桜庭一樹のレビュー一覧

  • 赤朽葉家の伝説

    Posted by ブクログ

    山陰の製鉄業で財を成した旧家の三代に渡る女性の年代記

    以下、公式のあらすじ
    ---------------------
    「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった!
    ---------------------

    1953年から現代より10年前くらいまでの山陰地方を舞台にした地方の名家の三代記
    製鉄業で栄える旧家の赤朽葉家
    冒頭は現代パートの三代目視点の回想という形

    後に赤朽葉に嫁ぐ事になる万葉が、山の民に置いていかれるところから物語が始まる

    千里眼万葉時代
    不良毛毬時代
    名探偵瞳子時代

    祖母の万葉は予知の能力があったのと、戦後と高度経済成長に伴う赤朽葉家の隆盛期
    母の毛鞠は激動の世の中と丙午の年に生まれた気性と合致してしまった不良の時代でもあり、赤朽葉家の衰退を少女漫画家としての稼ぎで留めた時期
    物語の語り手である瞳子は過去を振り返りながら、祖母の語った言葉の真意を探す
    果たして、祖母の万葉は本当に人を殺した事があるのか?殺したとしたら誰なのか

    戦後、高度経済成長、所得場像計画、職人の減少に伴う近代化、それに伴う公害問題
    団塊ジュニア世代の学歴社会の受験戦争と落ちこぼれの二極化、暴走族の台頭、バブル景気など
    歴史としての出来事や、少し上の世代の出来事として実感はないけれども知っている空気感、そして実体験として存在する社会情勢
    本としての分量もさることながら、物語としての情報量も多い

    万葉は地方の昭和史そのものだし
    特に、毛鞠時代の暴走族の勢力争いなんて、城平京のスパイラル外伝「鋼鉄番長」を読んだような気分だ
    それでいて、途中から少女漫画家に転身するあたりは漫画家の修羅場エッセイのようでもある
    そして、瞳子も途中までは祖母や母に比べて平凡な女性の人生かと思いきや、いきなりミステリになる
    しかもその謎の対象がこれまで語られてきた赤朽葉の歴史という構造に面白さを感じる

    万葉が昔に見た、空飛ぶ一つ目男のイメージ
    その人物が誰かは判明しているが、なぜ飛んでいるのか?
    そんなところにヒントがあるとはねぇ……

    あと、面白いなと感じたのは、みどりと万葉の関係かな
    子供の頃は苛めっ子と苛められっ子だったのに
    みどりの兄の死をきっかけにそれまでとは違った関係性になり
    晩年は落ちぶれたみどりが同居しているのが普通になるというね

    それにしても、赤朽葉はほぼ無関係の高等遊民が多いなぁ

    現代でこんなことできる家はまずない
    もしかして、富裕層では未だにこんな事ができたりするのかしら?

    0
    2025年01月27日
  • 読まれる覚悟

    Posted by ブクログ

    ☆3.5 桜庭一樹さんのやさしさ
     あとがきで、鴻巣友季子による「少女を埋める」評にも触れてゐます。もっぱら私はこの事件の興味で読みました。

     読まれる覚悟の究極的な回答は「読まされる覚悟」をも知ること。と私は考へました。
     これを読んで桜庭さんはリベラルな博愛精神の持ち主だとおもひました。誰もが傷つかないやうに気を遣ふ。読者が誤読しても、相手を気遣って批判は避ける。立場は純文学作家の問題意識と大きく重なります。

     よもやま話①にある通りに、小説家は一種のはたから見たら、(能天気な)理想主義者ではあるでせう。ただ、小説に全幅の信頼を寄せるけなげなこころがあるかもしれない。私もこどもの頃は、(小説で戦争が止まるのではないか)と、過大な期待を寄せてゐました。それは、文章の力で核兵器をなくすと書いた大江健三郎のやうに、無邪気で、非現実な想像でした。

     正直にいへば、桜庭氏の言説すべてに首を振ることはできません。
     ただし、桜庭氏の考へ方なりは、わかります。

     イデオロギー的な問題を包摂した物語にどこまで許容できるか?
     それはもう状況、環境、時代性しだいです。私のやうな読者には、面白い小説こそが至高だから「露骨であれば」政治的社会的問題がわづらはしく感じることもあります。
     私はまた、村上龍の芥川賞選評を思ひ出します。《たとえば国家の民主化とか、いろいろな意味で胡散臭い政治的・文化的背景を持つ「大きな物語」のほうが、どこにでもいる個人の内面や人間関係を描く「小さな物語」よりも文学的価値があるなどという、すでに何度も暴かれた嘘が、復活して欲しくないと思っている。》
     いま文壇コミュニティの一部では、人類の平等といふ大義のもと、平等に違反すると目した者を差別といふ言葉で糺弾してゐます。しかし、結局それは村八分と同じ。

     桜庭氏はフランス革命についてすこし触れてゐました。しかしフランス革命は、暴力革命の側面もありました。この事実に桜庭氏はどう思ふのか、気になりました。

     むしろ、SNSでみんなと繋がる世の中だからこそ、小説の読者の棲み分けも進んでゐるのかもしれない。とおもふ瞬間もあります。各自、好きなものは好きに読む。互ひに干渉しない。棲み分けがあるから平和であり、坩堝の世界は騒動が絶えない。

     ところどころ、批評についても言及していらっしゃいます。
     ただ、本人も述べる通り、その批評にたいする理解は、文芸誌のごく一般的な範囲に収まってゐます。
     しかし、文芸誌での批評は出版不況・読者不在の問題で、出版媒体ではすでに小説とくらべ力を失ってゐます。褒め批評ばかり載る傾向も増えました。(このあたりは吉岡栄一『文芸時評』に詳しいです。)中村真一郎や大岡昇平の小説論もいづれは読んでほしいとおもひました。

    0
    2025年01月24日
  • 少女を埋める

    Posted by ブクログ

    なんて言葉と深く向き合って、責任を持っているのだろう!無責任な言葉ダダ漏れの私が「本が好き、本に携わる仕事がしたかった」なんて言うのも憚られる。美容院でこんな髪型でって上手く伝わらなかったり、伝えたつもりが違う意味で取られたり。言葉や文章難しい。言葉とも世間とも自分自身とも対峙する冬子、かっこいい!って書いてる事も作者の意図とズレてたらごめんなさい。今の私の精一杯の読解。自分自身を点検し続ける。心に刻みます。

    0
    2025年01月18日
  • 読まれる覚悟

    Posted by ブクログ

    これが小説家から見えている世界か。作品がどのように読まれているか、誤読も含めた読まれ方を作家はどのように受け止めているかが著者の目線から書かれていてかなり面白く読んだ。特に後半の批評家と作家の関係性に関する部分は興味深い内容だった。

    0
    2025年01月12日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

    Posted by ブクログ

    タイトルイメージと中身が違うという事前情報と共におすすめされたので。没入して読めたのは楽しかったが、普段読んでる純文学とは違い作り話感と"だから何?"が拭えず…。こういうジャンルが好きな人は好きなんだろうなとは思いました。かつての携帯小説っぽさを感じた。

    追記:兄が自分すぎて心に残っているのを時間が経つにつれて実感。評価を1上げる

    0
    2026年06月18日
  • 推定少女

    Posted by ブクログ

    独特な設定なのに引き込まれる文章でどんどん読み進められた。子どもの真剣な悩みを思春期や反抗期、厨二病といった言葉で片付けてしまうことの残酷さを、同じ子どもながら忘れていたなと思った。

    0
    2025年01月12日
  • ばらばら死体の夜

    Posted by ブクログ

    作品としては素晴らしかったけど、2度と読まない本だと思う。
    後味が悪いのは好きだけど、テーマが「借金」なのがいけなかった。
    桜庭一樹の表現力も相まって、吐きそうな程、苦しくなった。

    0
    2024年12月29日
  • GOSICK IV ──ゴシック・愚者を代弁せよ──

    Posted by ブクログ

    ヴィクトリカが学園の中を自由に歩いていて、いろんな人と会話しているのがヴィクトリカの成長・変化を感じられた。
    読み進めていてもなかなか解決せず、全てわかるのが本当に最後だったので少しだれてしまった印象。
    でも実は、和也たちのいる現代(も私たちからしたら現代ではないのだけれど)と回顧録とが交互に絡み合って、最後に全てつながるところがすごく上手で衝撃も強く、ラストスパートの勢いに鳥肌がたった。

    1のころはヴィクトリカと一弥しかいない世界だったけれど、それぞれに関わる人たちやソヴェールという国時代の全容が深掘りされていって、シリーズものの楽しみってこういうことか、とワクワクした。

    0
    2024年12月27日
  • 推定少女

    Posted by ブクログ

    桜庭一樹が…つまっている…。
    女の子に見える髪が長くて痩せた男の子とか、弱くて社会的ネットワークとの繋がりが希薄だけど、不安定な中学生女子に優しいハグをあげられるゲーマーお兄ちゃんとか、私が好きなものを好きな作家の文章で読めるの嬉しい。

    0
    2024年12月25日
  • 赤朽葉家の伝説

    Posted by ブクログ

    始め物語が頭に入ってくるまで時間がかかり何ヶ月にも渡って読んでしまったが、軌道に乗ればストーリーが面白く早く読めた。文章はくどいところがあり、同じ言い回しが何度も出て来たり時系列が分かりにくかったり、個人的には必要のない文章があったりで、それが読みにくかったかなと思う。でも最初の千里眼の伏線が本当に最後に綺麗に回収されてスッキリした。

    0
    2024年12月11日
  • GOSICK III ──ゴシック・青い薔薇の下で──

    Posted by ブクログ

    一弥が掘り下げられる回でした。
    謎自体は比較的シンプルでしたが、一弥やクレヴィールの成長を感じられ、読んでいて物語に一歩踏み込めた気持ちになり嬉しかったです。

    0
    2024年11月20日
  • GOSICK II ──ゴシック・その罪は名もなき──

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    事件の舞台が新たな村であり、その村の描写が素晴らしかったです。
    村人のキャラクターも濃く、1作目より賑やかでした。
    ミルドレッドをそこまで登場させる意味はあったのか、もっと彼女に意味を持たせたほうが面白かったのではないかなと思いました。
    2作目らしく、ヴィクトリカが一弥を不器用ながらも慕っている様子が随所に表現されていて微笑ましかったです。

    0
    2024年11月13日
  • 少女七竈と七人の可愛そうな大人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    辻斬りのように
    川村優奈
    二十五歳。旭川に住んでいる。地元の進学校を出て地元の国立大学に入り、いちどだけ生真面目な恋愛をして別れ、父の口利きで地元の小学校教師となった。容姿はとても平凡。妊娠して小学校教諭の職を辞した。七竈の母親。

    優奈の父
    七竈の祖父。旭川市役所に勤めている。

    川村七竈
    優奈の娘。

    優奈の母
    専業主婦。病で亡くなる。

    田中
    優奈の同僚の小学校教師。優奈より一つか二つ年上で、同僚の女性教師と結婚した。

    田中の妻
    同僚だった田中と結婚し、別の小学校へ赴任した。

    金原
    優奈の大学の同級生で、当時あつきあいしていた人の友人であり、その人が別れた後もずっと、つかず離れずの友人関係にあった。商工会議所勤務。優奈と関係をもった一人目の男。

    二人目の男
    同じくらいの年。やけに無口で、必要最小限の単語以外の言葉を、事が終わるまでついぞ、言わなかった。

    三人目の男
    少女の如き若い男で、瞳をきらめかせて自分の夢や、理想の女や、生い立ちについて語った。

    四人目の男。
    とても美しい男。その町でも有名な女たらしの、しかし同じぐらい美しい女にしか手に入らないの最上級の相手で。

    五人目の男

    六人目の男

    七人目の男
    うそつき。おもしろくなるぐらいたくさんのうそをつきながら、ゆっくりと優奈と寝た。


    一話 遺憾ながら
    川村七竈
    十七歳。たいへん美しい。鉄道模型と親友の雪風だけが友達。北海道立旭川第二高校。

    桂雪風
    七竈の幼なじみで唯一の親友。母親がいんらんだと娘は美しくなる、という仮説を立てた。鉄道好き。美少年。同じく鉄道好き。公団住宅に住む。

    七竈の祖父

    緒方みすず
    オカッパ頭に、点をふたつおいたようなちいさな瞳。七竈の一学年下の生徒。雪風のことが好き。雪風と付き合っているのかと、七竈に下らない質問をした。

    小学校の時の担任

    桂多岐
    雪風の母親。

    雪風の父親
    ばか一世。


    二話 犬です
    ビショップ
    元旭川警察署の警察犬。引退後は川村家に引き取られた。七竈を「むくむく」と呼ぶ。

    東堂
    七竈の実父を名乗る男。優奈の7人目の相手。失明している。

    三話 朝は戦場
    桂多岐
    雪風の母。七歳から十七歳までの六人の子供がいる。旧姓田中。旭川の駅前の大型チェーンの書店で働いている。

    ばかな夫
    てこでも働かない。

    桂夢実
    七歳で長女。
    既に美しさを醸し始めており、七竈と姉妹と見紛うほど似ている。

    友人Y
    毎週火曜日に電話をくれる。川村優奈。

    緒方みすず


    四話 冬は白く
    川村七竈

    祖父

    雪風

    緒方みすず

    梅木美子
    七竈をスカウトに来た。九州から北上しながら美少女探しをしてきた。かつてアイドル・乃木坂れなとして人気を博した。

    夢実

    田中
    小学校で七竈の担任。多岐の兄。

    慶
    七竈のはとこ。田中南と結婚する。

    田中南
    風雪のいとこ。


    五話 機関銃のように黒々と
    桂雪風

    七竈

    川村慶

    田中南

    田中


    六話 死んでもゆるせない
    ビショップ

    トラックにはねられた女
    夫が入院する病院に行く途中、トラックにはねられた。その後、夫は死亡。

    祖父

    七竈

    夢実

    緒方

    優奈


    五月雨のような
    川村優奈

    田中


    七話 やたら魑魅魍魎
    川村七竈

    優奈

    田中
    亡くなった。

    多岐

    雪風

    緒方


    ゴージャス
    乃木坂れな








    七人の大人

    0
    2024年11月11日
  • 彼女が言わなかったすべてのこと

    Posted by ブクログ

    よくわからない部分も多いけれど、わかる気がする部分も多い。サバイバーでも被害者でもないが、何でもない何かではあるからか。

    0
    2024年11月10日
  • GOSICK ──ゴシック──

    Posted by ブクログ

    ・キャラの作り込みが良く、頭の中で容易に登場人物たちが動いて読んでいて楽しい。
    ・謎解き要素もあるため、先が気になってすらすら読める。
    ・セリフはライトノベルに近い部分もあるので、苦手な人はいるかもしれない。(私も苦手ですが読むのをやめるほどのレベルではなかったです)

    楽しくあっという間に読めました。
    架空の国ソヴェールの描写も美しく、自分の頭の中でファンタジーが広がっていくのも嬉しかったです。

    0
    2024年11月02日
  • 傷痕

    Posted by ブクログ

    キング・オブ・ポップの周りの人たちや少し遠い人たちが彼のことをを回想するスタイルが好きでした。キング・オブ・ポップがどんな人なのか、何を考えていたのかがわからないけどそれが面白く惹きつけられました。

    0
    2024年10月29日
  • いつか、アジアの街角で

    Posted by ブクログ

    美味しそうなマンゴーかき氷?の表紙に誘われた。どれも30ページほどの短編で、心の奥に染み渡る話だった。

    0
    2024年10月25日
  • 少女七竈と七人の可愛そうな大人

    Posted by ブクログ

    田舎は特異な性質や、一般的ではない価値観を持つ人間にとっては害にしかならないと思った。
    比類なきかんばせをもつ七竈はこの先都会に出て新しい人生を歩むのだろう。
    七竈は雪のことが好きだが、父親が同じだと気付いたからお互いにその恋が禁忌だと知っていたに違いない。母親がいんらんだから。

    0
    2024年10月05日
  • いつか、アジアの街角で

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    インスタで知って、表紙の美味しそうなマンゴーかき氷のイラストに惹かれて購入。(マンゴーは長男の好物)
    いままで読んだことのない作家さんが多かったのだけれど、どれも面白かった!
    私は韓国と台湾には旅行で行ったことがあるのだけど、またアジア旅行に行きたいな。ぶらっと、ゆっくり。
    そういう気持ちにさせる作品ばかりでした。
    私は特に「隣に座るという運命について」「猫はじっとしていない」が好きでした。
    「隣に-」はこの本の1作品目で、舞台の街が私の通った大学のあたりだったので驚きました。(もしかしたら主人公の通う大学のモデルかも?)
    初読の作家さんの他の作品も読んでみたいなぁ!

    0
    2024年09月30日
  • 赤朽葉家の伝説

    Posted by ブクログ

    女3代いやタツさんも入れると4代の昭和の戦後の高度成長時代から平成、21世紀に跨る赤朽葉家の歴史の物語
    それぞれが不思議な力を持っており、家の存続に力を果たす
    男よりも女性の方が守るという事に合っているだろう
    それにしてもそれぞれ不思議なエピソードでグイグイと引き込まれていく
    また、周りの登場人物たちも個性が強くネーミングセンスも抜群、サンカの存在や古代より受け継いできたたたら場など物語に華を添えまくっている
    トーコにも必ず何かしらの能力はあるはずで、鞄にもあるのかな?
    丁度いいサイズの読み応えと満足のいく物語でした

    0
    2024年09月29日