桜庭一樹のレビュー一覧
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ネタバレヴィクトリカと久城のコンビ2作目。
この二人のコンビの微笑ましいこと。自然と笑みがこぼれます。
物語は微笑ましくはいきません。
今回はヴィクトリカの母の冤罪を晴らすため、ヴィクトリカは小さな村へと行きます。勿論、久城が黙って見送るはずがありません。二人が向かった村は時代に取り残されたような閉鎖的な村で、そこでまた新たな事件が…という話。
事件については特に驚く展開ではありませんでした。
が、ツボだったのは村の儀式で久城とヴィクトリカが同じ質問をしたこと。
素っ気なくみえてヴィクトリカも久城のことを大切に思っているのね。だから久城が落ちそうになった時、必死に手を伸ばして助けようとしたのでし -
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ネタバレ第1部が長くていちばん描写が丁寧で、途中まで、ドイツのマリーが主人公かと勘違いしてしまうほどだった。
でも読み進めていくとセーラー服の日本人の女の子が出てきて、それが、時空を旅してるヒロインの女の子(青井ソラ)だってことが途中からわかって、おもしろかった。
マリーの境遇も去ることながら、全体的にずっと憂鬱感があって、物語に勢いのようなものがあるわけではないのに、読むのをやめられないおもしろさがあった
ケータイもパソコンもなかった中世ドイツから、AIがもっと進歩してる2022年までを通して、「繋がる」がテーマになっていた。
2022年シンガポールに生きるディッキーが、人との繋がりを実感するこ -
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感受性が豊かで、ガラスみたいに透き通って繊細な時期に出会っていたかった、そういう作品。
私はもう大人で家庭だって持ってて社会人としての経験も人並み…以下かもしれないけどあるわけで、そういう立場の大人が読むと、物足りなさやいわゆる寒さを感じかねない作品ではあった。
けれどもし私が10代で、傷ついていたあのころに読んでいたなら、この作品はかけがえのない物語となって心に残ったと思う。
愛とは何か、この作品に教えてもらうことができたのだろう。
大人なので、このスケールの物語ならもっと長く濃密な形で読みたかったなあと思ってしまった。でももっと年を取る前に読めてよかった。 -
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「赤朽葉家の伝説」のスピンオフ。
丙午(ひのえうま)生まれの赤緑豆小豆がレディース暴走族「製鉄天使」の総長となり世界(中国地方)を統一するという喧嘩上等の暴走族ファンタジー。
アニメっぽい仕上がりを見事に文章だけで表現しているのは本当に素晴らしいし、散りばめられた伏線(いかにもなヒントではなく、あーそういえば的な伏線)や起承転結まとめかたがさすが桜庭一樹。完璧過ぎる。
そして、1980年代の昭和の田舎の暴走族臭プンプン。
「〜してちょ」「〜ぜよ」とか気恥ずかしくなるような懐かしい昭和ワードの連発。
その時代を生きていても、なかなか「やめちくりっ」はさすがに出てこない。これには本当にやられた -
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大人のための童話・お伽話のような芸術作品。装丁も素敵。
「道徳という名の少年」だけど、その生い立ちや背景は、道徳とかけ離れた、醜く美しい背徳の世界。
言葉は少ないのに、的確にテンポよく丁寧に綴られていく。
非現実的でありながらも、異世界に夢のように違和感なくすっと入り込んでいく感じ。
そう、これこそが小さな子どもが純粋に絵本に求めるような読書の世界だったことを思い出した。
久々の桜庭一樹ワールドに短時間だけど、どっぷり浸かってしまった。
生い立ちの設定であったり、名前の付け方であったり、時代や世界観、言葉ひとつひとつの選び方も、独特でとても真似できない。
ストーリーに「タブー」「エロス」 -
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「GOSICK PINK」
NYに到着後、九城の姉・瑠璃の家に身を寄せたヴィクトリカと久城。さっそく外に出てみると、何だか変てこな新大陸の謎たちに遭遇。
アメリカ到着翌日に、瑠璃の息子と大人気ない喧嘩をし、マンホールに落ち、更に団子を食ってしまい連行されるヴィクトリカ。一方、またもやヴィクトリカを見失い、迷子の記事を出してもらった新聞社の採用試験を強引に受けさせられる久城。そんな記念すべき新大陸1日目は、ボクシング世界戦とクリスマス休戦殺人事件が、ヴィクトリカの好奇心を掻き立てる。
新大陸到着早々に巻き込まれるヴィクトリカと九城であるが、遂に、九城の就職先とグレイウルフ探偵社設立の経 -
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ネタバレ女の子たちが檻の中でたたかう『ガールズブラッド』が毎晩、廃校になった小学校で行われています。女の子たちはO嬢で、お客さんは女の子たちが心からも体からも流す血を観に集まってくる、つかのまのステファン卿です。
女の子たちはみんな何かを抱えていながらも、一生懸命生きています。だから、桜庭一樹さんの描く女の子たちは、大好きです。
まゆ十四歳は、“この場所が、居心地悪い。(p58)”と思うと同時に“ここじゃないと生きていけない。(p59)”とも思います。
まゆはずっと、檻の中にいて、閉じこめられなくなってからもずっと、心の中にその檻を持っていました。だから檻の中には、“安堵感と、ずっと近くなった死の