【感想・ネタバレ】すばらしき新式食 SFごはんアンソロジーのレビュー

あらすじ

過去も未来も、宇宙の果てでも、人類にとって「食」は不可欠なもの。豪華作家陣による、新世紀のグルメ食べつくしアンソロジー!
とある博士が「煮ると栄養満点のスープ(ただし美味しくない)が無限に作れる石」を発明した。上層部は食糧節約のため、このスープを全住民に配給することを命じるが・・・(深緑野分「石のスープ」)
月面都市群で育ったミカエラは、両親の離婚協議中、地球に住む祖父・ルイスに預けられる。プラント製造の食品ではなく、土で育った野菜を食べるのは信じられない体験で・・・(竹岡葉月「E.ルイスがいた頃」)
ステーキ店で働く美宇の脳内には肉を愛する寄生種族のルカが棲みつき、他の人間に寄生した仲間を捜している。そんなある日、客の孝明から声をかけられる美宇だが・・・(青木祐子「最後の日には肉を食べたい」)
食糧不足を補う代用食や日々生まれる新型ウイルス感染者の隔離措置が当然になった時代、ある男が感染者として隔離されるが、それは思いがけない事態の幕開けで・・・(辻村七子「妖精人はピクニックの夢を見る」)
古のマーキス島へ召喚され、現代の知識や法医学の知見により王室の人々から重宝されている遊馬は、「見た目はまずそうでも美味しい囚人飯」の開発を頼まれ・・・ (椹野道流「おいしい囚人飯 『時をかける眼鏡』番外編」)
ヴィチノの国民が食べるのは、「しあわせのパン」のみ。そのおかげで誰もが心身健やかだ。ヒューはパン工場で働くことを誇りに思っていたが、ある日クーデターが起こり・・・(須賀しのぶ「しあわせのパン」)
給仕ロボット「ウエイツ」が人類に離反し四百年。彼らを狙撃する任務を帯び遺跡を訪れたマレットは、失われた「料理」を振る舞うウエイツに出会い・・・(人間六度「敗北の味」)
人類が惑星間移民船に乗り地球を離れた遠い未来。各国主導の事業による移民とそれ以外の泡沫移民に一切交流はない。だが、泡沫移民は飢餓に直面しており、彼らの一人に命を救われたゆたかは・・・(新井素子「切り株のあちらに」)
WEB掲載の六編ほか、新井素子、人間六度の書き下ろしも二編収録!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

SF良いよね。
食をテーマにしたアンソロジー。
素子さん目当てで買いました。
新井素子「切り株のあちらに」
怖いよー。
ゾワゾワしてひえーってなる。
どこに繋がるのこれ?って思ってたら、人類の種としての晩年って、怖すぎるだろ。
さすがだよー大好きだよー。
農業のとらえ方とかね、新鮮で、素晴らしい。

その他のも秀逸で、面白かったです(^^)

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2025年06月05日

Posted by ブクログ

SF×食卓の短編集。

個人的にいちばん好きだったのは
やっぱり竹岡さんの「E・ルイスがいた頃」
だったけれど、
テーマ的にもいちばん合っていておもしろいと思ったのは
須賀しのぶさんの「しあわせのパン」

そして新井素子さんはさすがのトリ。
タイムリーなテーマでしっかり読ませてくれる。

ぎゅっ

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2025年06月13日

Posted by ブクログ

8人の作家による SFごはんアンソロジー
いろいろな時と場所のごはん
ごはん 生きるために必要なもの
生きていく楽しみになるもの
サプリだけで栄養を摂るのは 嫌だな
やっぱり 美味しいと感じながら食べたいな

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2025年06月11日

Posted by ブクログ

SFと食事に関するテーマアンソロジー。どことなく漂うデストピア感と失われていく料理という文化。アンソロジーなので色々な切り口があって面白い。無駄も多いけど、多彩な料理文化が維持されていくといいなぁとか思います。
1つだけ気になった。テーマアンソロジーに既存作品の番外編を持ち込むのはちょっとどうなんでしょうね。

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2025年05月19日

Posted by ブクログ

SF世界に出てくる「食事」にスポットを当てたアンソロジー。SFの中に出てくるご飯はどれも味気ないイメージだったけど、本当にその通りで(笑)、そこから繰り広げられるドラマだったり広がりや人との繋がりなども感じられて面白かった。 個人的には「E・ルイスがいた頃」(竹岡葉月)が好き。暖かい気持ちになれる。 「美味しい囚人飯」(椹野道流)は本編も読みたくなった。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

深緑野分作品の中には雑誌で発表しているが本になっていない作品がいくつかある。今回は「石のスープ」が収録されていると言う事で即買いした。帯には「人類と食にまつわる8編のSF小説アンソロジー」と書かれてあった。しかも、この本には人間六度と新井素子の書き下ろしも収録されているのでお得感満載。他の5人は初めて見る作家。書き下ろし作品以外は全て「集英社WebマガジンCobalt」で公開されたものとのこと。このマガジン名は初めて知った。また帯には「豪華執筆陣が贈る空想科学ごはん小説」と書かれてあった。私の知っている3名以外の人も豪華執筆陣なのか。知らなかった、後で読んでみよう。

〇 石のスープ/深緑野分
SFなので、石の機能発現の理由なんて特に説明する必要はないが、元々の素材の味よりも悪くなる理由は知りたかったかな。普通は食材の組み合わせで味が良くなったり悪くなったりもするし、スープの濃さも味の旨さに影響する。単にこのような事は言わなくとも、十分にあり得ることなのかもしれない。しかし、栄養素はあるのだから、あとは調味料でなんとでも味をごまかせると思うのだが。この時代はアミノ酸の合成技術がなかったのだろうか。それよりも、この石に振り回される人たちの心の動きに着目した方が遥かに面白い。全く人間って奴は愚かなのかな。愚かだから本作品は面白いのか。

〇 敗北の味/人間六度
食生活は子供の頃と現在ではまるで異なる。今や野菜ばかり食べていても生きていける。油だけ飲んでも生きていける。体はうまくできているもので、炭水化物を全くとらなくても生きていけるので健全に痩せることができる。食に関する知識が桁違いに増えているからだ。どの様な形でも、食物からエネルギーを得ることで生きていけるが、エネルギーへの変換効率は実に悪い。従って、直接電池でエネルギーを取り込むことができれば生きていくために効率はこの上ない。
味だって、食品は化学物質の集合体なので、成分分析が完璧であればどんな食材の風味を完全コピーできる。食品会社の研究所ではそれが現実化している。そもそも味とか匂いとかなくても生きていける。点滴だけでも生きていける。実際、コロナに罹患した時も味覚が全くない状態で食事をしたし、酢の一気飲みもできたし、CoCoイチの10倍カレーも問題なく食べることができた。
これら食事の究極の形が電池なのだが、人間の体の細胞には記憶が眠っていたようだ。生物はいくら進化したとしても、脳には昔の記憶が片隅に残っていたのだろう。最近、鯨の刺身を食べたが、昔たくさん食べていた頃の記憶が一輝に蘇った。涙は出なかったが、脳全体にビビビと電気が走って、瞳孔が一気に開いた気がした。

〇 切り株のあちらに/新井素子
新井素子のデビュー作、勿論オンタイムで読みましたよ。でも、それ以降は全く読んでいない。何故かというと、新井素子の文体を全く受け付けないから。これは生理的レベルの嫌悪感と言える。それにも拘わらず今回読んだのは、歴史を経てさすがに文体が変化しているだろうと考えたから。しかし、昔と全く変わっていなかった。勿論この文体が良いと思う読者はいる訳だが、私は花粉症レベルのアレルギーがある。もうくしゃみをしたくないので、今後も読まないだろう。新井素子さん、ごめんなさい。

他の作品を一つ読んでみたが、どの作品とは言わないがちょっとレベルが違い過ぎるので残りの作品を読むことを諦めた。途中で諦めるのは、宮内悠介の「スペース金融道」以来だ。

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2025年05月27日

Posted by ブクログ

オルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」のオマージュかと思ったけどそうでもなく。ほんのりディストピアな舞台は多かったけど。
SF飯って完全栄養食の普及で世界から失われたグルメにであった主人公感動!みたいな流れが鉄板だと思っていたんだけど(実際そんな物語が半数くらいだけど)そうでもない感じの話もあってよかったです。

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2025年05月18日

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