桜庭一樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本が、というか、作中に出て来る読書クラブが持つ仄暗く耽美な魅力に高校生の時からずっと魅了され続けています。
演劇部がかつて使ったバルコニーやドレスやら、エゾシカや狸の剥製やら、ミラーボール等と言った誰かが残した統一性のない大量の物に囲まれたカビ臭い本だらけの空間で、お茶を飲みビスケットを齧りながら気の済むまで本を読み、時に議論し、また偶に訪れる不可思議な事件に耳を傾ける…なんて素敵な部活動なんだ!こんなファンタジーみたいな素敵空間が現実にあればなぁ!と、ずーーーっと憧れています。
どこが好きなのかを具体的に語るのが難しい作品なのですが、一見ひねて周りに埋もれてしまいそうな意見の中に、 -
Posted by ブクログ
東京・六本木、廃校になった小学校で夜毎繰り広げられる非合法ガールズファイト、集う奇妙な客たち、どこか壊れた、でも真摯で純な女の子たち。体の痛みを心の筋肉に変えて、どこよりも高く跳び、誰よりも速い拳を、何もかも粉砕する一撃を―。新シリーズ「赤×ピンク」の第1巻。
躁鬱の激しいブルマ少女、まゆ14歳(実は21歳)。魅せることに喜びを感じる女王様、ミーコ(実はSMの女王様)。女性にモテる女性恐怖症の空手家、皐月(実は…)。
彼女たちが毎夜働くのは、廃校の校舎を改良したファイトクラブ、それぞれが秘めた思いを胸に、たたかい続ける…。 都会の異空間に迷い込んだ3人の女性たち、そのサバイバルと成長と、恋を描 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれまでの桜庭さんの作品を色々読んだけれど、
「私は作家としてこれからも、なにかをみつけては、指をさし、あなたがたに小声で名前をつけていきたいと考えています」がとてもしっくりきた。
「....誰にも単語にされていないけれども今を生きる人みんなが本当はわかっていること、きづいていること、それを小説にして、名前をつけていくようかことをしたい、....」
あー、桜庭さんだーって それだーって。妙にリアルで言葉にできないなあと感じていたけれど、そゆうことだったんだって。 それがしたかったのかって!!!!
すごくすごく素敵です。よかったです -
Posted by ブクログ
ネタバレ三部の最後までネタバレしてるので注意!
通勤時間にちまちま読む私には超大作すぎるけど、その分すごく面白かった。
万葉の見る神話の世界にぐっと引き込まれ、
毛鞠の突き抜ける衝動と喪失の歴史に踏み潰され、
一部・二部に対して比較的軽く、二部の喪失から癒えてきた傷口をさらっと爽やかにグリグリされる瞳子の三部。
視覚的にずっと美しい。
鉄砲薔薇と箱の渓谷や、曜司の乗るお座敷列車が浮き上がるシーンは、死にまつわることなのに美しすぎる。
桜庭一樹は生きている人間はもちろん、死んでゆく人間も美しく書き上げてくれるから信頼と愛を捧げたい。
最高。最高で最高に辛い。
泪がすごく好きだったので生まれると同 -
購入済み
紅だ!
桜庭一樹先生のファンなので購入しました。
外国人に対する差別や、女性の地位に対する考え方など、社会の課題を散りばめながらも軽めに仕上げられた読みやすい作品だと感じました。
物語の中心となるバディが男女の組み合わせで、正反対の二人であることも象徴的でした。
この先を想像したくなるような印象的なおわり方でした。
読みながら紅が脳内に流れました。 -
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桜庭一樹さんの描く少女が好きなのだが、この本は本当にドンピシャだった。
まゆ、ミーコ、皐月の3人の女の子たち、それぞれのお話による3部構成。
まゆのことを檻から出すのは男であり、
ミーコは皐月の助言、
皐月は千夏という女によって檻から出る。
大人になっても頭の隅に残っている少女性が、彼女たちの不安定さと呼応する。
話の構成的に1編目のまゆが1番インパクトが強く、皐月にかけて尻すぼみになっていく気もするが、
まゆがケッコンして檻から出る部分がこの小説の見せ場であり、そこにかけて加速した物語はもう減速していくだけと考えると、まあ妥当かとも思う。
実際、まゆがケッコンすることにより少女の輪 -
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「失うまいと一心不乱にかき抱く。こんなにも力を込めているのに、指と指の間から、まるで液体でできているかのようにこぼれ落ちていく。」
親に庇護を受ける少女でもなく、自立した大人の女性でもない。おんな と こども の間の孤独で、不安定で、脆く、儚い、女の子達が愛おしい。
「あの子に彼氏が出来た」事に反応しただけで、「あの子のシアワセ」だとか「あの子の彼氏」にはちっとも興味が湧かない。女の子ってきっとそういうもの。
P 38「こうやってボルテージが下がったとき、わたしはふと、なんかわたし、うっかりこのまま死んじゃいそうだって気づくことがある。その気持ちには、死にたい、さぁ死ぬぞ、っていうほどの積 -
購入済み
少女を埋める
直木賞作家の冬子は父の死に際し、7年間帰っていなかった地元鳥取に戻る。
そこで触れる母や地元の人の姿を通して、根強い家父長制や母子密着、共同体や個人に思いを馳せる。
自分なりに「少女を埋める」のあらすじとして上記のようにまとめてみたのですが、作品の魅力が伝わらないことがあるかと思いますので、とにかく一度読んでいただきたいです。
わたし自身田舎出身で、考え方が古い(とわたしが感じる)母とうまく接することができない負い目みたいなものを感じることが多いため、共感できる部分がたくさんあり一つの作品として面白いと感じました。
もともと桜庭先生のファンでTwitterアカウントをフォローしていたため、「