深緑野分のレビュー一覧

  • 戦場のコックたち

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    17歳の少年ティムがノルマンディー上陸作戦から始まるヨーロッパ戦線を通じて、兵士として人間として成長していく物語です。連合国軍の兵士がナチスの収容所を見つけた時の反応や戦場の描写など、とても細かく書かれていると思います。最後の祖母との会話のシーンが私のお気に入りです。

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    2026年03月26日
  • ベルリンは晴れているか

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    ネタバレ

    ラスト、物語がはじまる前、かつすべてを終えている彼女の元に、救いとしてのケストナーが戻ってくるところが印象的だった。
    戦争とか、大きな暴力の前に、われわれはたいへんに無力だけれど、やっぱりさいごのちいさな希望みたいにして、本があってくれて、人間は人間でいなきゃだめだよと言ってくれる。

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    2026年03月23日
  • オーブランの少女

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    ネタバレ

    少女を主軸においた短編集。
    歴史モノで面白い。
    が、謎が解けた後は嫌ミスっぽい感じがある作品もあり。
    特に、オーブランの少女は、読後にどっと疲れた。

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    2026年03月07日
  • 注文の多い料理小説集

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    よいーーーーー暖かな気持ち
    苦かったり甘かったりピリ辛だったりほんのり優しかったりして奥深い味わいでした

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    2026年02月26日
  • すばらしき新式食 SFごはんアンソロジー

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    SF作品。ほっとんど読んだことなかったので、短編集から読んでみた。

    意外と、あっこう言うのもSFなのか。と言ったようなのもあったけれど、近未来的な話に、ちょっと手間取ることもあり。
    でも、書いているのがSF作家のなかでも、かなり有名で、食べ物、に絞ったものということもあり、楽しかった。不気味だけれど、どんどん読んでしまう作品も。
    一番印象に残ったのは、
    「最後の日には肉を食べたい」
    主人公が、「ルカ」への依存度が高いことに恐怖を覚えたと同時に、これこそ、静かなる侵略?なんて思った。最後、「ルカ」の仲間を意識していなかったタカアキが、『生まれた』と主人公にキスをする。これは一瞬の洗脳?支配?こわ。

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    2026年02月23日
  • 空想の海

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    いろんな味わいで彩り豊かなドロップスみたいな(それより少しダークでビターな)物語がぎゅっと詰まった作品集。
    SF、幻想ホラー、児童文学、戦争の話、ミステリ…『この本を盗む者は』スピンオフ短編も。「イースターエッグ」のお話が優しい気持ちになれて好きだったな。

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    2026年02月21日
  • 注文の多い料理小説集

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    フォロワーさんの本棚から美味しそうな匂いにつられ手に取った作品。
    タイトルからガッツリした料理と美味しいご飯のグルメ小説かと思いきや人間の毒や業のスパイスがピリッと効いた人間味溢れる話だった。

    特に面白かったのは柚木麻子の『エルゴと不倫鮨』、高級料理で女性をつまみ食いしようとした男達が、ある女性の注文によって食いっぱぐれてしまうのがなんとも滑稽でスッキリした後味が爽快!

    伊吹有喜の『夏も近づく』も良かった。
    拓実の優しさと美味しいご飯のセットが、葉月の心に刺さった棘の傷を癒してくれる。
    まさに「心の栄養」を与えてくれる一編。

    『味の分からない男』が不穏な話で後味が悪かったぶん、『どっしりふわふわ』が焼きたてのパンと美味しいコーヒーが出てきたような
    最高のお口直しだった。
    そして最後はまんまと「隠し味(仕掛け)」に騙されてしまった。

    どの話も結構なお手前でお後がよろしゅうようで御馳走様です。和洋折中楽しませていいただきました。

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    2026年02月13日
  • 百合小説コレクション wiz

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    『選挙に絶対行きたくない 家のソファーで食べて寝て映画観たい』『パンと蜜月』『エリアンタス・ロバートソン』『嘘つき姫』が好みで、南木義隆氏はさすがの力量だった。選挙〜はどちらの気持ちも分かる。選挙は行くけど、雑に生きる権利欲しいよね。 現代百合からファンタジー百合まで幅広く、どの話も短編ながらずっしりとした質量があり良質なアンソロジーで、読めて良かった。

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    2026年02月11日
  • この本を盗む者は

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    本屋大賞ノミネートのファンタジー小説。気になってはいたものの初読みの著者。なるほどアニメ映画原作になるわけだ。面白いギミックたっぷりのストーリーに、絵に描かれたらわくわくが止まらなそうな情景の描写が続く。それでいて、本の街・読長町と本の屋敷の設定は、小説読みの心をもくすぐるような設定だ。

    本の収集家だった曾祖父さんが集めた本を納めた館がある。この館を継いだ父を持つ高校生の娘が主人公。厳しかった祖母の影響もあり、娘は本が嫌いだ。ある日館に足を踏み入れたところ、館の本が盗まれたことがわかり、かつて祖母がかけたらしい本の呪い「ブック・カース」が発動していた。この呪いにより、なんと盗まれた本の世界に街ごとトリップしてしまう。盗まれた本と犯人を探さないと、本の登場人物になった街中の住民のキツネ化が止まらない。さあ、はやく本を読んで物語を追いかけて!そう急かすのは、館の書庫の奥から突如現れた謎の白髪の少女。本が盗まれるたびに、主人公と少女は物語の世界を縦横無尽に冒険する。

    オムニバスの短編集のようなつくりでもあり、読みやすくもある。ただその分、一つ一つの話が深入りできずあっさりで、全体を通した仕掛けや魔法の設定(ブック・カース)もややあっさりだった気がするのは欲張りがちな読書好きの気のせいか。たっぷりちりばめられた伏線の回収はこまやかで、箱にピタリとすべてのピースがはまったときの積み木の片付けのようなスッキリ感があった。

    主人公の叔母のひるねさんのように、こんな書庫とサンルームのある本の館で日がな一日読書を貪り、そして商店街の美味しそうすぎる惣菜を毎日食す人生を送りたいものだ。(本当に食べ物が美味しそうな街だった…!こんな街に住みたい…!)

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    2026年02月08日
  • 空想の海

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    海/髪を編む/空へ昇る/耳に残るは/贈り物/プール/御倉館に収蔵された12のマイクロノベル/イースター・エッグに惑う春/カドクラさん/本泥棒を呪う者は/緑の子どもたち

    深緑野分さんの頭と心から生まれたお話たち
    素材も味も風味もいろいろで、残り香も違う

    美味しいお茶で一服しようか

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    2026年02月07日
  • ベルリンは晴れているか

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    色んな意味で、重くて、長くて。
    少し疲弊。

    『また、桜の国で』とは少し年代が後になり、
    45年以降にも光が当てられている。
    戦時が舞台となるとやはり戦禍中の大人たちにフォーカスされることが多いけれど
    この作品では地下活動の様子や、家族のいない子どもたちの奮闘に視点が行く。

    旧友に偶然再会できるところや、主要なキャラクターが最後生き延びているところはいかにも小説だなぁと感じるけれど、
    米兵の制服を着てたとしても本当にアメリカ人なのか、味方なのか敵なのか、善なのか悪なのか
    外面だけでは判断できない複雑さに飲み込まれていく。

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    2026年02月04日
  • この本を盗む者は

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    ネタバレ

    映画を観たので原作も。
    謎解き要素を含んだファンタジー作品。
    主人公が作中作を読み歩く物語でありながら、この本自体が主人公の書いた小説という二重構造が面白い。

    真白の扱いが映画と大きく異なるのが最大の特徴。
    映画では常に隣にいた真白だが、小説では現実世界には現れないし、本の世界でもよくはぐれてしまう。
    真白という存在の不確定さが強調されており、それが物語のメリハリとなっているし、それを積み重ねた先にあるラストの重みが映画よりも増しておりこれはこれで良い扱いだと感じた。

    次々訪れる冒険のなかで過去を取り戻し、過去に向き合い、自分と向き合った深冬に訪れるハッピーエンドは結末を知っていても幸せな気持ちになれる。
    未知の世界を冒険する不安と楽しさ、御倉館にまつわる謎を探求する先の気になる展開、そして謎の少女真白との絆が詰まった物語。

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    2026年01月30日
  • 注文の多い料理小説集

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    料理が出てくる本が読みたくて借りた1冊。伊吹有喜さんの『夏も近づく』で泣いてしまった。拓実も葉月も穏やかに幸せであれ。最後の柴田よしきさんの『どっしりふわふわ』はすごーく色んなパンが食べたくなった。

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    2026年01月28日
  • ベルリンは晴れているか

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     戦争は悲惨であり国が独裁化すると日常が全て奪い取られ奴隷のような扱いを受けることになります。もみ消しや謀略が当たり前の世界は恐ろしいです。
     世界中の人が「過去から学び、それぞれの正義を議論して、協力して明るい未来を築ける」ようになると良いです。平和と公正がすべての人に届くことを願っています。

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    2026年01月21日
  • この本を盗む者は

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    巨大な書庫の「御倉館」を運営する父を持つ学生の深冬
    亡くなった祖母のたまきのかけたバックカーストの呪いで、本の物語の世界になってしまった街を元に戻すため、謎の女の子の真白と街に飛び出す。

    ハードボイルドな世界から機械仕掛けの巨大な魔物が闊歩するファンタジーの世界観まで、世界は目まぐるしく変わるけど、普段街で見かける人たちが役割を変えて登場するというのは、不思議な気分だろうなと。
    真っ直ぐに深冬を思う真冬の犬っぽい忠実な性格が、学校でも、友達付き合いが苦手な深冬を暖かく包み込む。
    何でも悩み事を話せる、そんな友だちはいないので、余計に深冬が羨ましく思えました。

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    2026年01月18日
  • 戦場のコックたち

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    タイトルが気になり、手に取る。
    ミステリー要素を絡めた戦争ロードムービー形式の作品。
    ミステリー要素は薄いが、終始作品の軸にある。
    戦争が一人の市民にどれだけ深い傷をつけるのか、青年は経験からいかに学ぶのか、長編の中で語られていた。
    欧州戦線や軍隊についての説明が、やや冗長なのが気になる。
    一人の青年の成長譚として読んだ。

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    2025年12月06日
  • この本を盗む者は

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    物語の世界に入り楽しませてもらった。
    ところどころのユーモアも好きだった。

    「話を聞いてもらえること。自分の意思を尊重しようとしてくれる人が今目の前にいるかもしれないこと」
    を大切にしたいと思った言葉であった。

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    2025年12月04日
  • 注文の多い料理小説集

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    お料理にまつわる短編集。そしてアンソロジー。
    どれも味があって面白かった。
    エルゴと不倫鮨、夏も近づくが特に面白かったです。

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    2025年12月03日
  • 注文の多い料理小説集

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    食べ物や食事にまつわる短編のアンソロジー 読後感はすっきりとして続きを読みたいと思うものから、うーんなんだかモンヤリ⋯というものまで様々。 季節の移ろいを感じられる「夏も近づく」と、形を変えてもパンへの情熱を持ち続けた人生の途中を描いた「どっしりふわふわ」が好み。

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    2025年11月28日
  • 旅する小説

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    帯には「最旬の作家たちが旅をテーマに競作したアンソロジー」と書かれている。この最旬の作家たち6人のうち5人が有名なSF作家だった。この様なアンソロジーには必ず読んだことがある作品が紛れ込んでいるもの。しかし、しょうがない。忘れている作品もあるだろうから、復習も兼ねてサラっと読んで行こう。SF作家が「旅」と言えば、時間旅行、宇宙旅行が定番、全くつまらないと言うことはないだろう。まさか、普通の旅行小説なのか?と、ワクワクしながら読むのも一興だ。さあ、個別にコメントしよう。

    〇 国境の子/宮内悠介
    講談社の短編集「国家を作った男」で既読。何回読んでも心に染み入る作品。主人公が大人しいだけに、その範囲内での気持ちの揺れ動きが小さい所が逆に心に引っ掛かる。

    〇 月の高さ/藤井太洋
    劇団の舞台美術スタッフと星座との関係でほんのわずかながらにSFのにおいがするが、話の流れは至って普通の話。

    〇 ちょっとした奇跡/小川哲
    既読。初めて読んだ時にはかなりインパクトを受けたが、2回目ともなるとインパクトは皆無。逆に言うと、もう完璧に完成された作品であるとも言える。

    〇 水星号は移動する/深緑野分
    設定は宇宙旅行も簡単にできる未来社会。その未来社会でも下層社会で生きる人もいる。キャンピングカー、いや移動式の旅館「水星号」に搭乗、いや宿泊する人達とのなんでもないやり取りが実に面白い。

    〇 グレーテルの帰還/森晶麿
    立派な推理小説。「旅」というイメージよりも、人生の旅のようなイメージ。最大の賛辞を述べるならば、ミニ松本清張っていう感じ?

    〇 シャカシャカ/石川宗生
    まずは「シャカシャカ」が何であるか考えることから始まる。最初のシンガポールが何故4番なのか判らないまま読み始める。その後、それらの意味が判る。山田太一の「終りに見た街」が激しく連続して起こると言えば良いのだろうか・・・結末は全然違うけど。この作品が一番SFっぽくてとても楽しめた。素晴らしい作品だ。

    裏表紙の解説で知ったが、この文庫本は「Voyage想像見聞録」の改題だった。そういうことか。

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    2025年10月23日