【感想・ネタバレ】伏 贋作・里見八犬伝のレビュー

あらすじ

伏──人であって人でなく犬の血が流れる異形の者──による凶悪事件が頻発し、幕府はその首に懸賞金をかけた。ちっちゃな女の子だが腕利きの猟師・浜路は浪人の兄に誘われ、江戸へ伏狩りにやってきた。瓦版の読売・冥土から、浜路は里見の家に端を発した伏をめぐる世にも不思議な物語を聞く。光と影、狩るものと狩られるものの長きに亘る因果の輪がいま開く! ゴシック的な江戸を舞台に疾走する傑作エンターテインメント。2012年秋アニメ映画公開。解説・大河内一楼。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

時代小説の中で見つけたこの一冊。

実に少年ジャンプ的な元気、勇気のSFアクション冒険ファンタジーだった。

そもそも南総里見八犬伝が読みたくて、とりあえず購入したんだけど、面白いのなんの。

伏と呼ばれる化け物、この化け物がいかにして生まれたかを、里見八犬伝がノンフィクションであることを前提に紐解かれていく様がキュンキュンです。

ただの悪とするのではなく、各個人にバックグラウンドを持たせる感じ、手塚治虫的な感じ大好き。

少々子供向け感はあったけど、お陰で分かりやすく、素直に面白いと思った。

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2024年01月15日

Posted by ブクログ

信乃の、そして伏の悲しき背景を知っても、みずからの仕事に徹する浜路。すべてに凌駕する使命感がかっこいい。伏姫と浜路の二人のヒロインを軸に話はスピーディーに進み、どんどんページが捲られていく。面白かった。
この後、アニメも見てみたが100分に収めるため、だいぶ端折ったり、設定を替えていたが男女の恋愛をメインに置いてて、こちらも楽しめた。

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2022年10月29日

Posted by ブクログ

里見八犬伝をモチーフにした長編で、何よりも過去の話が本編と同じぐらいの分量で入っていることに驚いた。桜庭一樹といえばファンタジーやライトノベル作品出身で「わたしの男」で直木賞という降り幅の広い作家さんだ。江戸時代を舞台に語られる贋作里見八犬伝、堪能させてもらった。

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2022年08月17日

Posted by ブクログ

幼い頃初めて夢中になって見入った邦画が里見八犬伝だった。しかし、そのストーリーを忘れているなかでこの本を読んだ。
登場人物や情景をイメージしやすく本の世界に引き込まれた。伏という人間でもなく獣でもない存在の儚さや醜さは人間誰もが持ちうる性質だと思う。主人公の浜路兄の道節の正義感と子供のあどけなさが、話の湿り気を除し、対局にある伏と通じあう気持ちと本能の描写も興味深かった。

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2020年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。何度読んでもワクワクしながら一気に読んでしまう。狩るものと狩られるものとの物語なのに、殺伐とした敵対関係というよりは、実はひとつの同じものに表と裏からしがみついているという感じ。だからこそ、何となく理解しあえるし、嫌悪しきれない。かといって仲間にはなれないと互いの立場を割り切っている。そのあたりが、物語に軽やかさを与えていて、それでいて単純すぎずに濃密なのがいい。

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2019年08月14日

Posted by ブクログ

犬人間というものが、江戸の街にいたそうな。それを狙う賞金稼ぎの猟師の女の子浜路という十四の少女が主人公。軽い兄思いのアクティブな女の子です。だからなのか、少し物語も軽く飛んでいきそうなのです。里見八犬伝の贋作である贋作里見八犬伝という物語が、この浜路の物語の中に、二重構造のように入り込んでいるのが、この物語の見どころ。本家の里見八犬伝よりも、こちらの方が現代人には好感を持って受け入れられるのではないでしょうか。楽しめました。合格です。

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2019年04月14日

Posted by ブクログ

里見八犬伝は実はこうだったんだよ、と脚色したお話。
贋作の部分は、そういうのもありだなぁと思ってどんどん読み進められました。原作をもう一度読もうかな。。

あともう一つのお話。
14歳の善も悪もまだわからないような、まっすぐな性格が主人公だったのが良かった。だからこそ犬人間を狩る猟師として戦えたのだろうし。
(最初はもっと人情味のない子かと思ったら、兄に助けを求める年相応なところがでてきて安心しました。)

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2019年04月05日

Posted by ブクログ

これは良い。
本物の里見八犬伝は呼んだことがなかったけどファンタジーだね。
ためしにウィキで本物を調べてみたけど長大過ぎて読む気にならない。
この話は適度な長さで丁度良い。
伏の全体的にあっさりした執着の無さが犬らしくって可愛いやね。

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2018年11月11日

Posted by ブクログ

姿は人なのだが犬の血を先祖に持つ者を伏という、その凶悪な伏を狩る猟師の娘と兄のおはなし、途中、伏なる異形者の誕生秘話があり、また伏たちの苦悩する姿があり、里見八犬伝とリンクしているらしいのだが、そちらの詳細をしらなくても楽しめた。

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2018年01月20日

Posted by ブクログ

とにかくツギハギのような話でした。章によってラノベ調、幻想的、アクション…と作風がばらばらで、バランスが取れていないような感じ。
しかし、場面ごとのセリフや情景が鮮明で、桜庭作品特有のセンスを感じました。

結局ぐいぐい引き込まれて一気読みしました。これぞ娯楽小説。好みは分かれそうですが、私は大好きです。

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2017年01月04日

Posted by ブクログ

里見八犬伝を違った視点から捉えた、伏。
伏姫の末裔が犬人間という。
でも八犬士とか、犬側じゃなくて、犬は狩られてしまう側っていうのも新鮮かもしれない。
同じ名前を使っているのでちょっとイメージが違うよって思ところもあるけどw
里見の里での、伏姫と八房、里見家の物語を描いた偽里見八犬伝と二つの物語が絡むように進んでいくのが面白い。

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2016年01月11日

Posted by ブクログ

この本を読んで、里見八犬伝を読みたくなりました。ころころと話の視点が変わって行くのですが、とても読みやすかったです。映画もあるそうなのでそちらも気になりました。

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2015年12月29日

Posted by ブクログ

里見八犬伝って、小学生のときに読んだ記憶がうっすらあるような無いような。
もう一度読んでからまたこの本読んだら面白いかも。

入れ子構造なお話で重厚。
アニメは正直失敗だと思う。

桜庭一樹独特の筆致は癖になります。

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2015年12月16日

Posted by ブクログ

里見八犬伝に想を得た伝奇ロマン。妖の生き物の物哀しさが、ユーモアを含むからりとした文体で書かれている。八犬伝があまりにも長大なだけに、もう少し、広がりを持たせられたならとも思う。

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2015年08月10日

Posted by ブクログ

南総里見八犬伝(とそれが実際に執筆された当時)とファンタジーとを、とても巧く融合された作品。
話の途中で、さらに作中の物語が始まった時は「物語にこんなにスペースとって話まとまるの?!」と驚きましたが、そこも巧くつながっていて…と言うかそこが大きな肝でした。反省。作品の構成が面白いです。

各所の表現も豊かだし、本当に純粋に面白かった。

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2014年03月14日

Posted by ブクログ

1402 映像で見る様に想像し易く読み易かった。登場人物それぞれも個性派揃いで印象的でした。私の男と続きで読んだので作風のギャップを楽しめました。

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2014年02月26日

Posted by ブクログ

南総里見八犬伝をしらなくてもじゅうぶん楽しめる、これは時代劇というよりファンタジー小説だと思う。あえて贋作とうたっているのだから、八犬伝との整合性を求めなくてもよいでしょう。活劇としても、ファンタジーとしても面白かった。犬と人との因果を背負った「伏」たちが、みな魅力的に描かれているので、非道なのだけれども惹かれてしまう。

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2017年10月29日

Posted by 読むコレ

八犬伝の異聞というより、別の物語。桜庭節が全開という感じでもないのは、映画と同時進行だったせいかな?

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2012年11月15日

Posted by ブクログ

南総里見八犬伝をモチーフにした作品はいろいろとありますよね。書籍を読んだり映像作品を見たりしたことがある方は少くはないのではないでしょうか。本作も八犬伝をモチーフにしているのですが、他の作品以上に、原作を抑えてから本作を読む方がより楽しめると思います。

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2021年07月24日

Posted by ブクログ

本編と同じくらいの量で過去の話が入り、それが悪い方向に働いて本筋をわかりにくくしている。結果どのキャラにも感情移入がしづらい。
設定も若干無理があるように感じ、ふわっとした世界観で、やっぱり結果どのキャラにも感情移入がしづらい。

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2021年04月28日

Posted by ブクログ

時は江戸時代、山で猟師をしていた浜路は身寄りを亡くし、都に住む異母兄・道節を頼りに山をおりてきた。その頃江戸では伏と呼ばれる犬人間なるものが世間を騒がせており、狩れば懸賞金が出るという。
兄と共に伏狩りをすることとなった浜路は、伏にまつわる不思議な因果に巻き込まれていく。

もちろん本書はタイトルの通り、かの曲亭馬琴による南総里見八犬伝を下地としているが、まったくの別物として楽しめるつくりとなっていて、しかも捕物としてのハラハラ感や伏や浜路にまつわる人情モノとしての部分があって、終始楽しめた。
元となっている南総里見八犬伝もいつか読みたいな。江戸時代にこんなにファンタジックでここまで語り継がれる物語を思いつくなんて、曲亭馬琴は恐ろしい。

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2021年01月10日

Posted by ブクログ



滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』のオマージュ。
作中作で『南総里見八犬伝』と『贋作・里見八犬伝』が交わる。
本家の伏姫とは大分、性格が異なるが、物語が進むにつれ、贋作の味が滲み出る。
実に多角的な一冊でした。
八犬伝ものの作品は割とあるけど、現代に通じるものを非常によく感じさせられる作品でした。
代の若人はこういう心持ちで生きているのやもしれん。

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2020年08月27日

Posted by ブクログ

これはまぁ…小説を読んだというより漫画を読んだって言った方が感触としては近かったかな。映画版はキャラクターの性格やら容姿やらが結構変わっていて、どちらもそれぞれ面白かった。小説の方が全体にドライな感じだと思う。信乃好きです。←

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2019年01月23日

Posted by ブクログ

「南総里見八犬伝」のことをほとんど知らない。
ざっくりと、ドラマや映画になったものを見たくらいで、はたしてその中にあったストーリーが正しいものなのかどうかさえわからない。
だから、この「伏」がそのまま里見八犬伝だと言われたとしてもまったく違和感がない。
本家の「南総里見八犬伝」を知る人にとってはとんでもないことだろうが、ライトノベルを読むような感覚で物語を楽しんだ。
伏姫と八房をめぐる物語は、時を越えて江戸の町へと続いていく。
何ものにも染まっていない浜路は、猟師の嗅覚で次々と伏たちに遭遇していく。
そして伏のひとり・信乃から聞かされた運命ともいえる彼らの生き様を知る。
世の中を生き抜いていくための仮面をつけた生活。
伏であることを自覚していない者は仕方がないが、自分が伏だとわかっている者にとっては本当に短い時間しか与えられていないことが、逆に生きる力になっていたようにも感じた。
自分たちは何のために生まれ、何のために死んでいくのか。
伏である信乃たちはひとつの答えにたどり着く。
その行動が正しかったのかどうかはわからないけれど、因果の輪がそこでひとつ閉じたことは間違いないだろう。
面白かったのだけれど、何というか印象が薄い物語だった。
何年経っても記憶に残る物語というわけにはいかなそうだ。
「アニメの方が面白かったな」などと不謹慎なことを思ってしまった。

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2017年03月06日

Posted by ブクログ

映画を先に観たため、読後、あれ?恋愛要素薄っ!っと感じた。
本当の里見八剣伝をオマージュしたからか、若干のホラー要素含む、信乃の昔語りが半分を占めて、小説というよりは伝記や昔語りのような感じがした。

この本自体にあまり感情移入はできないが、本当の里見八剣伝に興味が湧く。

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2016年07月29日

Posted by ブクログ

伏、という犬人間と、人間のお話。
実は里見八犬伝を読んでないので、そっちに興味が湧きました。
異種ものって、どちらにも正義がある書き口が多いけれど、意外にもこの作品は、伏側には立たない。事実を述べるのみ、だった。
アニメに少し興味あり。

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2016年03月30日

アニメを先に知り、原作を読んだクチですが、原作のアフターストーリーがアニメだと思った方がしっくり来るかな。原作の好きなところは信乃が見事な江戸っ子弁で語るところ。アニメより色っぽい信乃さんが魅力です。

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2015年10月18日

Posted by ブクログ

なるほど、アニメにするとピッタリな作品。祖父と暮らしていた山から降りて、兄と共に伏を狩る猟師、浜路とその敵である伏、信乃が地下道を共にしたわずかな時間の先にどんな決着があるか、ドキドキしながら読んだものの、アレレ?地下道のやり取りがなかったかのようなアッサリした結末。でも贋作の方の物語はとてもおもしろかったので良しとするかな。里見八犬伝を知っていたら、もっと楽しめていたかも。

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2015年10月16日

Posted by ブクログ

2014/7/17。18冊目。
八犬伝が好き過ぎる。
誰が、と問われればまず親兵衛と答える。
けれど信乃と浜路(この二人はセットであって欲しいので、やはり)も外せない。
毛野も好き。伏姫、八房も。
山田風太郎氏の八犬傳の影響で、馬琴先生や北斎さんも大好きなのです。

先日、座・高円寺の本の楽市で出会った本書。
丁度映画が始まった頃存在を知ったのに、すっかりうっかりしていて、これは僥倖と手に取ってみた、と。

うん…
ファミリーポートレートの雰囲気が凄く好きで、期待してたんだけど…うむ。
時代小説としては…むう…
浜路の可愛さはわかるんだけど…

どうも歯切れが悪くなる。

人物の言葉遣いや地の文含め、言葉の持つ雰囲気と世界観って当たり前なんだが、とても大切だなと痛感。

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2014年07月28日

Posted by ブクログ

猟師の娘の浜路は、江戸にいる兄の道節のもとに身を寄せ、彼とともに、最近江戸に出没している「伏」と呼ばれる犬人の賞金稼ぎとなります。

山で暮らしていた浜路は、獣の匂いを敏感に察知し、さっそく一匹の伏を仕留めることに成功します。そんな彼女の活躍を聞きつけた、曲亭馬琴の息子の滝沢冥土は、あることないこと織り交ぜて、浜路のことを新聞記事にして江戸中に知らせます。そのことを知った浜路は、文句を言うために冥土のもとを訪れますが、そこで彼が執筆中の、伏が生まれた顛末を記した読本『贋作・里見八犬伝』のことを知ります。

『贋作・里見八犬伝』は、美しく強い里見城の姫君・伏姫と、弟の鈍色、そして伏姫の愛犬・八房の物語です。同盟国に裏切られた伏姫の父・里見義実は、敵の安西景連の首をとった者には伏姫をやると口にしてしまい、それを聞いた八房が景連の首を取って帰ってきます。八房とともに森の中に姿を消した伏姫は、やがて人語を失い、八房の子を宿します。それが伏たちの生まれる由来だったのです。

さらに浜路は、冥土が脚本を書いた歌舞伎の「怪盗玉梓」を見ることになります。それは、里見義実が怪盗玉梓を捕らえ、その呪いを身に受けるという物語でした。その結果、彼の娘の伏姫が、八房との間に子をなすことになったのです。ところが、この舞台を演じている人気役者の犬山黒白が、伏だったことが明らかになり、舞台は大混乱に陥ります。

浜路は、信乃というその伏を追いかけますが、湯島天神から江戸城にまで続く地下道に落ちてしまいます。地下道を歩きながら、浜路は信乃の自分語りに耳を傾けます。

作中作を畳みかけるという、ちょっと凝った構造の物語ですが、それ以上に、浜路のライトノベル的で分かりやすいキャラクター造型の魅力で読ませる作品だったように感じました。

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2014年05月12日

Posted by ブクログ

里見八犬伝となれば、もっと怨、恨、おどろおどろしいという先入観があったが、主人公の娘猟師の浜路のあっけらかんとした性格が、生臭さを薄めていて、淡い恋心あり、旅あり、エンターテーメントだなぁ。
  同一作家の「私の男」とのギャップが大きくて、それも面白い。
 

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2014年04月06日

Posted by ブクログ

どことなく不思議さの漂う作品。
世界観は好みだったけど、もう少しアクション要素があると更に面白くなったんじゃないかな、と。

浜路ちゃんの生き生きとした姿に惹かれました。

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2013年12月07日

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