中村文則のレビュー一覧

  • 教団X

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    宗教とは、国とは、運命とは

    私も思想信条をしっかり持ちたい
    ーーー
    以下抜粋
    悪はどこにあって、誰が引き受け、どうやったら終わるのだろうか。

    我々は、我々の物語を生きるために生きている。無数の物語を、我々はこの世界に発生させ続けているのです。そしてその物語に優劣はない。

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    2026年08月06日
  • 掏摸

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    人生で初めて読んだノワール作品。

    無駄を省き、主人公の目線から描かれている作品で、名作と呼ばれるのも納得できる。ただ、個人的にはあまり肌に合わず、評価は低め。

    序盤は、主人公の掏摸としての卓越したスキルが描かれており、物語にも入りやすかった。
    中盤では、主要人物である木崎との出会いが描かれ、物語が大きく動き始める。
    終盤は、木崎から与えられた三つの指令を軸に、まるで悲劇的序曲のような物語が綴られていく。
    そしてラストは、さまざまな含みを持たせた終わり方で、読後に考えさせられるものがあった。

    ハラハラ、ヒリヒリする展開で、スリの描写もリアルに感じられた。実際にスリをしたことがないので本当のところはわからないが、細部まで丁寧に描かれており、臨場感も十分。作品としての完成度の高さは感じた。

    ただ、自分がノワール作品そのものを苦手としているのか、個人的にはあまり刺さらなかった。
    それでも、ラストでは独特の世界観に引き込まれた、主人公や木崎がどうなっていくのか…

    [王国]も読んでみる事にする。

    主人公は間違いなくカッコいい。

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    2026年07月28日
  • 掏摸

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    作中に出てくるスリの描写が妙にリアルで生々しかった。
    案外こういったものが実写向きなのかもとも思った。

    東京を仕事場にする天才スリ師。
    ある日、彼は最悪の男と再会する。男の名は木崎。
    かつて仕事を共にした闇社会に生きる男。
    木崎は彼にこう言った。
    「これから三つの仕事をこなせ。失敗すればお前を殺す。
    逃げればあの女と子供を殺す」と。
    運命とは何か、他人の人生を支配するとはどういうことなのか、
    そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは。

    なかなか、後味はよろしくない内容。
    重いともまた違う、どこかノワール気味なそんな雰囲気の作品か。
    ラストまで緊張感は続くのだが、
    明確な答えのようなものは提示されないので
    そこはモヤっとしたまま結末を迎える。
    そういった意味では人を選ぶ作品と言えるかもしれない。

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    2026年07月08日
  • 去年の冬、きみと別れ

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    中村文則が評価される理由って、多くの場合は

    * 人間の破壊衝動
    * 支配と被支配
    * 執着
    * 孤独
    * 死への誘惑
    * 善悪では割り切れない暗い感情

    を、異常なほど生々しく言語化するところにある。

    あなたが最初に衝撃を受けた『土の中の子供』なんかはまさにそれで、ストーリーよりも「人間の暗部をどう描くか」が中心にある。

    『教団X』も良くも悪くもそっち側。

    だから、

    登場人物の持つ、何か特定のものや感情への依存、狂気に、その言語化や文章力に、とても衝撃を受けました。

    という感想は、中村文則を好きになる人の典型的な入り方だと思う。

    一方で『去年の冬、きみと別れ』はかなり「エンタメ寄りのミステリー」なんよ。

    どんでん返しや構成の巧みさが前面に出ていて、

    * 人物の内面を深く掘る
    * 狂気を言語化する

    よりも、

    * 読者を騙す
    * 真相に導く

    ことが目的になっている。

    だからあなたが

    私の消滅の少し柔らかいバージョン

    と感じたのは結構本質を突いている気がする。

    『私の消滅』もどんでん返し系だけど、あちらは「自我とは何か」という不気味さや哲学的な気持ち悪さが最後まで残る。

    『去年の冬、きみと別れ』はもっと純粋にサスペンスとして読ませる作品やから、中村文則に求めていたものと少しズレていたんやと思う。

    あと、

    大切な人の復讐という展開がワンパターンだなと思ったかもしれません。

    これも分かる。

    中村文則ってしばしば

    * 誰かを救いたい
    * 誰かのために生きたい
    * 誰かのために壊れる

    という構図を書くんやけど、『去年の冬、きみと別れ』はそこが比較的ストレートなんよね。

    『土の中の子供』や『教団X』みたいに、

    「そもそもこの人は何を求めているのか」
    「善人なのか悪人なのか」

    が曖昧な不気味さが少ない。

    だから予想外の真相はあっても、読後の不穏さや後味の悪さは弱い。

    ただ、あなたの感想の中で一番興味深かったのは、

    途中、何もかも憂鬱な夜にを読んだ時のような、少し柔らかい、暖かい気持ちになりました。

    という部分。

    中村文則は暗い作家と思われがちやけど、実は根底にはかなり強い「人間への信頼」がある。

    『何もかも憂鬱な夜に』もそうやし、『去年の冬、きみと別れ』もそうやけど、

    どれだけ壊れた人間を書いても、

    「それでも誰かを思う気持ちはある」

    という方向に着地することがある。

    だから『土の中の子供』や『教団X』で感じた衝撃とは別の、中村文則のもう一つの側面を見たのかもしれない。

    むしろあなたの場合は、

    * 『土の中の子供』
    * 『私の消滅』
    * 『教団X』

    あたりがかなり刺さりすぎたせいで、

    『去年の冬、きみと別れ』を一般的な読者より高いハードルで読んでしまったんじゃないかな。

    「面白くなかった」のではなく、

    「中村文則に期待していた種類の面白さではなかった」

    という感想に近い気がした。

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    2026年06月20日
  • 掏摸

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    エンタメ要素があり驚いた。主人公は繋がりが欲しかったのだと思う。掏摸をすれば、かまってくれる、元の所有者と同じ感情を味わえると幼少期に思ったのではないか。掏摸を続けていくうちに、依存症になったのだと思う。主人公が最後に、出会った子供のことを考えていたのは感慨深い。ようやく、繋がりを得られたのではないかなと思う。王国もいつか読んでみようと思う。

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    2026年05月25日
  • 掏摸

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    盗むことで生を実感する、そんな男が裏社会と関わり巻き込まれる、そんな話。階層社会において”運命”とはなんだったのか、彼は抗っていたのか、それとも諦観していたのか。
    『掏摸』というタイトルに惹かれ、初めて中村文則を読んだが、描写が繊細で、催眠術にかけられた自分が掏摸をしたかのような、そんなリアリティのある表現だった。全ての登場人物の「その後」が気になる作品であった。

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    2026年05月17日
  • 去年の冬、きみと別れ

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    ネタバレ

    初めての作家さん。「こんなに薄いミステリーあるんだ!?」と驚いて手に取った1冊。物理的に薄いけど、狂気的な人物が多くて濃度の高い作品だった。ちょっと純文学の要素が強めかも?

    真犯人と木原坂は、対象に対して「自分が見えていない部分があることに不満(不安?)を持つ」という点で結局似たもの同士だったのかな、と思う。

    本文でタイトルが回収される瞬間はやっぱり心地いい。

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    2026年05月10日
  • ご本、出しときますね?

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    あなたのマイルールは?っていう質問が出演者にたいして投げかけられるのだけど、これが面白い。とても一般的なことを答える方もいれば、え?それってどういうこと?と答えるような内容もある。ただ、どの回答も、よくよく話を聞くと、なるほどそうか。と思う内容で、上っ面でなくきちんと腹に落としたマイルールがあることがすごいなと。
    こうしたルールは最初からあるのではなくて、インタビューや内省の過程で形作られているんだろうけれど、きっと作家さんというのはそういう過程をごく自然なこととして普段からされているんだろうな感じたし、その過程と表出した事柄が、私の関心ごとなんだな。って気づけた。

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    2026年03月21日
  • 去年の冬、きみと別れ

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    ネタバレ

    2人の女性を焼き殺した罪に問われている木原坂雄大と、その事件を本にしようとしている主人公のやり取りを軸に、取材の様子が主人公の一人称で語られていき、随所に木原坂からの手紙や被害者のTwitter文面が資料として挿入されていく。読者は読み進めるに従って徐々に真相に近づいていくが、主人公の文章はあくまで取材記録の体を成しているため、主人公の心情を通してではなく、読者も資料を見て事件の真相に気づくというのが面白い試みだと思った。結局、この構成自体が、木原坂に全て暴露するための本そのものだったという大きな仕掛けがあったのだが、現実の小説をも物語の中の小道具の一つにしてしまう手法には感心した。木原坂は主張どおり、直接手を下してはおらず、2人目の事件は完全に仕組まれたもので、しかも被害者は姉。その首謀者が1人目の被害者の恋人であり、かつこの本の編集者という、複雑な叙述トリックだが、個人的には、もっと淡々とした感じでストーリーが進んで最後にひっくり返るという構成も見てみたかった印象がある。

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    2026年03月21日
  • ご本、出しときますね?

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    ネタバレ

    作家から入るのも良いものですなぁ。本を読んでみたくなった作家さんは村田沙耶香さん、海猫沢めろんさん、中村航さん、光浦靖子さんの4人。セクハラに寛容な村田さんは、だいぶん変な人ですね。角田さんは今までのエッセイからは分からなかった愛らしさで、見る目が変わりました。ズキュンときます。番組は終わってしまったようですが、一度くらい観てみたかった。若林さんの表紙につられましたが(そもそも若林さんが読書家だとは、初耳)予想外に良い本でした。

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    2026年03月18日
  • 掏摸

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    終始、うす暗い雰囲気のまま展開するお話だった。映像化はされてないようだがイメージが出来る。
    文章に全く無駄がなく、ひと文字も逃せない文体は自分好み。
    悪人を主人公にして社会を風刺するのはピカレスク小説って言うんですね。知らなかった。
    「王国」も読みたい本に登録しておきます。

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    2026年03月12日
  • 掏摸

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    天才掏摸師の最後は…

    生まれた時に、全ては決まっている…
    子供の頃は、何か正しいのか、間違っているのか
    裕福なのか、極貧なのか、わからない

    でも、生きていくためには必要なことがある…

    ある日、「最悪」の男と再会、闇社会に生きる男

    簡単だ、3つの仕事をこなせ

    あの時見た、塔はなんだったんだろう…

    運命、社会、悪、、、

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    2026年03月07日
  • 掏摸

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    ネタバレ

    全体的に薄暗く救いの無いストーリーで読後感が悪く、憂鬱な気分になりました、、
    時系列がぐちゃぐちゃだったり、主人公の錯覚で描写が変わったりでところどころついていけなくなりました。
    主人公だけでなく周囲もヤバいやつが多く人間らしさが感じられなかったですが似た境遇の少年をどうにか掏摸の世界から抜け出させようとしている主人公の姿に唯一人間らしさを感じました。

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    2026年03月01日
  • 掏摸

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    はじめて読んだ作者の本。手に取るようにわかる詳細が不思議だった。昔の作品じゃないみたい。あっというまに読み終わってしまった。

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    2026年01月21日
  • 掏摸

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    ネタバレ

    主人公の男にとってはスリが当たり前のこととして描かれていて、スリ師という影の生活を覗き見たような感覚に陥りました。自分にとっては関わりのない職業?のはずなのに、この世界には確かにそんな裏社会で生きている人もいるのだと思うと恐ろしくなります。自分の見えない世界だからといって存在しないということではなく、確かに存在はするけど自分が見ようとしていないだけなのかも知れないと思いました。

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    2025年12月21日
  • 掏摸

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    ネタバレ

    今までの自分の読者傾向をもとに、チャットgpt から強烈におすすめされて本だったが、微妙だった。確かに、木嶋とその組織の正体が謎である終わり方もいいと思うし、むしろこの小説にミステリー要素を求めるのはナンセンスなのだろうが、それは読んだ後にわかることで、若くて刺激を求めてしまう自分にはどうしても物足りなかった。やっぱり、主人公の過去、組織の正体、社会体制、構造反転など壮大なものを期待してしまった。この小説の冒頭の私小説的な件も「しゃべり始めたな」と正直思ってしまった。あとがきも真っ直ぐな言い訳を聞かされているようで惹かれなかった。自分は寡黙の美学のようなものを作者や芸術に求めてしまうのかもしれない。

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    2025年11月19日
  • 去年の冬、きみと別れ

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    ほんまに中村文則ってやばい。
    完全に人生を間違えてしまった我々のことも思い出して欲しい。> <
    最初からオチが読めたりはしないけど分かりやすい

    教団Xみたいな完璧で美しい狂人みたいな人は意外と出てこなかった、。

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    2025年11月12日
  • ご本、出しときますね?

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    村田沙耶香さんのインタビューを読み漁っていたところこの番組を知り、当方リトルトゥースでもあるので是非観てみたいと思い、映像を探していたら書籍化されてるとの事で読みました。
    若林さんと仲の良い西加奈子さんや朝井リョウさんのインタビューも載っていてとても面白かったです。

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    2025年11月09日
  • 教団X

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    ネタバレ

    前半は官能小説のような感じでした。性行為を重んじる宗教が2つある。松尾の宗教と、沢渡の宗教。結局は、国家がアピールをするために悪者とされている沢渡の教団Xにに攻め入ろうとするが、教団Xはほとんど悪いことをしていない。先に攻めたのは国家である。どうしても国家は教団Xを悪者に仕立て上げたいがために、テロを起こすように仕向ける。結局テロは起こらず、国家が信頼を落とすという結末。宗教の話には、政治が絡むんだなと思った。

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    2025年09月21日
  • 教団X

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    殺伐としていて、面白くはないけれど
    変に重たいリアリティがある。
    作者が見ている、この世界の形がくっきり描かれている。
    宇宙論、宗教論、世界を支配する仕組み。
    陰謀論めいているけれど、きっと現実世界に近いのだろうと感じる。
    そうでないほうが、絶対にいいけれど。
    恐ろしい世界に対抗するには、飲み込まれないようにするには、
    松尾さんみたいに考えること。生きること。

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    2025年08月12日