【感想・ネタバレ】セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴―名探偵 御手洗潔―(新潮文庫nex)のレビュー

あらすじ

横浜・馬車道に事務所を移した御手洗潔と石岡は、ある老婦人の訪問を受ける。名探偵への冷やかし客かと思われた彼女の話を聞いた御手洗は、しかしその出来事を“大事件”と断定した。猿楽町にある教会での集いの最中に降り出した雨。その瞬間、顔を蒼白にして倒れた老婆。奇妙な現象、行動の裏には、政府とロシアにまつわる秘宝の存在が……。聖夜を彩る心温まるミステリー。

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Posted by ブクログ

 昭和五十七年の秋、高沢秀子という老婦人が御手洗潔のもとを訪ねてくる。世間話程度に彼女がはじめたのは、親友である折野郁恵という女性の話だった。榎本武揚の子孫であり、ロシアの皇帝陛下からの贈り物であるセント・ニコラスの長靴を受け継いだ、というエピソードを持つ女性だ。そんな彼女の様子が今日おかしかった、と秀子は御手洗たちに語る。雨を見たことによるショックで倒れて救急車で病院に運ばれた、というのだ。しかも息子夫婦はそばにいたのに救急車に同乗しなかったらしい。秀子の話を聞き、御手洗は大事件のにおいを嗅ぎ取る。

 ということで本作は、何十億の価値があるかもしれないセント・ニコラスのダイヤモンドの靴をめぐって二転三転する中で、意外なラストへと向かっていく作品になっています。今年もクリスマスが近付いてきていますが、本書はそんな時期にぴったりな一冊。世の中は決して良いことばかりではないけれど、同時に悪いことばかりではない、と解き明かされた謎の先に立ち上がる優しい奇跡に、心地良い余韻が残る作品でした。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

重すぎる小説の連続、積読本のうちライト小説を選択・堪能。ロシア・ロマノフ王朝のダイアモンドの長靴、それを巡る少女誘拐、宝さがし、少女と名探偵・御手洗(みたらい)の対峙、それぞれが結びつく。少女が誘拐され、少女の親がダイアモンドの長靴を繁華街の花壇に埋め、犯人にそれを渡そうとするが、犯人は受け取れず。そこには多くの思惑があった。さらに御手洗の名推理によりミステリーが一気に解決する。エピローグで女帝・エカチェリーナ2世の豪快な行動には驚愕した。また女帝に会うことを許された大黒屋光太夫の話しも興味深かった。④

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2022年02月03日

Posted by ブクログ

御手洗ものにしては地味な印象ではあるんだけど、じんわり暖かい読後感で、名作だと思う。
御手洗の人間性、弱いもの、子どもへのあたたかさ、美紀ちゃんへの「もし自分が父親だったら〜してあげる」という独白、全部好ましい。ヒーローだなって思う。

ところでダウジングって迷信的な、こっくりさんとかそういうものの仲間だと思ってたんだけど、水道管の関係では結構最近まで現役だった技術らしいことを、今回調べて知って驚いた。

シヴァルヴィ館のクリスマスは、私がまだシリーズを読み進めていないので、御手洗が突然どこか外国らしきところで知らない外国の人とお喋りしてて驚いたりした。面白かったけどね。御手洗、親いないんだね。いなくて良かったって言ってるのは、らしすぎて面白かったけど

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2020年07月24日

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クリスマスシーズンにオススメと書いてあったから12月に読んだ。
子供(良い子)に優しい御手洗。じーんときた。

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2025年05月14日

Posted by ブクログ

サンタクロースがそんなやつとは知らなかったな
貧乏人を差別するとはな、弱い者の味方セント・ニコラスもなんて堕落したんだ

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2020年11月08日

Posted by ブクログ

冒頭にエカテリーナ二世の凄まじい生涯と、彼女から榎本武揚に贈られたダイヤモンドで飾られた靴の話があって、いきなり目くらましを食らわされる。一体どんな凄い事件なのだろうかと思ったが、何だか一杯食わされた感じである。はっきりいってちんけな犯罪である。トリックも大したことはない。が、最後まで読まされてしまった。一つには、登場人物のそれなりの面白さがあることである。それに、誘拐された美紀という女の子の可愛さとこの子への御手洗潔と石岡の優しさがいいのだ。

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2020年06月23日

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