感情タグBEST3
Posted by ブクログ
幽霊船とロシア皇女の話がどう繋がるのか気になって、早くページを捲りたいとワクワクしたのは初めてかもしれない。
好奇心に急かされながら読み進めていった。
随分変わった名前だったから、その名前には何かしらの意味合いはあるだろうと思っていたけれど、まさかそのような意図があったのだとは思わなかった。
読みながら自分なりに予想してみたのだが、掠りはするものの「ああそっちか⁈」となってもう楽しくて楽しくて。すっかり御手洗の世界に惹きこまれていた。
平八はずっとアナスタシアのことを思っていたんだな…と僅かなすれ違いに心がギュッとなってしまった。時代が時代でなければ二人は幸せになれたのだろうか、いや、多分出会わなかったんだろうな。その時代だから出会えたんだろう。
アナの不可解な言動について自分なりに考えていたけれど、どうしてそんな事をするのか理解できずにいた。
母国語も話せず記憶も曖昧で、嘘をついているようにしか見えない。それなのに自分は王族だと言い続ける。
私は多分この人は本当にお姫様なのだろうとは踏んではいたがまさか怪我によるものだったなんて。ましてや脳の損傷のせいだなんて考えすらしなかった。
言えない秘密があるのだろう、としか考えなかった。
調べてみたら実際にいるようだ、ちょくちょく調べながらもう一度読んでみると面白いかもしれない。
石岡と御手洗が安定に面白くて可愛くて。
そして御手洗の推理の素晴らしさは相変わらずだった。
Posted by ブクログ
『アナスタシアは少なくとも2人の男性に愛されていた、そこにロシア皇女としての力と気品を感じるのである。』ロマノフ王朝最後の皇女アナスタシアの数奇な人生を余すところなく描写した。ロシア帝国のボルシェビキは皇帝ニコライ二世の目前で皇女達を凌辱した上で殺害した。この遺恨を胸に生き延びたアナスタシア。彼女が日本軍人と共に箱根の芦ノ湖に巨大な軍艦と共に現れるミステリーの真相は奇跡としか言えない。ボルシェビキに凌辱されてできた子どもの遺恨が時空を超え、憎悪と愛情が噴出する。幽寂とした中に一閃を感じ取れる傑作だった。
Posted by ブクログ
これはまた大作だ。
導入部に石岡先生が語るとおり、奇抜なトリックや奇怪な館や凄惨な殺人事件に巻き込まれるわけでなく、なのにこれまでの作品に優るとも劣らない大きな謎と壮大なストーリーが秀逸な異色作。石岡先生曰く、御手洗探偵の学者としての一面を垣間見たというけれど、こちらとしては著者の知性と問題意識、学者性を垣間見たというかんじ。
第一次対戦下、ロシア革命とロマノフ政権、処刑された皇帝一家の生存者と名乗る女性の真偽。史実に残る不可思議から、戦争と政治に翻弄された女性の壮絶な生涯を描き出した見事な作品。後書きもとても有意義。ほんとなんでも書ける方なんだなー。
Posted by ブクログ
島田さんの歴史ミステリはほんとにおもしろい。
2月革命でロマノフ王朝は終わりを迎え、ニコライ2世の末娘アナスタシアは悲惨な運命を辿る。
そんな中出会った日本人と共に、ドイツのドルニエDoxで芦ノ湖に降り立つ。
愛する人とベルリンではぐれ、以降アナアンダーソンとして生き、アナスタシアの真偽裁判が行われ、認められずに生涯を終える。
ボルシェヴィキによる虐待やイパチェフ館で行われたとされる虐殺は読んでてほんとにしんどかった。
ロシア革命や、アナスタシア論争のことは全く知らなかったけど、フィクションとしておもしろく読めた。
幽霊軍艦のパートもとてもワクワクした。湖に巨大軍艦が現れるなんて、これぞ島田さん。
富士屋ホテルいつか泊まってみたいなあ。それにしてもドルニエDox調べたけどすごい。巨象恐怖症なので、あの規模のものが飛んでるなんてもはや恐怖である。新千歳に模型がある?らしいので見てみたい。
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”ロシア幽霊軍艦事件―名探偵 御手洗潔―”島田荘司著 新潮文庫nex(2015/01発売)
(イラスト:toi8 2001/10発売 原書房、2004/01発売 講談社ノベルス、2004/10発売 角川文庫もあり)
・・・箱根、富士屋ホテルに飾られていた一枚の写真。そこには1919年夏に突如芦ノ湖に現れた帝政ロシアの軍艦が写っていた。四方を山に囲まれた軍艦はしかし、一夜にして姿を消す。巨大軍艦はいかにして"密室"から脱したのか。その消失の裏にはロマノフ王朝最後の皇女・アナスタシアと日本を巡る壮大な謎が隠されていた――。御手洗潔が解き明かす、時空を超えた世紀のミステリー。(公式サイトより)
・・・実在の事件(アナスタシア生存説)と架空の事件(幽霊軍艦騒動)を虚実織り交ぜて展開。
(本人の解説に実在部分とフィクション部分の説明あり)
探偵御手洗が解き明かすアナスタシアの真実は”実際にそうなのでは”と思わせる説得力がありました。
Posted by ブクログ
アナスタシアの真実の謎を解決する話。アナアンダーソンが本人なのかどうか、推理していくのですが、私には退屈だったようで途中何度も眠くなってしまいました。最後まで読んでも起伏があまりないのと、最後のあたりで真実の残酷さにちょっとつらくなりました。
Posted by ブクログ
大正時代の日本、箱根芦ノ湖に突如現れ、一夜にして姿を消した巨大軍艦の謎に御手洗潔が挑む。相変わらずスケールが大きくて夢のあるミステリだなあ。ロマノフ王朝最後の皇女、アナスタシアの生存説も、ロマンがある。
自らをアナスタシアだと主張した「アナ」という女性が実在したことは知らなくて、読み終わるまで島田さんの創作かと思っていた。思ったより史実が含まれていて驚いた。
(小説内の)真実は切なくて、救いがなくて辛い。アナスタシアの過去はただでさえ重たいのに、ちょっと描写がくどいかも・・・。ところどころ展開が無理やりな感じもしたけど、歴史ミステリーとしても楽しめた。
Posted by ブクログ
かなりファンタジー満載な作品。
ミステリーというより物語。
でも嫌いじゃない。
御手洗シリーズにしては夢物語でした。
単品の話で良いかと。
ちょっとした恋愛小説に近いかもしれません。
Posted by ブクログ
かつて箱根の富士屋ホテルに信じがたい写真が飾られていた。そこには芦ノ湖に浮かぶロシアの軍艦が写っていた。四方を山に囲まれた湖に巨大な軍艦が浮かんでいるのということも謎だか、その軍艦は突如として出現し、一夜にして消滅したという。果たしてそのトリックとは…
御手洗潔シリーズを読んだこともなければ著者のファンでもない自分が、この本を読んだきっかけは、フィラデルフィア実験として知られるアメリカの駆逐艦エルドリッジの瞬間移動実験をネタ元として書かれたと何かで読んだ記憶があったからだ。
この真偽のはっきりしない実験に何か新しい見解でも示してくれるかと期待したが、トリックとしてはフィラデルフィア実験とは全く違うものとなっていて、「なんだそのくだらない方法は!」と、ちょっとキレた。(自分が勝手にフィラデルフィア実験がネタだと思い込んでいただけだけど…)
それでも最後まで読んだのは、後半からは皇女アナスタシアと日本軍人の悲恋の物語としての展開に引き込まれ、虚実を織り交ぜての逃避行がなかなか興味深かったから。
義経ジンギスカン伝説と同じで、アナスタシアが日本に逃げてきたなんてのこともないだろうけれども、小説としては面白かった。