深緑野分のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本人が日本語で書いているはずなのに、
ディケンズの翻訳ものを読んでいるような
「高貴な」感じが漂っている。
舞台設定も、どことも分からぬ異国
(後に判明しますが)だったり、
大正時代(?)の女学校の寄宿舎だったりと、
今となっては誰も「正解」を知らない世界で...
中々の「異世界」感(^ ^;
でもその設定の中で、
揺れ動く登場人物の心象が丁寧に綴られており、
また日常の何気ない生活の一コマが
ありありと眼に浮かぶリアリティがあって(^ ^
ものすごい「名作感」がにじみ出ている(^ ^;
創元推理文庫だし、一応はミステリに分類しましたが、
「謎解き成分」は主ではない感じ。
何と言うか、もっと「純文学感」が前面に出てる(^ ^;
...やたらと「感」が多いですが(^ ^;
それほど、読んでて色々と感じるところがある、
と言うことで、一つ(^ ^; -
Posted by ブクログ
どんどん読み進めることができた。敗戦直後のベルリンを舞台にした物語には引き込まれたが、細かいところがわかりにくかった。
最後にある人物が粛清されるのだが、その経緯など、人物の行動や出来事の背景がつかみにくい。説明を聞けば理解できるものの、そこまでまわりくどくする必要があったのだろうか。
結局、何を伝えたかったのかよくわからなかった。正義とは何か、戦争とは何か。そうした問いを描きたかったのかもしれないが、あまりにもまわりくどく、肝心なものが伝わってこなかった。
複雑な構成や歴史的背景が作品の奥行きにつながるならいい。しかし、今回は複雑さばかりが残ってしまった。
読みやすいのに、わかりにくい。それに尽きる小説だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレSFではない短編もあるが、SFとして読む。
宮内悠介 「国境の子」
対馬と韓国は近いのね。
藤井太洋 「月の高さ」
お金のない劇団って大変そう。影のない太陽を見てみたい。
小川 哲 「ちょっとした奇跡」
自転が止まった地球で生き残った人類のたった2隻の船が180度離れて燃料が無くなる1200年後まで走り続ける。ちょっとした奇跡があってもいいじゃないか?でも本当にちょっとした奇跡だ。
これが一番好き
深緑野分 「水星号は移動する」
移動式宿 水星。 人情物で連載はできそう。マーキュリーの意味を調べる
森 晶麿 「グレーテルの帰還」
ヘンゼルとグレーテルを読み直さなきゃ!
老人は殺しても良い?だめでしょう。
石川宗生 「シャカシャカ」
地表が突然シャッフルをはじめた!? 設定が奇抜で、構成も奇抜で、
最期まで読んで、そうきたか! でも救われない。 -
Posted by ブクログ
◼️深緑野分「カミサマはそういない」
イヤミス風にしたというダークな物語集。
深緑野分は「オーブランの少女」「「戦場のコックたち」「ベルリンは晴れているか」を読んでいる。後の2作は戦争もの、戦時もので外国人が主人公。どちらも直木賞候補作となった。今作は女性ばかりの「オーブランの少女」と真逆、すべて男性が主人公の物語集となっている。
危害を加えないストーカー行為、SNSにある情報から個人を特定してリアルに顔を見ることを趣味としている男は、今回もターゲットを絞り、その男のアパートへ出向く。しかし、身を隠そうとして入った藪で、ターゲットの男の部屋を盗撮している男を見つけるー。(ストーカーvs盗撮魔)
紹介したのは現代劇だが、SF的な要素の話も満載だ。見張り塔での狙撃兵の話、危険な太陽の光が1年に1度降り注ぐ世界と隠り世のような空間、自分をいじめる仲間と異次元の遊園地に入り込み、殺人鬼に追われるホラーものなど。ラストの、陸の大半が海に沈み、規制の厳しい政府が、官製の少ない音楽しか流さなくなった中で海賊ラジオ放送を探す篇では少し希望が見えて終わる。
ストーリーの成り行きはダークで、救いが無い。イヤミス風の短編集を意図したそうで、なるほど嫌な感覚があふれ苦い味が残る読後感。ストーカーと盗撮魔はまだコミカルな方だ。
暗さの中にほのかな灯りが見えそうでも握りつぶしたりする。のだが、この絶望感のある設定の中どこかに希望を探すのが人のさがで、この手の話はその希求を目的としているのかも知れない。だから最後には少々のカタルシスが心地よく感じるのかも。
ホラーも多少読むから、読んだことのない展開というわけではなく絶望感の表現も惹かれるものはある。恒川光太郎「南の子どもがよく行くところ」のディスペア度合いといったらなかなかだったし。思い切った設定も結構好みではある。
まあまず、ふむふむ、といった読書でした。作家として深緑野分は興味を持ってるので、また折にふれ読もうかな。