深緑野分のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
帯には「最旬の作家たちが旅をテーマに競作したアンソロジー」と書かれている。この最旬の作家たち6人のうち5人が有名なSF作家だった。この様なアンソロジーには必ず読んだことがある作品が紛れ込んでいるもの。しかし、しょうがない。忘れている作品もあるだろうから、復習も兼ねてサラっと読んで行こう。SF作家が「旅」と言えば、時間旅行、宇宙旅行が定番、全くつまらないと言うことはないだろう。まさか、普通の旅行小説なのか?と、ワクワクしながら読むのも一興だ。さあ、個別にコメントしよう。
〇 国境の子/宮内悠介
講談社の短編集「国家を作った男」で既読。何回読んでも心に染み入る作品。主人公が大人しいだけに、その範囲内での気持ちの揺れ動きが小さい所が逆に心に引っ掛かる。
〇 月の高さ/藤井太洋
劇団の舞台美術スタッフと星座との関係でほんのわずかながらにSFのにおいがするが、話の流れは至って普通の話。
〇 ちょっとした奇跡/小川哲
既読。初めて読んだ時にはかなりインパクトを受けたが、2回目ともなるとインパクトは皆無。逆に言うと、もう完璧に完成された作品であるとも言える。
〇 水星号は移動する/深緑野分
設定は宇宙旅行も簡単にできる未来社会。その未来社会でも下層社会で生きる人もいる。キャンピングカー、いや移動式の旅館「水星号」に搭乗、いや宿泊する人達とのなんでもないやり取りが実に面白い。
〇 グレーテルの帰還/森晶麿
立派な推理小説。「旅」というイメージよりも、人生の旅のようなイメージ。最大の賛辞を述べるならば、ミニ松本清張っていう感じ?
〇 シャカシャカ/石川宗生
まずは「シャカシャカ」が何であるか考えることから始まる。最初のシンガポールが何故4番なのか判らないまま読み始める。その後、それらの意味が判る。山田太一の「終りに見た街」が激しく連続して起こると言えば良いのだろうか・・・結末は全然違うけど。この作品が一番SFっぽくてとても楽しめた。素晴らしい作品だ。
裏表紙の解説で知ったが、この文庫本は「Voyage想像見聞録」の改題だった。そういうことか。 -
Posted by ブクログ
豪華作家陣が想像力と食欲を刺激する、新世紀のごはん小説。
日常SFから遠未来SFまで8編を収録。
「人類と食」にまつわるSF小説アンソロジーです。
「食」は人間が生きるうえで欠かせない大切なもの。生きるのに不可欠……というだけでなく、いつしかそれは娯楽となり、美食を求め奇食を追い、飽食に飽き、ある種の歪さを孕んでいるようにも感じる昨今。食のポジティブな面だけではない部分に目を向けた一冊。
具体的に言えばディストピア飯やオルタナティブフードなどをテーマに扱ったものが多いです
美味しいものが大好きな私としては、こんな未来が来ないことを祈るばかり。
個人的に好きだった話は、『E・ルイスがいた頃』と『しあわせのパン』どちらも寂寥と罪悪感、そしてしあわせの詰まった素敵な話です。 -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦後のドイツと大戦前のドイツを交互に、アウグステというドイツ人少女を中心に話が進む。
戦中のドイツというとナチスのユダヤ人大量虐殺、ぐらいしか知らなかったけど、ユダヤ人だけでなく、ドイツ人にも当然辛い戦争体験があったわけで。
家族と暮らしていた普通の日常と、両親を亡くしてから少女が死と隣り合わせの中で1人で生きていくとてつもない日々と。。。
もう絶対に二度と戦争をしてはいけない
どこの国も何人でも同じ、
今本を読んだり、コーヒーを飲んだりしている暮らしがどれだけ幸せなことか、実感し続けるのは難しいけど、
平和で平凡な毎日を過ごせることをありがたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
ドイツ人の視点から見た、第二次世界大戦の戦中・戦後の話に初めて触れました。
やっぱりどこの国も国民は教育と報道から洗脳されていくのですね…
ドイツも日本とそんなに変わらない流れで戦争に突き進んでいたんだなと思いました。
戦後、ベルリンが4つの国に分断されていたのは初めて知りました。日本がそうならなかったのは、島国だったからですかね…
そして、治安の悪さとドイツ人が蔑まれる様子が、日本より酷かったのでは?と思わせられる描写が多かったです。
ユダヤ人に起きたことの描写は辛いものでしたが、今ガザで起きている事については、彼らはどう思っているのか、あの頃されていたことと今していることの違いはあるのだろうかと疑問に思いました(◞‸◟ㆀ) -
Posted by ブクログ
【オーブランの少女】
大人たちの都合で少女たちは集められ
大人たちの都合で先行きを決められる
抗った二人の少女は……
人間 このおぞましい生き物
他者の命を奪った者には厳罰を与えるのに
戦で敵の命を奪う者は褒められる
何という矛盾
【仮面】
人は皆仮面を付けているのかもしれない
【大雨とトマト】
外は嵐、日曜日のレストランでの出来事
店主である父親の千々に乱れる想いがちょっと痛々しい
少女はどうするのだろう
【片想い】
高等女学校の寄宿舎、同室の二人の少女の想いと想いが若くて青くて良いなあ
【氷の皇国】
小さな漁村、網にかかったのは人の亡骸
二人の少女におきた出来事が
とても とても 悲しい……