桜庭一樹のレビュー一覧
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「GOSICK GREEN」
新大陸に到着した早々、難事件を次々解決したヴィクトリカと久城。開業したグレイウルフ探偵社には依頼人が殺到。伝説の銀行強盗が脱獄したというが?奇跡の名コンビが、またもN.Y.中を巻きこむ大活躍?
新大陸に到着し、新居は決まったが、家具がない。人の好い管理人から、家具を譲ってくれる未亡人を教えて貰ったヴィクトリカと久城。しかし、未亡人の住む家は奇怪な仕掛けが施されていたカラクリハウスだった。その未亡人は、アーサーキング別名ドルイドという建築家の妻で、彼の夫は、様々な建築物を手掛けていたのだった。一方で、伝説の銀行強盗が脱走したと報道され、ヴィクトリカの下に、ある -
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捨てたい捨てたくないここにいたいいられない 「まことに遺憾ながら」美しく生まれてしまった少女・七竈が、ずっと縛られていた地元・旭川を捨てるまでの話。閉塞的な田舎では目立ち過ぎる美貌のせいで常日頃生きにくさを感じている七竈に対し、彼女の目の前に現れては彼女の「こころのかたち」を少しずつ変えていく「可愛そうな大人」の様子を、七竈本人や飼い犬で元警察犬のビショップ(!)、七竈の母・優奈やその親友の多岐、その息子であり七竈と瓜二つの顔を持つ少年・雪風の視点でどことなく芝居かかった大袈裟な語り口で描かれています。リリカルな雰囲気ながらも時折突き刺すような応酬が印象的です。
物語は厳しい母に育てられただ -
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能も狂言も人形浄瑠璃も見たことないので、
実際にどのような”動き”をするのかは全く想像するしかないのですが。
後書きでは「舞台での人形は本当に死ぬ。首が飛ぶ、崖から落ちればそのまま動かなくなる」とありそれを想像しながら読むと心に迫ります。
【「能・狂言」新訳:岡田利規】
能「松風」
磯に立つ一本の松の木。
行平中納言の一時の寵愛を受けた二人の女の情念。
能「卒塔婆小町」
若き日は美しかった。
その昔戯れに扱った男の怨念が憑り付いて、
いまでは卑しく年を取った。
能「邯鄲」
”邯鄲の夢”の能舞台化。
狂言「金津(かなづ)」
「はい、こうして登場したのが誰かと言いますと、金津と -
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《大人》からの逃避行。それは自分が大人になってしまうことから逃げることでもある。渡される進路希望調査票、未来を選ばない「ぼく」。不思議な少女と二人、行く宛のない旅をする。
ぐるぐる目が回るような展開、どこまでがブラックアウトでどこまでが現実なのか……曖昧だけど確かな少女の手触りが残る読後。駆け抜けるような物語に着彩する描写が何よりも少女のキラキラポップチューン。最高だ。
ラノベというかノベルゲーム的文体で最後にエンディングが分岐するという構造にもびっくりした。元々は単一エンドだということだけど、この結末が複数存在して、それがそれぞれ独立したものではなく互いに重なり合ったものになっている(! -
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桜庭一樹の物語の中で一番好きな物語だ。
眞子と駒子の親子はずっと旅を続けている。
駒子には戸籍がない。だから学校へも行けない。言葉を話すこともできない。
それでも駒子は幸せだった。
何故って、何よりも自分を必要としてくれる眞子がそばにいたから。
でも子どものままではいられない。
時が経てば駒子も成長する。大人になっていく。
文字を覚え、本の中にある世界を知り、物語に魅了される。
眞子だけを見ていた駒子は、もう存在しない。
求めているのは眞子だけではないのに。
駒子だって苦しいほどに眞子を求めていたのに。
眞子の心は揺らぎ、脅え、少しずつ疲弊していく。
突然の別れ、置いていかれた駒子。
切なくて -
表示が変わっただけ?
表紙が全面赤のGothic REDと内容は同じです
2回買わないように気をつけましょう。
新大陸編はこれまでの環境と全然違うので読んでて目新しさが目立って楽しいですね -
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○ばらばら死体ができ上がるまでどのような心境の変化があるのか。内面に迫るルポのような細やかさを備える一冊
大学講師の吉野は、昔世話になっていた「泪亭」という神保町の古書店で沙漠と出会う。自分の境遇と重ね合わせた吉野は、昔から持っていたカギを使い部屋に侵入し、沙漠を襲う。金がもらえるのでは、と思った沙漠も吉野に迎合し、受け入れる。ある日吉野は沙漠を連れ出し、実家のある下北半島に車で向かうが・・・
貧困が人間の何を変えるのか、裕福な人との違いは何なのか。
何が違うというのだろう。だって、同じ人間ではないか。
でも何かのはずみで、何かのきっかけで転落するし、人を殺してしまう。
淡々と、吉野、沙