桜庭一樹のレビュー一覧
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ネタバレ第1部が長くていちばん描写が丁寧で、途中まで、ドイツのマリーが主人公かと勘違いしてしまうほどだった。
でも読み進めていくとセーラー服の日本人の女の子が出てきて、それが、時空を旅してるヒロインの女の子(青井ソラ)だってことが途中からわかって、おもしろかった。
マリーの境遇も去ることながら、全体的にずっと憂鬱感があって、物語に勢いのようなものがあるわけではないのに、読むのをやめられないおもしろさがあった
ケータイもパソコンもなかった中世ドイツから、AIがもっと進歩してる2022年までを通して、「繋がる」がテーマになっていた。
2022年シンガポールに生きるディッキーが、人との繋がりを実感することの困難さに悩む一方、辛く悲しく、過酷な境遇に置かれたマリーは、大切な人すべてを失っても、決して彼らを忘れない、いつまでも繋がっているということを感じていて、経済的な豊かさや発展と、人との繋がりによって感じられる温もりは反比例なのかなとか、どっちがいい時代なんだろうって考えてしまうような作品だった
あと全然関係ないけど、マリーが、時空を超えてやってきた少女のことを「アンチ・キリスト」って呼んでるのがまじで爆笑だった
村上春樹的なファンタジーが好きなわたしにとって、はすごく好みな話
中学時代にハマった桜庭一樹の小説は、思春期の世代が感銘を受けそうな内容が多いのかと思ってしばらく読んでいなかったけれど、まだまだおもしろいものがたくさんありそうだ -
Posted by ブクログ
感受性が豊かで、ガラスみたいに透き通って繊細な時期に出会っていたかった、そういう作品。
私はもう大人で家庭だって持ってて社会人としての経験も人並み…以下かもしれないけどあるわけで、そういう立場の大人が読むと、物足りなさやいわゆる寒さを感じかねない作品ではあった。
けれどもし私が10代で、傷ついていたあのころに読んでいたなら、この作品はかけがえのない物語となって心に残ったと思う。
愛とは何か、この作品に教えてもらうことができたのだろう。
大人なので、このスケールの物語ならもっと長く濃密な形で読みたかったなあと思ってしまった。でももっと年を取る前に読めてよかった。 -
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「赤朽葉家の伝説」のスピンオフ。
丙午(ひのえうま)生まれの赤緑豆小豆がレディース暴走族「製鉄天使」の総長となり世界(中国地方)を統一するという喧嘩上等の暴走族ファンタジー。
アニメっぽい仕上がりを見事に文章だけで表現しているのは本当に素晴らしいし、散りばめられた伏線(いかにもなヒントではなく、あーそういえば的な伏線)や起承転結まとめかたがさすが桜庭一樹。完璧過ぎる。
そして、1980年代の昭和の田舎の暴走族臭プンプン。
「〜してちょ」「〜ぜよ」とか気恥ずかしくなるような懐かしい昭和ワードの連発。
その時代を生きていても、なかなか「やめちくりっ」はさすがに出てこない。これには本当にやられた感。
小豆がスミレっ子の存在を2度も失ったくだりは、私もかなり切なくなった。 -
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大人のための童話・お伽話のような芸術作品。装丁も素敵。
「道徳という名の少年」だけど、その生い立ちや背景は、道徳とかけ離れた、醜く美しい背徳の世界。
言葉は少ないのに、的確にテンポよく丁寧に綴られていく。
非現実的でありながらも、異世界に夢のように違和感なくすっと入り込んでいく感じ。
そう、これこそが小さな子どもが純粋に絵本に求めるような読書の世界だったことを思い出した。
久々の桜庭一樹ワールドに短時間だけど、どっぷり浸かってしまった。
生い立ちの設定であったり、名前の付け方であったり、時代や世界観、言葉ひとつひとつの選び方も、独特でとても真似できない。
ストーリーに「タブー」「エロス」「残酷さ」「呪いのような血筋」をふんだんに取り入れながらも、拒絶を感じさせずに、しっとりした甘美な愛情や切なさだけをもたらす。 -
Posted by ブクログ
「GOSICK PINK」
NYに到着後、九城の姉・瑠璃の家に身を寄せたヴィクトリカと久城。さっそく外に出てみると、何だか変てこな新大陸の謎たちに遭遇。
アメリカ到着翌日に、瑠璃の息子と大人気ない喧嘩をし、マンホールに落ち、更に団子を食ってしまい連行されるヴィクトリカ。一方、またもやヴィクトリカを見失い、迷子の記事を出してもらった新聞社の採用試験を強引に受けさせられる久城。そんな記念すべき新大陸1日目は、ボクシング世界戦とクリスマス休戦殺人事件が、ヴィクトリカの好奇心を掻き立てる。
新大陸到着早々に巻き込まれるヴィクトリカと九城であるが、遂に、九城の就職先とグレイウルフ探偵社設立の経緯が判明します。これでREDで既成事実として語られる大枠は理解できました。よかった、よかった。
NYのマンハッタンを探検する2人でほのぼのシーンがある程度続くかと思いきや、まさかのヴィクトリカがマンホールに落下でぴったし嵌るという奇跡がすぐさま発生。ヴィクトリカがマンホールに嵌っていることに気付いたのにも関わらず、スルーする親子が登場し、冷た過ぎると思いきや、そこから馬のしっぽに絡んだ草を掴んで、馬が移動する力を利用し、さくっと脱出・・・て、いやいやそれは無理でしょーーーとw。
この後現れるのが、ヴィクトリカと共に豚箱に閉じ込まれていたエディとエディを膨大な保釈金で閉じ込めたウィリアムの2人。世界戦を戦うボクサーであり、戦争時代、同じ隊に所属し、仲が良かった2人。しかし、クリスマスに起きた休戦で起きたある殺人事件の犯人をお互いで疑いあっている。
記念すべきグレイウルフ探偵社の依頼第一号の謎解きであるが、新シリーズでは、ヴィクトリカはこういう感じの謎解きをする感じなんだろうか。過去に戻る感じ。こんな力だったっけと。また、真の依頼者とヴィクトリカの関係も注目です。ヴィクトリカは、こういう能力があったのか?と振り返ってみたけど分かんないですが。
謎が軽めな分、注目は、ジョブ&ホーム。久城は男として拘るが、ヴィクトリカは何故久城が拘るのか分からない。というか、その2つが何か分からない。この関係性が最後まで続くのだが、ヴィクトリカはホームには大切なものを置くのが良いと瑠璃に言われ、久城から貰ったラジオを置こうとするなど、確実にジョブ&ホームを理解していくのだ。そこが微笑ましい。
新たな門出を迎える2人に幸あれ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女の子たちが檻の中でたたかう『ガールズブラッド』が毎晩、廃校になった小学校で行われています。女の子たちはO嬢で、お客さんは女の子たちが心からも体からも流す血を観に集まってくる、つかのまのステファン卿です。
女の子たちはみんな何かを抱えていながらも、一生懸命生きています。だから、桜庭一樹さんの描く女の子たちは、大好きです。
まゆ十四歳は、“この場所が、居心地悪い。(p58)”と思うと同時に“ここじゃないと生きていけない。(p59)”とも思います。
まゆはずっと、檻の中にいて、閉じこめられなくなってからもずっと、心の中にその檻を持っていました。だから檻の中には、“安堵感と、ずっと近くなった死の気配(p61)”があったのです。
けれどまゆは、自ら、そこから出ていくことを決めました。
ミーコは、“なにを欲しているのか察して、それに応える(p97)”ように生きてきました。なんにでもなれました。でもミーコにも、“誰が好きかも、どうしたいかも、ぜんぜんわからない、(中略)だけど、やりたい格闘スタイルだけは、ある(p124)”のでした。
“好きなように生きる(p145)”って、ミーコのようにどういうことなのかわからない人もいるのかもしれません。でもやっぱり、好きに生きて楽しんでいる方が素敵でした。
皐月は、女の子の裸を見たくないし、見られたくありませんでした。それは“物心ついたときから、男だと思ってた(p239)”からでした。でも、誰にも話せませんでした。
そして高校二年の終わり頃、母親にエロ本が見つかり、家出しました。けれど、女、千夏のおかげで、“家に帰らなくてはいけない”、“本当のことを話すべきなのだ”(p246)と思います。
悩んでもがきながらも希望が見えた気がして、よかったです。