【感想・ネタバレ】赤朽葉家の伝説のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月24日

終戦後から平成の中頃までを、実際の出来事にも触れながら紡がれる女三代記でした。

語り部である三代目、瞳子が私と同じ頃の生まれで、誰か人伝に聞いた話のように読むことができ、社会情勢や価値観、暮らしなど移ろう時代を登場人物に想いを馳せて読んでいました。

特に一代目万葉の時代の話が、実家に伝わる古い話...続きを読むとどこか似ていて、お気に入りです。

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Posted by ブクログ 2023年10月22日

何度目かの再読!
桜庭一樹さんの長篇、いつも前半部の面白さがとてつもない。後半になって減速する印象は否めないが、それでも最後まで面白い。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年11月05日

三部の最後までネタバレしてるので注意!

通勤時間にちまちま読む私には超大作すぎるけど、その分すごく面白かった。

万葉の見る神話の世界にぐっと引き込まれ、
毛鞠の突き抜ける衝動と喪失の歴史に踏み潰され、
一部・二部に対して比較的軽く、二部の喪失から癒えてきた傷口をさらっと爽やかにグリグリされる瞳子...続きを読むの三部。

視覚的にずっと美しい。
鉄砲薔薇と箱の渓谷や、曜司の乗るお座敷列車が浮き上がるシーンは、死にまつわることなのに美しすぎる。
桜庭一樹は生きている人間はもちろん、死んでゆく人間も美しく書き上げてくれるから信頼と愛を捧げたい。
最高。最高で最高に辛い。

泪がすごく好きだったので生まれると同時に作中での死が確定して、亡くなるまでずっとしんどかったし、
いざ死ぬと喪失感がすごくてそのあと泪の話が出てくる度に静かに本を閉じて休憩した。

最後に瞳子のことを抱きしめる三城の気持ちを考えるとつらい。
男に生まれてしまったが故に三城と結ばれる未来を選べず、自死してしまったかもしれないかつての友人(まぁおそらく恋人)の泪とそっくりに生まれた女の子の瞳子を、泣いている瞳子を抱きしめるなんて……。
優しいな三城は。
女に生まれていたら、って泪はきっと1度は思っただろうな…………。
しんどい。

そして豊寿さんも好きだったのに……そんな……ってなる。
友人の枠からはみ出ないように節度を持って万葉に接する豊寿が大好きだったので、死ぬなんて……。

この作品に出てくる男たちはみんな魅力的すぎる。
女たちももちろん魅力的なんだけど、男たちに狂わされる。

瞳子の今の自分に対する評価とか、未来への不安は共感できるところがあって最後の「ようこそ」は、瞳子を含む生まれた人間たちに対する歓迎の言葉。

瞳子とは違う種類だけど、三城もまた傷と不安を抱えて生きていくしかないのだ……。
今生きている私たちと同じように。

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Posted by ブクログ 2022年10月21日

鳥取の旧家での女三代の物語。戦後日本史、家族、青春、恋愛、いろんな側面から楽しめる。
一部ごとに主人公がかわる三部構成になっていて、特に第一部の万葉の話と第二部の毛毬の話は濃い。第二部のまででだいぶお腹いっぱいになった。

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Posted by ブクログ 2021年07月30日

戦後不死鳥のように生き返り、猛烈に成長し、そして行き詰まる現代までの日本の歴史を、ある旧家の3代の女たちを主人公に書き上げた長編。あとがきにも記されてるけど『百年の孤独』などのラテアメ文学の影響がよく見て取れるので、マジックリアリズムがどんなのか軽く知りたいって人にもおすすめ。沢山の登場人物が出てく...続きを読むるのに誰もが個性的で魅力を感じた。特に出目金おばさんの黒菱みどりはキャラが濃くて好き。マコンドは最後消し飛んでしまったけど、本作は私たち自身の未来に希望を持たせる締めくくりで、充実した読後感だった。

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Posted by ブクログ 2021年01月03日

三世代に渡る一族の物語。なかなかの名作。鳥取の旧家の土着的な雰囲気あり、ミステリアスな雰囲気あり、と思えばコメディタッチな部分もあり、楽しめる部分は多い。三世代それぞれが生きた時代の日本社会の描写がいささか表面的な気はするが、世代によって移り変わっていく時代を書くということが主眼であり、それ以外につ...続きを読むいては瑣末なことであろう。三世代目の娘が同い年というのも共感を覚えた。

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Posted by ブクログ 2020年04月29日

濃密な時代小説を読んでいるようで。
文字は小さいし分厚いしうーんってなったけど、
ノリ始めたら止まらない。
不思議な運命の巡り合わせに翻弄されます。

毛鞠の話が一番すき。

赤朽葉家は今も何処かで続いているのかしら。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年06月26日

再読。結構な分量だが一気に読める。女の三代記というのはそれだけで面白い。さらりと描かれる細かい時代背景にいちいち懐かしさを感じる。時代に絡めて、強烈な個性の祖母と母、地味な娘の設定が全く違う雰囲気を醸し出す。周りの男性の薄味感がまた女性を際立たせている。この一作で桜庭さんの小説の雰囲気が、少女から大...続きを読む人の女性へと一気に変わった。

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Posted by ブクログ 2019年01月08日

桜庭氏の著作を読むのは、『少女七竈と七人の可愛そうな大人』以来で二作目となります。
最初に出会った桜庭さんの物語は、何とはなしに浮世離れした、幻想的な雰囲気をまとった作品という印象でした。そして、少しばかり官能的な要素も含まれていたように思います。
二作目であるこの物語は、あとがきによれば、著者いわ...続きを読むく「全体小説」だそうです。つまりは、歴史小説でもあり、家族小説でもあり、恋愛小説でもあり、かつミステリーでもある。そういった趣の長編小説ということです。
読み終わって、振り返ってみると著者自身が評した「全体小説」とは、まさに言い得て妙でしょう。三代にわたる山陰のとある村に住む本家の大家族を描いた作品ですが、歴史小説としても読めますし、恋愛小説でもあります。どうにでも読めますが、一方でどの既定のジャンルに収めようとしてもそこから逸脱してしまう。そんな不思議な風合いの小説です。それゆえ、桜庭氏の最初に読んだ作品に感じた幻想的なエッセンスも再び味わうことができました。
長編小説でもあり、一つの作品で実の多くのエッセンスを味わわせてくれます。読み進めていく間にくるくると表情を変えながら、「全体」としては鳥取の村に大きな鉄工所を構える「赤朽葉家」の三代記という通底奏音に乗って、ゆるやかに、静かに物語は進行していきます。三代記ですが、物語の語り部は、三代目にあたる「なんでもない」娘です。この語り部の選択は絶妙と言えます。
そんなわけで、『赤朽葉家の伝説』という全体小説は、桜庭氏の代表作たり得る作品という世間の評判どおり、いつしか作品世界に引き込まれ、なにか上質なオーケストラでも聴いているかのような気持ちで読むことができました。本当に一冊で、何度もおいしい作品だと思います。
残念なことをひとつ。作品中とあとがきで、あきらかな誤植が二カ所ありました。作品の質を思えばわずかな瑕疵とも言えますが、画竜点睛を欠く気がして、その点だけがいささか残念です。

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Posted by ブクログ 2018年12月09日

少女だったり青春だったりファンタジーだったりミステリだったりする山陰製鉄一族の近代現代記
まとめていうと「全体小説」だが便利すぎるので
時代小説を重ねた一家の歴史小説であるから
昭和の後半と平成の今の山陰地方であることに意味ある時代小説の結構
これを書いた後に『私の男』を書いて
そちらの方を賞として...続きを読む評価したくなるというのはとても良くわかる
作者の他作品に通底する要素をごったに煮込んだ代表作的、
その作者がその時期だからの作品としてはこちらというのも良くわかる
『私の男』はなるほどと思ったが
『赤朽葉』はそういう意味で面白かった

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Posted by ブクログ 2020年11月27日

 高校時代にいわゆるスケバンとして、不良たちの間で伝説的存在となり、その後大人気漫画家となった女性の生涯……って気になりませんか?そんな人物がこの小説には出てきます。彼女の名前は赤朽葉蹴鞠です。

 上の話だけ聞くと、たとえフィクションでも「そんなやつおれへんやろ~」となると思います。実際、ライトノ...続きを読むベルやマンガのキャラ付けとして表層的に書くなら、なんとかなるかもしれません。でも小説として、そして一人のリアルな人間として、その人生を描くのは至難の業だと思います。しかし、それを可能にしたのが桜庭一樹さんなのです。

 なぜ、そんな破天荒な人生を描くことが出来たのか。それは、蹴鞠が生まれ、そして生きた「時代」の空気感、そしてその前後の「時代」も一緒に描ききったからだと思います。

 この小説の特徴は三世代に渡った小説だということ。彼女たちは大きな製鉄会社の奥様という立場になります。

 彼女たちと時代を描くうえで、この製鉄会社というキーワードも効果的に機能します。高度経済成長で大きく成長しながらも、石油危機や公害問題で縮小や、業態の変更を余儀なくされ、オートメショーン化や産業構造の変化で、職人たちも減り、シンボルだった巨大な溶鉱炉も停止、そして工場の取り壊し……。

 赤朽葉家の製鉄は、一つの時代の始まりと終わりを描きます。

 そして、それと呼応するように、時代の若者たちの意識も変化していきます。働けばその分報われると信じられた高度経済成長期。学生運動が盛んになり、若者たちのうねりが仕事以外に向き始めた時代。

 学生運動の熱も冷め、若者たちのうねりのぶつけどころが無くなった時代。そして、バブル崩壊後の失われた20年、希望や生きる目的が見えにくくなった現代。

 こうしたそれぞれの時代と、その時代を生きた若者たちの空気感を描きったからこそ、万葉の時代も、わたしの心情も、そして蹴鞠の不良時代から、漫画家への転身という破天荒な人生も、時代の要請として描き切ることが出来たのだと思います。

 この話の謎の中心となるのは、千里眼として未来予知ができた祖母万葉が視た空飛ぶ男の謎。でも読んでいくうちに、その謎が吹き飛ぶくらい万葉、そして蹴鞠の人生の濃さに夢中になると思います。(蹴鞠の人生が濃すぎるだけで、万葉の生涯もかなり濃くて面白いです!)

 そして、現代、万葉が死の直前につぶやいた「わたしは人を殺した」という言葉に導かれ、現代の語り手、瞳子は赤朽葉家の謎に向き合います。そして謎の先にあるのは、時代の終わりと、そして未来への小さな決意だと思います。

 この小説の最後の文章って、冷静に読むとちょっと青臭いです。しかし、それぞれの時代のうねりと女性の生涯を読み切ったあとならば、この文章が美しく、そして読者を勇気づけてくれるものになっていると思います。

第60回日本推理作家協会賞
2007年版このミステリーがすごい!2位
第5回本屋大賞7位

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Posted by ブクログ 2018年06月18日

登場人物一人一人が魅力的。特に、赤朽葉毛毱と彼女の周囲の女たちの話が好きだった。
万葉の見る世界が不気味でぞくっとする。
紀伝体で赤朽葉家の人々を描写する話…と思いきや、それらの話が全て現代で繋がって、1つのミステリーを織り成す様が見事。

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Posted by ブクログ 2017年12月16日

”砂糖菓子の~”が好きで、他の作品も是非!と思いながら、なかなか読めずにいた作品。今回、どこかでオススメされているのを見かけ、いよいよ読んでみることに。で、これがまあ絶品でした。件の家族に生きる女性たち3代(4代か?)を描いた長編で、そういうのが好物な自分としては、祖母や母が活躍する1・2章も十分に...続きを読む魅力的。そのままの流れで自身のことも綴り、家の没落で幕が切れるのかと、勝手に想像してました。一方で、自分の中で勝手にミステリーかと思い込んでたこともあり、1・2章を読みながら、『あ、純文学的な作品なんだ。でも素晴らしいから結構』と、作品の見方が変わっていたところで…。3章、題名からして”殺人者”って不敵なんですが、まさかのミステリ的展開にビックリ。未来視の中で、なぜ空中飛行だけは実現しないんだろう?って、ずっと引っ掛かりながら読み進める訳ですけど、それも最後の謎解きに当たって、いよいよ重要な意味合いを持って現出します。純文学ともミステリとも読めて、かつどちらの観点からもハイクォリティ。素晴らしい作品でした。

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Posted by ブクログ 2019年01月16日

おもしろい。

神話的な世界から入り、現代の苦悩へと続く。
時代時代のファッションが取り込まれ、懐かしさとユーモアがいい。

やっぱり現代の若者である瞳子に共感する部分が大きい。
でも、きっとその時代時代に生きた人々も同じような悩みを抱えていたのではないかという気もする。
ただ、定職に就くことという...続きを読む固定観念が崩れ、人生の選択という面での、あからさまな自由の前では、悩みが深くなるのは確かな気がする。

全共闘世代が、時代の変化とともに簡単にサラリーマンへと変貌した、そこにも苦悩はあったはずだ。
そうだとすると、今という時代に特有の悩みとは、なんだろう。
なんとなくでも生きて行けてしまうというのは、確かに物質的に豊かな今特有の状況とも考えられるが。

仕事ってなんだろうなぁ・・・
なんてことを就職前の今しみじみと考えてみる。


苦しさと悲しさの違いってどこにあるんだろう?
わかるようなわからないような。

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Posted by ブクログ 2023年11月19日

話は3部作構成。鳥取の名家赤朽葉家の女三代の物語。里で拾われた山窩の子供、千里眼の万葉。未来に起きることを幻視する。大奥様のタツのひと声で赤朽葉に嫁入り。その娘でレディースから漫画家になった毛鞠。恋愛、抗争、友情、そして青春の終わり。更にその娘、まだ何者でもない瞳子。万葉、毛鞠が主役の2部目までは、...続きを読むこれはいわゆる大河小説か?という展開。日本の経済発展、オイルショック、バブルへと。

当時の風潮を思い出しながら波乱万丈の2人の人生を愉しむ。それが面白い。自分の親の世代の万葉も、自分の世代の毛鞠も私の知ってる時代とは少し違う気もするが地域の違いか、個人の違いか。そこは小説だから御愛嬌。

そして瞳子の出てくる3部目になって思い出したかのように殺人の話が出てくる。登場人物が、その昔の殺人を告白するのだ。誰が殺されたのか?なぜ?どうやって?という謎解きに瞳子が挑む。その謎を解く伏線は前の2部、大河小説部分に隠されている。だからこんな突飛な2人の女性の人生を描いたのかと、そこで気づく。
そもそもこれは推理小説なのか?と思いながら読んで、違うけど面白いなと思い始めた頃に謎が提示されるから、そのときにはもう推理小説としての興味を失っている。謎解きはどうでも良いのだが、上手に作っている。それが良いのか悪いのかわからんが何より小説にいちばん大事なこと、お話として面白いので十分だ。










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Posted by ブクログ 2022年09月04日

女三代の話。
朝ドラにもありましたね、そういうの。
毛鞠と青春時代が重なり、懐かしく読みました。
面白かったけど、結局万葉はなぜ、誰から捨てられたのか、そこが気になった。

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Posted by ブクログ 2022年07月30日

読み初めは、堅いタイトルに加えて時代小説っぽい感じで最後まで読めるか心配していましたが、不思議な世界観と登場人物に魅了され一気に読んでしまいました。
明るい内容ばかりではないですがどことなく朝ドラのような雰囲気がします。

どの時代にも栄枯盛衰があり、流れにのれる人と取り残される人がいる。その繰り返...続きを読むしで今があるんだなと思います。後半で急にミステリー感が出てきてちょっと驚きました。

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購入済み

いい意味で奇怪

2021年10月16日

どんな思考回路を持っていたら
こんな物語が生まれるのだろうか。
驚きと尊敬しかない。

その時代背景と、必死に生き抜く各世代の女たちの
力強くもメッセージ性の強い物語だと思う。

あと、人との繋がりや家族の繋がりを
大事にしたいと思った。

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Posted by ブクログ 2021年07月20日

戦後から平成初期にかけた日本の歴史に沿ったある特殊な一家についての物語だった。学校の教科書で習ったような風習や当時の様子が描かれていて、懐かしい感じがした。またそこから十数年前の常識は今の非常識なのはいつの時代も同じだなと感じた。時の流れが早くりつつあるように思える現代では、世間の常識より自身の信念...続きを読むこそが最も大切なのかもしれない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年10月14日

タイトルからも堅苦しそーだなあでも読みたいなあ読まなきゃなあを彷徨ってたこの超大作をようやく読めました。読んで良かった。堅苦しさとはなんのことやったのか。物語への没入のしやさすさ。戦後からの時代背景を詳細に踏まえながら、赤朽葉家の物語は語られます。時代に沿ったり沿わなかったり、旧家の有り様も表現豊か...続きを読むでとても面白かった。

なにより、文体や語り草にとても笑ってしまう。
『寝取りの百夜』は腹抱えて笑いました。死に様も全く裏切ることなく、とても良いキャラでした。
万葉、毛毱、瞳子の3世代がもちろん色濃く強く素晴らしい主人公でしたが、周りを取り巻く女性たちのなんと華やかで可笑しなことか。黒菱みどりがとても印象的です。この女性が出てくるたびに、万葉の少女時代が思い返され、飛行人間の謎をそのたびに思い出してたのですが、これはまた最後に解決されるお話。切なくも、強かった男のお話。

毛毱とチョーコの関係性はとても儚く、寂しいものでした。チョーコという人間の考え方にはとても共感するものがあり、この陰影な考え方は毛毱が大きく強い赤い光であることを再確認していた。
だからこそ、毛毱の最後には驚いた。チョーコが迎えに来たのか、毛毱がチョーコを迎えにいったのか。死してなお、胸を打たれた。

桜庭一樹さんの全体小説、とても楽しませていただきました。流石の一言に、尽きます。

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Posted by ブクログ 2020年09月12日

3章で構成された物語ですが、1,2章は独特の世界観で引き込まれます。ところがミステリー小説と思っていたのにその要素が無い?…。3章目で漸くその展開がありました。昭和から平成に生きる女性の愛憎を時に恐ろしく、時にコミカルに描いた作品です。とても面白く印象深い作品でした。

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Posted by ブクログ 2020年08月31日

あまり好きな作風ではなかったが、読破して良かったと思える良作。
祖母、母、娘三代にわたる、旧家の物語を、当時の社会情勢を交えて描いている。
創作ながら、地に足がついており、登場人物たちの名前に違和感を残すのみだった。
その時代の空気感や、社会の変遷から派生する登場人物たちの悩みなど、大きな視点と小さ...続きを読むな視点のバランスがうまく取れていた。

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Posted by ブクログ 2020年07月29日

 最初から特殊な能力を持った女の子が、空を飛ぶ男と遭遇するところから物語が始める。時代は大正の頃か昭和の初め頃か、日本海に面した田舎での物語。不思議な雰囲気で物語が進む。特別な殺人事件が起きるというわけではないが、雰囲気ならば江戸川乱歩か横溝正史のような感じ。3代にわたる女性の人生を描いてゆくが、祖...続きを読む母は超能力者、母は伝説のヤンキー、そして語り手の女性はそんな母や祖母の人生を振り返る特別な能力は持っていない女の子。三部構成の異次元の世界のような物語に引き込まれる。

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Posted by ブクログ 2018年12月08日

山陰地方鳥取県の旧家赤朽葉家を舞台にした女三代記。
ここがすごく面白いという物ではなく、全体小説として
とても楽しめた。
時間を置いて再読したい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年10月26日

初、桜庭一樹。

赤朽葉家、女三代の年代記。
ノンフィクションを読んでいるような臨場感があり、自分もその世界に生きている一人のような気分で楽しめた。

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Posted by ブクログ 2019年01月16日

面白かった! 第3部は推理小説といわれたりしているけど、謎については途中でわかってしまったが、そんなこと関係なく読み応えがあった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年03月23日

2008年。(第5回)。7位。
GOSICK好きなのよ。
鳥取の旧家女性3名の歴史。万葉はフィリピン系の感じで山の民に捨てられ、鳥取で育った。中国山脈あたりって八咫烏も住んでいたような。旧家の大奥様タツの指名により輿入れ。世の中は鉄鋼業が盛んだった。泪、丙午の娘の毛鞠、鞄、孤独の4人を生む。毛鞠は中...続きを読む学生より暴走族で中国地方を配下に収める。やがて引退、そして人気漫画家に。長男の泪の死により、父の決めた男と結婚、瞳子を産む。鉄鋼業も衰退していく。この話は瞳子が語り手。
昭和の歴史と絡めた一族の歴史。

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Posted by ブクログ 2021年03月14日

日本推理作家協会賞を受賞した作品。この人の本は初。

戦後まもなくの鳥取県紅緑村に、一人の赤ん坊が置き去られていた。
「山の民」の子と見られるこの子を村の若夫婦が引き取り、その子は後に製鉄業で財を成した旧家・赤朽葉家嫁入りする。
それが赤朽葉家の「千里眼奥様」こと、赤朽葉万葉だった。
時代は過ぎ去り...続きを読む、万葉の娘・毛毬は中国地方最大のレディースの頭から漫画家に転身する。
そして孫の瞳子は、旧家の娘として何が出来るかわからぬまま、空虚な自分を感じていた。
本来ならば“自由”と名付けられるはずだった瞳子。彼女は祖母と母の本当の物語を知る為に動き出す。。。

非常にスケールの大きな作品である。
何しろ親子3代に渡る、長い時代を掛けた物語なのだから当然か。
第一部の「万葉編」は、昔の風景と神話と戦後の高度成長など、多くの要素を含みながらも
“山の子”である万葉があれよあれよと赤朽葉家に嫁入りし、数多くの子供を産んで行く、
情緒溢れる「成長譚」のような物語だった。
個人的には一番面白いと感じた。

第二部「毛毬編」になると、その時代を知っているせいもあってか
妙な古臭さ(ダサさ?)を感じ、毛毬や友人達の言葉使いに青臭さを感じてしまった。
ある意味狙い通りなのかもしれない。とりあえず突拍子もない物語である。

第三部「瞳子編」は、正直面白味を感じる事が出来なかった。
何もない瞳子。彼氏と上手くいったりいかなかったり、
突然浮かび上がる“万葉の殺人疑惑”の謎を探ったり。
そしてその謎の真相も、それ程驚くような内容でもなかったりする。
語り手としての瞳子は必要だったのだろうが、彼女自身の物語は何一つなかった。

そもそも、個人的にこういった「時代を生きた女性達」みたいなお話はそこまで好きではない。
赤朽葉家は女性がいなければどうしようもないのか?という疑問も湧く。
あまりにもあっさりと人々が死んでいくのも、味気ないものである。

それでも、読み応えはあったし話の展開の仕方は読み易かった。
直木賞を取った『私の男』も読んでみようかと思う。


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Posted by ブクログ 2021年03月02日

3部に分かれてるんだけど、1部は途方もなくて読み終わらないかと思った………ミステリーとして読むと物足りなさはあるけれど、女3代の物語としては日本のその時々の文化や世相もよく現れていて読み応えはありました。しかし、3部の現代編が1番読みやすかったな。

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Posted by ブクログ 2018年08月16日

 戦後史を背景とする女三代記の大河小説に、異能の漂流民の神話的ファンタジーと、「犯人捜し」ならぬ「被害者捜し」のミステリを絡める。謎解きは非常にイージーで意外性の欠片もないので、むしろ純然たる大河小説にして欲しかった。二代目の第2部が最もよく描けている(著者の同世代の総括的意味で)。

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Posted by ブクログ 2019年01月16日

赤朽葉家の女三代の物語。
時代背景にも共感できて確かに面白かったんだけど…なんというか「ジュニア小説出身」という印象が拭えない。
特に毛毬と鋼鉄天使のくだり。

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