中村文則のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。
大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。
で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。
なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。
受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。 -
購入済み
映画化するの…
残り1/3くらいからかな、色んなものが繋がって「あぁ、そうだったんだ」ってなります。
だから、そこからはもうノンストップで読み終わらずにはいられませんでした。
映画化されるということで読みましたが、あのキャスティングでいいのか…
映画は見ないと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今までの自分の読者傾向をもとに、チャットgpt から強烈におすすめされて本だったが、微妙だった。確かに、木嶋とその組織の正体が謎である終わり方もいいと思うし、むしろこの小説にミステリー要素を求めるのはナンセンスなのだろうが、それは読んだ後にわかることで、若くて刺激を求めてしまう自分にはどうしても物足りなかった。やっぱり、主人公の過去、組織の正体、社会体制、構造反転など壮大なものを期待してしまった。この小説の冒頭の私小説的な件も「しゃべり始めたな」と正直思ってしまった。あとがきも真っ直ぐな言い訳を聞かされているようで惹かれなかった。自分は寡黙の美学のようなものを作者や芸術に求めてしまうのかもしれ
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Posted by ブクログ
木崎という男に運命を握られた天才スリ師である西村のストーリー。
快感を求めてスリを実行し、命を奪われないために犯罪の駒となった西村。
他人の人生を動かすことを最上の快楽と捉え、ゲームのように犯罪を計画立案していく木崎。
どちらも犯罪者という面では同じだが、圧倒的な本質の差を感じた。
奪われるものが何もない人を「最強の人」というが、命を奪うことを何とも思わない木崎も最強の人である。
他人を暴力で支配してコントロールし、それを「運命」という木崎に対して、西村の最後の抵抗は爽快。
登場人物が掏摸、恐喝、殺人などの犯罪者とネグレクトの親子なのに対して、読後感は良かった。
兄妹篇の『王国』も読ん