深緑野分のレビュー一覧

  • ベルリンは晴れているか

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    ネタバレ

    第二次世界大戦敗戦直後1945年7月のドイツ。
    ヒトラーは自死を遂げ、英米仏露の連合軍に分割統治されるベリリン。

    幼い頃から英語版『エーミールと探偵たち』を読み耽っていた主人公アウグステは、その英語力のおかげでアメリカ領のダイナーで職を得ることができ、なんとか食いつなぐ生活基盤を持つことができた。
    くたくたに疲れて帰ったある夜中、ロシア軍管轄の警察に有無を言わさず連行され、NKVDの将校ドブリギンに告げられたのは、かつて世話になったクリストフの毒殺死。
    クリストフは戦時中はその富を隠蓑に反ナチ地下活動を支持し、戦後は同志文化部のチェロ奏者としてロシア軍の庇護下にあった。

    妻のフレデリカが疑

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    2022年08月20日
  • ベルリンは晴れているか

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    あたかもその時代に生きていたような1945年前後のドイツの描写に驚かされる。その描写ゆえに戦争の悲惨さがひしひしと伝わる。
    ドイツがポーランドに不意打ちで侵略した際の話で、作中に下記のような記述がある。
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    ゴミ捨て場の前にいた婦人たちは「だって、ポーランドが悪いんでしょう。総統は『平和のための攻撃』とおっしゃったし、国を守るためにやむなくよ」と話していた。
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    現在のプーチンの発言とプロパガンダに汚染されたロシア人と全く同じ。
    まさにプーチンは現代のヒトラーだ。

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    2022年07月23日
  • オーブランの少女

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    友人に勧められ初めて読んだ作家だったが、文体も読みやすく面白かった。
    時代も場所もバラバラな短編集で、全体的に仄暗い美しい描写が際立つ。

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    2022年07月09日
  • オーブランの少女

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    最初は怖かったですが、どんどん引き込まれました。これがデビュー短編集とは…その後のご活躍もうなずけます。

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    2022年05月07日
  • オーブランの少女

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    世界観の作り込みが見事で短編集とは思えないくらい濃かった。
    読み終わった瞬間どっと疲れるほど物語に引き込まれた。
    愛らしい少女はどこにもいない。
    おぞましいのに読む手が止まらない表題作。
    残酷で美しい「氷の皇国」。
    ミステリー関係なく、少女小説として読んで欲しいくらい。

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    2021年08月25日
  • オーブランの少女

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    『オーブランの少女』
    オーブランの美しい庭園で、ここの女管理人の老婆が殺される。その死体の近くにいた犯人とおぼしき人物は、人というにはあまりにも朽ち果てた姿で立っていた。たまたま娘と二人でこの庭園を散歩している途中、その惨劇に遭遇した「わたし」は、とある事情で入手した昔の日記を読み、ここで当時起きた恐ろしい出来事と、それが引き起こしたこの殺人の真相を知る。

    『仮面』
    霧深く、凍えるような寒さのロンドンの深夜。
    貧乏で冴えない風采の町医者が、患者である女性を殺害するシーンから始まる。その動機は、あどけなく可憐な幼い踊り子の少女を救うため。彼に人殺しを持ちかけた人物の本当の目的は。。。

    『大雨

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    2021年08月16日
  • 注文の多い料理小説集

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    料理をテーマにしたアンソロジー。
    女性作家ばっかりかなと思ったけど、中村航さんは男性かな?色んなテイストの作品が詰まっていて、美味しくて嬉しいアンソロジーでした。

    以下お気に入り作品。
    柚木麻子「エルゴと不倫鮨」
    不倫を嗜む男たちの隠れ家的鮨屋に、明らかに場違いなくたびれたおばさんが襲来する。そのおばさんはなぜかとても料理に詳しく、次々と美味しそうなオリジナル創作鮨をオーダーしはじめ…まさにタイトル通り注文の多い料理小説。ラストのオチも痛快でよい。

    伊吹有喜「夏も近づく」
    悠々自適な田舎暮らしをしている主人公が、兄から半ば押し付けられる形で甥っ子を預かることに。田舎の豊かな自然と触れ合うこ

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    2025年05月20日
  • オーブランの少女

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    ネタバレ

    「未知のものを怖ろしく思うとき、それを映しているのは自分の眼だということを忘れてはならない」ーーというようなことを自分に言い聞かせていなければ、無邪気に陶酔するか、恐怖でこころを凍りつかせてしまうかのどちらかだったと思う。精緻に組まれた謎はそれだけうつくしい。この特徴は表題作「オーブランの少女」と最後を飾る「氷の皇国」にひときわ目立った。
    作者・深緑野分はたしかに、ひとのこころに「鮮烈な色」を刻んでいく作家だと感じた。

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    2021年05月04日
  • オーブランの少女

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    ネタバレ

    どのはなしの少女も、特別なものがあるわけではないのだけど、印象的。
    「オーブランの少女」は、映画「エコール」ぽいなあと思ったら、やっぱり念頭にあったらしい。
    「片想い」も、「倒立する塔の殺人」ぽい。
    どちらも好みのモチーフ。対になる少女たちの関係性も好き。

    あまりミステリとは思わずに読んだけれど、最後のはなしの謎解きはおもしろかった。
    架空の国の設定もよかったし、作中で過去にあったこととして語られるのもいい。
    初めて読んだ著者さんだったけど、他のものも読もうと思う。

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    2021年03月15日
  • オーブランの少女

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    少女が主要キャラとして出てくる以外、時代も国も舞台の異なるミステリ短編集。
    風景描写が素晴らしく美しい。
    特に表題作のキングサリや、最終作のランプの階段なんかは夢のよう。
    なのに、起こる事件はえげつなく、その落差がまた面白い。

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    2021年01月30日
  • オーブランの少女

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    重厚なストーリーと、細部までこだわった緻密な描写で定評のある深緑野分さんのデビュー作品集。深緑さんというと長編のイメージがあるけれど、本書はタイトル作品をはじめとする5編の短編小説で構成される。共通項は「少女」である。

    大人でもなく、子どもでもない、どこか不安定な存在である少女。そして、大人の狡知と、子どもの残酷さを兼ね備えた存在である少女。本書は、時代も国も、はたまた住む世界さえ違う少女たちを描き、そのどれも高い物語性を帯びている。さすが深緑さん、デビュー作からしてこれか!

    深緑さんの作品は、不思議とどこか海外文学のような雰囲気が漂う。考証を重ねて構築された世界観がそう感じさせるのか、ど

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    2020年11月22日
  • オーブランの少女

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    日本人が日本語で書いているはずなのに、
    ディケンズの翻訳ものを読んでいるような
    「高貴な」感じが漂っている。

    舞台設定も、どことも分からぬ異国
    (後に判明しますが)だったり、
    大正時代(?)の女学校の寄宿舎だったりと、
    今となっては誰も「正解」を知らない世界で...
    中々の「異世界」感(^ ^;

    でもその設定の中で、
    揺れ動く登場人物の心象が丁寧に綴られており、
    また日常の何気ない生活の一コマが
    ありありと眼に浮かぶリアリティがあって(^ ^
    ものすごい「名作感」がにじみ出ている(^ ^;

    創元推理文庫だし、一応はミステリに分類しましたが、
    「謎解き成分」は主ではない感じ。
    何と言うか、

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    2020年07月30日
  • オーブランの少女

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    少女にまつわる5つの短編ミステリー。
    それぞれ全く異なった時代や国を背景にし、その描かれる世界観が魅力的。ミステリーだけれどファンタジーを読んでいる気分になる。
    とくに自然の風景を伴う描写が好きでした。
    解説でモチーフや発想の起点となった作品が紹介されていたのも個人的に嬉しいポイントでした。

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    2020年06月17日
  • オーブランの少女

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    ネタバレ

    短編集だが、各話とも異なる世界観があり、長編になってもおかしくない。次は、どんな時代のどこの話だろうとワクワクしながら、読むことができる。

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    2020年05月24日
  • オーブランの少女

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    「戦場のコックたち」を読んで、この本も読んでみたいと思った。
    異なる時代、異なる場所を舞台にした“少女”を巡る5つの物語。
    ひとつにテーマを決めて書くのはなかなか難しいと思うが、これが変幻自在。
    どの話も捻りが利いているが、謎解き以前に、設定に合わせてガラリと変わる文体やせりふ回しでそれぞれの時代や舞台を醸し出す語り口に惹かれた。

    オーブランの少女…「戦場のコックたち」を読んだ後なので、作者が第二次世界大戦下のヨーロッパについて何かしら書かねばならないという思いが強いことを改めて知れる。
    仮面…時代の雰囲気といった点ではこの作品が一番。哀れな男とそれを利用する少女の強かさが際立つ。
    大雨とト

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    2020年05月05日
  • 分かれ道ノストラダムス

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    ネタバレ

    自分の人生に確かにある分かれ道。
    何処へ行ったら、どうなるのか。
    考えたことのない人はいないだろう。

    でも、そこから始まったはずのあさぎの行動は思ってもいない方向へ向かって、犯罪に巻き込まれてしまう。

    深緑野分らしい青春ミステリー、面白いと同時にあの頃を思い出してほろ苦い。

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    2019年12月09日
  • 戦場のコックたち

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    一人一人の登場人物の個性、役割がはっきりしていて感情移入しやすかったです。

    戦時中の日常の謎時を題材にしているのがとても斬新でした。

    戦争のお話が中心なのかミステリーが中心なのかちょっと焦点がぼやけてる気がします。どちらもちょっともの足りませんでした。

    ただ、登場人物のキャラクターや心理描写が良く、ヒューマンドラマとして楽しめました。

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    2026年04月15日
  • 注文の多い料理小説集

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    キャッチーなタイトルに惹かれて読んでみた。アンソロジーは読んだことのない作家さんに出会えるよい機会なので、ときどき読むようにしている。

    よかった順に、「夏も近づく」、「味のわからない男」、「好好軒の犬」、「どっしりふわふわ」、「エルゴと不倫鮨」。

    「夏も近づく」に出てくる料理はどれもシンプルで美味そう。塩むすびとか、筍ご飯とか。可哀想な生い立ちの葉月くんが、叔父さんの料理で癒されていく姿が清冽でよい。

    「どっしりふわふわ」は年の差20位のパン職人カップルのお話。ラスト2頁で種明かしされるミスリードについては、これがあるのとないのとでは、どれだけ読後感が違ってくるのか、オチを知ってしまった

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    2026年04月13日
  • この本を盗む者は

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    本が中心のお話だけあって、作中作がたくさん登場。ちょっと設定があやふやに感じるところもあったけど、映画化もされたみたいだし、映像で見た方がそれぞれの物語の世界観がもっと伝わりやすいかも。

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    2026年04月06日
  • この本を盗む者は

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    ネタバレ

    本の町 読長町にある巨大な書庫「御倉館」は本の盗難を防止するための警報装置を有しているが、それは普通のものではない。「御倉館」を管理する御倉家のひとり深冬は本が好きではないが、その警報装置によって物語の世界を巡ることとなる。
    2021年度本屋大賞ノミネート作品。2025年にはアニメ映画化もされている。ファンタジーな内容がすごくアニメ映画に合っているなあと思う。
    結局、たまきと契約しておかしな警報装置を作り上げてしまったのは、読長神社の神様だったという話だけど、元は稲荷として奉られていたものが、本の町としての町おこしによって別の神様を祀るようになったという経緯も影響してそうだなあと思った。なんか

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    2026年04月05日