中村文則のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ついに!!
中村文則さんの全作品を
コンプリートしました!!
最後の一冊を読み終え…
本をそっと閉じた瞬間
胸の奥から込み上げてきたのは
言葉にできないほどの大きな達成感と
中村文則さんの魂に伴走し続けたという
至高の幸福感でした
デビュー作から今日に至るまで
人間の脆さ、悪意、そしてその最果てにある
微かな光を剥き出しの言葉で描き続けてくれた
中村文則さん!
中村さんの紡ぐ言葉は
いつも私の心の奥に眠る「何か」を
激しく揺さぶり
世界の不条理と向き合う強さをくれました
全作品を読み終えたいま…私の心の中には
中村さんが築き上げた壮大で深い文学の地図が
くっきりと刻まれています!!
そしてその記念すべきコンプリートの瞬間を
目眩がするほどの圧倒的な熱量で
彩ってくれたのが稀代の傑作『教団X』でした
ページをめくった瞬間から
中村さんにしか創り出せない
混沌と狂気が渦巻く世界へと
引きずり込まれました
二つの対立する教団、運命に翻弄される若者たち
そして全編に漂う、息が詰まるような絶対的な
悪の気配…
それは私たちが生きるこの世界の
歪みそのものであり
人間の本能や性と暴力の限界を問いかける
あまりにも生々しい人間賛歌でもありました
「私たちはこの残酷な世界で
何を信じて生きていけばいいのだろう…」
宗教の内実を緻密に描きながら
物語の底流で語られる宇宙論、運命論、
そして神の不在
知性を刺激する凄まじい言葉の奔流に
ただただ圧倒され続けました!
これほどまでに純度の高い
そして劇薬のような文学を
コンプリートという最高の瞬間に
五感で味わえたことは
私にとって奇跡だと思います!!
中村文則さんという唯一無二の才能に出会い
そのすべての言葉を心の血肉にできたこと…
本を愛する人間として
これ以上の幸せはありません!!
この深い余韻を噛み締めながら
これからも彼の言葉をお守りのように胸に抱いて
私は私の人生を “ 共に生きていきたい ” と
思います♡ -
Posted by ブクログ
ネタバレ2日で読破。中村文則ワールドに魅力された。
ジャンルの総括でいうと文学ミステリーとでもいうのだろうか。なんとも形容し難いがやはり中村文則さんの文章には毎度魅力される。
最終的に最後の章以外「僕」と「編集者」で作り上げられた資料を挟む形の小説を読まされていたのだと気づく形で落ちる。そしてそれは写真家と元恋人へ贈られるものだとも。
「僕」「きみ」という人称の乱用や時系列の乱れ、資料は誰宛に送られたものかなど振り返りながら本を読み進めたが、そうしていくうちにどっぷりと世界観に浸かった感覚に陥った。亜希子のいう「自分の人生の時間を、何かの中に浸らせる」行為であったと思う。
文句なしの星五だと思いながら読み進めていたが、最終章での伏線回収によるミステリー感とそれ以前の小説との乖離が違和感になり星四に。でも素晴らしかった。
これで中村文則さんの作品は四冊目。何故こんなにも魅力されてしまうんだろうかと考える。文学的でありながら口語が多く読みやすいのが理由のひとつに挙げられる。それと同時に文章自体に色や湿気を纏ったような情景描写がお気に入りなのかなとも少しだけ思う。 -
Posted by ブクログ
何が善で何が悪か
何千年も前から持ちかけられるこの問いに正解はないんじゃないか ふと思ってしまった。
試験などもありまとまった読む時間取れず
約1週間で読破
私は常に逸脱“は”しないようにという指針で生きてきたので全く持ち得ない価値観の物語であった。
これを読まずに生きていくと一生持ち得ない価値基準であっただろう。
誰かの人生を掌握する快感 自分の行動が日の目を浴びる快感 失敗できない緊張から得る快感
少しわかってしまうのが怖く、のめり込むようになった。
少年からして主人公は生きる術•居場所•優しさを教えてくれた人であるが彼が公的に世の中に出る時は極悪犯となるだろう。そこに生まれる齟齬が社会でありいい意味でも悪い意味でも単純な物は存在し得ないのだなと感じた。
王国 読みたい。 -
Posted by ブクログ
ずっと積読状態だったので、読んでみた。
主人公は天才スリ師。
身なりのいい人間をターゲットに、息をするように財布を盗み、中身のお金を抜き取る。
目的も生き甲斐もなくスリをし続けるだけの生活をしていく中、木嶋という謎の男に目をつけられる。
木嶋は、目的を果たさなければ自分を〇すという。
絶体絶命の中、彼は生き延びることができるのか?
あらすじだけみると大層派手な展開を期待しますが、作風はどちらかというと静かです。
スリの動作一つ一つや、その瞬間瞬間の心の揺れがとても具体的に描かれて、派手では無いけど読んでいて緊張感があり、肩に力が入りました。
木嶋という男が、世の中の底が見えない闇のような存在で、彼については全てが不明。
そんな恐ろしい存在から、訳がわからないまま命だけが握られた状態で指示を受ける主人公に、同情しました。
今作については、世界線が一緒?の作品があるとのこと(王国)なので、是非読んでみたいです。 -
Posted by ブクログ
大きな物語の途中からの話を読んでいるようだった。しきりに女の人の名前(忘れちゃった)のことを思い浮かべながら自分の現在の言動について向き合ってる描写があった。あとがきにあったように16章が物語の中核になっていたみたい。あの「塔」の存在は大人になってからはその女の人と照らし合わせていたのかな。「光が目に入って仕方ないなら、それとは反対へ降りていけばいい」割り切った生き方、だけど生きることへの強い渇望を感じた。掏摸に特化しているが、この主人公はきっと頭が切れるし器用で非常に優秀な人なんだと思う。その方向性が「反対へ降りていけばいい」にとことんなんだと思う。木崎?が言っていたように、強盗にも位があってバカじゃできない。悪いこととわかっているし、罪悪感もない、「子供」のような環境や育ちだったらその道に足を踏み入れ兼ねない。情が働いていた。終わりには希望の光が差すような、主人公らしくないのからしさ全開なのか、絶望的な状況だが、まだやり残したことがあるかのような生きることへの希望。
-
Posted by ブクログ
スリをしながら生きる主人公が、過去に、ある男達の強盗の補助をする
その時の元締め木崎に3つの仕事をするよう脅される
孤独な主人公が行くつく先はー破滅か
主人公にとって生きている世界は硬く強固で、縛りのあるもののようで、他人の物を盗む行為だけが周囲を流れるあらゆるものから自由になれる、暖かで確かな温度をもったものだった
スリをしながら退廃的に生き、自分の人生において消えてほしくないものがあり、消えてほしくない人間のことを想っている
主人公の心の中に現れていた塔
あらゆる価値を否定し、あらゆる縛りを虐げる行為の象徴
「全身の力を使い、コインを指で挟んだ。遠くには、高く立つ、霞んだ塔があった。」
私には、主人公が硬く強固だった世界に抵抗し、挑んだように感じた
⋯生きていてほしい、と願わずにはいられない
-
Posted by ブクログ
テスカトリポカを読んだ時も感じたけど、残虐な行いの背景に「神」だとか「運命」だとか書かれていると、不思議と神秘的な思いにとらわれ、善悪の境界があいまいになる。
今回も木崎のセリフでそのように思った。
スリは犯罪と重々承知だが、スリの技法の部分がとてもスリルがあって楽しかった。
失敗するかもしれない時、「僕」がとっさの判断で相手にスキを与え、結果スリに成功する描写がとてもワクワクした。「僕」は天才スリ。土壇場にどう切り抜けるかの引き出しを沢山持っているのだろう。
そもそもの主題「運命とは?」に関しては、全くピンとこない。あの少年を守りたくて木崎の要求を飲まざるを得ず、木崎が想定以上のワルで単に騙されただけの話に思う。
最後に、500円硬貨を放って通行人に気づいてもらい、どうか「僕」の命が助かって
あの少年と再会してほしい。そして、少年の母にこれっぽっちの同情はない。
続編のような形で「王国」という小説があるのをあとがきで知ったが、読んでみたいけど木崎がむかつきすぎてどうしようか迷っている。
以下印象に残ったセリフを記録しておく。
「その後に自分が死ぬのは明らかで、僕はなぜか、そうなりたくないという、強い思いに囚われていた。何が自分を引き止めるのはわからなかったが、失敗を避けて動いたこと自体、自分がこの世界の何かに、執着しているのを意味した。」 -
Posted by ブクログ
硬軟織り交ざったエッセイと、新聞雑誌等に寄せてきたさまざまな政治・社会批評が集められたもの。中村文則はあとがきを書く方なので、各作品に込められた想いだったり、特に初期作品では著者自身の何かを濃厚に抽出していたりするので、本人の内面を含めて想像している部分がたくさんあったが、やはりエッセイという形はよりその人の色々な側面や感性を知ることができて面白い。若い頃に太宰、ドストエフスキーにガツンとやられたという点は私も同じなので共感するところも多かった。
文学とは何か、という問いに対する答えとして、
「そこに書かれた言葉の意味の全体で、その全体以上のものを表現しているのが文学」
という定義は、昔社会学を学んでいるときに「社会とは単に人が集まったというだけではなく、人の集合に何かがプラスアルファされているものであり、そのプラスアルファが何かを研究するのが社会学である(だから家族社会学、教育社会学、犯罪社会学など◯◯社会学とはプラスアルファを◯◯の視点から捉えようとするものといえる)」と説明していた先生がいてわかりやすくて印象に残っていたが、それと並ぶ簡潔さ。忘れなさそう。
中村文則作品、まだまだ未読作品多いので読み進めていきたい。 -
Posted by ブクログ
死刑判決を受けたカメラマンの取材のお話
以下、公式のあらすじ
---------------------
「僕はあなたについての本を書くと決めたのです」
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。事件の全貌及び被告の素顔をあぶり出し、ノンフィクション作品として刊行することを出版社から依頼されたからだ。
被告の職業はカメラマン。その才能は海外からも高く評価されるほどのものだが、被写体への異常なまでの執着が乗り移ったかのような彼の写真は、見る物の心をざわつかせた。
彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けている。だが、何かがおかしい。調べを進めるほど、事件への違和感は強まる。そして、関係者たちの精神的な歪みが「僕」をのみ込んでいく。
彼は一体なぜ、女たちを殺したのか? それは本当に殺人だったのか?
何かを隠し続ける被告、男の人生を破滅に導いてしまう被告の姉、大切な誰かを失くした人たちが群がる人形師。それぞれの狂気が暴走し、事件は混迷の度合いを深めていく。
事件の真相に分け入った時に見えてきたもの、それは――?
日本のみならず世界がその動向に注目する中村文則氏、渾身の書き下ろし小説!
---------------------
芥川賞作家が書くミステリだけあって、何と言うか文章に人の愚かさや繊細さや狂気など様々な業を感じる
まぁ、登場人物の殆どが狂気じみた人達ばかりなんだけどね
所々でミステリ特有の違和感があって、終盤で一気に明かされる
ただ、終盤の怒涛の種明かしはもうちょっと工夫ができたのではと思う
本自体の「仕掛け」はあとがきまで読んで改めてなるほどと思った
気づかないものですねぇ
普段は献辞ってあまり気にせずに読んでしまうなぁ
あと、映像化しているけど、どうやって?という疑問
多分、完全に同じようには映像化できないので、改変されてるのでしょうねぇ