島田荘司のレビュー一覧
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社会派として、本格として、どちらもハイレベルなものではあるんだろうけど、やっぱり両者は相容れないものなのかなと思ってしまった一冊。
要するに社会派チックな背景を持った頭の切れる犯人が、奇怪な発想で事件を起こした。という構図なわけで、必ずしもそこに“本格”は要らないのでは?と。
社会派で本格を書く必然性を生み出すのは、早坂吝『誰も僕を裁けない』のように社会派をガジェットとしてネタ扱いするしかないのか…
島田荘司の小説を書く上手さと、本格を書く巧さが個々で際立ったための世間での高評価なのだと思う。
いろいろ言ったけど、めっちゃ面白いし引き込まれるからやっぱ島田荘司すげぇ!
ただ一つ、高木彬光の傑作 -
Posted by ブクログ
ネタバレこのミスベスト10、2011年版2位。作者もあとがきで書いてるとおり、現代編は全然中途半端だし、途中退屈な部分が続き全体のバランスも悪く小説としてはダメなんだけど、作者が長年あたためてた、写楽が誰かについての新説にはとても説得力があるし、仮説にもとづいた江戸編は小説としてもしっかり書き込まれてて、無茶苦茶面白い。後半はなんだかすごく泣きました。ただ、前半は現代編の方がやや面白いが写楽の説明が長く、江戸編は時代の背景説明に終始ばかりでしんどかった。この本が出た1年ぐらいあとに、NHKのドキュメントで長年謎であった写楽が誰だか分かったって言いきってる番組があって、それ観た記憶があったから、こっちの
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Posted by ブクログ
猟奇殺人の犯人が捕まった、と思ったら孤島の監獄に収容され、脱出したと思ったら、不思議な世界で、気付けば原爆の話になって……、最後にやっと、オチが分かる。
解説で伊坂さんが語っていた「何がいるのか分からないジャングルの中に放り投げられたうえ、どこからか物凄い磁石の力で、ぐいぐい引っ張られるような感覚」「物語が線路のように地続きではなくて、ワープに近い」というものがしっくりくる。
読んでいるうちと、読み終わった直後はもやもやした(特に終盤に差し掛かっているのに訳が分からない時はどうしようかと思った)けれど、読んでから少し経つと「初めての感覚だったなぁ」と少しワクワクしたので星4。
でも、結局猟奇殺 -
Posted by ブクログ
初めての島田荘司作品、今さらながらであり今年は島田作品を読み進めることに決めた。
今作は御手洗シリーズと双璧を成す吉薮刑事シリーズである。タイトルだけは知っていて評判の良さも知っていて、安価であったため初読みをこれにした。安易な理由であり島田作品に申し訳なく思う。が、評判通りのできばえで非常に面白かった。
作品世界は平成になったばかりの頃、もうけっこうな昔になってしまったが自分には馴染み深い。その頃に30年以上前の未解決事件を追うという筋立てである。ファンタジー然とした挿話が挟み込まれたりして、どんな着地を見せるのか?とはらはらしながら読み進めるも最後はしっかり全てのピースがはまり、謎が解