中村文則のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
登場人物たちの自己分析というか内省していく描写がリアルで繊細でとても好きだった
登場人物はみんな狂気的で歪んだ思考を持ち合わせているんだけど、共感できてしまう部分もあり
自分の中にも狂気が眠っているんじゃないか、何かのきっかけで目覚めてしまうこともあるんじゃないかとか、ただ自覚しないふりをして生きてるだけなんじゃないかと思ってしまった。
ほとんどの人は自分自身のことを本当には理解してなくて、自分を知ることは大事なことみたいに言われる事もあるけど、自分にとっての都合のいい自分だけを抽出してアイデンティティにしようとしてるだけなのかもしれない。でもそれくらいが丁度良くて本気の自己分析なんてしな -
Posted by ブクログ
ネタバレ薄いし内容も好みで読み終わるまであっという間だった。
登場人物も多く、内容も雑多(というのかな?)、とにかく多く出てくる情報を整理しながら読み進めるのが楽しくて仕方なかった。
中盤まで「こういうことかなー?」と推理しながら読むも終盤で「え!そういうこと!?」と驚きの連続で、序盤にこれはどういうことなのか…とひっかかっていた箇所もきちんと回収されるし叙述トリックっておもしろい!
2周するときっと新たな気づきも出てきそう。
こういう、小説そのものが物語内で存在する成果物、みたいなのすきだなー
去年の冬、きみと別れ
という一説が出てきたあたりから鳥肌止まらんでした
いい作品じゃ…(しみじみ)
人間の -
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Posted by ブクログ
中村文則さんのエッセイを最近読んだので、その繋がりで読みました。
太宰治の人となりについてはほとんど何も知らないので、読む前の勝手なイメージでは「気難しく人嫌い」な人かと思っていましたが、作品を読むと「ユーモアの感覚もあって、実際に話せばあんがい話好きな人だったんじゃないか」という印象を受けました。
個人的に良かったのは富嶽百景の一場面で、天下茶屋の2階に寄宿している主人公が店の人間とも親しくなってきた頃、店の若い女性店員が1人で客の相手をしている時に、わざわざ1階に降りて隅でお茶を飲みながら遠巻きに見守ってあげているところです。
そんなにあからさまな優しさを出す感じの主人公じゃないんで -
Posted by ブクログ
著者の作品を読むのは久しぶりで『掏摸』『去年の冬、きみと別れ』に続いて三作目だけれど、毎日新聞連載の「つぶやき」を読んでいるのでそのつもりで読み始めたら(当たり前だけど)全然テイストが違う。信仰の禍々しさ、嫌悪感で眩暈がしそうな描写に辟易しながらもページをめくる手が止まらない。
本書が「すばる」に連載されていた時期(第一部2012年5月〜2013年6月、第二部2013年8月〜2014年9月)を考えると、今年7月に亡くなった安倍氏が自民党総裁として返り咲く直前から政権奪還して最高にイケイケの時にカルトと政治の関係をこの視点で描いていたことにも驚く。
読み終えてもため息しか出ないが、2014年にノ -
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