桜庭一樹のレビュー一覧
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読み終わって、当事者意識、について考えている。
自分ではない立場の人の状況や気持ちになるのが難しいって事はよく分かるし、いつか自分もその当事者になるかもしれないっていう想像も難しい。
頑張って想像してみたところで、憶測に過ぎなくて、
かえって失礼かも、とか、逆の立場なら、やめてよっ!てリアクションをしてしまうかもしれない。
自分ではない誰かの気持ちを丁寧に書ける作家さんって、ホントすごい。とも改めて思う。
二つの義務、についても考える。
少数派が、多数派の和を乱すだけ、困惑させるだけだから黙っている沈黙。
少数派だから、社会に受け入れて頂くため説明し、努力を重ね、理解して頂かなくてはならないかの様な、謎の説明責任。
確かに、どっちも嫌でたまらない。
大学生の頃のサークル活動の事も思い出した。
私、イタい子認定されて、軽くハブられてたらしい。
本人、ぜんっぜん気がついてなくて、別に居心地の悪さなんかも感じてなかったのに、後輩が突然キレた。
「あんだけ無視されて何も感じないとか信じられない!」
彼女がキレたのが、義憤だったのか、もしかしたら向こう側の人で反応しない私が面白くなかったのか、その辺は分からないけど、なんかとりあえず彼女の言葉にショックを受けた。
ハブられた事より、可哀想な子認定を突きつけられた事がショックだったのかな、と四半世紀以上経って思い至っている。
別に真相なんてどうでもいいし、もう連絡もとうの昔に途絶えているし、今更彼女に私が傷つけられる事なんてないし、ただ、それは気が付かなきゃならなかった事なのか?という静かな疑問が浮かんだだけ。
私も知らず誰かを傷つけたかもしれない。
私を作る細胞達が一つひとつ違って、何なら腸内細菌やら皮膚常在菌やらも併せて私を作っている様に、一人ひとり違う私達が大きな宇宙を作っているのかもしれない。そして彼女は私だったかもしれないし、私が彼女だったのかもしれない。
なんてことを考えた。なんか怖っ。
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Posted by ブクログ
著者の別作品のシリーズに『GOSICK』なるライトノベル作品が存在する。一九二四年、架空の西欧の小国ソヴュールを舞台とするホラーテイストのミステリである。二〇一一年には悠木碧主演でアニメ化もされた。
此の『GOSICK』シリーズに関して、著者が何処かで、歴史上、近代とは日本にとって青春の時代ではなかったか、というようなニュアンスのコメントを残していたと思う。
即ち、子供から大人へ。神秘から科学へ。換言すれば近代とは神秘の残り香を宿した最後の時代なのである。本書『赤朽葉家の伝説』もまた『GOSICK』と同様の通奏低音の下に書かれた作品であろう。
サンカ、服わぬ山の民。其の遺児たる万葉は、同時に神秘の時代の落とし子でもあった。
本書は第六十回日本推理作家協会賞受賞作とある。ならば、まあ、推理小説の類であろうと頁を繰るのだが、其処に展開されるのは神秘の落胤・赤朽葉万葉から始まる少し不思議な女三代記である。
然も質の悪い事にこれが結構面白い。途中まで本書がミステリである事を本気で失念して娯しんでしまった。
だがミステリを愛好する向きには安心されたし、本書はちゃんとミステリである。本来御法度とされる筈の神秘の要素も不可欠な仕掛けの一つ。日本推理作家協会賞受賞は伊達ではない。
然し乍ら矢張り自分としてはジャンルの枠組みで縛るのが勿体無いくらいには純粋にクオリティの高い作品であったと感じる。単に小説作品として面白いのである。
これまで読んだ桜庭一樹作品では『私の男』が個人的にはベストであったが、若しかすると首位交代も有り得る……。 -
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久しぶりの桜庭一樹。
月夜の義理の兄・奈落の死から物語が始まる。
血縁とか家族とかの軋轢や愛を描くのばかり読んでる気がする。
死者を忘れるのは簡単で難しい。
簡単に忘れて、不意に思い出して、染みみたいに残る。
奈落みたいな男の子、モテるだろうなぁ。
月夜みたいな子、居るよなぁ。
生い立ちが複雑だと何もかもそこに起因している様な気がしてしまうけど、本当はもっと些細な事なんだろう。
本人的には重大な過失の様に感じても。
それを『18歳と19歳』で分けたり、月夜の友人らの陰口で表現していて、世界観は現実とファンタジーの狭間なのに、そこに生きている人達はリアルだ。
密と約のセクシーな感じが伝わってきて良かった。
2人で密約だね……。 -
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ネタバレアニメ途中までしか観てなかったからこの話は初見。
突然学園から連れ去られたヴィクトリカを連れ戻しに旅立つ一弥。
修道院ベルゼブブの頭蓋にて無事再開できたものの、ヴィクトリカは相変わらずのツンツンっぷり…笑
…と思っていたら後半で、母コルデリアに対する想いや父に道具として扱われる自身の生まれてきた意味に対する不安等心の内を一弥にこぼす。あ、あのヴィクトリカが素直に……‼︎と軽く感激(;∀;)
今作ではコルデリアに加えてついにヴィクトリカの父アルベールが登場したり2人の絆がより深まったりと前作より更にストーリーが進展して今後の展開が気になるところ。
そして結局パンドラの箱形見箱とは⁇…ってめちゃくちゃ気になるところで終わるんかーい‼︎
(ヴィクトリカが特別毒舌でコルデリアは優しいのかと思ってたけどコルデリアも結構なツンツンっぷりだった。流石ヴィクトリカのママ^^;)
(あとベルゼブブの頭蓋と駅と海との位置関係とか水門がどうとかの仕組みがいまいちよくわかんなかったので図を入れて欲しかった…) -
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中盤まで面白く読み進んでいたのだけれど、最後のほうはちょっと混沌としていて少しすっきりしない感じが残った。LINEでやり取りしていた同級生が、どうやらパラレルワールドにいるらしい。向こうの世界では、自分や周りの人が違う選択肢や、違う運命をたどり、どうやら新型コロナウィルスという病気が世界的に巻き起こって大混乱をきたしているらしい。
そんな話が、もしコロナがなかったら…ということを想像させてくれたし、主人公が30代で乳がんの治療を経験した女性であることからの様々な思いもよくわかって(化学療法中の頭がぼんやりする感じや、白血球を増やす注射をした時の体の感覚など)、健康と病気、男性と女性、加害者と被害者など、いったい境界ってなんだろうと考えさせられた。
こういうふうにコロナが小説の中に昇華されてきているんだなあと思った。うんこビルとイカビルの違いが良く見る建物だけにおもしろかった。 -
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ネタバレ本のおびが「書き手の心を守り、読む/読まれるという営みをいっそう豊かにしていくための読まれ方入門」となっている、ベテラン作家の手による新書。一般読者としては、その本が自分にとってどう面白かったかと感じて感想を書いたり、友人と話すといった読者なので、本の著者がどのような気持ちで読んでほしいかを考えたことが無かったことから、斬新な視点の読書方法の本でした。小説の著者は不特定多数の読者と向き合っていることから、林芙美子著「放浪記」の主人公のように感情の起伏の多少はあれタフな精神の人が多いのかと思っていましたが、作者の心の平穏について考えるよい機会にはなりました。高校や大学の図書室に一冊あってもよいかなと思いました。
最後の4章(ファンダムと生きていく)は当事者のファンダムを生み出した人にしか分からない話しなのでやじ馬的興味から面白かったです。作者の心境が心配になる作家は読者によって異なるとは思いますが、自分としては、ノーベル文学賞を受賞したにも関わらず、アメリカ文学史のテキストからほぼ無視されているパール・バックが、20世紀の暴力的な時代にアジアの貧農や狂信的宣教師の話しから障害児や孤児、核兵器開発までの話しを書いて、いろいろな評論を受けて作者の心持ちはどうだったのか心配になりました。
各章の終わりにコーヒーブレイク的にある、よもやまばなしという見出しの文章は付録というよりは、重い内容の割にあっさりとした記載なので何度読んでもよく分からない箇所が多々ありました。
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ネタバレ久しぶりの桜庭一樹!
パラレルワールドとして存在してるこっちの世界の話が、コロナらへんで「あ、そうだった。ほんとに。この世界はこのままどうなってしまうんだろうと思いながら、それでも懸命に日常を続けていたな」と思い出して怖くなった。忘れていっちゃうのかな、こういうのも全部。
波間の病気のことも。当事者じゃないから私はなにも言えないけど、理解はしたいというか。でもその「理解」が上から目線に思われたり興味本位に思われたらどうしよう、とかは思うから、あんまり、あんまりなぁ。ただ本当に生きて、健康で、楽しく暮らしてほしいということは全人類に思っている。
主人公のお兄ちゃんに対して申し訳なくなるところがたくさんあったな。
私は姉がいるんだけど姉は私のことが大好きで、私もまあシスコンなんだけど私は甘えることの方が多くて。なのに姉は無償の愛を与え続けてくれるんだよね。そんな姉の姿が波間のお兄ちゃんと重なって、頼むから幸せであってくれと願った。お兄ちゃんの言う通り、愛しかないじゃん。愛しかないし、って。
はーーー、なんか明るくてよかったな。
人生はまだまだ続くもんな。