深緑野分のレビュー一覧

  • この本を盗む者は

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    ネタバレ

    説明難しいんだけど、本の呪い(ブック・カース)がテーマのファンタジー。本の蒐集家系で、何十万冊の本が集まる御倉館の継承者、本嫌い高校生の深冬が巻込まれる想像力豊かな物語世界。門戸を閉ざした御倉館から本が盗み出されるとブック・カース発動、その物語世界どおりに、町と町民が変幻、犯人は狐にされ街から逃げ出せず、主人公と謎の少女ましろが追い詰めていく。このルーチンが徐々に物語を動かし、大きな奔流となり語られる真実は何か。深緑さん作品の懐の深さが活かされ素晴らしい。本を読むのが好きな若い人に強くおすすめしたい。

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    2024年02月26日
  • ベルリンは晴れているか

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    「ベルリンは晴れているか」(深緑 野分)を読んだ。

    人間という生き物の際限のない愚かな行いを真正面から描く衝撃の怪作。

    ヒットラー時代の幕開けから、終戦後の東をソ連、西を米・英・仏に分割統治されたベルリンを舞台に繰り広げられる物語の中で、驚くべきひとつの真実が明かされるミステリー小説でもある。

    見事!

    『次は誰を船頭にすればいい? 誰に舵取りを任せればいい? 誰が誰を裁き、自分たちはこれからどんな国旗を掲げればいいんだ?』(本文より)

    (ネタニヤフやプーチンにこの本読ませたいぞ)

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    2024年01月25日
  • ベルリンは晴れているか

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    名作や 出会えてよかった
    この夏、ソ連 ドイツ 日本 それぞれが舞台の戦争小説を読んでみて、これまで小中高の授業で学んだ歴史の知識だけではなにひとつ戦時中のことを想像できなかったてことに今さら気付いた 新しい小説や映画に触れたりニュースで世界情勢を知ったりするたび、自分の知識の足りなさに絶望する

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    2023年10月17日
  • ベルリンは晴れているか

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    1945年7月のベルリンを舞台に、主人公の17歳の女性が、ソヴィエト側の命令を受け恩人の男性が毒殺された犯人を探す旅に出るというストーリーです。

    章の合間に主人公の過去が振り返られ、徐々にナチスドイツの勢いによって一般人の主人公やその家族周辺の人たちが生き方や考え方を変えないと生きていけなくなっていく過程が描かれていきます。

    一人ひとりの思想が統制される時代を経て、敗戦によって立場が逆転したり自分のしてしまったことに後悔を抱える人など、それぞれの生き方が戦争によって左右されていく様が、読んでいて辛く感じる場面もありました。

    本編の流れは中盤以降一気に動いていきます。
    それも私は驚きながら

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    2023年07月04日
  • 戦場のコックたち

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    何故かノンフィクションと思い違いして購入した本作。普段小説はあまり読まないのでどうかなと思ったけど、案外ハマり、比較的分厚い本だがあっという間に読み終えた。

    タイトルと表紙のイラストから、戦場メシ的なのほほんな話を想像していたが全く違った。しっかり戦争小説。ノルマンディー上陸作戦からベルリン崩落までのヨーロッパ戦線を、コック兵の視点から描く。

    序盤は謎解き部分含め比較的穏やかな感じだが、物語が進むにつれ、謎解きの内容も次第に重くなっていく。ショッキングな出来事が起こると、もちろん重々しい感じになるが、それと同時に淡々と進む印象もあり、もしかすると戦場の兵士たちはこんな感じなのかなと想像させ

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    2023年05月09日
  • 戦場のコックたち

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    戦争の凄惨さだけでなく、兵士として従軍した人の精神の変化も感じられて辛くなった。
    でも、今読むことに意味のある本だと思ったし、読んでよかった。
    とりあえず今はクラムチャウダーが食べたい。

    解説に感じたことがまとまっていた。

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    2023年05月04日
  • 注文の多い料理小説集

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    食がテーマの本を読むと幸せになる気がする。
    自分の食事もとても大切に思えて、人生が豊かになる気がする。
    なので、最近は食事の本をよく手に取ってしまう。
    パン好きとしては、やはり「どっしりふわふわ」が好き。

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    2023年01月31日
  • 注文の多い料理小説集

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    7人の作家が「料理」をテーマに描いた短編小説集です。今迄に他の作品を読んだことのある作家もいれば、この小説集が初めての作家もいます。読んでみたい作家の作品を、この様な作品集を読んでからと、思う人もいるかもしれません。この短編集では柚木麻子さんの「エルゴと不倫鮨」が最初に登場します。柚木麻子さんの作品は数冊読んでいましたが、この作品は今迄で一番笑った作品です。柚木麻子さん以降の作家の作品は、どのような物語なのか興味が出てきたので、どんどんと読み進んでいきました。

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    2022年08月28日
  • ベルリンは晴れているか

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    日本の戦中、戦後の話は、この身におびただしく浴びている。
    そして、まずはアメリカのベトナム戦争、ソ連側の戦中、戦後の話も読んできた。
    しかし、ドイツの物語は、どれもユダヤ人の側から見た話しばかりだった。”アーリア人種”からの物語は初めてだった。どの人にも戦争はあったのだ。

    そして、本作。圧倒的なリアリティと謎解きを駆動力として、物語は進む。
    最後に作者が書いたのは、良心?
    オチが着いたとは思えないが、説得力はある。

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    2022年07月04日
  • ベルリンは晴れているか

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    1944年、ナチスが崩壊した直後のベルリンが舞台の小説。日本人が日本語で書いたからというだけではない力があるんじゃないだろうか。ぐんぐん引き込まれて最後まで面白く読んだ。
    たぶんジャンル的にはミステリーになるんだろうけど、ミステリーとしてよりは、書かれている描写に引き込まれた。ナチスが崩壊した後の貧しく荒んだ様子の臨場感がすごい。ベルリンに西側勢と東側勢がそれぞれ入ってきて、明日をも知れない感じ。考えもしなかった一時期がベルリンにあったんだなあ。

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    2022年07月03日
  • ベルリンは晴れているか

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    占領された国で生活する、という圧迫感笑とてもリアルに感じた。
    今までドイツの歴史は知っていても、その時の生活がどんなに恐ろしいものであったか、想像力が足りていなかったことを知った。

    そしてソ連軍の体質、今のウクライナでも同じことが起こっているのだろうかと思った。

    お父さんが話してくれた、薔薇見学禁止の立て札を引っこ抜く話、絶対に忘れない。

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    2022年05月17日
  • オーブランの少女

    少女にまつわる幻想的で耽美な作品集。こう書くと、同じような短編が並んでいるように思えますが、一つ一つのベクトルが違っていて飽きないし、どれも独自の世界観で深くおもしろいです。深緑野分さんは初めて読みましたが、いい作家に巡り会えたと感じました。

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    2021年04月11日
  • オーブランの少女

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    オーブランの少女(表題作)を含めた短編集です
    オーブランの少女は描写が美しくてそれでいて残酷で最後までストーリーに意外性があるのに全体として纏まっているというかなりハイレベルな作品でした
    これがデビュー作とは、、、才能があるのでしょうね。

    とくに"オーブランの少女"と"氷の皇国"は美しい描写と残酷さ、起承転結の巧さが光っていました。

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    2020年11月16日
  • 戦場のコックたち

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    ネタバレ

    2019/8/11 喜久屋書店北神戸店にて購入。
    2025/5/20〜5/31

     2016年度のミステリランキングを賑わした本作。ようやく読むことができた。ノルマンディー上陸作戦からドイツの降伏まで、コックとして兵役についたキッドことティモシーを主人公に、戦争の悲惨さ、兵士の複雑な感情などを描きながら、周辺で起こる不思議な事件を、キッドの親友エドが解き明かす。
     単なる謎解きに収まらず、重厚なテーマをぐいぐい読ませる。エピローグがあることによって作品の厚みがさらに増している。名作。

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    2025年05月31日
  • ベルリンは晴れているか

    購入済み

    映像の世紀

    読了したのは、もうずいぶん前の事ですが、数年後テレビ放送を見ていて、ある種の既視感を覚えました。
    それは「NHKスペシャル映像の世紀」という番組でした。
    ヒトラーやナチスドイツをフィーチャーした再放送でしたが、以前に観た記憶は無く不思議でした。
    しかし番組が進むにつれ、それが漸く本書「ベルリンは晴れているか」の幾多の文章が紡ぎ出した舞台だという事に気づきました。
    白黒フィルムが映し出す、ベルリンの悲惨な光景……
    それは、本書を読んでいた時に頭の中で描いた世界と寸分違わぬ物でした。
    おそらく深緑野分さんは、この映像をご覧になっていくつかの場面を執筆されたのでしょう。巻末の主要参考文献一覧に、この

    #感動する #アツい #深い

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    2023年10月18日
  • 戦場のコックたち

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    タイトルが気になり、手に取る。
    ミステリー要素を絡めた戦争ロードムービー形式の作品。
    ミステリー要素は薄いが、終始作品の軸にある。
    戦争が一人の市民にどれだけ深い傷をつけるのか、青年は経験からいかに学ぶのか、長編の中で語られていた。
    欧州戦線や軍隊についての説明が、やや冗長なのが気になる。
    一人の青年の成長譚として読んだ。

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    2025年12月06日
  • この本を盗む者は

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    物語の世界に入り楽しませてもらった。
    ところどころのユーモアも好きだった。

    「話を聞いてもらえること。自分の意思を尊重しようとしてくれる人が今目の前にいるかもしれないこと」
    を大切にしたいと思った言葉であった。

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    2025年12月04日
  • 注文の多い料理小説集

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    お料理にまつわる短編集。そしてアンソロジー。
    どれも味があって面白かった。
    エルゴと不倫鮨、夏も近づくが特に面白かったです。

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    2025年12月03日
  • 注文の多い料理小説集

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    食べ物や食事にまつわる短編のアンソロジー 読後感はすっきりとして続きを読みたいと思うものから、うーんなんだかモンヤリ⋯というものまで様々。 季節の移ろいを感じられる「夏も近づく」と、形を変えてもパンへの情熱を持ち続けた人生の途中を描いた「どっしりふわふわ」が好み。

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    2025年11月28日
  • 旅する小説

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    帯には「最旬の作家たちが旅をテーマに競作したアンソロジー」と書かれている。この最旬の作家たち6人のうち5人が有名なSF作家だった。この様なアンソロジーには必ず読んだことがある作品が紛れ込んでいるもの。しかし、しょうがない。忘れている作品もあるだろうから、復習も兼ねてサラっと読んで行こう。SF作家が「旅」と言えば、時間旅行、宇宙旅行が定番、全くつまらないと言うことはないだろう。まさか、普通の旅行小説なのか?と、ワクワクしながら読むのも一興だ。さあ、個別にコメントしよう。

    〇 国境の子/宮内悠介
    講談社の短編集「国家を作った男」で既読。何回読んでも心に染み入る作品。主人公が大人しいだけに、その範

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    2025年10月23日