桜庭一樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレヴィクトリカのホームとは何なのだという台詞と今回のメインの結末に胸が締め付けられるようだった…。
誰が悪いというわけではないのだ、悪いというなら戦争が悪い。
クリスマスに人間らしさを取り戻し、友人として肩を組んで歌い笑いあっていたのに次の瞬間には殺し合わなければいけなかった。
悲しい、本当に悲しい。
そして、容疑者のひとりを助けるために南部の大奥様の幽霊がマテリアルな世界でヴィクトリカに出会う数奇さ!
これがアメリカ、あらゆる人種と文化、資本主義とオカルトが混ざりあうカオス。
ふたりは何と出会い、何を紡ぐのか。
これからの展開もすごく気になる。 -
Posted by ブクログ
十二歳から十六歳。たったの四年間。
大人から見ればあっという間の時の中で、彼女の中身は目まぐるしく変わる。
冒頭、中学に入学したばかりで恋を知らず自分自身にも無頓着だった荒野が少しずつ、けれど急速に周りの女達の匂いに釣られ、体型も変化し恋の味を覚えて行く。
子供から女の入口へ。
自分にもそうして変わっていった過去がどこかであったはずなのに、もう今となっては思い出せない。
読んでいてとろりと甘くて水気の多い、熟れた桃を食べるような感覚だった。
予想以上に濃厚だったのに後味が悪くないのは、荒野が環境の割には比較的素直かつ奥手で、ようやく女の気配をさせ始めた所であっさり閉じられてしまうからだと思