あらすじ
切断された男女が合成され、両性具有者となって甦る。窓の外には荒涼たる世界の終焉の光景が広がっているばかりだ。『占星術殺人事件』を愛読する青年が書き残した戦慄の日記が示すものは何か。醜悪な現実世界に奇想と驚天動地のトリックの矢を放つ。ミステリーの新たな飛翔を決定づけた傑作。
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Posted by ブクログ
1995年。何回目かの再読。
いきなりデカイ活字で驚く。連綿と手記が続く。事件は1983年。とっても昭和。再読だし懐かしく読む。この頃の御手洗くんはエキセントリック。
大風呂敷を敷いてむりやりたたむ。稲村ケ崎。インドネシア。
Posted by ブクログ
非現実的な手記を主軸に掘り出される奇怪な事件
食品公害、サリドマイド児、太陽消滅、世界の終わり、あるはずのない四階、両性具有、アゾートの実現、、、?
バイオレンス、セクシュアル両面でシリーズのなかでも刺激強めな内容。
馬車道からインドネシア、北海道の果てまで今回もよく動き回ります。
いつもながらダイナミックでエキセントリックな仕掛ですが、謎めいた悪夢的手記の内容をすべて現実世界で説明してみせるつくりに満足!手記と現実、マンションでの出来事、順序も含めて飽きさせない構成でとても楽しめました。
Posted by ブクログ
この辺の長編は少し長いですね~(笑)手記を2回読まされるのは少し辛かったかもしれな(笑)しかし今回のトリックはかなり大ガがりな感じでしたね~(笑)御手洗が論文書いたりして徐々に海外へ出て行ってしまう雰囲気が感じられました。
Posted by ブクログ
なんとなんと。
中盤の御手洗潔の推理を読みながら、こりゃメチャクチャな設定だ〜、トンデモ本だ〜と思いながら読んでた。
鎌倉とインドネシア、玄関ロビーに土俵、盲目の医者(のような人)、これは後半だけど未開の4階などなどなど。
。。。
でも、それが御手洗潔シリーズですよね。
とんでもないけど、読み進む。
よくあるうんざりするような文が少なく(自分にとっては)、とはいえ、情緒を感じる表現もところどころにある。
石岡先生、流石です。
マンションが他の国に同じ形で存在したことは、綾辻先生の黒猫館の殺人を思い出しました。
眩暈が先かな?
ディテールは異なるけどね。
読み終えても残る疑問が2つばかり。
陶太の日記?について、殺人が行われる場面で、文章が突然「です」「ます」調になったりするのは意図あり?まだまだ意識が回復してないってこと?
もひとつ、松村家の葬式後に現れた美青年は、喬子で良いんだよね?
Posted by ブクログ
子供が書いたような大きい字の文章が怖い。
気味の悪い文章から不自然な部分を抜き出して推理しようと必死になったが、まさかインドネシアの話だったとは…
御手洗の推理シーンが好き。
Posted by ブクログ
久しぶりの御手洗シリーズ。
この間それなりに読書経験を積んだせいで、御手洗がカッコ良く見れなくなってたらどうしよう…と若干の不安があったんだけど、ちゃんとカッコ良くて嬉しかった。
派手で強引な真相で島田荘司らしいストーリー。
面白かった。
超有名俳優の息子にして『占星術殺人事件』の読者でもある青年が、鎌倉の独り暮らしの部屋にある日強盗に入られ、居合わせた父親の恋人と父親の秘書が殺されてしまう。太陽が消えこの世の終わりのような様相を呈する世界で、青年はふとこの二体の死体でアゾートを作ることを思い立ち実行する。するとアゾートが動き出し……という手記が、東大教授によって御手洗にもたらせる。
この手記は何を示すのか。教授は筆者の脳の障害を疑い、御手洗は実際に起こった事件だと主張する。
その実証のため、石岡は現地調査に派遣される。
死体を分断するシーンのとてもリアルな表記は確かに現実に起こった事件に思えるけど、夜だけの世界とか変わり果てた鎌倉の風景とかアヤシイ人間とか恐竜とか、さすがに現実としては説明できないでしょみたいな、これどう落とし前つけるんだ的な相変わらずの島田荘司ぶりだった。
渦の右巻きと左巻きには気づいたけど、まさかインドネシアまで飛ぶとは思わなかった。ここのところの御手洗シリーズは世界を股にかけてる。
9階程度のマンションじゃ階数は誤魔化せないだろうな(今ならタワーマンションにするだろう)とか、謎の死を遂げたサラリーマンの未亡人を襲った美青年は結局誰だったんだろうとか、いろいろ都合良すぎるところも含めて突っ込みどころ満載だったけど、大枠は面白かった。
手記の謎が一応合理的に説明されて、一応スッキリ。
あと、知的好奇心が一番で決して正義の側にいるわけじゃない御手洗のスタンスを堪能できて満足。
本来の形に組み戻された手記を読む時に自分の集中力が持たなかったのだけ残念だった。
(以下、京極堂シリーズにかぶれた人目線の感想)
久しぶりに読む御手洗は、榎木津と中禅寺を足して2で割ったような人物として私の前に立ち現れてきた。
他人を全く気にしないところと外見のカッコ良さは榎木津で、合理的な思考と丁寧な口調で他人を翻弄するところは中禅寺。
そして石岡君は、鬱じゃない関口(笑)。
特に御手洗の命で鎌倉を調査する石岡君は、榎木津に無茶振りされて現地調査させられる関口と、超シンクロしてる。御手洗に馬鹿にされて嫌味を言われるところも、中禅寺と関口の関係に置換可能。
畸形児とかバラバラ死体とか、エピソードにも京極堂シリーズのエッセンスが感じられる。
直接影響を受けたとまでは言わないけど、私何読んでるんだっけ?と思ったくらい混乱した(笑)。
Posted by ブクログ
大学2年から数十年ぶりに読み返した今回は、分析的な読み方を心掛けた甲斐もあって、数々の粗、都合の良さや強引さが目立った。
致命的なのは、インドネシアで殺人を犯す事に、実は何も必然性がない事。これは正に発見だった。
魅力的な謎の創造のために登場人物が踊らされてしまったのだ。これは作者の傲慢さ以外何物でもない。
しかし、数十年経っても色褪せぬ内容と、抜群のリーダビリティは確かに存在した。
読者を愉しませんがための過ちと受取ろう。
Posted by ブクログ
いやはや凄い。どう考えても現実とは思えないことを論理的に説明していく。御手洗がこれは事実だと気づくきっかけとなった渦巻きの考察も素晴らしい。なぜ乾燥機がついているのかとかなぜレモンを香織が絞ってあげたのかとか細かいところが全て一つの真実を構成する要素だったなんて。これぞ本格ミステリ。
島田さんの著作は、絶対リアルとは思えない摩訶不思議で非現実的な物事を僅かな隙間から論理で崩していく作品が多い。しかし、それらの中でも特に今回の事件は本格性を強く感じた。
Posted by ブクログ
『占星術殺人事件』を読んだのでどうせならと『眩暈』も再読したが、こちらは初読時の感慨を偲ぶこともなく、淡々と読み進めた。手記の魅力もその真相も占星術には叶わないから尚更かな。 教授と御手洗の精神分析や生物・遺伝学談義は興味深く読めた。
Posted by ブクログ
いきなり、大きい字の子どもの手記から始まってちょっとぎょっとした。
叙述トリックなんだろうなあ、これどうやって実際にあったことになるんだろう、と最初から思いながら読んだけど、分かったのはひとつだけだった。
隠された4階っていうのはわくわくする。
でも内情はかなりグロテスクで、なんていうか、耽美みたいなのが足りなくて残念。
御手洗が石岡くんに対して酷い。
石岡くんも御手洗に対するトキメキ?がなくなった風だけど、それより御手洗が酷いし、藤谷を出しちゃったら石岡くん要らなくなっちゃう
…
別に面白かったんだけど、なんとなく後味が悪い。
Posted by ブクログ
<ネタバレ有り>
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御手洗シリーズ。以前ハードカバー版で読んだものを文庫版で再読。
眩暈。まさに眩暈。やっぱり読んでてくらくらきました。
古井教授の難解な講義の後の石岡君の「聞いていて意味が十分の一も解らなかった」という一文によってもたらされる安心感がすごい。
初読時どうしても理解できなかった部分があって、今回はその辺りをじっくりと読んだつもりなのですが、やっぱりわからない部分もありました。香織お母さんの胸が小さい云々のくだりは文庫化にあたって最後に加筆されていたので理解しましたが、結局未亡人を襲った両性具有者は一体だれだったかという謎は残りました。解説にもあったようにその辺りは読者の想像にお任せという感じなのかな。
その解説ですが、つまらなすぎてびっくりしました。難しい言葉を並べてるだけで意味がさっぱりわからず、長いので読み飛ばしてしまいました。解説が本文より難解って…。解説までを含めて1冊の本だと思うのでちょっと残念。
眩暈の御手洗のエキセントリックさには息を呑むものがあります。そんな御手洗に付き合いきれる石岡君も只者じゃないとあらためて思いました。