中村文則のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中村文則の長篇。
2009年刊行。大江健三郎賞受賞作。
東京を拠点に活動するスリ師の西村は、街行く金持ちから気まぐれに財布を盗む生活を続けていた。
彼は天才的な技術を持ちながら、行為にも人生にも目的がなく、ただ日々を消費していた。
ある日、西村はスーパーで万引きする親子を見掛ける。母親が幼い息子に万引きをさせていて、それをGメンに見つかっていたところだった。
気まぐれで親子を助けた西村は、以降二人と関わっていくことになる。
そんな中、西村にとって最悪の過去をもたらした謎の男、木崎と遭遇する。
木崎は、西村にある3つの仕事をこなすように依頼する。さらに仕事を断っても、失敗しても西村とあの親 -
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Posted by ブクログ
クスッと笑えるエッセイも入っていて良いのだが、なんというか自分の経験から笑えるエピソードを真面目に実直に書き出しているという感じがする。
時にアダルトビデオの話題まで出しつつ、でもそれが自分の下品な部分を曝け出している感じでは必ずしもなく、クスッと笑えるエッセイとして素材を真面目に提供して書いているという印象を受ける。良くも悪くも器用でない感じに。そういうところが好きかもしれない。
政治スタンスについても明確。これまた良くも悪くも。エッセイとして読んで面白いわけではないけど、そういうスタンスを自分なりに持って、作品の中にもこめている。そういう姿勢自体が、やっぱり真面目でいいな、と感じた。 -
Posted by ブクログ
【全体の感想】
中村文則さんの作品においては共通だが全体的に暗い。しかし人生の影に目を向けることによって、より光が際立つ。本作を読み終えた後、「他人に人生を支配される≒定められた運命に従って生きるしかない」といった理不尽がこの世に確かに存在していること、そしてそれを自覚したうえでどう生きるか。そういったことを考えた。自分の人生の行先が既に決まっているのだとしたら、これからの生き方は変わるのだろうか。積極的ニヒリズムという考え方があり自分はそれが好きなのだが、この場合で考えると「人生の行先が決まっていても決まっていなくても、無価値であることに変わりは無い。ただそこに自分なりの価値を創り出すことは -
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Posted by ブクログ
若林さんは不思議な人だ。
めっちゃ自意識過剰で自己防衛本能が強くて、見栄っ張りでカッコつけ。本音は言わない。
だけどスッと人の懐に入ってくる可愛げもあるんだなぁ。
この本では、若林さんのそんな部分が遺憾無く発揮されていて、終始ほっこり見守る気持ちで読むことができる。
人が死ぬ本ばっかり読んでたアタマが癒される〜。
私が好きなのは、羽田圭介さん&藤沢周さんの回。
この回は、若林さんが話すボリュームも多くて、羽田さん、藤沢さんとの相性の良さを感じる。話してることもほどよくカタくて、良い意味で、男同士っぽい感じ。小気味よくてずっと読んでたい。一冊丸ごとコレでもいいなぁ。
あとは角田光代さん -