あらすじ
切断された男女が合成され、両性具有者となって甦る。窓の外には荒涼たる世界の終焉の光景が広がっているばかりだ。『占星術殺人事件』を愛読する青年が書き残した戦慄の日記が示すものは何か。醜悪な現実世界に奇想と驚天動地のトリックの矢を放つ。ミステリーの新たな飛翔を決定づけた傑作。
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傑作
ほんと一番島田荘司らしい作品だと思う
まずバーンと何か「よくわからない話」を出して
それをこれは解ける謎だと、徐々に解き明かしていく。
御手洗作品のいつもの流れ
眩暈はそのよくわからない話が断トツで不気味で奇妙で気味が悪い。
そしてこれを「現実ですよ」。と。「これは現実にあった話なのです」。と。
精神病患者の妄想(ドグラ・マグラっぽいかも)として持ち込まれたあまりにも異様な文章をこれは現実だ、ではゲームをしましょうと。現実か妄想かと。
これは凄い作品。何度でも読み返したくなる。
DNAを知らない石岡ももちろん必見だ。
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1995年。何回目かの再読。
いきなりデカイ活字で驚く。連綿と手記が続く。事件は1983年。とっても昭和。再読だし懐かしく読む。この頃の御手洗くんはエキセントリック。
大風呂敷を敷いてむりやりたたむ。稲村ケ崎。インドネシア。
Posted by ブクログ
『だからウロボロスなんです。蛇が尻尾をするすると飲み込んでいくと、すぽんと異次元の空間へと消滅する、そういう現象を思惟的に結論しても、さして意味はない。何故なら現実にそういうことは起こらない。
海の水の総量が茶匙何杯であるかを知ることが可能かと問われれば、明らかにイエスであり、明らかにノーでしょう。
脳の機能を物質レベルで解明したという時、これが何を意味するかといえば、ほかならぬ脳自身がこれを理解したということです。これはパラドックスなのですよ。
自分自身とは、永久に握手はできないのです。』
島田荘司は重たいけど面白いなぁ。
そもそも島田荘司は重たいので避けてきたけど、そろそろ本気で読み漁りたいな。『暗闇坂の人喰いの木』と『アトポス』あたりをとりあえず読みたいな。
Posted by ブクログ
非現実的な手記を主軸に掘り出される奇怪な事件
食品公害、サリドマイド児、太陽消滅、世界の終わり、あるはずのない四階、両性具有、アゾートの実現、、、?
バイオレンス、セクシュアル両面でシリーズのなかでも刺激強めな内容。
馬車道からインドネシア、北海道の果てまで今回もよく動き回ります。
いつもながらダイナミックでエキセントリックな仕掛ですが、謎めいた悪夢的手記の内容をすべて現実世界で説明してみせるつくりに満足!手記と現実、マンションでの出来事、順序も含めて飽きさせない構成でとても楽しめました。
Posted by ブクログ
はみ出し者のための、切なく優しい物語だった。
誰がどのように、みたいな〜ダニットとは一線を画す、もはや荒唐無稽とも思える謎(ミステリー)が提示され、オイオイと思わなくもないのだが、
謎(ミステリー)が御手洗の手によって解かれたとき
立ち現れるのは、"ミステリー"小説というベールを
はがれた、ただ魅力的な物語なのだ。
御手洗潔シリーズのミステリーでありながら、
他のミステリーとは全く異なってしまう、
こんな部分がやはり好きだ。
暗闇坂〜より後の作風に不安を感じていた
のだけど、全くの杞憂かもしれない。
Posted by ブクログ
この辺の長編は少し長いですね~(笑)手記を2回読まされるのは少し辛かったかもしれな(笑)しかし今回のトリックはかなり大ガがりな感じでしたね~(笑)御手洗が論文書いたりして徐々に海外へ出て行ってしまう雰囲気が感じられました。
Posted by ブクログ
フェアではないが文章の構成は非常に技巧的で、読み終わってすぐには理解しきれなかったが、時間が経ってこの作品中最大の秘密が明らかになっていたことがわかって非常に驚いた。SFチックな内容をしっかり現実的に解いていて面白かった。
Posted by ブクログ
なんとなんと。
中盤の御手洗潔の推理を読みながら、こりゃメチャクチャな設定だ〜、トンデモ本だ〜と思いながら読んでた。
鎌倉とインドネシア、玄関ロビーに土俵、盲目の医者(のような人)、これは後半だけど未開の4階などなどなど。
。。。
でも、それが御手洗潔シリーズですよね。
とんでもないけど、読み進む。
よくあるうんざりするような文が少なく(自分にとっては)、とはいえ、情緒を感じる表現もところどころにある。
石岡先生、流石です。
マンションが他の国に同じ形で存在したことは、綾辻先生の黒猫館の殺人を思い出しました。
眩暈が先かな?
ディテールは異なるけどね。
読み終えても残る疑問が2つばかり。
陶太の日記?について、殺人が行われる場面で、文章が突然「です」「ます」調になったりするのは意図あり?まだまだ意識が回復してないってこと?
もひとつ、松村家の葬式後に現れた美青年は、喬子で良いんだよね?
Posted by ブクログ
占星術殺人事件から影響を受けた少年の異常な手記から真相に辿り着く御手洗潔の名推理。平仮名から始まり悪夢か狂気の世界としか思えない内容だが論理的解決のヒントは提示されている。とはいえトリックは奇想天外というレベルで前提として必要だってのかもよく分からぬ。これを是とするか非とするかで評価が分かれそうであるがエンタメとしては好き。手記を持ってきた博士の話の方が難しくて困るがその辺も石岡がフォローしてくれている。
御手洗潔はシャーロック・ホームズの正統後継者みたいなキャラだがトリックの方はチェスタトン寄りだと個人的には思う。
Posted by ブクログ
「占星術殺人事件」を愛読する青年の日記から始まる物語。
私たちが今読んでいるこれは夢が現か。読み進めるほどに目の前が揺れてぐらぐらしてくる、まさに眩暈を起こしそうな御手洗潔シリーズ長編6作目。
→
冒頭のインパクトがすごい!
占星術殺人事件も冒頭がとにかく入りにくかったんだけど、今作もしっかり冒頭で選別されている感じある(笑)
でも、二章で御手洗たちが出てくるので、まだ読みやすい……いや、御手洗と教授の会話もまぁまぁわからんな……。
石岡くんが活躍?する三章あたりからは→
グイグイ読める。ホラー味もあるし、夏にピッタリ(ほんまに?)
トリックは今回もすごい。毎回ダイナミックな力技!島田先生といえばこれやよ。大好き!
ちゃんとハピエン?やし、読後感は良い……?(?が多いな!)
次はアトポス!!分厚い〜!楽しみ〜!!
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まだ読んでない人へ。かなり分厚くて読むのに時間がかかりますが、その分満足が得られるでしょう。読み終えた自分に拍手を送りたい。内容にはあえて触れません。一読あれ。
Posted by ブクログ
子供が書いたような大きい字の文章が怖い。
気味の悪い文章から不自然な部分を抜き出して推理しようと必死になったが、まさかインドネシアの話だったとは…
御手洗の推理シーンが好き。
Posted by ブクログ
「占星術殺人事件」の愛読者が書き残した日記が意味するものは?どこまでが現実でどこから妄想なのか。不気味な日記に始まりプロローグから一気に引き込まれる。そして御手洗よ、早く出て来い!と思いながらページをめくる。島田荘司の本の読みながら不安にさせる要素は何なんだろう。言うまでもないが「占星術殺人事件」を先に読んだ方が良い。
Posted by ブクログ
あの現実とは思えない手記が論理的に解明されていくさまは圧巻。
島田荘司は最初に提示される謎が本当に魅力的である。
ただ、一応説明はつけられるものの、両性具有者のことについては少し曖昧な部分がある気がした。(私の読みこみが浅いだけだったらすいません。)
Posted by ブクログ
久しぶりの御手洗シリーズ。
この間それなりに読書経験を積んだせいで、御手洗がカッコ良く見れなくなってたらどうしよう…と若干の不安があったんだけど、ちゃんとカッコ良くて嬉しかった。
派手で強引な真相で島田荘司らしいストーリー。
面白かった。
超有名俳優の息子にして『占星術殺人事件』の読者でもある青年が、鎌倉の独り暮らしの部屋にある日強盗に入られ、居合わせた父親の恋人と父親の秘書が殺されてしまう。太陽が消えこの世の終わりのような様相を呈する世界で、青年はふとこの二体の死体でアゾートを作ることを思い立ち実行する。するとアゾートが動き出し……という手記が、東大教授によって御手洗にもたらせる。
この手記は何を示すのか。教授は筆者の脳の障害を疑い、御手洗は実際に起こった事件だと主張する。
その実証のため、石岡は現地調査に派遣される。
死体を分断するシーンのとてもリアルな表記は確かに現実に起こった事件に思えるけど、夜だけの世界とか変わり果てた鎌倉の風景とかアヤシイ人間とか恐竜とか、さすがに現実としては説明できないでしょみたいな、これどう落とし前つけるんだ的な相変わらずの島田荘司ぶりだった。
渦の右巻きと左巻きには気づいたけど、まさかインドネシアまで飛ぶとは思わなかった。ここのところの御手洗シリーズは世界を股にかけてる。
9階程度のマンションじゃ階数は誤魔化せないだろうな(今ならタワーマンションにするだろう)とか、謎の死を遂げたサラリーマンの未亡人を襲った美青年は結局誰だったんだろうとか、いろいろ都合良すぎるところも含めて突っ込みどころ満載だったけど、大枠は面白かった。
手記の謎が一応合理的に説明されて、一応スッキリ。
あと、知的好奇心が一番で決して正義の側にいるわけじゃない御手洗のスタンスを堪能できて満足。
本来の形に組み戻された手記を読む時に自分の集中力が持たなかったのだけ残念だった。
(以下、京極堂シリーズにかぶれた人目線の感想)
久しぶりに読む御手洗は、榎木津と中禅寺を足して2で割ったような人物として私の前に立ち現れてきた。
他人を全く気にしないところと外見のカッコ良さは榎木津で、合理的な思考と丁寧な口調で他人を翻弄するところは中禅寺。
そして石岡君は、鬱じゃない関口(笑)。
特に御手洗の命で鎌倉を調査する石岡君は、榎木津に無茶振りされて現地調査させられる関口と、超シンクロしてる。御手洗に馬鹿にされて嫌味を言われるところも、中禅寺と関口の関係に置換可能。
畸形児とかバラバラ死体とか、エピソードにも京極堂シリーズのエッセンスが感じられる。
直接影響を受けたとまでは言わないけど、私何読んでるんだっけ?と思ったくらい混乱した(笑)。
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ミステリー初心者ですが、このミステリーは面白いと思いました。
ホラー小説を連想させるおどろおどろしい文章が、天才探偵の元に持ち込まれたとき、どんな事件が明らかになるのか。
トリックとしてはちょっととんでもない部分もありましたが、そうか、そう言うことだったのか! と言わせる説得力は十分にあります。
Posted by ブクログ
『ネジ式ザゼツキー』を高校生のときに読んで、その時の感動をもう一度味わいたいと思い読んでみたのですが…
少し期待外れでした。というのも、謎の提示から1回目の解答までがすごく短く、もっと焦らして欲しいと思います。
謎の手記の書き手を探しに行くのですが、彼らのやっていることがとしても非現実的でちょっと引き気味な姿勢で読んでしまいました。それでもやはり、島田荘司らしい大胆なトリックは好きですね。御手洗の変人キャラも今回かなり濃く描かれていて素敵です。
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大学2年から数十年ぶりに読み返した今回は、分析的な読み方を心掛けた甲斐もあって、数々の粗、都合の良さや強引さが目立った。
致命的なのは、インドネシアで殺人を犯す事に、実は何も必然性がない事。これは正に発見だった。
魅力的な謎の創造のために登場人物が踊らされてしまったのだ。これは作者の傲慢さ以外何物でもない。
しかし、数十年経っても色褪せぬ内容と、抜群のリーダビリティは確かに存在した。
読者を愉しませんがための過ちと受取ろう。
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いやはや凄い。どう考えても現実とは思えないことを論理的に説明していく。御手洗がこれは事実だと気づくきっかけとなった渦巻きの考察も素晴らしい。なぜ乾燥機がついているのかとかなぜレモンを香織が絞ってあげたのかとか細かいところが全て一つの真実を構成する要素だったなんて。これぞ本格ミステリ。
島田さんの著作は、絶対リアルとは思えない摩訶不思議で非現実的な物事を僅かな隙間から論理で崩していく作品が多い。しかし、それらの中でも特に今回の事件は本格性を強く感じた。
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中々の混乱から始まるが、ラストにすべての複線を回収するとこが島田壮司らしくていい。
結構無理やり感はあるが。
もっと言えば『占星術~』もっと強調してくれても良かったかなぁ??
Posted by ブクログ
最初の百数ページがとても怖かった。不気味でグロテスクで、わけがわからなくて怖い。『占星術殺人事件』を愛読する青年が記した妄想としか思えない手記の内容が、御手洗の推理によって現実味を帯びてくる。提示される謎のうちのいくつかは、じっくり考えれば読者でも解答に辿り着ける。色々な可能性を自分なりに考えるのが楽しかった。石岡が江ノ電に乗って調査に向かう場面が好き。数年前に旅行で訪れた、鎌倉の独特の景観が懐かしい。
Posted by ブクログ
『占星術殺人事件』を読んだのでどうせならと『眩暈』も再読したが、こちらは初読時の感慨を偲ぶこともなく、淡々と読み進めた。手記の魅力もその真相も占星術には叶わないから尚更かな。 教授と御手洗の精神分析や生物・遺伝学談義は興味深く読めた。
Posted by ブクログ
母がこの作者が好きで、眩暈のあらすじを母から聞いて、え、面白そう!?と思ってようやく読んでみた。
正直期待していたほどの衝撃はなかったが、全体的に面白く読めた。
私の頭ではなかなか腑に落ちない箇所が何箇所かあった。
Posted by ブクログ
やはり島田荘司は面白い。しかし謎の文章が序盤に長々と続くパターンは少々辛いとこだけどね。島田荘司には良くある気がするが、、、、御手洗と石岡くん、いつ出るのーってなる。
それでもとても楽しめた一冊だ。
怪奇な文章がちゃんと説明つくとか、爽快。
小説って書かれた時代によっては差別的な表現が罷り通るところがあるけど、
その中でも御手洗自身は偏見による発言をすることはなく常にフェアで気持ちがいい。
そんな所も作者の先進的な思考がみえる。
Posted by ブクログ
いきなり、大きい字の子どもの手記から始まってちょっとぎょっとした。
叙述トリックなんだろうなあ、これどうやって実際にあったことになるんだろう、と最初から思いながら読んだけど、分かったのはひとつだけだった。
隠された4階っていうのはわくわくする。
でも内情はかなりグロテスクで、なんていうか、耽美みたいなのが足りなくて残念。
御手洗が石岡くんに対して酷い。
石岡くんも御手洗に対するトキメキ?がなくなった風だけど、それより御手洗が酷いし、藤谷を出しちゃったら石岡くん要らなくなっちゃう
…
別に面白かったんだけど、なんとなく後味が悪い。
Posted by ブクログ
「占星術殺人事件」を愛読する青年の戦慄すべき日記。そこには荒涼たる世界の終焉が広がり、切断された男と女が合成され両性具有者となって彼に語りかける。醜悪な現実と蠱惑の幻想世界が今、驚天動地のトリックによって大いなる融合をはたす---------新たなミステリーの空域を雄々しく飛翔する島田庄司の圧倒的傑作!
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背表紙に書いてあった上記の文章を見たら読まずにいられないでしょう、ヤッパリ。あまりにも突拍子なく強引な推理展開。でも面白かった。細かい部分が結構そそる。
Posted by ブクログ
御手洗潔シリーズ。重厚な作品。どのように展開されていくのか、不安になりながら読んでいきました。最初に提示された文章からミステリアスに進んでいきます。本当に何が起こったのか、気にしながら読み続けられました。
Posted by ブクログ
御手洗潔シリーズ、8作目。
相変わらずというか、最初の導入部は狂人妄想的な手記から始まる。その、いかにもあり得なさそうな妄想ごとを、御手洗が見事に現実ごととして証明していくところは興味深く読めた。確かに御手洗のようにワールド的な視野を持っていないと、思いもつかないかも。無理に小難しく、かつ、グロテスクな描写を多用するのはちょっと苦手、、、と思うが、結局最後まで一気に読み進めてしまっているんだもんな。それだけ島田作品の魅力に嵌ってしまってるのかも。
Posted by ブクログ
<ネタバレ有り>
++++++++++++++++++++++++++++++++
御手洗シリーズ。以前ハードカバー版で読んだものを文庫版で再読。
眩暈。まさに眩暈。やっぱり読んでてくらくらきました。
古井教授の難解な講義の後の石岡君の「聞いていて意味が十分の一も解らなかった」という一文によってもたらされる安心感がすごい。
初読時どうしても理解できなかった部分があって、今回はその辺りをじっくりと読んだつもりなのですが、やっぱりわからない部分もありました。香織お母さんの胸が小さい云々のくだりは文庫化にあたって最後に加筆されていたので理解しましたが、結局未亡人を襲った両性具有者は一体だれだったかという謎は残りました。解説にもあったようにその辺りは読者の想像にお任せという感じなのかな。
その解説ですが、つまらなすぎてびっくりしました。難しい言葉を並べてるだけで意味がさっぱりわからず、長いので読み飛ばしてしまいました。解説が本文より難解って…。解説までを含めて1冊の本だと思うのでちょっと残念。
眩暈の御手洗のエキセントリックさには息を呑むものがあります。そんな御手洗に付き合いきれる石岡君も只者じゃないとあらためて思いました。