あらすじ
目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)。僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」)。現代日本、近未来、異世界――様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな全7編の短編集。
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Posted by ブクログ
初めて読む作者さんの作品でどんなのかドキドキしたけど、短編集でほとんど救いがなくて恐ろしかったー!面白かった。場面表現で言ったら「饑奇譚」が好き。ネオンの看板があって、雨で薄暗くて九龍城みたいなアパート、上と下という謎のシステム、放出日という設定の中で主人公がもがく話。あの時助けた兄がおじいさんになって、助けるシーン、すごく良くて金魚頭の人とかも出てきて不思議な世界観を助長してて良かった。。(良かったしか言えへん)また結局救いがないのがね…お母さん、、悲しい「潮風吹いてゴンドラゆれる」は本当に怖い!こんな夢とか見たら怖くて寝られなくなりそう。まあでもマッディーはこれ以上に怖い思いをしたんだから、報復するのはしょうがないよね…もしかしたら主人公の子が好きだったのに裏切られてあんなことをされてより苦しかったのかもなと思った、、ループグロエンド怖すぎるな。初っ端に「伊藤が消えた」の話があるのはずるい、こんなの読んだらどんどん読みたくなって買っちゃう。まんまと買ってしまった。たしかに男が出てくるドロドロ胸糞ミステリーって少ないかも?新しいけど、なんかリアルで救いなし、お金盗んでたら同罪だし、伊藤はどんだけ不憫な目にあうの…
「見張り塔」胸糞、鬱、グロ、怖、裏切り、戦争、嘘、いろんな酷いもん詰まってる!短編なのに見てて苦しかった…早く終われとも思うけど、1番はどうなるの?って気になっちゃった。みんな狂ってるよ…。
「朔日晦日」は「カミサマはそういない」の話ってことなのかな、いや今月カミサマいないよって言ってたの兄ちゃんなのに、カミサマと一緒に行ってくるよって言ってるの何!今月いないんでしょ??いないんだから、見えてるのそれカミサマじゃないよ!て教えてあげたかった!!
「新しい音楽、海賊ラジオ」めっちゃくちゃかわいい、良い話かーい。いつ鬱展開くるかとドキドキしたわ、海賊ラジオはみんなで作りあげてくもんなんだね!登場人物みんなかわいい。山へ行った子達は無事かな…?
Posted by ブクログ
おまえは、善人か?
ハッピーエンドではない物語を集めた
七編からなる短編集。
ミステリー、SF、ホラー、オカルト?
一編一編、時代も世界も違う、
まさに深緑野分ワールド。
毎日、寝る前に一編ずつ読んだら、
読後、唸って、
眠れば、魘される。
確実に寝不足になるだろう。
どうしようもない現実。
何で、こうなってしまったんだ!!
カミサマはいない。
と、言い切らないところに、
まだ救いはあるのかも。
Posted by ブクログ
色んなパターンの終末世界のお話。
カミサマ=神≠上(解説より)
好き嫌い別れそうな作品だけど、個人的には好き。
崩壊したようなヒドイ世界の中でもなんとか生きてる人たちの物語であり、もがいてる感じがなんか良い。
世界そのものを救うとか変えるとかいう気概が一切ない感じが面白い。
とは言え、最後の「新しい音楽、海賊ラジオ」が少し希望見いだせそうな終わり方だったので、暗い気持ちで読み終わることなく済んだのは良かった。
Posted by ブクログ
何の音もしない。靴音も、笑い声も、唱和も、歌も。
ただ、ただ、静かな見張り塔の中で、僕の咀嚼音だけが響いた。
(伊藤が消えた/潮風吹いて、ゴンドラ揺れる/朔日晦日/見張り塔/ストーカーvs盗撮魔/饑奇譚/新しい音楽、海賊ラジオ)
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伊藤が消えた/潮風吹いて、ゴンドラ揺れる/朔日晦日/
見張り塔/ストーカーVS盗撮魔/饑奇譚/
新しい音楽、海賊ラジオ
各話に表紙のページがある
何だかモヤモヤと闇の世界にいる感じのまま読み進む
最終話だけ違う表紙
ゆめも希望もない世界で微かな灯りが見える気がした
Posted by ブクログ
短編集だが、それぞれ違う世界観で描かれていて飽きることなく読めた。
ファンタジーというか異世界というか、現実離れしているのに妙に現実感がある感じですごく不思議な世界観。
背筋がぞくっとするような話しが多く、ホラーっぽい不気味な感じもする。
短編なのに、短いストーリーの中ですぐその世界観に引き込まれてしまう。
どれもそれぞれ違って面白かった。
Posted by ブクログ
短編。
誰かの後ろめたさに徐々に気づいていく怖さが癖になる。
時系列がバラバラの世界、全員が誰かを監視している街など、少し突拍子がない不思議な話もあるのは好みが分かれる。
Posted by ブクログ
バラエティに富んだ短編集。終末モノが好きな方におすすめ。
解説を読むまで「オーブランの少女」の人だって気がつかなかったけど、静謐で耽美な雰囲気が確かに共通している。
ストーリーに意外性はないが、セカイ系として素晴らしく美しい。
「見張り塔」がとてもすきです。
Posted by ブクログ
男主人公しか出て来ないイヤミス短編集
とっても読みやすい7篇、著者初読
正直読みやす過ぎる上、敢えてなのか不明だが何を書きたいのか理解出来ずこの本のタイトルで無理矢理自己完結しながら読む
1、伊藤が消えた
2、潮風吹いて、ゴンドラ揺れる
3、朔日晦日
の前半3篇でげんなり。イヤミス書こうとしか考えてないのかと思うほどツッコミどころ満載
が
4、見張り塔
でおろろろろろ
手塚治虫×星新一のような世界観と捻りの効いたオチに姿勢を正す(SFだからとか思いたくない)
5、ストーカーvs盗撮魔
はまさに世にも奇妙な物語な内容は普通だったが
6、饑奇譚
は大好物の救いのなさにええやん!シューッ!は?
となり最後の
7、新しい音楽、海賊ラジオ
はノーコメント
はて、僕はこの作家が好きなのか嫌いなのかさっぱり。そのうち他も読んで確かめてみることにします
深緑野分(音はクレヨンしんちゃんのタイトルコールのリズムでいいらしい)
メガネバージョンの著者の容姿は大変好みである照
Posted by ブクログ
めちゃくちゃハマっていたわけではないけれどなぜか短期間でサクッと読み終えてしまった本。なので心では面白いと感じられていそう。
不思議な世界線の話も多く最後まで「この世界はどんな世界だったんだろう?」となるので完全には乗り切れず、、、展開もドラマチックなものが多くリアルを感じたい私にはややミスマッチ。
読みやすい文章とスピード感のある展開が飽きずに読破できた理由かな。
1番好きだったのは「見張り塔」。フィクションとはいえ、やはり戦争は人の人生を狂わす、気をおかしくさせるよな、と。戦争下ならでは?の儚くも強い友情が心にきた。
Posted by ブクログ
世界観や意味を掴むのに少し苦労しましたが、とても面白い短編集でした!
特に見張り塔は胸にずしんと来る感じで、読み終わった後、少し気持ちが引きづりました…
初めて読む作家さんで、この本に出会えて良かったです。
Posted by ブクログ
すいません、半年寝かせました。半年も漬け込んであれば、かなり美味しくなっているんじゃない?すいません。
本書は4年前に出た単行本を昨年6月に文庫化したもの。全体の雰囲気は重い。確かに重いのだが、どの作品も渋くて面白い。面白さに濃淡はあるけど、いずれも後を引くテイスト。地面に引きずり込まれそうな作品もある。少しずつタイプが違うので各作品にコメントしたい。目次の文字のフォントが大きい、各作品の冒頭の題名も大きいフォントを使っている。これってどんな効果を狙っているのだろう、ミステリー。
〇 伊藤が消えた
単なる殺人事件だと思うのだが、解説をみたらいろいろな背景があるようだ。すいません、深緑野分の初心者なもので。
〇 潮風吹いて、ゴンドラ揺れる
これはSFだな。しかもループもので逃げられない閉鎖的恐怖空間。みんな何回も何回も殺されて大変だ。殺され方が少しずつ変化すると何か脱出に向けた糸口が見つかるかもしれないが、全くその兆しが見えないので絶望。
〇 朔日晦日
この作品は8ページしかない。そこからして異常。カミサマという言葉が頻繁に出てくる。ナメクジは爺様の生まれ変わり。兄の白目に黒いゴマが増えていき、黒目に白いゴマが増えていく。その結果、白目と黒目が反転する。もーー、その結果をイメージできない。本来の目はカミサマから貰えると兄は信じている。でも、「カミサマはそういない」のですよ。
〇 見張り塔
戦争中、上官から得られる情報に翻弄される。上官に騙されて次々と味方を狙撃していく。人より銃の扱いが上手というだけで人を殺す特権を与えられるものの、その罪の意識にどんどん頭の中が混乱していく。
〇 ストーカー VS 盗撮魔
まんまと騙されてこれも閉鎖空間に閉じ込められてしまう。ここから出られない事を受け入れ、低レベルでつまらないせめぎ合いに落とし込まれていく。行き過ぎた欲望が身を亡ぼす典型的な例。砂の女の主人公みたい。
〇 饑奇譚
饑は飢えるという意味、飢餓。底辺社会の物語。イメージとしては映画「ブレードランナー」の冒頭シーンがこれまた想起される。一年に一回、一日限定で太陽に焼き尽くされるという設定。その前日には何か食べておかないと、どこかに転生、時間旅行してしまうらしい。結局、主人公は助かる。めでたし、めでたし。
〇 新しい音楽、海賊ラジオ
海のトリトンの様な世界と思いきや、そんな意識の高い世界ではないようだ。文字を右から左へと追い続ける。
最初の読書スピードは決して高くはないが、興が乗って来るともうどうにも止まらない。これが深緑の世界なのか。今後は半年も漬け込むことは止め、浅漬けで美味しく戴きます。
Posted by ブクログ
全体的にあんまり印象に残らなかったかも?
どんでん返しとかではない。世にも奇妙な物語りみたいな感じ。
潮風吹いて、ゴンドラ揺れる(晴れた日、遊園地、殺人ピエロ)
見張り塔(これ一番好き。少年兵は、何と戦っているのか。)
饑奇譚(千と千尋みたい!)
の雰囲気は好き。異世界不思議系?
10分くらいのショートフィルム映画で観てみたい。
Posted by ブクログ
全体的にホラー、もしくはホラー一歩手前のミステリーを集めた小説集。
「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」とか、「朔日晦日」とかはもうホラー。だって悪夢が無限ループしてたり、兄ちゃんがやばい奴に連れてかれてたりしてるもん。
個人的に好きだったのは「鐖奇譚」。なんとなく千と千尋っぽい。物を食べると大放出で消えるのを免れる的な話とか、主人公の親がやってる店の雰囲気がそんな感じ。台湾の九份をイメージしながら読んだ。
過去の自分の行動が実は別の人の命を助けることに繋がってた、とわかって、なんだかイイ話?と途中まではなるのだが、最終的には自分が望む未来に向かってその人たちを簡単に見捨てるし、そんなことしたのに結局自分が望んだ未来にはならないし、元の世界線の自分を自ら消してじゃあ今の自分って何?みたいな、「ほんとにそれでよかったんかなぁ」という後味の悪さがなんともいい感じ。
「鐖奇譚」ってどういう意味なんだろう?と思って調べたら、「鐖」はかえし(釣り針の先によくついてるやつ)、「奇譚」は不思議な物語ということらしい。
この話でいうと、トリガーみたいな意味合いなのかなぁ。過去の事象にまつわる不思議な物語。
最近パラレルワールド的なお話はよくありますが、バッドエンドってあんまりない気がするので、おもしろい結末だな〜と思いました。
Posted by ブクログ
短編集だから気軽に読めるが何か物足りなさも感じた。
1番お気に入りの短編集は戦争の話だった。もしもその話の長編集があるならぜひ読みたいと感じるほどだ。
Posted by ブクログ
体調が悪い時に見る悪夢のような話だと思った。世界観の描写がやけにリアルで、ありえない世界がありえるように思えてくるのは読んでいて面白かった。カメムシの話が好きかな。あと、海賊ラジオの話も良かった。
Posted by ブクログ
登場人物が身につけているメガネだったり描写が、後から付け足されていくので、最初にイメージしている人物からまた頭の中で描き直さなければいけないのが少しストレスだった。言葉が良い意味でも悪い意味でも軽く感じる。
Posted by ブクログ
初めてイヤミスと呼ばれるジャンルを読んだ。
2作目の「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」が好きだった。日常世界とは別の時間軸で動く終末世界のような絶望感が物語の進行と共にだんだんと深まっていくのが読んでいてゾッとした。