深緑野分のレビュー一覧
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SF作品。ほっとんど読んだことなかったので、短編集から読んでみた。
意外と、あっこう言うのもSFなのか。と言ったようなのもあったけれど、近未来的な話に、ちょっと手間取ることもあり。
でも、書いているのがSF作家のなかでも、かなり有名で、食べ物、に絞ったものということもあり、楽しかった。不気味だけれど、どんどん読んでしまう作品も。
一番印象に残ったのは、
「最後の日には肉を食べたい」
主人公が、「ルカ」への依存度が高いことに恐怖を覚えたと同時に、これこそ、静かなる侵略?なんて思った。最後、「ルカ」の仲間を意識していなかったタカアキが、『生まれた』と主人公にキスをする。これは一瞬の洗脳?支配?こわ。 -
Posted by ブクログ
フォロワーさんの本棚から美味しそうな匂いにつられ手に取った作品。
タイトルからガッツリした料理と美味しいご飯のグルメ小説かと思いきや人間の毒や業のスパイスがピリッと効いた人間味溢れる話だった。
特に面白かったのは柚木麻子の『エルゴと不倫鮨』、高級料理で女性をつまみ食いしようとした男達が、ある女性の注文によって食いっぱぐれてしまうのがなんとも滑稽でスッキリした後味が爽快!
伊吹有喜の『夏も近づく』も良かった。
拓実の優しさと美味しいご飯のセットが、葉月の心に刺さった棘の傷を癒してくれる。
まさに「心の栄養」を与えてくれる一編。
『味の分からない男』が不穏な話で後味が悪かったぶん、『どっしりふわふわ』が焼きたてのパンと美味しいコーヒーが出てきたような
最高のお口直しだった。
そして最後はまんまと「隠し味(仕掛け)」に騙されてしまった。
どの話も結構なお手前でお後がよろしゅうようで御馳走様です。和洋折中楽しませていいただきました。 -
Posted by ブクログ
本屋大賞ノミネートのファンタジー小説。気になってはいたものの初読みの著者。なるほどアニメ映画原作になるわけだ。面白いギミックたっぷりのストーリーに、絵に描かれたらわくわくが止まらなそうな情景の描写が続く。それでいて、本の街・読長町と本の屋敷の設定は、小説読みの心をもくすぐるような設定だ。
本の収集家だった曾祖父さんが集めた本を納めた館がある。この館を継いだ父を持つ高校生の娘が主人公。厳しかった祖母の影響もあり、娘は本が嫌いだ。ある日館に足を踏み入れたところ、館の本が盗まれたことがわかり、かつて祖母がかけたらしい本の呪い「ブック・カース」が発動していた。この呪いにより、なんと盗まれた本の世界に街ごとトリップしてしまう。盗まれた本と犯人を探さないと、本の登場人物になった街中の住民のキツネ化が止まらない。さあ、はやく本を読んで物語を追いかけて!そう急かすのは、館の書庫の奥から突如現れた謎の白髪の少女。本が盗まれるたびに、主人公と少女は物語の世界を縦横無尽に冒険する。
オムニバスの短編集のようなつくりでもあり、読みやすくもある。ただその分、一つ一つの話が深入りできずあっさりで、全体を通した仕掛けや魔法の設定(ブック・カース)もややあっさりだった気がするのは欲張りがちな読書好きの気のせいか。たっぷりちりばめられた伏線の回収はこまやかで、箱にピタリとすべてのピースがはまったときの積み木の片付けのようなスッキリ感があった。
主人公の叔母のひるねさんのように、こんな書庫とサンルームのある本の館で日がな一日読書を貪り、そして商店街の美味しそうすぎる惣菜を毎日食す人生を送りたいものだ。(本当に食べ物が美味しそうな街だった…!こんな街に住みたい…!) -
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ネタバレ映画を観たので原作も。
謎解き要素を含んだファンタジー作品。
主人公が作中作を読み歩く物語でありながら、この本自体が主人公の書いた小説という二重構造が面白い。
真白の扱いが映画と大きく異なるのが最大の特徴。
映画では常に隣にいた真白だが、小説では現実世界には現れないし、本の世界でもよくはぐれてしまう。
真白という存在の不確定さが強調されており、それが物語のメリハリとなっているし、それを積み重ねた先にあるラストの重みが映画よりも増しておりこれはこれで良い扱いだと感じた。
次々訪れる冒険のなかで過去を取り戻し、過去に向き合い、自分と向き合った深冬に訪れるハッピーエンドは結末を知っていても幸せな気持ちになれる。
未知の世界を冒険する不安と楽しさ、御倉館にまつわる謎を探求する先の気になる展開、そして謎の少女真白との絆が詰まった物語。
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巨大な書庫の「御倉館」を運営する父を持つ学生の深冬
亡くなった祖母のたまきのかけたバックカーストの呪いで、本の物語の世界になってしまった街を元に戻すため、謎の女の子の真白と街に飛び出す。
ハードボイルドな世界から機械仕掛けの巨大な魔物が闊歩するファンタジーの世界観まで、世界は目まぐるしく変わるけど、普段街で見かける人たちが役割を変えて登場するというのは、不思議な気分だろうなと。
真っ直ぐに深冬を思う真冬の犬っぽい忠実な性格が、学校でも、友達付き合いが苦手な深冬を暖かく包み込む。
何でも悩み事を話せる、そんな友だちはいないので、余計に深冬が羨ましく思えました。 -
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帯には「最旬の作家たちが旅をテーマに競作したアンソロジー」と書かれている。この最旬の作家たち6人のうち5人が有名なSF作家だった。この様なアンソロジーには必ず読んだことがある作品が紛れ込んでいるもの。しかし、しょうがない。忘れている作品もあるだろうから、復習も兼ねてサラっと読んで行こう。SF作家が「旅」と言えば、時間旅行、宇宙旅行が定番、全くつまらないと言うことはないだろう。まさか、普通の旅行小説なのか?と、ワクワクしながら読むのも一興だ。さあ、個別にコメントしよう。
〇 国境の子/宮内悠介
講談社の短編集「国家を作った男」で既読。何回読んでも心に染み入る作品。主人公が大人しいだけに、その範囲内での気持ちの揺れ動きが小さい所が逆に心に引っ掛かる。
〇 月の高さ/藤井太洋
劇団の舞台美術スタッフと星座との関係でほんのわずかながらにSFのにおいがするが、話の流れは至って普通の話。
〇 ちょっとした奇跡/小川哲
既読。初めて読んだ時にはかなりインパクトを受けたが、2回目ともなるとインパクトは皆無。逆に言うと、もう完璧に完成された作品であるとも言える。
〇 水星号は移動する/深緑野分
設定は宇宙旅行も簡単にできる未来社会。その未来社会でも下層社会で生きる人もいる。キャンピングカー、いや移動式の旅館「水星号」に搭乗、いや宿泊する人達とのなんでもないやり取りが実に面白い。
〇 グレーテルの帰還/森晶麿
立派な推理小説。「旅」というイメージよりも、人生の旅のようなイメージ。最大の賛辞を述べるならば、ミニ松本清張っていう感じ?
〇 シャカシャカ/石川宗生
まずは「シャカシャカ」が何であるか考えることから始まる。最初のシンガポールが何故4番なのか判らないまま読み始める。その後、それらの意味が判る。山田太一の「終りに見た街」が激しく連続して起こると言えば良いのだろうか・・・結末は全然違うけど。この作品が一番SFっぽくてとても楽しめた。素晴らしい作品だ。
裏表紙の解説で知ったが、この文庫本は「Voyage想像見聞録」の改題だった。そういうことか。