中村文則のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ⚫︎感想
人間の意識はどこからくる?本当にその意識は自分のものか?人が「生きる」ことを、哲学、科学、宗教、善悪…あらゆる方向から見せられ、考えさせられる一冊。
教団VS教団を通して、壮大なテーマを飽きさせずに描く筆力に脱帽した。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
ふたつの対立軸に揺れる現代日本の虚無と諦観、危機意識をスリリングに描く圧巻の大ベストセラー!
突然自分の前から姿を消した女性を探し、楢崎が辿り着いたのは、奇妙な老人を中心とした宗教団体、そして彼らと敵対する、性の解放を謳う謎のカルト教団だった。二人のカリスマの間で蠢く、悦楽と革命への誘惑。四人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴 -
Posted by ブクログ
これ凄い好き。
私なんか全然本読んでないなーって思った。
若林さんがそもそも繋がっている、なんなら飲み仲間作家さんとの鼎談から始まって。初めましての作家さんも登壇してくるんだけどこんな会話繋がって凄いなー掘り下げてるなー面白いなーってのが連続するんだから。
タイムリーにみたかったなー。もっと対談して欲しい作家さんいるなー。私が好きな作家さんの本がお勧めされてて嬉しいなー。
もう紹介されてる本片っ端から全部読みたいっ!!すべての回でその時話題に上がったテーマでお勧めの本を作家さんが紹介するんだが、これが垂涎なんです。紹介の仕方にも唸る、だってどれもこれもすっごく読みたくなる。
沢山の本 -
Posted by ブクログ
ネタバレうーん、何とも言い難い読後感。結局、語り手の「僕」は、いい人だった。最後に投げた血だらけの五百円玉が、彼の命を救ってくれることを願わずにはいられない。
「……お前、ボール投げるの得意か」
「……わかんない」
「あのつまらないガキより速く投げろ」(p164)
「俺は、遠くに行かなければならないから、もう会えない。……でも、つまらん人間になるな。もし惨めになっても、いつか見返せ」
僕がそう言うと、子供は頷いた。子供は僕の手を握ることはなかったが、帰る途中、コートの端をもう一度つかんだ。
「取りあえず、服を買え。……ちゃんとした服を」(p165)
「僕」は、スリという行為を「あらゆる価値を否定 -
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Posted by ブクログ
「あなたが殺したのは間違いない⋯⋯そうですね?」
殺人犯「木原坂」を取材する「僕」。
冒頭で、木原坂が人を殺したんだなってことが分かる。その後も、姉への手紙、僕の取材記録、何者かと木原坂の文通を通じて、姉の存在、友人や人形師の存在、写真家としての木原坂、火事の話⋯少しずつ情報が小出しにされる。その塩梅が実に絶妙。
姉も僕も木原坂もなんか危うい。言動も行動もどうにもおかしい。ミステリアス?いやもう、出てくる人全員変人です。
全編を通じて温度はなく、湿度を感じる。明るさはないが不思議と視界はクリア。なんかひんやりした地下室みたいな話でした。
オチは⋯なるほどそういうことか⋯と納得。こんな薄い本に -
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購入済み
まさに今を捉え絶妙な展開の傑作
いま考えられている最新の科学、宗教、国際政治の
知見を土台に、まさに今読みたい「物語」になっている。
展開がスリリングで、反権力側も権力側も、またさらに
細かく多数の者たちの思惑が干渉しあって先が読めない。
ラプラスの悪魔でもなければすべては見通せない。
リラックマ、子育て侍、ネット環境のまさに今の平和、
チェ・ゲバラ、ドストエフスキーなどが併存する。性的
描写も秀逸。世界や人類史といった大きなものを描ける
と同時に今を生きる個人の内面もよく描けている。
4人の男女は、闇ばかりでなくそれぞれに光を有して
いる。権力側も反権力側も、善のみ悪のみで純粋に存在
はせず、決着も、さらなる不幸を食 -