深緑野分のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映画、特にアカデミー賞レースが好きだけれど裏方や映画制作の内情を理解せずに、映画を批評してるなぁ…良いのかなぁ…と気になっている日々。書店で見かけて、物語として楽しみながら映画のことを知れるの良いな!と思い手に取りました。
映画の特殊メイク、CG制作の人の心のうちや、作業を知らなかったのでフィクションとはいえ参考になった気持ち。
CGに温かみがないとは鑑賞者として思ったことない(自覚ないだけか?)けれど、CGがすごいから映画もすごいとはならないなとは強く思っている。
映像美が凄くても、そこまでで映画を観た感動としては古い映画の方が勝る時がある。
制限がある状況で創意工夫して、捻り出した発想の転換みたいなアナログの凄さはまたCGとは一味違うのかなと。
目まぐるしく動くカメラワーク、CGで作れる景色があってこその画角と、ドローンとかCGのようなダイナミックなカメラワークができないからこその魅せ方の違いとか…。
でも、CG作業の大変さ、日本映画のCGが海外に見劣りする理由、など驚きました。
特に後者はこの本で語られる内容が腑に落ちました。すごく、軽視しそう、日本の業界。一人一人は野心があって技術が高くても、お金の話を通そうとすると理解してない人には暖簾に腕押しで通じない…。
お金もなさそう…。
だからこそ、ゴジラ-1.0の評価は感動しましたし、データ量凄いと思っていたら そこを工夫していたとあとがきでわかり、最後まで興味深かったです。
ただ、辻一弘さんの名前を挙げられてましたが現在は日本国籍ではなくアメリカ国籍で、カズ・ヒロという名前で活動してらっしゃるようなので、カズ・ヒロ氏(2018年の受賞当時は辻一弘)など書いた方が誠実な気がしました。アメリカ国籍にした動機を読んだ限りでは、その点はクリアに記載する方が彼に誠実だと思っています。
登場人物みんな、共感できないのと、行動が理解できないまま終わりました。
マチルダの衝動的すぎる行動や、CGへの過剰な反応、モーリーンの土足で踏み込む感じ、リーヴがあんなダメダメからどうやって立ち直ったのか、なのになんであんなにマチルダの名前を載せたくなかったのか、なのに最終納得してるのか、ヴィヴが警戒心薄すぎではないか?とか。。
クライマックスの事件?的展開が起きるまで長いし、事件が起きてから収束するまでがめちゃ短い気がしました。構成のバランスは、私にはちょっと偏ってる感じがしました。
p446
446
「〜賞や役職は関係ない。賞を獲っていなくても、役職についていなくても、それは時の運であって君の実力を左右するものじゃない。〜」の部分印象に残りました。
第97回アカデミー賞が、本命なしと言われているのを目にして実際各作品をちょこちょこ見て事実そうだなと思いました。
もし、違う年だったらANORAはノミネートされた中でマイナーだけど面白い!という知る人ぞ知る陰ポジションだったかも。
教皇選挙も もっと受賞あったかも。
たまたま同じ公開年なだけでより比べられてしまうの不思議だなと。組み合わせ次第では激戦の年もあるし…。それがまた運命的で面白いかもしれないけれど恒久的な映画の評価にはつながらないかもと思えた。
受賞した人のスピーチは、素直に受け止めていたけれど、その発言次第ではほかの映画人の心を抉ることもあるのかと気づくきっかけになった。
攻撃性を意図しなくても。。
ノミニーとして画面に映され、誰かの名前が呼ばれた途端ほぼ映らなくなる。その、名前を呼ばれなかった人たち一人一人の心のうちとか、映画界に身を置く人たちとして思うところとか。それぞれあるんだろうなと想いを馳せる契機となった面白い本でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ6人の作家によるアンソロジー。
料理ではなく料理を作る人をテーマに
したところが面白かったです。
ファンタジー映画のような深緑野分さんの
「メインディッシュを悪魔に」は個人的に
内容も面白く、サタンが高く評価した料理?
にあぁ~たしかになんて思いました。
秋永真琴さんの「冷蔵庫で待ってる」では
なんかそれってどうなんて思いつつも
最後にある人からの誘いを断る理由が
カッコよかった。織守きょうやさんの
「対岸の恋」は想定していた好きな人が
えぇ~そっちなん!て思いつつその好意を
抱く人たちのやり場のない思いや自分なりの
処理の仕方が極端で共感は出来なかったけど
なんか悪くない方向にいけそうな感じの
終わりだったので読み終わりは悪くなかった。
越谷オサムさんの「夏のキッチン」は
単純なお腹が空いた少年の初料理って
話ではなく不思議といい話がいい塩梅で
よかった。まぁ最後の作品に出てきたからか
無性にカレーが食べたくなった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【収録作品】
西條奈加「向日葵の少女」(〈お蔦さんの神楽坂日記〉シリーズ)
千早茜「白い食卓」
深緑野分「メインディッシュを悪魔に」
秋永真琴「冷蔵庫で待ってる」
織守きょうや「対岸の恋」
越谷オサム「夏のキッチン」
料理のつくり手をテーマにした短編集。
「向日葵の少女」絵につけられた傷にこめられた思い。いい話風にまとまったが、離婚した父親に対してこれで納得でいいのかと思う。
「白い食卓」昭和脳の傲岸不遜な男の態度がいちいち不愉快なので、ラストは痛快。つくり手の女性がいい。
「メインディッシュを…」サタンに料理をつくるはめになった女性料理人。そのきっかけを作ったサタンの眷属が天使に見えてくる。
「冷蔵庫で…」女子大学生の恋愛未満の失恋。最後に相手に投げかけた台詞がエライぞ。
「対岸の恋」男子大学生の姉と女子高生の兄が結婚。それぞれの料理係だった「弟」と「妹」は互いに一番の理解者となっていた。著者らしい作品。
「夏のキッチン」引きこもりの小6男子。その事情が少しずつ見えてくると切ない。
お腹が空いた。 -
Posted by ブクログ
すいません、半年寝かせました。半年も漬け込んであれば、かなり美味しくなっているんじゃない?すいません。
本書は4年前に出た単行本を昨年6月に文庫化したもの。全体の雰囲気は重い。確かに重いのだが、どの作品も渋くて面白い。面白さに濃淡はあるけど、いずれも後を引くテイスト。地面に引きずり込まれそうな作品もある。少しずつタイプが違うので各作品にコメントしたい。目次の文字のフォントが大きい、各作品の冒頭の題名も大きいフォントを使っている。これってどんな効果を狙っているのだろう、ミステリー。
〇 伊藤が消えた
単なる殺人事件だと思うのだが、解説をみたらいろいろな背景があるようだ。すいません、深緑野分の初心者なもので。
〇 潮風吹いて、ゴンドラ揺れる
これはSFだな。しかもループもので逃げられない閉鎖的恐怖空間。みんな何回も何回も殺されて大変だ。殺され方が少しずつ変化すると何か脱出に向けた糸口が見つかるかもしれないが、全くその兆しが見えないので絶望。
〇 朔日晦日
この作品は8ページしかない。そこからして異常。カミサマという言葉が頻繁に出てくる。ナメクジは爺様の生まれ変わり。兄の白目に黒いゴマが増えていき、黒目に白いゴマが増えていく。その結果、白目と黒目が反転する。もーー、その結果をイメージできない。本来の目はカミサマから貰えると兄は信じている。でも、「カミサマはそういない」のですよ。
〇 見張り塔
戦争中、上官から得られる情報に翻弄される。上官に騙されて次々と味方を狙撃していく。人より銃の扱いが上手というだけで人を殺す特権を与えられるものの、その罪の意識にどんどん頭の中が混乱していく。
〇 ストーカー VS 盗撮魔
まんまと騙されてこれも閉鎖空間に閉じ込められてしまう。ここから出られない事を受け入れ、低レベルでつまらないせめぎ合いに落とし込まれていく。行き過ぎた欲望が身を亡ぼす典型的な例。砂の女の主人公みたい。
〇 饑奇譚
饑は飢えるという意味、飢餓。底辺社会の物語。イメージとしては映画「ブレードランナー」の冒頭シーンがこれまた想起される。一年に一回、一日限定で太陽に焼き尽くされるという設定。その前日には何か食べておかないと、どこかに転生、時間旅行してしまうらしい。結局、主人公は助かる。めでたし、めでたし。
〇 新しい音楽、海賊ラジオ
海のトリトンの様な世界と思いきや、そんな意識の高い世界ではないようだ。文字を右から左へと追い続ける。
最初の読書スピードは決して高くはないが、興が乗って来るともうどうにも止まらない。これが深緑の世界なのか。今後は半年も漬け込むことは止め、浅漬けで美味しく戴きます。 -
Posted by ブクログ
第一次世界大戦、ノルマンディに上陸したアメリカ兵の2年間を描いた物語。
表紙とタイトルはほのぼのしているし、17、8歳くらいののんびりした男の子が一人称で語る物語なので、最初は牧歌的ですらある。冒険に行くみたいに呑気だ。
しかしやはり内容が内容なので、どんどんハードになっていく。
料理もレーション(糧食、野戦で食べる缶詰など保存がきくもの)ばかりで、美味しそうじゃない。主人公はコックさんだが、彼が腕を振るうシーンは少ない。
最初は謎解きがいくつかあり、それを通して読者も登場人物に親しみが湧くのだか、すっかり愛着の湧いた頃に、衝撃が襲ってくる。喪失感半端ない。
おっとりして暖かな性格の彼がこの戦争に染まっていくところがリアルで悲しい。
戦争体験者のPTSDなどにも触れられていたが、希望のもてるエピローグでほっとした。
それにしても「ベルリンは晴れていたか」でも感じたが、作者の風景を再現する筆力がすごい。日本人でまだ若い作者が、まるで当時の外国を見てきたかのように再現できるのは才能もあるのだろうけど、膨大な調査力もあるのかなと思った。