、どんだけホームズのこと嫌いなの?
てツッコミたくなるような、変人ホームズがこれでもかと登場します。
ホームズの活躍を記したワトソン君は根っからホームズ信者なとこあるし、意外と第三者から見たらこういうとこもあったかもしれないぞ、と想像しただけで楽しかった(笑)。女装はね〜、流石にきついと思うよ(笑)。
ジュブナイル・ミステリーを意識して書いたかどうかは分かりませんが、当時の私は夢中になって読めたし、肝心の「密室の中のミイラ」っていう謎の難易度も実は子供向けなレベルだな、と再読して感じました。
とは言え犯人指摘の際の手品のような鮮やかな手腕は本家にも引けを取りませんし、本家では見たことのない優しい幕引きも好きでした。
イギリスを離れる漱石の心境の変化や、被害者の心のケアに最後まで寄り添う心優しい名探偵と助手の姿、何よりホームズが異国の友人に捧げたバイオリンの音色が届いてくるようなラストシーンは、読者が物語世界から旅立つ名残惜しさを一層掻き立てます。
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イギリス留学中の夏目漱石が、ホームズとワトソンに出会い、一緒に事件を解決してしまうという、わくわくする設定。シャーロッキアン界隈では昔からされてきたツッコミが随所に見られるのも楽しい。
Posted by ブクログ
読み終わったあと、ホームズと漱石と、そして島田荘司の作品を「他のも読んでみようかしらん」となる作品であると思う。
正直著者の他の作品を読んでいる方であれば、甲冑が出てきた辺りでなんとなくトリックの肝自体は気づけてしまうような気もするが。
ただ最後の別れのシーンの美しさも然ることながら、未来の小説家に向けた特別エッセイは何故かは分からないがとても心に染みた。
「経験から言えることですが、世の中のことがすっかりわかるまで、書くのを待たなくてはならない理由なんてなにもありません。いくつになってもわからないことはあるし、若い頃にはよくわかっていて、次第に失われる世界や知識もあります。また物語というものは生き物で、もしもそれが傑作なら、書くという行為自体がわからない部分をあなたに教えてくれます。読者にとって意味深い物語は、世の中の仕組みを何も知らない頃に書いたものであっても、不思議に矛盾は現れないものです。それは、あなたという純粋な魂を通し、天の誰かが、世の中に対して語っているからです。もしもあなたがこの本を読み、へえこんな世界もあるんだ、面白かったな、と思ってくださったなら、ちょっと書くことも考えてみてください。あなたの内側に、あなた自身も知らない、巨大な書く能力が潜んでいるかもしれません。ぼく自身小学生の頃、自分の内部に物語を書く力が潜んでいるかなんて、考えてもみませんでした。野山を駈けめぐったり、絵を描いたり、野球をやったり、模型を造ったりする力はあると思っていましたけれどね。」
Posted by ブクログ
んんんこれは評価が難しい。
いや面白いことは面白かったのだが。
夏目漱石の渡英時期・下宿先がホームズの活躍時期・ベイカー街に近しかったことから、両者が邂逅する物語。
夏目視点とワトスン視点が交互に描かれるが、同じ出来事なのに描写が大きく食い違う。
特に夏目視点のホームズは酷いの一言で、完全な狂人、しかも周囲はそれを踏まえて腫れ物のような接し方。
ここに何か大きな仕掛けがあるのかと読み急いだが、そうではなかった。
中でもショッキングなのが、モリアーティは架空の人物だとワトスンに言わせたこと。頭がおかしくなる前のホームズの活躍は確かだがモリアーティ関連はワトスンの創作だと言う。最後まで読んでもこれは覆らなかった。
シャーロキアンには噴飯ものではなかろうか。それとも、世の中にはホームズパスティーシュが溢れ過ぎていて、なんでも来いという心境なのだろうか。
冒頭で、「夏目視点の描写には少々脚色がある(意訳)」という注釈があるのを加味しても説明がつかない。
ワトスン視点の描写があまりに本家の再現度が高いため、かえって「夏目視点の方が真実なのでは?」という錯覚に陥らせてしまう。しかし夏目視点の方も夏目優位に書かれているはずと考えなければ公平ではない。
この作品を読んで自分が夏目寄りに感じるのは、自分が夏目作品の教養がないために夏目の作風を感じ取れていないのかもしれない。それがわかったら、「夏目視点の描写も大概嘘っぱちだろうなぁ」なんて感覚で双方を面白おかしく読めるのだろうか。
とにかく、作者がなぜこのような書き方をしたのか意図が読めない。
正直、作者が島田荘司という信頼のおける大作家でなければ駄作と断じていただろう。
しかしこのようにつらつら感想を纏めていると、こう考えを巡らすことにこそに意味があるのかもしれない。
なお、最終章は文句なしに素晴らしく、こんなにも戸惑うのに読後感は爽やかという不思議な作品だった。
Posted by ブクログ
英国に留学中の漱石がホームズに協力して難事件を解決するというワクワクする伝奇推理小説。奇数章を漱石、偶数章をワトソンが執筆するという形式で、ホームズの人物像が両者で若干違うのが面白い。漱石好きも楽しめて娯楽度も高い傑作
Posted by ブクログ
漱石のターンとワトソンのターンで同じことを書いているはずなのに微妙に違っているのがとてもおもしろかった。わたしがホームズ未履修だったのでよく知ってたらもっと面白かっただろうなーー。
Posted by ブクログ
面白かった。
ロンドン留学中の漱石が、下宿の幽霊もどきに困ってホームズに相談にゆき、そこから一緒に殺人事件の捜査に当たる、って設定からして面白くないわけがない。
密室の中で一夜にして人がミイラになるという殺人事件も、島田荘司ならではの不可能設定だし、漱石視点とワトスン視点で描かれるホームズの様子の違いもユーモラスだし、いやさすがに読ませるなあという感じ。
漱石視点の「ホームズさん」ほんとにやばくてねえ……。ワトスン視点も、漱石視点と合わせるとオイオイって感じで。どちらの文体もこってりしていて島田節全開。
トリック自体にはそこまでの目新しさもないんだけれども、設定と描写の妙で面白さが増している感じ。
ホームズ短編からの小ネタも満載で、ホームズファンなら倍楽しめる。
猫のシーンもまた、漱石小ネタ。
リンキイ夫人を訪ねてコンウォールに行くシーンとか、テムズ川の別れのシーンなんかには、作者特有のロマンチシズムがあふれていて、ジーンとしてとてもよかった。
異文化理解、相互理解の先にある、人類愛というのかな……。
年少者も楽しめる総ルビ!ということで、子どもにも勧めてみたけど、ミイラ殺人事件というタイトルで「こわいからいい」と断られてしまった。コナン読んでるのに!? まあ、まだ漱石のことも知らない低学年のうちに読むよりは、もう少し大きくなってからの方が楽しめるかもしれないな。
Posted by ブクログ
ニコラス・メイヤー(ほんとうはマイヤー)の"7 percent solution" (『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』)と、ちょっと設定が似たところがあって、初めのうち漱石パートは、え、そこまで行っちゃう?……と、ちょっと居心地の悪い思いをした。
謎解きのあたりは、正典オマージュもあり。
で、そこらへんまでは、さほど乗れなかったんだけど、最後のテムズ河畔の場面にぜんぶ持ってかれた。とてもすてきだった。月9のシャーロックもそうだったけど、なんやらわけわかんないこともホームズがバイオリン弾くとみんな帳消しになるのなんなんだ(笑)かっこいいぞ。
紙切れの謎は、うやむやで終わるのかとおもったら最後ちゃんと謎解きがあってすっきり。おみごとでした。
あと、子どもたちに向けた作者の特別エッセイがとてもよかったです。
Posted by ブクログ
大逆転裁判からの流れで読んでみた
おかげでキャラのイメージが大逆転裁判の彼らになってしまったけども。
話はロンドンで起きた事件をホームズと漱石が解くのを、ワトスン先生と漱石視点交互で見ていく形式。
一つのシーンを両側から見るというより、シーンAをワトスン先生で見て、続くシーンBを漱石視点で・・・と進んでいく。
これの組み合わせがうまく、読者は一つの物語を楽しみながら、それぞれのキャラの主観というか、自分にちょっと都合良いように盛っているのが分かって面白い。
また、両サイドの距離が徐々に近づいていくのもなんかぐっとくる。
小学生とかにも読んでもらいたいという気持ちからか、文章も小難しくなく、軽く読めたので楽しかった。
ラストは個人的にめっちゃ好みだったので、思わず3回くらい読んでしまった。ラストシーンだけ。
Posted by ブクログ
もし、夏目漱石がロンドン滞在中にシャーロック・ホームズに出会っていたら、、、。
ワトソン目線と漱石目線でホームズ像が交互に描かれる。漱石目線のホームズがかなりトリッキーではあるんだけれど、これはこれでアリ、と思わせてくれるのが凄い。むしろ、ワトソンが描いたホームズ像の方が実は脚色付きなんじゃないかな、なんて。にしても、ワトソンが書いた記録の方は、コナンドイルが書いた本物のホームズの作品を読んでいるかのように違和感がなかった。かの御手洗潔を生み出した方なので、ホームズ好きなのは想像できたけど、ここまでとは思わずちょっと感動。
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正典をミステリと捉えている人には少し物足りないトリックかもしれないが、冒険活劇、あるいは人間ドラマとしては十分面白かった。
おかしくなってしまったホームズにずっと付き添っているワトソンは心が宇宙より広いというか神のように慈悲深いと言えばいいのか分からない。恐らく『語り手』としての役割を与えられたために当人の人格描写が半端になっているのだろうが。極度のワトソニアンでもなければ許容範囲と思われる。
ワトソンサイドの文体が延原訳風味になっているのには思わずにやりとした。挿絵のタッチがどちらの視点かによって変わっているのも良い。
Posted by ブクログ
以前読んだ『吾輩はシャーロック・ホームズである』と同様ホームズと漱石のコラボものであるが、個人的にはこちらの方が断然面白かった。
謎は少し簡単で、すぐトリックとかがわかってしまうので純粋にミステリとして読むと甘い感じがするけど、読ませる文章力と、何よりワトソン視点と夏目視点でのホームズの違いが面白かった。
夏目視点でのホームズは中盤まで(特に序盤)はえらいことになってる。
あまりにワトソン視点と違うのでどっちが真実に近いんだろうと悶々とする。
なのでホームズは完璧な人じゃなきゃいやだ!って人は読まない方がいいかと…。
私はこんなホームズだとしても好きなんですが。
最後は感動もあり、気持ちの良い終わり方で良かったと思います。
私が夏目漱石についてもっと詳しければもっと楽しめたんだろうなぁとも思いました。
ちなみに同じくホームズと漱石もので山田風太郎の『黄色い下宿人』というのがあるのですが、なんと家にあってすでに読んでたことが判明したのですが、当時ホームズに全く興味が無かった私はほぼ忘れてしまってるのでこれを機に再読したいと思います。
Posted by ブクログ
夏目漱石がロンドン滞在中に、名探偵シャーロックホームズと知り合う。
夏目パートとワトソンパートで物語りは進む。
ワトソン視点では従来のように多少の奇行はあるものの、紳士的で理知的なホームズ。
しかし夏目視点でのホームズの扱いがすごい。
ホームズの女装に対して”皆は見事な女装に、ホームズだと気がつかない”のではなく、
”ホームズだから、係わり合いにならないように、気がつかないふりをしている(気持ち悪いし)”といった風な表現。
読み進めるうちにこの落差が逆に快感に思えてくる不思議。
Posted by ブクログ
ロンドン留学中の夏目漱石とシャーロック・ホームズの夢の競演である。二人が同時代人であることにちょっとした驚きを感じたけれど、言われてみたらその通り。この豪華キャストできちんと本格ミステリを書くのだから対したものだ。
構成もおもしろく、夏目漱石の手記とワトスン医師による記録が交互に出てきて物語を進行していく。漱石の文章はいかにも彼の文章らしくちょっと皮肉なユーモアに満ちている。ワトスン医師の記録は、正編のムードをきちんと醸し出していて贋作としても水準を十分にみたいしてる。
同じ出来事を二人の筆者がそれぞれの立場から書いているところがいくつかあるのだけど、文体どころか出来事までもうんと異なったりするからおもしろい。特に最初の方ではそれが極端で、特に漱石の手記に現れるホームズ像はすさまじく、おもしろいけどちょっとやりすぎかなって感じてしまった。
でも、ちゃんと最後の方は感動的な雰囲気になっていく。異文化の中で生きている人たちが、事件を通してお互いに敬意を持ち合う姿が、その小説の大きなテーマである。ちょっとわざとらしい点もあるけど、なかなかに成功していていい感じだ。さりげなく猫が出てきたりするような、ちょっとニヤリとするくすぐりも心憎い。
その分本格ミステリとしては少し物足りないような気がする。かなり奇怪な殺人だし、不可能状況もがっちり出てくる。解決もすっきりしている。決して悪くはないんだけど、本格ミステリの代表選手ともいえる作者の手と考えれば、少し物足りない印象がある。どちらかと言えば短編向きのトリックを、趣向で読ませる長編の中に組みこんだという印象がある。もちろん、この小説の場合はそれでいいので、むしろ手際を褒めるべきだろう。事件そのものが解決したあとの雰囲気が、なかなかいいのでなおさら。
古い本ではあるが、改めて作者の才能を感じる1冊であった。
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ホームズと漱石は出逢っていた!・・・という設定のパスティーシュです。漱石とワトソンの視点が交互に入れ替わって物語が展開します。ワトソンからは正統派のホームズですが、漱石からはホームズがぶっ壊れ気味の男に見えているのが愉快です。
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島田荘司を初読。ホームズ作品への愛が満ち満ちている作品でした。展開の仕方がまるでコナン・ドイルが描いたホームズのようで、安易なパロディとは括れないレベル。漱石とホームズが同じ時代、同じ場所に居たというのに驚いたし、実在の人物と非実在の人物のコラボレーションというのも面白かった。何より素晴らしいのはラスト。お互いのプレゼントがとても素敵でした。
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ワトソンはホームズを頭のいい名探偵として書いているのに、漱石から見たホームズは、かなり頭のおかしい人として描かれていて、同じストーリーを二つの視点から交互に書かれています。特に漱石から見たホームズの話は、ミステリー小説なのに、かなりウケます!!
ミステリーとしては簡単なトリックでしたが、お互い偏屈な大物同士のコラボレーションや、アジアと欧州の文化の違いなどから生まれる誤解など、結構ツボでした☆
Posted by ブクログ
夏目漱石が留学先の英国で大探偵シャーロック・ホームズと邂逅し、ある殺人事件に巻き込まれる推理小説。漱石側とワトソン側からの視点が交互に記録されているのが斬新で面白いが、話のテンポが悪くなってる印象。文豪漱石の不遇さに共感の嵐。再読予定。
Posted by ブクログ
推理そのものよりも、最後の帰国による別れのシーンのここで明かされるメモの答えが素晴らしい。ホームズのバイオリンのシーンも含めて。それだけでも読む価値があるものであった。それに、ワトソン目線と漱石目線で細かく違うのがまたいい。解釈なのか言語によるニュアンスなのか忖度なのか、考えるだけでも楽しい。
松岡圭祐さんの「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」の時も思ったことだが、ホームズのシリーズも読みたいものだ。60作もあると言うのでなかなか手をつけるのにも躊躇うところだが、また興味が湧いてきた。
Posted by ブクログ
人種と視点が違うとこうも違うのか。ふふっとなる所も沢山。
御手洗シリーズとはまた違って気楽に読めた。この時代の頃の日本人が留学してて事件を解決するものは服部まゆみの
一八八八切り裂きジャックが好きでちょっと星は少なめになっちゃう。
Posted by ブクログ
現在、ホームズ物を読んでいるこの最中にホームズ物のパロディ、しかも島田荘司作品を読むというのは正に今をおいて無いほど最適な時だった。
各種のホームズ譚をそこここに織り交ぜながら、登場人物をこき下ろす。しかも漱石の文体でそれらを語るというのが斬新だ。
ドイルの文体と漱石の文体とを交互に使い、しかも同じエピソードをそれぞれの主観で語るものだから、所々食い違っていて面白い。ドイルの文体では例の如くワトスンがホームズを讃えるような口調で語られるのに対し、漱石はそのひねくれた性格ゆえか物事を常に斜めに観るような書き方をし、ホームズを狂人としか扱っていない。
当時直木賞候補になったというのもむべなるかなといった感じである。
ただ、トリックの方はホームズ譚に同調するかのようにいささかチープな感じがした。犯人逮捕の手法といい、各キャラクターの配置といい、シャーロッキアンには堪らないものがあろうが、私には少し物足りなかった。
しかし、通常の島田作品張りの奇想溢れる事件であれば全体のバランスがちぐはぐになるだろうし…。難しいところである。
Posted by ブクログ
ホームズとその仲間たちのキャラクター、本家を読んだこと無いですし、映像化された映画やドラマなどを少し見たことあるだけですが、これが原作なんじゃないかと思うくらい、”しっくり”きてます。
夏目漱石の当時の状況などをもっと知っていれば(ちゃんと歴史を勉強していれば)もう一声面白かったかも。
でもそうじゃなくても十分面白いナリ。