深緑野分のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本人が日本語で書いているはずなのに、
ディケンズの翻訳ものを読んでいるような
「高貴な」感じが漂っている。
舞台設定も、どことも分からぬ異国
(後に判明しますが)だったり、
大正時代(?)の女学校の寄宿舎だったりと、
今となっては誰も「正解」を知らない世界で...
中々の「異世界」感(^ ^;
でもその設定の中で、
揺れ動く登場人物の心象が丁寧に綴られており、
また日常の何気ない生活の一コマが
ありありと眼に浮かぶリアリティがあって(^ ^
ものすごい「名作感」がにじみ出ている(^ ^;
創元推理文庫だし、一応はミステリに分類しましたが、
「謎解き成分」は主ではない感じ。
何と言うか、 -
Posted by ブクログ
「戦場のコックたち」を読んで、この本も読んでみたいと思った。
異なる時代、異なる場所を舞台にした“少女”を巡る5つの物語。
ひとつにテーマを決めて書くのはなかなか難しいと思うが、これが変幻自在。
どの話も捻りが利いているが、謎解き以前に、設定に合わせてガラリと変わる文体やせりふ回しでそれぞれの時代や舞台を醸し出す語り口に惹かれた。
オーブランの少女…「戦場のコックたち」を読んだ後なので、作者が第二次世界大戦下のヨーロッパについて何かしら書かねばならないという思いが強いことを改めて知れる。
仮面…時代の雰囲気といった点ではこの作品が一番。哀れな男とそれを利用する少女の強かさが際立つ。
大雨とト -
Posted by ブクログ
あれこれと雑事に時間をとられているうちに、すっかり久しぶりのブックレビューとなってしまいました。。
手元立て込みやすく、読書すすみ難し……などと、思わずマイ慣用句をつぶやいてしまいたくなりますが、負けずに、めげずに、今年も少しずつ読んで、書いていきたいと思いますっ!
というわけで、新年1冊目のレビューは深緑野分(ふかみどり のわき)『オーブランの少女』です。
もともと、皆川博子さんがインタビューで今気になる若手作家として名前を挙げられていて、読んでみたいな〜と思っていた作家さん。
本屋大賞にノミネートされていた『ベルリンは晴れているか』にもひかれつつ、ちょっと仕事や生活のタイミング的に大作に -
-
Posted by ブクログ
料理をテーマにした7人の作家さんによるアンソロジーです。
こちらのお目当ては柚木麻子さんと伊吹有喜さん。あと未読の井上荒野さんが気になってました。装丁のデザインとタイトルがなかなか洒落てますよね。
『エルゴと不倫鮨』柚木麻子
最初は不倫の話かぁ…ちょっと嫌だな、と思いきや、さすがの柚木さん。吹き出しそうになるくらい痛快でおもしろかったです。
『夏も近づく』伊吹有喜
自然の中で食べるちゃんと手をかけた料理が本当においしそうでした。
『好好軒の犬』井上荒野
初めましての井上荒野さん。最初から最後まで独特で不穏な雰囲気のあるお話でしたね。
『色にいでにけり』坂井希久子
こちらも初めましての -
Posted by ブクログ
男主人公しか出て来ないイヤミス短編集
とっても読みやすい7篇、著者初読
正直読みやす過ぎる上、敢えてなのか不明だが何を書きたいのか理解出来ずこの本のタイトルで無理矢理自己完結しながら読む
1、伊藤が消えた
2、潮風吹いて、ゴンドラ揺れる
3、朔日晦日
の前半3篇でげんなり。イヤミス書こうとしか考えてないのかと思うほどツッコミどころ満載
が
4、見張り塔
でおろろろろろ
手塚治虫×星新一のような世界観と捻りの効いたオチに姿勢を正す(SFだからとか思いたくない)
5、ストーカーvs盗撮魔
はまさに世にも奇妙な物語な内容は普通だったが
6、饑奇譚
は大好物の救いのなさにええやん!シューッ!は?
とな -
Posted by ブクログ
「旅」をテーマに、気鋭の作家陣が短編を寄稿したアンソロジー。とはいえ旅の解釈はそれぞれであり、SFだったりミステリーだったり、各人の特徴が出ている内容となっている。
個人的な好みは藤井太洋さんの「月の高さ」。ご本人の経験を踏まえた舞台芸術の置かれた現状、地方巡業のドタバタ感、枯れたおじさんと若い女性の緩い連帯といった内容が小気味よくロードムービー的に展開されていて面白かった。
一方で石川宗生さんの「シャカシャカ」については正直よく理解できなかった。地表がシャッフルされるという話のメタ構造として、各章の順番もシャッフルされていく流れなのだけど、いきなり話と場所が飛んでしまうためについていけな -
-
-