深緑野分のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
料理にまつわるアンソロジー
どのお話もひとくせ、ふたくせあって
興味深いおはなし
中でも、伊吹有喜さんの
「夏も近づく」がおいしそうでたまらなかった
塩おにぎりや、水出しかぶせ茶、ブロッコリーのオリーブオイル漬け、春キャベツのピクルス、たけのこご飯、手作りベーコン
どれも自家製で少し地味かもしれないけど
間違いなく美味しいってわかる
食をきちんと考えられる人に悪い人はいないですね
この頃はどんなに単純な料理でもいいから
自分で家で作って食べたいと思うようになった
なんでだろうな
けして美味しいものを作れるわけでもないのに
この本を読んでさらに思う
食に対して考え直すいいキッカケになりそう
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Posted by ブクログ
料理にまつわる短編のアンソロジー。
小洒落た創作寿司屋、土鍋ご飯、金平糖、蕗の薹(ふきのとう)、パン…。
どれも美味しそうで、お腹がすいてくる本だ
★5が2本
★4が2本
★3が3本
やはり大好き作家さんのは面白かった!
男たちの下心が渦巻く隠れ家的な高級寿司屋。
男たちが落としたい女性にお寿司のウンチクをスマートに披露している場面に、唐突にのしのしと現れたのは…。
乳児を抱っこ紐で抱え、母乳で汚れたカットソーにスウェットを履いた体格良い中年女性。
ドスンとマザーズバッグを置き、ツウなお料理を野太い声で次々と注文し始める。
お母ちゃんに支配されていく店内の様子が痛快!
このストーリーは柚木麻 -
Posted by ブクログ
本嫌いの少女が、本泥棒を捕まえるビブリアファンタジー
以下、公式のあらすじ
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「ああ、読まなければよかった! これだから本は嫌いなのに!」
書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、父の代わりに館を訪れていた深冬は残されたメッセージを目にする。
“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”
本の呪いが発動し、街は侵食されるように物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り世界が元に戻らないと知った深冬は、探偵が銃を手に陰謀に挑む話や、銀色の巨 -
Posted by ブクログ
戦時中のドイツでの生活がすごく詳細に調べられていて、それを読み進めるのがすごく勉強になると思った。
本当に戦争したら、いかんなと思う。
日本が戦争をする準備を進めているのが、チラチラ頭をよぎりながら読み進めた。
戦勝国の言い分としては
罪なき民間人とかはなくて、国の代表(ここではヒトラー)を選んだ国民全員に罪があるみたいな事を言われているところがあって、ゾッとした。
国会議員ほんまにちゃんとした人選ばないとーって。
本当に戦争になったら
国のプロパガンダ以外の情報が手に入らなくなったり、外国語を学べなくなったり、
配給になったり、つげ口が横行したり、国と違う考えを口に出たりすると、連 -
Posted by ブクログ
「同志少女よ、敵を撃て」を読み、同じ時代のドイツ側の物語を読みたいと思い手に取った。
ベルリンが舞台。ドイツが降伏して間もない頃と、ドイツがナチスに傾倒してやがて破滅に向かう1928年から1945年までを交互に描く。
とにかく重い。普通の人たちがじわじわとナチスの考えに染まり、熱狂し、やがては優生思想や民族排除を何とも思わなくなる様がリアルで怖い。
更に敗戦国の悲惨な現実も描かれている。
ナチスを誰も止められなかったのかと非難するのは簡単だが、いざその状況になったら、不可抗力な気もする。日々高まる生活への不満の中、あの男がじわじわと力をつけてきた。気がつかないうちに思想を植え付けられ、 -
Posted by ブクログ
美味しい食事でも紹介してくれるような本なのかと思ったら...
浅はかな思いで読み始めた自分を一喝したい。
戦禍の中で起こるちょっとした謎をコック仲間と一緒に解きながら話が進んでいく。
戦争は、なんでも奪っていってしまう。
家族も家も居場所も思い出すらも。
戦い、引き金を引くということは
誰かの家族を奪うこと。
それに気づいた時の気持ちなんて、私には一生わからない。
読んでいて凄く胸が苦しくなる話だった。
それでも、希望を見出せる結末もいくつかあってよかった。
胸にグッと来た文章
「家族が笑っていられるのは、レンズの先にはお前がいると知っているからだ。お前がこの世からいなくなったら、