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著者初の自伝的小説集。
因習的な故郷に、男性社会からのいわれなき侮蔑に、メディアの暴力に苦しめられた時に、
「わたし」はいつも正論を命綱に生き延びてきた――
7年ぶりに声を聞く母からの電話で父の危篤を知らされた小説家の「わたし」は、最期を看取るために、コロナ禍の鳥取に帰省する。
なぜ、わたしの家族は解体したのだろうか?
長年のわだかまりを抱えながら母を支えて父を弔う日々を通じて、わたしは母と父のあいだに確実にあった愛情に初めて気づく。
しかし、故郷には長くは留まれない。そう、ここは「りこうに生まれてしまった」少女にとっては、複雑で難しい、因習的な不文律に縛られた土地だ。
何度埋められても、理屈と正論を命綱になんとかして穴から這い上がった少女は東京に逃れ、そこで小説家になったのだ。
「文學界」掲載時から話題を呼んだ自伝的小説「少女を埋める」と、
発表後の激動の日々を描いた続篇「キメラ」、書き下ろし「夏の終わり」の3篇を収録。
近しい人間の死を経験したことのあるすべての読者の心にそっと語りかけると同時に、
「出ていけ、もしくは従え」と迫る理不尽な共同体に抗う「少女」たちに切実に寄り添う、希望の書。
Posted by ブクログ 2022年09月22日
ここは森の中だろうか?
穴の中にうずくまる動物がいる。裏表紙を開くと小さな赤ちゃんもいてびっくりした。『少女を埋める』は淡いピンク色の本で、厚さや手触りはまるで"日記"のようだ。
『私の男』で著者を知り、上手い作家さんだと思っていたら、第138回直木賞を受賞された。
本書には、...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年08月24日
良かった。わたしはやっぱりこのひとが好きだなあ……このひとの文章が好きだ、けど、特に今回は文章、というより「言葉」と、そう言葉にしようとするご本人が、と思った。
それはそうと、桜庭さんの描く地方都市、ものすごく大袈裟に昔のように書いているんだと思って、令和の、しかも歳上のひとたちの会話での言葉選びに...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月14日
父親が余命僅かとの連絡を受け、7年間振りに鳥取に帰郷、そこで、父親を看取りながら、母親との良好とは言えなかった過去が語られる。という桜庭さんの私小説だが、この本では、この表題作「少女を埋める」の雑誌掲載後に起きた論争について、著者自身が書いた文章も一緒に掲載されている。小説の中で、母親がしたとは書い...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年05月19日
物語として構築し直されているが、舞台はまごうかたなき我が故郷。ふるさとloveを公言してはばからぬ私には、とても考えさせられた本だった。
モヤモヤのある母と共に、大好きな父を看取る話。それが著者の意図とは違う読解で書評され、評論家やメディアとSNSを通じて闘う話…。
あの町の出身者として、また出版に...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年04月30日
普通の小説と思って読み始めたものだから、後の展開に影響ありそうなキーワードが、伏線でもなんでもなく置き去りになっていて戸惑う。
ネットで調べて自伝的な小説だと分かり、同時に著者が女性だと初めて知って驚く。
作中、著者による批判の対象が、まさに私の事かと何度もドキっとする。それでいて、著者の考...続きを読む
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