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Posted by ブクログ
奇譚集、と銘打っているだけあって何とも奇妙な感覚をもたらす短編集。ただ設定が異質なのは骨になった男が妻と不倫相手のやり取りを傍観する表題作と、夜のホテルでホテルマンが見た幻の話「五月雨」だけで、他は日常で有り得る話。しかし大学で一目惚れした相手をただ見つめるだけの話「モコ&猫」が、アパートの隣人との交流から己を振り返る「冬の牡丹」が、田舎での地元の子との冒険「赤い犬花」が予想外の歪さを見せてくる。映写機でのフィルムを見せられているような距離感から急に距離を詰めて揺さぶって来る語りがが桜庭さんらしい。「冬の牡丹」「赤い犬花」に漂うどうしようもない切なさが響いた。
Posted by ブクログ
2016年、9冊目はラノベ脱却期の『少女には向かない職業』以来、おそらく、十数年振りの、桜庭一樹。その短編集、6編収録。
モコ&猫:大学生時代の憧れと、恋愛の狭間のようなイビツな想いの回顧譚。いやぁ、自分が、いかにミステリ脳で読んでいたか、というコトを反省させられた。冒頭で気付かされて良かったよ。
このたびはとんだことで:表題作。既に別れた若い浮気相手と正妻の修羅場に居合わせる男の話。コレは展開の予想はつきました。しかし、大オチは上手いと唸ってしまった。
青春のための推理クラブ:ミステリ仕立て。そこで感じた違和感は、その後……。自分のような、桜庭一樹初心者と、フリークとでは感想異なるんだろうな。
冬の牡丹:30代、独身、彼氏なし、一人暮らし、派遣OLの物語。近しい人との疎外感と、思わぬ人との親近感。
五月雨:ホラー・テイスト。ややベタな題材ではある気もするが……。一方で、空気感をココだけガラリと変えるのは、さすが。
赤い犬花:少年の夏休みの1日の冒険譚。絡めてあるのは、二人それぞれが抱える、少し重たい現実。でも、ラストはホッコリ。
見事に6編、方向性の異なるモノを並べてきた。しかも、言葉の紡ぎ方が上手い。句読点、「っ」、「ー」を上手く使って、時にリアリティーを、時にリズムを演出。比喩や描写が実に内容、雰囲気にあった一工夫をしている。会話回しにもセンスが溢れている。
全体として、それぞれ、★★★☆☆~★★★★☆で、大ハズレはない。一方、今回は、今後出会うであろう長編への期待も込めて、少し辛め、★★★☆☆としました。
Posted by ブクログ
「モコ&猫」 ふうがわりな恋。
「このたびはとんだことで」 浮気、特殊な語り手、奇譚。
「青年のための推理クラブ」 ヴァーチャルな友情。
「冬の牡丹」 娘と(仮想的な)父。本書一番の力作か。
「五月雨」 伝奇。Vハンター。
「赤い犬花」 夏休みの少年たち、その背後にあるのはマチズモに潰された少女。ジュブナイル。
わが生涯ベストに入る「青年のための読書クラブ」のプロトタイプはもちろんのこと、
作者の多様さが感じられる短編集。どれもよい。
単行本「桜庭一樹短編集」とは並びが異なっている。
並びが違うだけで随分印象が変わるなと驚く。
あと、単行本の会田誠の絵もいいけど、文庫のカバーも素敵。
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