深緑野分のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ第二次世界大戦の戦場における、
ノルマンディー降下作戦で使われたパラシュートの白い絹の生地をひっそり集めていた兵士がいたのはなぜか?
忽然と消えた600箱の粉末卵はどこへ?
オランダの民家で起きた夫婦の奇妙な自殺はなぜ起こったのか?
塹壕戦の最中に聞こえる気味の悪い怪音の正体とは?
といった日常の謎。
個々の事件は独立しているが戦況は進行しているというダイナミックな構成。
キャラクターたちが好きになる。
皆川博子を連想したが、たぶんホームズとワトソンあたりが源流なのだろう。
語り手のティム(キッド)がいい子で、彼がやさぐれていくのが辛いくらい。
いい小説。
■プロローグ
■第一章 ノルマ -
Posted by ブクログ
ネタバレ第二次世界大戦敗戦直後1945年7月のドイツ。
ヒトラーは自死を遂げ、英米仏露の連合軍に分割統治されるベリリン。
幼い頃から英語版『エーミールと探偵たち』を読み耽っていた主人公アウグステは、その英語力のおかげでアメリカ領のダイナーで職を得ることができ、なんとか食いつなぐ生活基盤を持つことができた。
くたくたに疲れて帰ったある夜中、ロシア軍管轄の警察に有無を言わさず連行され、NKVDの将校ドブリギンに告げられたのは、かつて世話になったクリストフの毒殺死。
クリストフは戦時中はその富を隠蓑に反ナチ地下活動を支持し、戦後は同志文化部のチェロ奏者としてロシア軍の庇護下にあった。
妻のフレデリカが疑 -
Posted by ブクログ
あたかもその時代に生きていたような1945年前後のドイツの描写に驚かされる。その描写ゆえに戦争の悲惨さがひしひしと伝わる。
ドイツがポーランドに不意打ちで侵略した際の話で、作中に下記のような記述がある。
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ゴミ捨て場の前にいた婦人たちは「だって、ポーランドが悪いんでしょう。総統は『平和のための攻撃』とおっしゃったし、国を守るためにやむなくよ」と話していた。
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現在のプーチンの発言とプロパガンダに汚染されたロシア人と全く同じ。
まさにプーチンは現代のヒトラーだ。 -
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美味しい食べ物が出てくる小説が大好きなので気になって読んでみました。
こういうアンソロジーは、今まで読んでこなかった新しい作家さんを開拓するきっかけにもなっていいですよね(^^)
7つのお話のうち、最初の2つ、柚木麻子さんの「エルゴと不倫鮨」と伊吹有喜さんの「夏も近づく」が自分的に特に好きでした。
「エルゴと不倫鮨」はおしゃれな高級寿司店が舞台で、自分では食べたことのないものややったことのない食べ合わせがたくさんでてきましたが、どれもめちゃくちゃ美味しそう♪
気取った男たちを圧倒するグルメなお母さんのキャラクターが最高で、スカッとできるお話でした。
「夏も近づく」は、田舎の美味しいものが -
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ネタバレあなたに伝えないといけないことがある。
連合国に占領されたベルリンで、アウグステはある人を探していた。お供は元俳優。アメリカ、ソビエト、ナチス、ユダヤ。戦争で家族を失い、自分を守るために人を殺した。「戦争」を終わらせるために、アウグステは行く。
アウグステが殺したというのはある程度わかるとして、その理由や方法が問題である。最後にジギの手紙があるのが救いのひとつ。アーリア人でありながら、ユダヤ人のように見える風貌を活かしてナチスのプロパガンダ映画に出ていたジギ。彼は自分かわいさのためにいつも逃げていた。最後の手紙でも迷っている。読者が一番共感できる人物ではないか。
皆脛に傷を持つ。戦争だか -
Posted by ブクログ
ネタバレ美味しいものや料理が好きなのでよかった。
和洋折衷、スイーツも登場するが、自分が1番心惹かれたのは和食!
心を込めた美味しい料理が作りたくなる♪
「夏も近づく」と「どっしりふわふわ」がすごーく良かった!
・エルゴと不倫鮨 ★★★★
なんか、爽快!
子連れのボロボロのお母さんが登場した時には、なんか嫌な感じやなーと思ったけど、食に対する知識が豊富でだんだん魅力的に!!
女性客たちが、仲良くなって不倫相手を放って歩いて帰る所が良き!!
ついこの間、高いお鮨屋さん行ったばっかやし、美味しいもん食べるのいーよなーって思いながら読んでた。
・夏も近づく ★★★★★
むっちゃ良かった〜〜 -
Posted by ブクログ
『オーブランの少女』
オーブランの美しい庭園で、ここの女管理人の老婆が殺される。その死体の近くにいた犯人とおぼしき人物は、人というにはあまりにも朽ち果てた姿で立っていた。たまたま娘と二人でこの庭園を散歩している途中、その惨劇に遭遇した「わたし」は、とある事情で入手した昔の日記を読み、ここで当時起きた恐ろしい出来事と、それが引き起こしたこの殺人の真相を知る。
『仮面』
霧深く、凍えるような寒さのロンドンの深夜。
貧乏で冴えない風采の町医者が、患者である女性を殺害するシーンから始まる。その動機は、あどけなく可憐な幼い踊り子の少女を救うため。彼に人殺しを持ちかけた人物の本当の目的は。。。
『大雨 -
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料理をテーマにしたアンソロジー。
女性作家ばっかりかなと思ったけど、中村航さんは男性かな?色んなテイストの作品が詰まっていて、美味しくて嬉しいアンソロジーでした。
以下お気に入り作品。
柚木麻子「エルゴと不倫鮨」
不倫を嗜む男たちの隠れ家的鮨屋に、明らかに場違いなくたびれたおばさんが襲来する。そのおばさんはなぜかとても料理に詳しく、次々と美味しそうなオリジナル創作鮨をオーダーしはじめ…まさにタイトル通り注文の多い料理小説。ラストのオチも痛快でよい。
伊吹有喜「夏も近づく」
悠々自適な田舎暮らしをしている主人公が、兄から半ば押し付けられる形で甥っ子を預かることに。田舎の豊かな自然と触れ合うこ -
Posted by ブクログ
重厚なストーリーと、細部までこだわった緻密な描写で定評のある深緑野分さんのデビュー作品集。深緑さんというと長編のイメージがあるけれど、本書はタイトル作品をはじめとする5編の短編小説で構成される。共通項は「少女」である。
大人でもなく、子どもでもない、どこか不安定な存在である少女。そして、大人の狡知と、子どもの残酷さを兼ね備えた存在である少女。本書は、時代も国も、はたまた住む世界さえ違う少女たちを描き、そのどれも高い物語性を帯びている。さすが深緑さん、デビュー作からしてこれか!
深緑さんの作品は、不思議とどこか海外文学のような雰囲気が漂う。考証を重ねて構築された世界観がそう感じさせるのか、ど