中村文則のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレめちゃめちゃ面白かった。
話の流れがまだ見えてこない前半に仏教哲学っぽい話がかなり長く続いたが、興味深い内容で飽きることなく読めた。この内容が後半の沢渡の過去編にリンクしていて、沢渡は手術のシーンで意識が脳を超えた(=神になった?)と思う。「人間は素粒子に過ぎない」が、素粒子で表せない意識こそが言語化できない神の領域なのではないか、みたいな話に説得力があった。
世界の出来事は全て化学反応式なのだから、生まれた瞬間に全ての運命が決まっている、我々の意識はその観客に過ぎない、という内容があったけど、これは自分もたまに思っていたことで、この考えを踏まえて「全てがどうでも良くなった」沢渡と、気楽に生き -
Posted by ブクログ
引用で成り立っている。小難しく思える社会問題、化学、宗教、政治、などを織り交ぜながらも読みやすく、サスペンスやアクションの要素を含んだエンタメ小説でした。
量子力学や宗教のことに興味はあるけど、学術書を読むのはしんどいなと思ってる人には丁度いいかもしれない。逆に専門家が読めば、そんなことは知ってるよ!と言いたくなるような浅い部分をなぞっただけなんだろうなとも思いながら読みました。
教祖の奇妙な話 Ⅳ にドフトエフスキーの未成年から引用された文章があります。
思想は時にその個人の全存在を拘束してしまうことがある。そういう思想に芯から飲み込まれてしまった人間は、感情で頭が硬化し、反対の思想をいく -
購入済み
独特の雰囲気に呑み込まれ一気読みできる作品。
個人的には、内容も良かったですが、何よりもタイトルが洒落ていて、言葉のセンスが素晴らしいなと思いました。 -
購入済み
壮大な作品
久々にスケールの大きい作品を読んだと思った。又吉氏が勧めているから気軽に手を出す人が多いようで、レビューを見ていると過激な性描写に嫌悪を抱く読者が見られたが、この作品はそんな一点に立ち止まって評価すべきではない。描写や教団の異質性にばかりに囚われず、作中にひしめき合う複数の群像や視点やテーマに心を向けて読んでみるといいと思う。エンターテイメント作品というよりも、これは壮大な哲学・文学作品だ。
生きるとはなにか。平和とはなにか。安保に揺れる渦中の今、一層私の心には多くのものが飛び込んできたように思った。多くの人に読んで欲しい傑作。 -
Posted by ブクログ
さすがは並みいる男性作家が選んだ作品集である。全部面白い。
「ちょっとちょっと…」と傍で話しかけられるような親しげな語り口と
抜群のリズム感が心地いい。特に気に入ったものを少し…。
「道化の華」
ラスト3行でいきなり視界がぱあっと広がり、ぞくっと怖くなる。
視点のトリックで読者を驚かせるのが上手い。
「彼は昔の彼ならず」
心の本質が似通った人間が近くにいると、お互いに感応してしまうのだろう。
口先三寸のペテン師のような男を非難している主人公の男もまた、
親の遺産で遊び暮らす怠け者。
才能ある芸術家のパトロンになりたいという、
彼の下心を見透かしたペテン師の作戦勝ち。 -
Posted by ブクログ
何が善で何が悪か
何千年も前から持ちかけられるこの問いに正解はないんじゃないか ふと思ってしまった。
試験などもありまとまった読む時間取れず
約1週間で読破
私は常に逸脱“は”しないようにという指針で生きてきたので全く持ち得ない価値観の物語であった。
これを読まずに生きていくと一生持ち得ない価値基準であっただろう。
誰かの人生を掌握する快感 自分の行動が日の目を浴びる快感 失敗できない緊張から得る快感
少しわかってしまうのが怖く、のめり込むようになった。
少年からして主人公は生きる術•居場所•優しさを教えてくれた人であるが彼が公的に世の中に出る時は極悪犯となるだろう。そこに生まれる齟齬が -
Posted by ブクログ
ずっと積読状態だったので、読んでみた。
主人公は天才スリ師。
身なりのいい人間をターゲットに、息をするように財布を盗み、中身のお金を抜き取る。
目的も生き甲斐もなくスリをし続けるだけの生活をしていく中、木嶋という謎の男に目をつけられる。
木嶋は、目的を果たさなければ自分を〇すという。
絶体絶命の中、彼は生き延びることができるのか?
あらすじだけみると大層派手な展開を期待しますが、作風はどちらかというと静かです。
スリの動作一つ一つや、その瞬間瞬間の心の揺れがとても具体的に描かれて、派手では無いけど読んでいて緊張感があり、肩に力が入りました。
木嶋という男が、世の中の底が見えない闇のような存在 -
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Posted by ブクログ
大きな物語の途中からの話を読んでいるようだった。しきりに女の人の名前(忘れちゃった)のことを思い浮かべながら自分の現在の言動について向き合ってる描写があった。あとがきにあったように16章が物語の中核になっていたみたい。あの「塔」の存在は大人になってからはその女の人と照らし合わせていたのかな。「光が目に入って仕方ないなら、それとは反対へ降りていけばいい」割り切った生き方、だけど生きることへの強い渇望を感じた。掏摸に特化しているが、この主人公はきっと頭が切れるし器用で非常に優秀な人なんだと思う。その方向性が「反対へ降りていけばいい」にとことんなんだと思う。木崎?が言っていたように、強盗にも位があっ