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Posted by ブクログ
【本書紹介文より】1985年4月、国鉄が誇る<水晶特急(クリスタル・エクスプレス)>が、上野から酒田まで、マスコミ関係者を乗せて処女旅行に出発した。その直後、列車強奪に遭う。犯人は大物代議士・加灘耕平の旧悪告白を要求し、人質の中の週刊誌記者・蓬田夜片子に、マスコミ公表の役目を命じた。だが、驀進する列車は人質もろとも突然消失した!?奇想天外な大トリックを駆使し、華麗に描く傑作ミステリー。
鉄道ミステリであることと、豪華列車が<クリスタル・エクスプレス>という、田中康夫のデビュー作『なんとなくクリスタル』を思い出させるネーミング。この作品が出た当時、そのどちらもが人気だったのではないか。
この作品は、それらの流行も取り入れつつ、アッと驚く大掛かりなトリックに挑戦した意欲作である。初めて読んだときは単純に面白かった。なにしろ、大きな列車が消えてしまうのだから。ヘリコプターで捜索しても見つからない。各駅に問い合わせれば、間違いなく通過したと答えるし。いったいどうなっているんだと。
しかし、10年以上経った今回の再読では、やはり完成度の低さを感じずにはいられなかった。単に、ネタが割れている再読だから初読より面白さがダウンした、というわけではない。昔はただ受身の読書。今は頭の体操も兼ねて、考えながら読むようになったことが大きいからだと思う。その上、今はトリック以外にも、社会問題や、人間を追究する文学性もほしいと思っているので、なおさらである。本作はこの部分が弱い。本格ミステリだから仕方ないのだが。
ところで、鉄道マニアの人々を、駅や跨線橋などで見かけるようになったのは、いつ頃からだろう。列車を撮ろうと、カメラを構えている人をよく見かける。この小説の列車は、集客を狙った超豪華展望車を持つ。最後尾の<パノラマ・ラウンジ>は天井から床まで全面ガラス張りの設計。壁はプリント合板ではなく、本物の木材が使われ、高級なソファーが並べられている。カウンター・バーに、ダンス・フロアを備える。こんな列車が走るとなれば、鉄道ファンはどんな反応をするのだろう? 垂涎の的となるのは確かでは。すると、もし通過地点のあちこちにカメラを構えた人たちが出没したら・・・・・・
私は鉄道のことにまったく興味がないのでわからないが、当時はそういう鉄道ファンはいなかったのだろうか?
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