中村文則のレビュー一覧
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スリをしながら生きる主人公が、過去に、ある男達の強盗の補助をする
その時の元締め木崎に3つの仕事をするよう脅される
孤独な主人公が行くつく先はー破滅か
主人公にとって生きている世界は硬く強固で、縛りのあるもののようで、他人の物を盗む行為だけが周囲を流れるあらゆるものから自由になれる、暖かで確かな温度をもったものだった
スリをしながら退廃的に生き、自分の人生において消えてほしくないものがあり、消えてほしくない人間のことを想っている
主人公の心の中に現れていた塔
あらゆる価値を否定し、あらゆる縛りを虐げる行為の象徴
「全身の力を使い、コインを指で挟んだ。遠くには、高く立つ、霞んだ塔があ -
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テスカトリポカを読んだ時も感じたけど、残虐な行いの背景に「神」だとか「運命」だとか書かれていると、不思議と神秘的な思いにとらわれ、善悪の境界があいまいになる。
今回も木崎のセリフでそのように思った。
スリは犯罪と重々承知だが、スリの技法の部分がとてもスリルがあって楽しかった。
失敗するかもしれない時、「僕」がとっさの判断で相手にスキを与え、結果スリに成功する描写がとてもワクワクした。「僕」は天才スリ。土壇場にどう切り抜けるかの引き出しを沢山持っているのだろう。
そもそもの主題「運命とは?」に関しては、全くピンとこない。あの少年を守りたくて木崎の要求を飲まざるを得ず、木崎が想定以上のワルで単に騙 -
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硬軟織り交ざったエッセイと、新聞雑誌等に寄せてきたさまざまな政治・社会批評が集められたもの。中村文則はあとがきを書く方なので、各作品に込められた想いだったり、特に初期作品では著者自身の何かを濃厚に抽出していたりするので、本人の内面を含めて想像している部分がたくさんあったが、やはりエッセイという形はよりその人の色々な側面や感性を知ることができて面白い。若い頃に太宰、ドストエフスキーにガツンとやられたという点は私も同じなので共感するところも多かった。
文学とは何か、という問いに対する答えとして、
「そこに書かれた言葉の意味の全体で、その全体以上のものを表現しているのが文学」
という定義は、昔 -
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掏摸か…漢字読めんかったけど(^◇^;)
ほぼ両利きとは、掏摸の為に生まれたような…
しかし…
そんな世界にずっと生きてきて、なにを思うんやろうな…
それも、モロに一匹狼みたいな。
仲間いた時代もあるにせよ。
どこにも、属さないのは、どこからも、左右されないことで、自由なんかなぁ…
でも、属さないのは、利用もされやすい。
この人の人生は、何やったんかな?
一匹狼みたいで、結局、属さない世界からの掌コロコロみたいな。
もっと生への執着ないかと思ってだけど、やはり、人との繋がりが…
最後の500円の効果(硬貨やない)が、あったらええかな…
これ描く前に、「旧約聖書」読んでたみたい。それか -
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死刑判決を受けたカメラマンの取材のお話
以下、公式のあらすじ
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「僕はあなたについての本を書くと決めたのです」
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。事件の全貌及び被告の素顔をあぶり出し、ノンフィクション作品として刊行することを出版社から依頼されたからだ。
被告の職業はカメラマン。その才能は海外からも高く評価されるほどのものだが、被写体への異常なまでの執着が乗り移ったかのような彼の写真は、見る物の心をざわつかせた。
彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けている。だが、何かがおかしい。調べを進めるほど、事件への違和感は -
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クスッと笑えるエッセイも入っていて良いのだが、なんというか自分の経験から笑えるエピソードを真面目に実直に書き出しているという感じがする。
時にアダルトビデオの話題まで出しつつ、でもそれが自分の下品な部分を曝け出している感じでは必ずしもなく、クスッと笑えるエッセイとして素材を真面目に提供して書いているという印象を受ける。良くも悪くも器用でない感じに。そういうところが好きかもしれない。
政治スタンスについても明確。これまた良くも悪くも。エッセイとして読んで面白いわけではないけど、そういうスタンスを自分なりに持って、作品の中にもこめている。そういう姿勢自体が、やっぱり真面目でいいな、と感じた。 -
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若林さんは不思議な人だ。
めっちゃ自意識過剰で自己防衛本能が強くて、見栄っ張りでカッコつけ。本音は言わない。
だけどスッと人の懐に入ってくる可愛げもあるんだなぁ。
この本では、若林さんのそんな部分が遺憾無く発揮されていて、終始ほっこり見守る気持ちで読むことができる。
人が死ぬ本ばっかり読んでたアタマが癒される〜。
私が好きなのは、羽田圭介さん&藤沢周さんの回。
この回は、若林さんが話すボリュームも多くて、羽田さん、藤沢さんとの相性の良さを感じる。話してることもほどよくカタくて、良い意味で、男同士っぽい感じ。小気味よくてずっと読んでたい。一冊丸ごとコレでもいいなぁ。
あとは角田光代さん -