桜庭一樹のレビュー一覧
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ネタバレタイトルに「アジアの街角」とあったので、てっきりアジアのどこかの国が舞台になっているお話なんだと思い込んでいた。でも、実際に海外を舞台に展開する話は1つだけ。ほかは日本が舞台。そして日本でアジアの料理を食べる、もしくはアジアのどこかの国から来た人が登場する短編小説集。
でも、なんか意外と好きだなと思う話があって、ハッピーな結末ではないのに、「あ、私この話すきだ。もしかしたら、この作家さん(島本理生さん)、私好きかもしれない」と思った。
それと、初読み作家さんだった大島真寿美さんの小説。私ら日本人って香港が中国に返還されて、そのあと若者たちが抵抗して、自由が奪われていく様子をニュースで見てるけど、どこまで分かってるんやろうと思う。
あとは、角田光代×猫とくると、もう最強。角田さんといえば、タイを始とするアジア好き×飼い猫トトちゃん・猫好き。今回の小説はちょっとファンタジーというか、スビリチュアルというか。でも、台湾って、なんかどことなく、異空間と繋がってそうな場所があるイメージ。行ったことがないので、飽くまで勝手なイメージ。
私も台湾の猫村に行ってみたいなぁ。
ということで、★4つにした。
中島京子「隣に座るという運命について」 台湾
桜庭一樹「月下老人」 韓国
島本理生「停止する春」大根餅
大島真寿美「チャーチャンテン」香港
宮下奈都「石を拾う」台湾 SF
角田光代「猫はじっとしていない」台湾 -
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2024年16冊目
作家が綴ったコロナ禍の日記。
あの封鎖された、息苦しく、不安で押しつぶされそうだった日々が鮮明に蘇る。
ディストピア=暗黒世界…あまりにもどんぴしゃ過ぎるタイトルだ。
歴史に残る日々をどんな風に想い過ごしたのか。10年後、20年後コロナ禍を知らない世代がこの本を手に取ったらどんな事を感じるんだろう。
分断された世の中でも、他者に対し最大限のリスペクトを払うことを忘れてはならない、互いに寄り添い、議論をし、優しくなれ、想像力を持て。
しんどい日常を綴ったこの作品、前向きで希望が持てる言葉で締めくくられていた。
さぁ、いさましく歩いていこう。
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【更新されていく自分と自分の境界】
人からの影響、社会の出来事、環境の変化、
見たり聞いたり知ったことを自分なりに理解、想像して、自分なりの世界観ができている。自分の持つ認識の多くは無意識にも更新されていく。そして自分を動かしている。
普段は何気なく変わっていってて
忘れていってて
記憶から選択していってて
結局自分の境界はどこにあるのか
自分でもコントロールできないままに変わっていく、適応していく自分。自分と周りの関係性の不思議。
私も私たちも実は常にニューノーマルにいる、のかもしれない。
時にうまく言語化できない、自分との関係性とか周りとの関係性についての思いが綴られる。
あともうひとつ、
母親はどうしても心配する生き物なのか。
母と子、親と子の関係性も変わっていくものなのか。 -
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ネタバレほんタメで紹介されていた本。ある事件をきっかけに主人公の波間が学生時代の友人である中川くんと再会し、連絡先を交換するが、2人は実はパラレルワールドのあちら側とこちら側にいて、、というお話。
2人(メインは波間)こ数年間が描かれるのだけど、中川くんの世界ではコロナが流行して緊急事態宣言が出たり、オリンピックが延期されたり、有名人が亡くなったり、読者の現実とリンクしていて面白い。最後には波間の世界では2024になり追い越されているのも。
波間の考えていることが、思ったままの口調で書かれるのでこちらに直接語りかけてきているように感じた。大きなドラマがなくても、淡々と続く日常でも、私たちはここに存在している、という波間の言葉がよかったな。この物語自体も、波間は病気のサバイバーであるけれど、ドラマチックな起伏はなく、まさに"波間"のような時間のまま最後まで決定的な結末で終わるのでなくてよかった。読後も色々考える余韻が残る作品でした。 -
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話は3部作構成。鳥取の名家赤朽葉家の女三代の物語。里で拾われた山窩の子供、千里眼の万葉。未来に起きることを幻視する。大奥様のタツのひと声で赤朽葉に嫁入り。その娘でレディースから漫画家になった毛鞠。恋愛、抗争、友情、そして青春の終わり。更にその娘、まだ何者でもない瞳子。万葉、毛鞠が主役の2部目までは、これはいわゆる大河小説か?という展開。日本の経済発展、オイルショック、バブルへと。
当時の風潮を思い出しながら波乱万丈の2人の人生を愉しむ。それが面白い。自分の親の世代の万葉も、自分の世代の毛鞠も私の知ってる時代とは少し違う気もするが地域の違いか、個人の違いか。そこは小説だから御愛嬌。
そして瞳子の出てくる3部目になって思い出したかのように殺人の話が出てくる。登場人物が、その昔の殺人を告白するのだ。誰が殺されたのか?なぜ?どうやって?という謎解きに瞳子が挑む。その謎を解く伏線は前の2部、大河小説部分に隠されている。だからこんな突飛な2人の女性の人生を描いたのかと、そこで気づく。
そもそもこれは推理小説なのか?と思いながら読んで、違うけど面白いなと思い始めた頃に謎が提示されるから、そのときにはもう推理小説としての興味を失っている。謎解きはどうでも良いのだが、上手に作っている。それが良いのか悪いのかわからんが何より小説にいちばん大事なこと、お話として面白いので十分だ。