桜庭一樹のレビュー一覧

  • 青年のための読書クラブ(新潮文庫nex)

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    文体は慣れるまでに少し時間がかかった。
    でもそこがより世界観に惹き込まれる感じ。

    読書好きには読書クラブと書かれるだけで
    魅力的に感じてしまいがち。

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    2024年01月12日
  • 推定少女

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    実際のところは思春期に読んでないから評価できない……。でも自分はこんな思春期のもやもやを経験しなかった気がするので、読む時期が変わっても特に感想は変わらないのかもしれない。終始そうなんだ〜という感じではあった。
    物語としてはエンディングが分岐するのが作者の脳内をよりしっかり見れた気がして面白かったし、自分と異なる考え方や感受性をもつ人の世界を垣間見るという点で面白かった。裸の美少女がいかつい銃を振り回す感じがフェチズムを感じてよかった。

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    2024年01月06日
  • 彼女が言わなかったすべてのこと

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    ネタバレ

    ほんタメで紹介されていた本。ある事件をきっかけに主人公の波間が学生時代の友人である中川くんと再会し、連絡先を交換するが、2人は実はパラレルワールドのあちら側とこちら側にいて、、というお話。
    2人(メインは波間)こ数年間が描かれるのだけど、中川くんの世界ではコロナが流行して緊急事態宣言が出たり、オリンピックが延期されたり、有名人が亡くなったり、読者の現実とリンクしていて面白い。最後には波間の世界では2024になり追い越されているのも。
    波間の考えていることが、思ったままの口調で書かれるのでこちらに直接語りかけてきているように感じた。大きなドラマがなくても、淡々と続く日常でも、私たちはここに存在し

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    2023年12月30日
  • 赤朽葉家の伝説

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    話は3部作構成。鳥取の名家赤朽葉家の女三代の物語。里で拾われた山窩の子供、千里眼の万葉。未来に起きることを幻視する。大奥様のタツのひと声で赤朽葉に嫁入り。その娘でレディースから漫画家になった毛鞠。恋愛、抗争、友情、そして青春の終わり。更にその娘、まだ何者でもない瞳子。万葉、毛鞠が主役の2部目までは、これはいわゆる大河小説か?という展開。日本の経済発展、オイルショック、バブルへと。

    当時の風潮を思い出しながら波乱万丈の2人の人生を愉しむ。それが面白い。自分の親の世代の万葉も、自分の世代の毛鞠も私の知ってる時代とは少し違う気もするが地域の違いか、個人の違いか。そこは小説だから御愛嬌。

    そして瞳

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    2023年11月19日
  • 青年のための読書クラブ(新潮文庫nex)

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    伝統的な女子校の退廃的な雰囲気と宝塚歌劇団のような世界。こういうジャンルってある程度確立してるから初めて見た!斬新!って感はないけど、好きです。

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    2023年11月16日
  • じごくゆきっ

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    文の一つ一つは読みやすいのに、物語は湿っていて、重い。それでいて手が止まることのない面白さ。読み進めていくごとに、各々が抱えた「じごく」を、解消できない孤独感を見せられる。やるせなさに包まれる。でもまた読みたくなる。なんで?ほんとにすごい。「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」もそうだったが、ただの鬱小説ではなく、書かれている人々の感情、嫉妬、自己愛、狂気、孤独、偏愛、焦燥感、ぜんぶが刺さって抜けない。読み返したくなる。ただ嫌な展開を書くだけなら誰でもできるけど、それすら良いところに変えてしまうほどの圧倒的なストーリー構成力。

    ジャンルを問わない短編集だが、それぞれのジャンルの世界観の面白さが際立

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    2023年10月17日
  • 東京ディストピア日記

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    コロナの始まりから、結果としてまだまだ渦中の1年の日記。
    たった2年前のことなのに、かなり昔のことみたい。
    この人ほんとに一人で生きてるなぁと感じた。意図的にしたのかもしれないけど。
    コロナの記録的なの纏めるのまだ早いのかな。もっと長期に渡っての日記でも良かったかも。オリンピックも始まってないし。ワクチンも受けてない。後遺症に苦しむ人達のこともあまり触れられてない。
    まだ渦中。
    アフターコロナ?
    仮面ライダーやプリキュアは、コロナ関係ないな。

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    2023年08月31日
  • 彼女が言わなかったすべてのこと

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    ネタバレ

    パラレルワールド側とのやりとりがワクワクして面白かった反面、いろいろ気になって仕方がない。もうちょっと、あちら側との共通点や相違点を掘り下げて教えて欲しかったな〜!
    こっちの中川くんとも仲良くなったらどうなるんだろ?でも、ならないところが、良いんだろうな〜

    片胸がなくなってから、無になり楽になったという気持ち。。そうか、そういう人もいるのか。
    30代から40代にかけての闘病生活、本当に辛いだろうと思う。

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    2023年08月30日
  • 彼女が言わなかったすべてのこと

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    癌サバイバーが再発の恐怖を抱えながらも社会復帰し、自分を取り戻していく様子が、特別な事は何も起こらず淡々とつづられる。言いたいことを言わず、達観していく感じ。

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    2023年08月23日
  • GOSICK IV ──ゴシック・愚者を代弁せよ──

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    GOSICK、ミステリーの内容もダークファンタジーな感じで好きだけどそれ以上にヴィクトリカ 一弥 アブリルらのやり取りが可愛くて大好き。
    今回はそれが特に可愛いなと感じられる回だった

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    2023年08月19日
  • このたびはとんだことで 桜庭一樹奇譚集

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    奇譚集、と銘打っているだけあって何とも奇妙な感覚をもたらす短編集。ただ設定が異質なのは骨になった男が妻と不倫相手のやり取りを傍観する表題作と、夜のホテルでホテルマンが見た幻の話「五月雨」だけで、他は日常で有り得る話。しかし大学で一目惚れした相手をただ見つめるだけの話「モコ&猫」が、アパートの隣人との交流から己を振り返る「冬の牡丹」が、田舎での地元の子との冒険「赤い犬花」が予想外の歪さを見せてくる。映写機でのフィルムを見せられているような距離感から急に距離を詰めて揺さぶって来る語りがが桜庭さんらしい。「冬の牡丹」「赤い犬花」に漂うどうしようもない切なさが響いた。

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    2023年07月22日
  • 桜庭一樹のシネマ桜吹雪

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    100本近い映画が取り上げられていて、どれも見てみたい気にさせてくれます。
    100はこれから見るには大変だなぁ、1日1本見ても100日。
    映画館では見れないからNetflixで見れるか…
    各話の冒頭の小話は、同時代の同地域にいた身には懐かしいというか、あーそうねというか。やはり子供の頃なので狭い範囲で生きてたからか自分の記憶と違うところとかあったり。
    映画館は田舎の割にあったほうなのではと思っていた、松竹系と東宝系、もう一つあった気もするけど違うかも。多分今はない。駅前にシネコンが1館あるだけのはず。
    去年、実家近くの本屋に行った際に過去から現在の写真が掲載された本が置いてあった。あういうのに

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    2023年07月22日
  • 彼女が言わなかったすべてのこと

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    ネタバレ

    大きな出来事が複数起こっているにも関わらず、淡々と大きな波がなく進んで行く物語。
    近年の桜庭一樹作品という感じの、緻密な物語の構成で淡々としているけれど、読者を飽きさせない。
    主人公の波間がさまざまな人に出会い、日々を漂っていく。

    この物語は複数のサバイバー達のその後の物語だと感じた。
    病気や事件の渦中にいる時には周囲から同情され注目される。
    ただ、病気が治った後や経過観察中、事件が世間で忘れ去られても当人の人生は続く。
    むしろ、渦中にいるときよりも、ずっと長いかもしれない。

    物語後半、「正しい被害者ってなんでしょうね…?」というセリフがある。
    激昂していた優里亜(かもしれない人)から発せ

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    2023年07月12日
  • 彼女が言わなかったすべてのこと

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    波間の独白が、なぜか深く心に重しとなって入り込んできた。同じ病気になったわけでもなし、彼女のような思想?に近いわけでもないのに、何かが蠢いていて、苦しかったが、その意味は未だにわからない。

    けれど、パラレルワールドを人生と考えると、少し楽に生きれるようになるのかもと一筋の灯りも。

    折しも「シュタインズゲート」が出てくる、懐かしい。
    もういちど、視点を変えて観てみたい。

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    2023年07月10日
  • じごくゆきっ

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    制服は女の子の戦闘服というような話が好き。
    表題の「じごくゆきっ」で着るのは制服でこそないもののロリータ服もまた武装のようで好き。
    どの話も常に嫌な空気が満ちていて良かったです。

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    2023年06月27日
  • 赤×ピンク

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    帰りたい場所がある人に刺さりそう。少なくとも俺には刺さった。人は自分にしかわからない苦しさを抱えてるものだし(特に思春期は)、それが蓄積されて現実から逃げ出したくなる気持ちも痛いほどわかる。けど逃げ出して終わりじゃ良くない。勇気を持って帰れる強さを持ちたい。

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    2023年06月07日
  • 少女には向かない職業

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    一気に読み終えてしまった。
    そして、自分の魂がこの離島の夏の海と山の間にある通学路あたりにまだ浮遊してる気分。(終わりは冬ですが)

    中学2年の少女。
    大西葵は学校ではおちゃらけたりして、友だちに囲まれてる。幼馴染の田中颯太とは、ゲーム仲間。
    でも家に帰ると、ママが飼ってるペット・・心臓と足が悪くてアル中の義父がいて、
    ママにも義父にもちゃんと話すことさえできない。

    そんな時クラスで地味な図書委員の宮ノ下静香を学校外で見かけた。彼女は学校と違って、まさしくゴスロリ(葵がゴスロリという言葉を知ってだかどうかは分からないが)だった。
    「いいもの見せてあげる」
    「いいものって?」
    「死体」

    接点

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    2023年05月15日
  • GOSICK VIII 下 ──ゴシック・神々の黄昏──

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    もはやミステリでもなんでもないのだけれど、シリーズの完結編としては完璧なのではないかと思う。
    ド直球の戦争モノになっていたが結局どことどこが戦ったのかに関しては、巧みに?はぐらかされている感はあった。沈む旧大陸と勝利する新大陸・たぶん戦火を免れているパリ・でもドイツのポーランド侵攻が戦火のはじまり…
    ただ、あくまで主題は戦争と少年少女なのだから、別にそこはどうでもいいのであると思う。

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    2023年05月06日
  • GOSICK VIII 上 ──ゴシック・神々の黄昏──

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    久城が学園を離脱してからヴィクトリカも連れ去られるまでの展開の臨場感たるや。ここまで読んできてよかったと思いましたよ。

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    2023年05月06日
  • 少女七竈と七人の可愛そうな大人

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    「辻斬りのように男遊びをしたいな、と思った。ある朝とつぜんに。そして五月雨に打たれるように濡れそぼってこころのかたちを変えてしまいたいな。」
    この冒頭に心掴まれた。桜庭一樹の独特な文章とキャラクター造形はなんか中毒性がある。

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    2023年04月22日