桜庭一樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
穏やかならぬタイトルなのに、”っ”を織り交ぜたひらがな表記により、ちょっとコミカルな雰囲気が漂う本作。殺人やら虐待やらが平気で登場する一方、そこかしこで顔を出すおかしみも含めて、タイトルにうまく表されている。内容は、最初と最後以外、設定もジャンルもバラバラな短編集。苦手なSFジャンルということもあってか、唯一『A』だけは全く好きじゃなかったけど(☆2つ)、それ以外は軒並み高品質。どうやら、最初と最後が『砂糖菓子』の後日談らしいけど、背景が同じというだけで、全く別の作品。むしろ、ラス2の短編の方が同系統ぽかった。ちなみに個人的に一番好きなのは、最初の一編かな。
-
Posted by ブクログ
出てくる本をリストに書き溜めながら再読。最高の過ごし方。ものすごくうっとりする。読みたい本がありすぎて決して尽きないこと、果てしなくてとても安心してしまう。ここからどれを読んでもいいんだ。大好きな人の大好きなものが果てしない。まだ何冊かシリーズあるからしばらく楽しめるけど、それにしても有限だもんな。きっと引き続きずっと読んでらっしゃるのだろうから読書日記再開というか続編出してほしいな………
再読と言っても初読のときは単行本で登録したみたい。巻末のあとがきを読んで2010年という表記に震えた。10年前………!
10年後も、読みたい本が溢れていてその果てしなさに幸せを覚えていますように。 -
Posted by ブクログ
ネタバレキスをした直後に義理の兄、奈落が死んだ。パープルアイを持つ«もらわれっこ»の月夜は突然の悲劇から目を背け続ける。おとうさんは月夜を現実に引き戻そうとする。そして«天才的現実主義者»の長男、一郎は非現実的なことを言う月夜を厳しく避難する。この小説はページを捲りながら、ただただ息が詰まりそうだった。私は苦しくてたまらなくなるような小説が好きで、桜庭一樹さんの文章が大好き。月夜は奈落に向けて「えいえんに大好きだからね」と言う。永遠をえいえん、と平仮名にして言葉にするところが個人的にすごくお気に入り。だって柔らかくて、丸くて、綺麗で、夢みたいな響きだと思う。おとうさんは奈落が亡くなってからの日々をどう
-
Posted by ブクログ
私は桜庭一樹の作り出す世界観が心底好きだなと改めて実感した作品。 まんまとメロメロになった。 あらすじを読んだ時点でこれはいかにも好きな感じだなと思ってたけど、本当にはずかしいくらい好みど真ん中で降参してしまった。 言葉ひとつひとつに力があって、でもたくましいだけじゃなくしっとりした色っぽさもあって、読点のタイミングや台詞回し、文章の端々に桜庭節が強めに効いている。 桜庭さんの選ぶ言葉は、くせがあるんだけどわざとらしくなく巧みだから、流れるようにすっと沁みて馴染む。 気持ちよく読めるのに何回も戻って目で追いたいフレーズがそこかしこにあって、いつも少しページを繰る手が止まる。 「私の男」でも「
-
Posted by ブクログ
高校時代にいわゆるスケバンとして、不良たちの間で伝説的存在となり、その後大人気漫画家となった女性の生涯……って気になりませんか?そんな人物がこの小説には出てきます。彼女の名前は赤朽葉蹴鞠です。
上の話だけ聞くと、たとえフィクションでも「そんなやつおれへんやろ~」となると思います。実際、ライトノベルやマンガのキャラ付けとして表層的に書くなら、なんとかなるかもしれません。でも小説として、そして一人のリアルな人間として、その人生を描くのは至難の業だと思います。しかし、それを可能にしたのが桜庭一樹さんなのです。
なぜ、そんな破天荒な人生を描くことが出来たのか。それは、蹴鞠が生まれ、そして生き -
-
Posted by ブクログ
ネタバレすごく甘酸っぱくて
女の子たちが精いっぱい生きていて
でも、そこには消えないとげがあって…
ここにでてくる女の子は3+1人。
一人は最後のほうにほんのちょっぴり出てきます。
この子も消えないとげを持つ子です。
マイノリティを知る、という意味で
最後に出てくる皐月という子の部分は
読んでおいてほしいなーと思います。
これ、実はこの感想を書いている人が
部分的に当てはまります。
ただし皐月ほど強烈ではないですが。
だからすごく胸がキューっとしましたね。
一部の人には私がそういう人だとは言っていますが…
(というか格好で察しがつくと思います)
また読みたくなる、そんな本です。