桜庭一樹のレビュー一覧
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ありがちなストーリーも、謎の世界観やら、不思議な語り口やら、妙なキャラクター設定やら、で新しい感じになるんだから不思議だ。
いやまぁ言うほど目新しいわけでもないんだけど、身近な人の死を乗り越えるのに時間がかかってやっと死に向き合って周りの人たちも死を忘れようとしていたけどそれじゃダメなんだと気がついて新しい旅立ちである。
と、略し過ぎだけど、一番辛いのはなみちゃんで、頑張って無理して話しかけたけど酷い扱いを受けて、でもって主人公はまぁ友達を傷つけたけどしょうがないかー、的な。いやこれはなみちゃんの将来が危ぶまれるが、しょせんはメガネの地味な子なのでこの扱いもやむなし。なにしろ美男美女ばかりでて -
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ネタバレなぜ自分がこの作家が好きだったのかよく分かった作品。少女を埋めるでは、考え方や思想が驚くくらい同じでびっくりした。
家父長制に違和感を感じ、従順できずにもがいた女性の話。「女性だからこうあるべき」っていうのに従う方が楽なこともたくさんあると思うけど、そうやって生きることが苦しい生物学的に女である人もいる。
ジェンダーギャップ指数の順位が低い日本の、女性の幸福度は高いときく。男の人に稼いでもらって、奢られたり守られたり、仕事で重い責任を負うより専業主婦が希望って女性も多いだろうから、それを希望する女性にとっては、その生き方はかしこく正しいと思う。でもその生き方を希望しない女性は、煙たがられて排 -
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ここは森の中だろうか?
穴の中にうずくまる動物がいる。裏表紙を開くと小さな赤ちゃんもいてびっくりした。『少女を埋める』は淡いピンク色の本で、厚さや手触りはまるで"日記"のようだ。
『私の男』で著者を知り、上手い作家さんだと思っていたら、第138回直木賞を受賞された。
本書には、著者初の自伝的小説「少女を埋める」と、論争の経緯を綴った「キメラ」、書き下ろし「夏の終わり」の3篇が収録されている。
父の危篤を母より知らされ、7年ぶりにコロナ禍の鳥取に帰省した「わたし」
同じく地方に実家があり、父を看取る経験をした私には、読むのが辛くなる話だった。
「田舎特有の閉塞感、親からの -
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良かった。わたしはやっぱりこのひとが好きだなあ……このひとの文章が好きだ、けど、特に今回は文章、というより「言葉」と、そう言葉にしようとするご本人が、と思った。
それはそうと、桜庭さんの描く地方都市、ものすごく大袈裟に昔のように書いているんだと思って、令和の、しかも歳上のひとたちの会話での言葉選びに心底驚いた。土地、文化、すごい。いや、自分の周りが現代的とは全然限らないんだけど。
わたしは、親の育て方か、環境か、自分の厚かましい性格か、とにかく何かを堪えたり受け止めてもらえないという経験が本当にまったくないなあ、と思った。ありがたいことであると同時に、それに自覚的になるのはとても難しい。だか -
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物語として構築し直されているが、舞台はまごうかたなき我が故郷。ふるさとloveを公言してはばからぬ私には、とても考えさせられた本だった。
モヤモヤのある母と共に、大好きな父を看取る話。それが著者の意図とは違う読解で書評され、評論家やメディアとSNSを通じて闘う話…。
あの町の出身者として、また出版に携わるものとして、また親を看取った経験者として、すべてが身に迫るようでいて、また微妙な立場の違いゆえ居心地悪くもある。
山海に恵まれ、商いも豊か、人の心は大らかで住みやすさバツグン…と喧伝してきたふるさとは、視点を変えればこんなにも狭量な悪意に満ちた旧弊な場所だったか…。友人が「その街というより日本 -
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少女を埋める 自伝的随想
直木賞作家 冬子 7年ぶりの鳥取帰省、40代後半。
入院中の父親とリモート面会するが亡くなる
母の暴力 母の連れてくる疑似家族 母のいちばんの親友はおばあちゃん
血縁者とは拡大された自己:「私の男」のテーマ
母と娘の暴力を伴う愛:「ファミリーポートレイト」のテーマ
キメラ(合成獣) 朝日新聞 C氏の文芸時評
「虐めたね」母の怒りの発作=父への虐待 と解釈
小説の読み方と批評の書き方(読解の自由 解釈は不可分)
「家父長制社会」≒批評 向き合わず自分のコントロール下に
「少女」=異能者、異分子
「埋める」=郷の共同体の掟:出ていけ、もしく