深緑野分のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ全体的にホラー、もしくはホラー一歩手前のミステリーを集めた小説集。
「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」とか、「朔日晦日」とかはもうホラー。だって悪夢が無限ループしてたり、兄ちゃんがやばい奴に連れてかれてたりしてるもん。
個人的に好きだったのは「鐖奇譚」。なんとなく千と千尋っぽい。物を食べると大放出で消えるのを免れる的な話とか、主人公の親がやってる店の雰囲気がそんな感じ。台湾の九份をイメージしながら読んだ。
過去の自分の行動が実は別の人の命を助けることに繋がってた、とわかって、なんだかイイ話?と途中まではなるのだが、最終的には自分が望む未来に向かってその人たちを簡単に見捨てるし、そんなことしたのに -
Posted by ブクログ
戦場のコックたち
**著者**: 深緑野分
1944年6月、ノルマンディー降下作戦**から始まるこの物語は、特技兵(コック)として戦場に立つ新兵ティムと同年代の兵士たちの過酷なヨーロッパ戦線での経験を描いています。冷静沈着なリーダーのエドとともに、彼らは戦場や基地で奇妙な事件に遭遇し、時には謎解きに興じます。
ティムたちは戦場で、忽然と消えた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件、塹壕戦の最中に聞こえる謎の怪音など、様々な不可解な出来事に直面します。死と隣り合わせの状況で、若き兵士たちは戦場の「日常の謎」を解き明かすことで気晴らしを見つけます。
戦場という過酷な背景の中 -
Posted by ブクログ
ネタバレ書店などの売り場で、このタイトルの本が置いてあるのは面白かった。そうゆう意味でタイトルのつけ方はユーモアがあり上手いと思う。思わず盗みたくなってくる。(しないが)
内容としては、主人公が現実主義者で、ヤング向けによく登場する「そんなのありえないでしょ!」とファンタジー要素に否定から入るキャラクターなので苦手だった。
章が進むごとに理解が深まって否定は少なくなるが、それでも精神的に幼いなと思ってしまう。
ブック・カース。
盗まれた古書の世界観に入っていき、盗まれた本と盗んだ者を探し出せば元の世界へ戻れる。
何故か盗む者は毎回狐の姿になっている。
そして世界が変わる時、真白という少女であり犬の -
Posted by ブクログ
私は数年前までベルリンに住んでいたので、舞台の地理的感覚がよくわかって読みやすかったが、そうでない人は相当頻繁に地図の頁を振り返る必要があるのではないだろうか。また、あまり日本人に馴染みのないドイツ語をそのままカタカナで表記しているところも多く、読みやすさよりも異国情緒を大事にしているように感じたが、それでいて登場人物の言動や描写が現代的過ぎて白けてしまう場面も…
ストーリーはまあ、あっと驚くラストってほどでもなく、伏線回収も好みが分かれるところかも。ただ、戦時中〜連合国占領直後のベルリンの混乱ぶりは臨場感たっぷりに描かれており、「日本は鬼畜イワンどもに占領されなくて良かった」とつくづく感じさ -
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アメリカの俳優ニック・オファーマンが出演作品について、「なぜ同性愛者の物語にする必要があったのか?」と訊かれて「そういうくだらない質問するやつがいるからだ」って言い返したというニュースを気に入ってたんだけれど消えてる…フェイクだったのかな?
久々に百合アンソロジーなどを。百合でなきゃ得られない養分が…とかってわけではないけれど、やはりなんというか、この関係性じゃないと生まれない痛み、のようなものがある。でもそれって普通の恋愛小説と何が違うの? と思うことも。純度の問題なのだろうか? LGBTQに配慮も忖度もしないオレのような者が、しかしなぁ。
全8編。特に気に入った(そして気に -
Posted by ブクログ
ネタバレ本をめぐる冒険ファンタジー。
子どもの頃にワクワクした、物語の世界に入っていく感覚を思い出すようなお話だった。
内容が盛りだくさんで、想像の力でグッと集中する前に次の場面に行ってしまう感覚があった。
ブック・カースの世界でもっと深く没入するファンタジーとか、神ではない何者かの存在をもっと怖くしたホラーとか、御倉家に焦点を当てた人間ドラマとか、色んなパターンで単独で読んでみたい。
もっと知りたい、と思わされているのは確かだ。
これは呪いの話ではあるけれど、物語を愛している人の話でもあって、最後はちょっとウルっとした。真白ともひるね叔母とも、ずっと一緒にいられたらいい。