• 教団X
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    壮大な作品

     久々にスケールの大きい作品を読んだと思った。又吉氏が勧めているから気軽に手を出す人が多いようで、レビューを見ていると過激な性描写に嫌悪を抱く読者が見られたが、この作品はそんな一点に立ち止まって評価すべきではない。描写や教団の異質性にばかりに囚われず、作中にひしめき合う複数の群像や視点やテーマに心を向けて読んでみるといいと思う。エンターテイメント作品というよりも、これは壮大な哲学・文学作品だ。
     生きるとはなにか。平和とはなにか。安保に揺れる渦中の今、一層私の心には多くのものが飛び込んできたように思った。多くの人に読んで欲しい傑作。

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    2015年10月09日