島田荘司のレビュー一覧
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大逆転裁判からの流れで読んでみた
おかげでキャラのイメージが大逆転裁判の彼らになってしまったけども。
話はロンドンで起きた事件をホームズと漱石が解くのを、ワトスン先生と漱石視点交互で見ていく形式。
一つのシーンを両側から見るというより、シーンAをワトスン先生で見て、続くシーンBを漱石視点で・・・と進んでいく。
これの組み合わせがうまく、読者は一つの物語を楽しみながら、それぞれのキャラの主観というか、自分にちょっと都合良いように盛っているのが分かって面白い。
また、両サイドの距離が徐々に近づいていくのもなんかぐっとくる。
小学生とかにも読んでもらいたいという気持ちからか、文章も小難しくなく、 -
Posted by ブクログ
写楽とは誰だったのか?を追い求め、やがて大胆な説にたどり着く。
説は非常におもしろい。過去にこのような説があったのかどうかはわからないが、色々なピースがよくもうまくはまっていったなと感心する。と言うか、実在の資料でさらにこの話で取り上げられている日付などは本当のことなのか、よくわからない。けど、本当ではあってほしいと思うぐらい。
しかし主人公は病弱すぎる。すぐ倒れる。それらの原因がたび重なる不幸なのだが、それらは必要だったのか?不幸じゃないとたどり着けない説だったのか?
話は現代と写楽が登場する時代の江戸と交互に展開する。江戸のほうは現代の不幸な感じとは違いテンポが良く、登場人物たちが生き生き -
Posted by ブクログ
「切り裂きジャック・百年の孤独」を読んで、どんな事件だったのか知ることができた。
事件が起きたのは1888年のロンドン。
娼婦ばかりが狙われ、わずか3ヶ月弱の間に猟奇的に殺害された。
犯人は捕まらず、いまも事件は解決に至っていない。
視点をまったく変えた新しい謎解きはおもしろかった。
意外な犯人像を島田さんは小説という形で読者に提示してくれた。
先入観が捜査の方向性を狂わせ、間違った思い込みが事件をますます複雑にしてしまった。
科学捜査などまったくない時代、状況だけで犯人にたどり着くことは難しかったのだろう。
ミステリー小説として、とても読み応えのある作品だった。 -
Posted by ブクログ
すべてが環境のせいだとは思わない。
島田さんの取材が正しいとするならば、英明が一人とはいえ殺人を犯している。
でも、正しい裁きを受ける権利は守られなくてはならない・・・と思う。
誰しも自分が一番かわいいのかもしれない。
極限の状況に立てば、もしかしたら他人よりも自分を守ることに精いっぱいになってしまうのかも。
でも、富江の行動はホラー小説以上の怖さがある。
そもそもの原因となった川本家の人たちの非常識さは、誰が糾弾してくれるのか。
ひとり貧乏くじを引いたような英明に、公正な裁判を・・・と願いたくなる。
無視された数々の証拠。なされなかった空白の時間の検証。消えてしまった記録。無視された英明の供