島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ島田氏、また凄い本を書きよって。
『暗闇坂の人喰いの木』を読んだ時はスケールの大きさにびっくりしたけど、本作品はその比じゃない。
なんせ、古代エジプトの話と、タイタニック沈没の話と、現代の話がない交ぜに構成され、そこにピラミッドの謎が入り込んでくる。
現代に怪物も出てくるし、これ、さすがに収拾つかないのでは…と不安にさせられた。
アメリカのとある島に造られたクフ王のピラミッドをそっくり模した建造物で殺人が起こる。その現代ピラミッドに付属する塔の7階で溺死体が見つかるのだ。そこに『暗闇坂の…』に登場したレオナが絡んできて、レオナが御手洗に解決を依頼して、やっと御手洗登場。
ピラミッドに関する諸説の話は凄く興味深くて、専門書を読んでみたくなった。
『暗闇坂の…』の石岡君のスコットランド旅行記が、本作品ではエジプト旅行記に代わる訳だけど、これまた素晴らしい紀行文で、ギザに行きたくなる。島田氏、異文化に触れた人の感銘を表現するのホント上手い。
古代エジプトのターンも、田舎の娘が都会に出てくる高揚感とか、ギザの美しさとか、景色が目の前に浮かぶような文章で、なかなか読ませてくれた。ここに出てくるピラミッドの原型の様子はおそらく一説に基づく創造なんだろうけど、凄く説得力あった。
結局現代パートとのリンクはほのめかす程度のものだったけど、読み物として面白かった。
現代ピラミッドの下部に海からアクセスする通路や秘密部屋があることを御手洗が暴くあたりから「こんなの分かるか!」って気分にさせられて、現代ピラミッドの仕掛けを御手洗が解く場面では「バカミス!!!」とめちゃ突っ込みを入れた。殺されたはずのリチャードの声が幻?えっ、御手洗そんな非科学的な説明で済ませるの??みたいな。
しかし! そこからの大どんでん返しで本作品は逸品の仲間入りですよ。
まぁこれも突拍子もないし(禁断の双子オチだし)、密室のはめ殺し窓踏み外して脱出って!(褒めてる)とは思ったけど、ピラミッドポンプ説よりずっと現実味があって納得できた。
御手洗の頭の良さも堪能できたし。
レオナの突然の「ホモなの?」発言も良かった(?)。
島田氏の作品はいつも派手だ。
最終的には期待に応えてくれた、満足の一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ瀬戸内海に浮かぶ興居島に次々と死体が漂着していると相談を受けた御手洗は、現地に赴き、三方向から潮が出入りするという瀬戸内海の特殊性が鍵になっていると突き止める。
広島県福山市では、看護学科の学生でベビーシッターをしていた辰見洋子が過失によって乳児を殺してしまったため、隠蔽計画を立て、交際関係にあった小坂井に自分の指示に従うよう懇願する。
時を同じくして、福山市立大学助教授の滝沢加奈子は、阿部正弘が黒船用の新兵器を持っていたことを示す資料が発見されたと知る。その資料には「星籠」という文字が記されていたが、知り合いの学芸員や教授ら専門家と議論しても、その意味は皆目見当がつかないのであった。帰り道、滝沢は神に結婚を約束されたと主張するストーカーに襲われる。
事件を調査していた御手洗は、変死体の漂着には、宗教団体である日東第一教会が絡んでいると推理する。そして、一見無関係の乳児失踪、ストーカーとそのカルト団体が結びつき、証拠が揃った時、警察、内閣情報調査室を巻き込んだ包囲網計画を進めることを決断する。カルト団体の代表は、国際手配中のネルソン・パクであったため、抜かりなく取り掛かったが、海へ逃げられてしまう。諦めかけた時、海中から、数百年の時を超えて潜水艦「星籠」が御手洗たちの前に現れた。「星籠」は、爆発によりパクを乗せた船を停止させることに成功したのであった。
相談を受けた事件の規模が予想以上に大きいと理解し、同時進行で発生していた不可解な謎まで持ち前の鋭い洞察力で解決する様は、惚れ惚れするという一言に尽きる。何手も先を読み、頭のキレない者を小馬鹿にするが、自分が受けた事件は解決するまで決して逃さないという熱意は、誰にも負けないものがあるといえよう(例えばパクの逮捕に向けて警察を煽るシーン)。そんな御手洗が、パクを海へ取り逃がし、一か八か星籠の登場に賭けるというのは、地球上を逃げ回っているというパクのしぶとさが凄まじいことを示していると思われるが、クライマックスに数百年と時を超えて、(本でいうと上下合わせて1100ページをめくって、)星籠の出番をもたらすテクニックは待ちに待った読者に最高の興奮をもたらすであろう。
本書は、単純に御手洗の周りで発生した事件を解くというものではなく、同時多発的に発生していた事件が、御手洗によって原因がひとつのカルト団体にあると導かれるという構成になっている。したがって、特に序盤は章が変わる毎に登場人物が変わるため、長々と読み切るには少々根気がいるかもしれない。しかし、瀬戸内海という場で多様な登場人物の複雑な背景知識を理解してこそ、クライマックスの高揚感が得られるようになっていると解すべきであろう。本格ミステリというわけではないが、数々の謎を常人を遥かに凌駕した能力で御手洗が推理する様子に酔いしれたい読者へオススメの書である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ瀬戸内海に浮かぶ興居島に次々と死体が漂着していると相談を受けた御手洗は、現地に赴き、三方向から潮が出入りするという瀬戸内海の特殊性が鍵になっていると突き止める。
広島県福山市では、看護学科の学生でベビーシッターをしていた辰見洋子が過失によって乳児を殺してしまったため、隠蔽計画を立て、交際関係にあった小坂井に自分の指示に従うよう懇願する。
時を同じくして、福山市立大学助教授の滝沢加奈子は、阿部正弘が黒船用の新兵器を持っていたことを示す資料が発見されたと知る。その資料には「星籠」という文字が記されていたが、知り合いの学芸員や教授ら専門家と議論しても、その意味は皆目見当がつかないのであった。帰り道、滝沢は神に結婚を約束されたと主張するストーカーに襲われる。
事件を調査していた御手洗は、変死体の漂着には、宗教団体である日東第一教会が絡んでいると推理する。そして、一見無関係の乳児失踪、ストーカーとそのカルト団体が結びつき、証拠が揃った時、警察、内閣情報調査室を巻き込んだ包囲網計画を進めることを決断する。カルト団体の代表は、国際手配中のネルソン・パクであったため、抜かりなく取り掛かったが、海へ逃げられてしまう。諦めかけた時、海中から、数百年の時を超えて潜水艦「星籠」が御手洗たちの前に現れた。「星籠」は、爆発によりパクを乗せた船を停止させることに成功したのであった。
相談を受けた事件の規模が予想以上に大きいと理解し、同時進行で発生していた不可解な謎まで持ち前の鋭い洞察力で解決する様は、惚れ惚れするという一言に尽きる。何手も先を読み、頭のキレない者を小馬鹿にするが、自分が受けた事件は解決するまで決して逃さないという熱意は、誰にも負けないものがあるといえよう(例えばパクの逮捕に向けて警察を煽るシーン)。そんな御手洗が、パクを海へ取り逃がし、一か八か星籠の登場に賭けるというのは、地球上を逃げ回っているというパクのしぶとさが凄まじいことを示していると思われるが、クライマックスに数百年と時を超えて、(本でいうと上下合わせて1100ページをめくって、)星籠の出番をもたらすテクニックは待ちに待った読者に最高の興奮をもたらすであろう。
本書は、単純に御手洗の周りで発生した事件を解くというものではなく、同時多発的に発生していた事件が、御手洗によって原因がひとつのカルト団体にあると導かれるという構成になっている。したがって、特に序盤は章が変わる毎に登場人物が変わるため、長々と読み切るには少々根気がいるかもしれない。しかし、瀬戸内海という場で多様な登場人物の複雑な背景知識を理解してこそ、クライマックスの高揚感が得られるようになっていると解すべきであろう。本格ミステリというわけではないが、数々の謎を常人を遥かに凌駕した能力で御手洗が推理する様子に酔いしれたい読者へオススメの書である。 -
ネタバレ 購入済み
探偵ものの推理小説が読みたくなり評判の高い本作を購入しました。
全体としては面白く、正直犯人やトリックは全く想像がつかなかったので後半はなるほど!と感心しながら読み進めました。科学捜査が進んでいる現代の感覚で見ると絶対に通じないトリックだからこそ盲目になるというか思い至らなかったのだと思います。
何と言っても御手洗と石岡のお互いに遠慮のない掛け合いが面白いですね。石岡の御手洗に対する暴言の数々には笑いました。
また、犯人の手記についてはとても悲しくなり(今川焼の下りで思わず涙が出そうになりました)、自分も親が離婚し母と二人で暮らしているものですから同情の念を覚えずにはいられませんでした。
ただ、一点残念に思うとすればとにかく前半が退屈で堪らないところですね。
最初に解決に必要な情報を全て読者の前に並べて置く為だとは思うのですが、御手洗が言う通り「電話帳を読んでいるよう」であり、正直前半は流し読みしてしまいました。
そういう点で☆4です。 -
Posted by ブクログ
大逆転裁判からの流れで読んでみた
おかげでキャラのイメージが大逆転裁判の彼らになってしまったけども。
話はロンドンで起きた事件をホームズと漱石が解くのを、ワトスン先生と漱石視点交互で見ていく形式。
一つのシーンを両側から見るというより、シーンAをワトスン先生で見て、続くシーンBを漱石視点で・・・と進んでいく。
これの組み合わせがうまく、読者は一つの物語を楽しみながら、それぞれのキャラの主観というか、自分にちょっと都合良いように盛っているのが分かって面白い。
また、両サイドの距離が徐々に近づいていくのもなんかぐっとくる。
小学生とかにも読んでもらいたいという気持ちからか、文章も小難しくなく、軽く読めたので楽しかった。
ラストは個人的にめっちゃ好みだったので、思わず3回くらい読んでしまった。ラストシーンだけ。