島田荘司のレビュー一覧
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ネタバレ今回の短篇集はミステリを期待して読むとかなり拍子抜けする内容だとは思うのでその辺で評価はわかれると思う。
ただ、御手洗と石岡のコンビが好きだって人には楽しめる要素が多いかと。
『IgE』は御手洗・石岡が活躍する王道ミステリ。
『SIVAD SELIM』も二人が出ますがミステリではない。色んな事であたふたする石岡くんがかわいかったり、痴話喧嘩したりとその辺が見どころ…かも…。
『ボストン幽霊絵画事件』は御手洗がアメリカの大学に通ってた頃のミステリ。
『さらば遠い輝き』はハインリッヒとレオナが出てきて、御手洗について話したりする内容。
これは、『異邦の騎士』のとあるシーンで御手洗が石岡くんに対し -
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御手洗潔シリーズ、上下巻長編。「龍臥亭事件」から8年後の話。
前作からの登場人物が揃い踏みし、特に上巻、彼らの掛け合いが懐かしく、楽しませてもらった。神仏コンビ、いい味出してたなぁ、、、。
トリック自体は少し危うさもあったけれど、面白かった。多少ご都合的なところがあっても、閉鎖された田舎空間の神秘さがあり得ない感を薄まらせてくれる。例によって、最後にいともあっさりと御手洗と吉敷刑事が謎を解くパターンだけれど、今作の醍醐味は石岡くんが自身の経験を乗り越えて黒住くんを止めるところ。事件は解けなくても、石岡くんの存在感はここにある。
吉敷刑事とのクロスということだが、そちらのシリーズは読んだことが -
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御手洗シリーズだけど、御手洗潔は登場しません。
石岡君がくじけそうになりながらも、事件解決に向けて苦心する話でした。
グロテスクで奇怪な犯罪は、島田荘司さんの得意とするところなので、どんな残忍な描写が出てきても平気、という意気込みで読み始めたのですが、本書はそうした犯罪のほかに亡霊だの怨念だの因縁だの呪いだのと言ったおどろおどろしい話が執拗に登場するので、怪談が苦手な私は少々怖じ気づきそうに。
いやでも島田さんの書く本だもの、亡霊の仕業でしたなんて結末はないはず。人間の起こしたトリックがあるに決まっていると自分自身を奮い立たせ、読み進めました。 -
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御手洗潔シリーズ、10作目。上下巻の長編。
今作は御手洗本人はほとんど出て来ず(手紙だけ)、石岡くんが完全なる主役。もう少し御手洗の助言もあるのかと思いきや、石岡くんがほぼ自力で事件を解決するという展開は意外かつ感動。やればできる子なんだな、石岡くんも。
題材はかの有名な津山事件。と言いつつ、事件の名前くらいしか知らなかったので、まさかノンフィクションレベルまで引用しているとは思わなかった。確かにフィクションにしてはやけに生々しい描写だなぁと思っていたから、ほぼ実話と後で知って、驚愕と同時に納得。作中で起こった見立て殺人よりも興味深く読めた。ただ、一部の人名、地名は仮名にしてあったとしても、 -
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読み物としての御手洗潔
御手洗潔シリーズの中では異色な、トリックよりもストーリーに重きが置かれた作品とおもう。
他のシリーズと比べて「やられた!」って感じは少ない。読者への挑戦状もないし。
主人公に感情移入しているだけに、ストーリーが強く印象に残る。意外性だけが読者に衝撃を与える訳じゃないんだなと思わせる。いい小説だと思う。
でも、まずは「占星術~」あたりを読んでから、こっちに来てほしいかな。おはお話が御手洗潔の本流と思われるのはなんかちがう。 -
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ネタバレ『山高帽のイカロス』鳥人の扉と、空と死体のなぞについて。短編だけあって、御手洗探偵がさくっと解決するテンポのよさが際立ちます。発露する現象の怪奇性は高いけれど、タネはどうってことない、というかんじ。
『ある騎士の物語』女王を想って命をかける騎士のはなし。トリックはこれまた大味である。
『舞踏病』浅草を愛する御手洗の活躍。浮浪者や刑事コンビとの絡みかたや感情の浮き沈みがほほえましい。
『近況報告』事件無しの文字通り近況報告。石岡くんという常識人の目から語られる、探偵の日常。平素より奇想天外な言動に驚き呆れ翻弄され腹立てても、なんだかんだ受入れ尊敬してやまないんだなぁ。かなり楽しんだ。 -
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ネタバレ『IgE』破壊される便器、失踪する美人、傷つけられた木が導く殺人の予兆。駆けずり回って疲労を見せる探偵と、独り現場を任された友人の心労。
『SIVADSELIM』御手洗の音楽的能力と、暖かい友情の話。友人の言いがかり心理はあまりに利己的盲目的で寄り添えなかったが、読後感は悪くない。直接内容に関わらないが他作品の事件に言及する描写もあるため、龍臥亭事件を先に読んでおきたかった。
『ボストン幽霊絵画事件』異国で学生時代を送る若き日の探偵。白昼の看板狙撃、死体のない殺人、動く死者による壁画。いたずらまがいな細事から殺人事件を掘り起こす推理と行動力は健在。動機に人情的な要素は少なく、欲求のまま活動して -
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ネタバレ一気に後半も読み終わった。後半になると話が昭和犯罪史の様相を呈してきた。昭和初期に実際に起きた猟奇的事件の見立て殺人と言う落ちに、複数犯という解決は少し無理があるような気がするが、意外性と言う意味では十分楽しめた。
ただ、その昭和犯罪史の同じ説明が何度も出てきたり、後半の延々200ページにわたる津山事件はルポとしては面白く読めるがこれがいくら主人公?の心情を描くためとはいえ、ここに挿入される必要があったかは疑問。綿密な取材の後はわかるが、架空の物語に実話を挿入するには無理があるし、これはこれで別個の作品にした方が良かったのでは?
ともあれ、迫力満点の筆力で、因習にとらわれた村とそこで起きる連続 -
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ネタバレ推理というよりは二時間ドラマ的な話の構成で、その人の人生を掘り下げていく謎解きが砂の器を彷彿させる。
さすが『昭和という、強引な急成長の時代の歪みとかつけといったものを抉り出す』とうたわれた本格社会派ミステリー。
初めから犯人分かっている状態なのだが、400ページにわたり一切口を開かなかった犯人が、真相をつきとめた吉敷刑事の独白で真実を語り始めるシーンは震えた。
人間の尊厳を踏みにじるお偉方に激昂するシーンは感動もの。
それは今現代であっても変わらないというのは情けないものなんだろうけれど。
謎に至っては小麦粉による粉塵爆破だけしか謎は解けなかったが、面白かったな。
というより、「小麦粉