深緑野分のレビュー一覧

  • 注文の多い料理小説集

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    話題の作家さんたちによる短編小説集。
    テーマが食べ物であるが、時代は江戸や現代など様々。
    あーそんな風に思えるのか…というものや、このシチュエーションでそれきたら〜となるものまで、食べるという事を含めてちょっと考えさせられました。

    短編小説ではあるがなかなか濃い一冊です。

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    2025年03月16日
  • オーブランの少女

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    現在、ドはまり中の深緑野分。様々な書評を見ると、単行本デビューとなる本書「オーブランの少女」を推す声が多数見られたので読みたくなった。だいぶ出版が古くて書店では入手できなかったので、困った時のBOOKOFFで探したところ・・・ありました。

    深緑野分のことについては殆ど何も知らないまま作品にのめり込んだので、巻末の瀧井朝世の解説は本当に参考になった。やはりこの本の位置づけはかなり重要なので、この時点で読んでおいて良かった。本としての全体像は実に多岐に亘っており、作者の文章構成力の高さを目の当たりにした。どんなジャンルの作品でも書ける実力が確実にある。本書は短編集なので、一つの作品を読み終える度

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    2025年03月05日
  • 戦場のコックたち

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    17歳の少年が志願して戦争に行く
    なぜ? と思いながら
    彼の傍で共に進んでいた
    戦場で 後方で
    多くの仲間と 数人の友と

    彼の想いに共感し反発もしながら
    悔しいときは怒り 悲しいときは泣きながら
    なぜ? そんなふうに思えるの?
    そう思うのが彼なのだから とも思う

    やっぱり 戦争は いやだね !

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    2025年03月04日
  • 注文の多い料理小説集

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    なんかすっごく満ち足りた。
    “夏も近づく“清涼炭酸水的に澄んでる。

    “どっしりふわふわ“パン食べたいなぁ〜って読み進めてたら「え?!」「んえぇぇ?!」ってフランスパンで殴られたぐらいの衝撃やった!

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    2025年02月08日
  • ベルリンは晴れているか

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    国家が、名も無き大衆が、冷静に考えれば違和感のある方へ、道義的ではない方へと歩み始めた時。暴走しだした時。
    あなたは、私は、それを止めるべく動けるか。
    それとも日常に埋もれて、考えることを放棄するか。力なき一市民にできることなどないと、我が身を守るだけか。
    Noと言える人、立ち向かえる人が多数派になったとき、きっとようやく人類世界から虐殺や戦争がなくなるのだろう。

    いや、どうだろうな。結局のところ、変えられるのは自分の言動だけで、ひとたび何かを強く思い込んだ他人を説得することは、同じ風土の中に暮らしている人同士でさえこんなに難しいのに、そんな日は来るのか。来て欲しいのだけど、正義はそれぞ

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    2025年02月04日
  • ベルリンは晴れているか

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    第2次世界大戦終戦直後のドイツの話。戦中の様子が幕間として描かれ、ドイツ市民の困窮ぶりやユダヤ人、障害を持つ人への差別が詳細に書かれていて読んでて胸が痛くなる。
     主人公の芯の強さが周りの人をも正しい道へと導いた気がした。

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    2025年01月19日
  • ベルリンは晴れているか

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    はじめは暗く辛い戦争の話が続きますが後半の展開は目まぐるしく変わり続きが気になりました。
    第二次世界大戦の詳しい描写に辛い気持ちになりましたが、戦争と人間の愚かさを教えてもらいました。
    もっと世界史を勉強しなくてはとういう気持ちになりました。

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    2024年12月18日
  • アンソロジー 料理をつくる人

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    読むのを楽しみにしてた。好きな書き手の人が私が好きな料理をつくることをテーマにアンソロジーって…!
    いやー、どれもおもしろかった。ほんとに。さすがでございます…
    西條奈加さんの『向日葵の少女』は舞台設定で上品が雰囲気が漂いながらもミステリーっぽい話の進み具合で、大きなテーマを複数かけあわせてまとまったひとつの話にできるのすごすぎるし結末には心があたたかくなった
    千早茜さんの『白い食卓』は主人公がいけ好かないやつすぎるのだけど話が進んでいくごとに料理の恐ろしさというか、食事を他者に委ねることってそういうことだよなあ…生きるための手段のひとつを他者へ委ねるというのは尊いとされたり愛情の証左とされた

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    2024年11月24日
  • ベルリンは晴れているか

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    第二次世界大戦で敗戦後間もないドイツでの物語
    幕間として、主人公視点で戦前、戦中、そして物語の冒頭に繋がるまでが断片的に描かれる

    以下、公式のあらすじ
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    戦争が終わった。
    瓦礫の街で彼女の目に映る空は何色か

    ヒトラー亡き後、焦土と化したベルリンでひとりの男が死んだ
    孤独な少女の旅路の果てに明かされる真実とは――
    読後、きっとこのタイトルに心が震える。

    1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含ま

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    2024年10月30日
  • 戦場のコックたち

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    第二次世界大戦中、アメリカ軍の志願兵で特技兵(コック)となったティムのお話

    以下、公式のあらすじ
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    1944年6月、ノルマンディー上陸作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエド、お調子者のディエゴ、調達の名人ライナスらとともに、度々戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。不思議な謎を見事に解き明かすのは、普段はおとなしいエドだった。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件など、戦場の「日常の謎」を連作形式で描く、青春ミステリ長編。 
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    2024年09月26日
  • 戦場のコックたち

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     子供のころからレシピ帖を眺めるのが大好きで、自宅の雑貨屋の店先で売るお惣菜が大人気の祖母の手料理で育ったティモシー。だけど、世界恐慌になると、食材は貧しくなり、父親は店を畳まざるを得なくなった。
     第二次世界大戦にアメリカが参戦し、募兵ポスターが貼られるとティモシーは多くの若者と同様「給与」ともし自分が戦死した場合の「家族への見舞金」に惹かれて志願した。
     しかし、訓練期間に早くも自分が軍人に向いていないことを悟ったティモシーは「コック兵増員」の貼紙を見て、志願した。コック兵、衛生兵、主計兵、通信兵など後方支援担当の「特技兵」は一般の兵から疎んじられ、軽んじられたが、彼らは気の合う仲間となっ

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    2024年09月22日
  • 戦場のコックたち

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    南極料理人みたいな感じで戦場で供給される物資をなんとか算段つけてお料理するユーモア系の小説かと思ったら全然違った。

    戦場にふとあらわれる小さな謎を解きながら、軽快なおしゃべりとユーモアも交えながら、深まりゆく戦況につれこのお話のテーマがゆっくりと姿を表す。
    戦争というものについて。
    失われた者は2度と戻らないということ。
    人生について。
    失われた信頼は2度と元通りにはならないということ。


    読み始めてみて、どうみても翻訳小説なんだけど、あれ?作者の名前日本人じゃなかった?翻訳者の名前だっけ?と表紙を二度見しました。
    ちょっとこの重厚さと背景描写の丁寧さは日本人の書いた小説とは信じられない。

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    2024年09月17日
  • オーブランの少女

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    中学の時に読んで、衝撃的だった。
    当時、怖いと思ったけれど、今読んでみるとやっぱ面白い。こういう後味もいいな、と。

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    2024年07月05日
  • ベルリンは晴れているか

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    初深緑。決して楽しい物語だったとは言えない——ただロシア・ウクライナ戦争が起きている今、読むべきタイミングであることは間違いない…。これに近しいことが今現在行われていると——私(たち)に何が出来るだろうか…。主人公・アウグステの恩人を殺したのは一体誰なのか・・この謎を解き明かす、本編と幕間の構成も見事だった。
    彼女の未来に幸あれ。と願わずにはいられない——タイトルの意味をよーく考えてみたい一作でした。

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    2024年06月22日
  • ベルリンは晴れているか

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    ネタバレ

    『戦場のコックたち』で、ミステリ要素が戦時中というシチュエーションに対して少し浮いていると感じた部分が、本作では両者の融合率がぐんと上がっている。
    旅の目的上、クリストフに毒入り歯磨き粉を渡したのは誰なのか?という謎を避けて通れないところ。また、膨大な資料や取材から成る、圧巻の情景描写にさりげなく忍び込まされたヒントがその一因なのかな、と感じた。

    幕間も、序盤は戦争によって変化していくベルリンを描くためのパートなのかなと思っていた。その実、アウグステの動機をこれでもかと納得させられることになるとは。

    読んでいて辛い描写が山積みだが、アウグステ以外の登場人物も一人一人の造形が深く、引き込まれ

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    2024年06月09日
  • 戦場のコックたち

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    タイトルとカバーからは想像できないレベルでゲキ重な小説だった。
    グロテスクな描写が苦手な方はにはお勧めできません。

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    2024年06月02日
  • この本を盗む者は

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    本の町 読長町に住む主人公深冬は、本が大嫌いな高校生。物語の世界に取り込まれた町を取り戻すため、大嫌いな本を開く。ファンタジックな本の世界にのめり込んでしまいました。これもブック・カース?泥棒を捕まえなきゃ、、、

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    2024年05月07日
  • 戦場のコックたち

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    ネタバレ

    臨場感あふれる描写、詳細な書き込み、魅力的なキャラクター、ミステリとしての面白さ。
    これらを兼ね備えつつも、決して単なるエンタメ小説ではないと感じました。

    本作はノルマンディー上陸作戦に始まり、第二次世界大戦のヨーロッパを進軍するアメリカ陸軍のコック兵、ティムの視点で進みます。

    次第に語られる登場人物たちのバックグラウンド、主人公たちの過酷な体験、戦場で目にする凄惨な光景。
    読み進めていくとやがて、戦争はなぜ絶えないのか、人間はなぜ憎悪し合うのかという命題に突き当たります。
    非常に重厚な一冊でした。

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    2024年04月27日
  • この本を盗む者は

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    ネタバレ

    説明難しいんだけど、本の呪い(ブック・カース)がテーマのファンタジー。本の蒐集家系で、何十万冊の本が集まる御倉館の継承者、本嫌い高校生の深冬が巻込まれる想像力豊かな物語世界。門戸を閉ざした御倉館から本が盗み出されるとブック・カース発動、その物語世界どおりに、町と町民が変幻、犯人は狐にされ街から逃げ出せず、主人公と謎の少女ましろが追い詰めていく。このルーチンが徐々に物語を動かし、大きな奔流となり語られる真実は何か。深緑さん作品の懐の深さが活かされ素晴らしい。本を読むのが好きな若い人に強くおすすめしたい。

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    2024年02月26日
  • ベルリンは晴れているか

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    「ベルリンは晴れているか」(深緑 野分)を読んだ。

    人間という生き物の際限のない愚かな行いを真正面から描く衝撃の怪作。

    ヒットラー時代の幕開けから、終戦後の東をソ連、西を米・英・仏に分割統治されたベルリンを舞台に繰り広げられる物語の中で、驚くべきひとつの真実が明かされるミステリー小説でもある。

    見事!

    『次は誰を船頭にすればいい? 誰に舵取りを任せればいい? 誰が誰を裁き、自分たちはこれからどんな国旗を掲げればいいんだ?』(本文より)

    (ネタニヤフやプーチンにこの本読ませたいぞ)

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    2024年01月25日