桜庭一樹のレビュー一覧
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「その大屋敷は山の樹木や土になかば埋もれるようにして、巨人の手で押されてやわらかな山に押しこまれでもしたかのように、ちょっとかしいで、のっそりと建っていた。‥‥赤朽葉家はまことに、どこもかしこも、赤かった。それは暗い、腐りかけた紅葉の赤とでもいう色彩で、山の頂に、まさに王者の風格で堂々と、しかしちょっとかしいで、建っていた」
この文章だけで充分ワクワクする!
ワクワクゾクゾクしながら物語は進む
日本の歴史の流れの中で赤朽葉家の歴史も流れる
その中で生きる人々のなんとも愛くるしいこと
どの登場人物も愛おしく好きになれる
女三代
やっぱり女は強し!だけれど
その強さの中に必ず素敵な殿方がいたりし -
Posted by ブクログ
桜庭一樹氏の『読まれる覚悟』を読みました。よくこの内容を言葉にして1冊の本にまとめてくださったなあ、勇気が必要だったろうなあと
キャリアのある小説家だからこそできたという面とキャリアのある小説家だからこそ言葉に重さが発生してしまうということを考えるとよくぞ世にだしてくれたという気持ちになる
読み方や感想の持ち方は自由というのは、それはあるのだけれどやっぱり誤読というのはある、と私は思っている。小説家だけではなくあらゆるクリエイター(特に物語性が発生してしまうもの)にも言えることだと思うけどどんな感想も引き受けろというのはそれはかなり暴力的だと思う。明らかな誤読は誤読であるのだから、それまで引き -
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ネタバレ個人差出ると思うけど、自分は好き。
主人公の夕暮さんと同年代同性だからだとは思うのだが。
名探偵が活躍していた時代があった。
令和の時代になった今、その名探偵の有害性が問われる、という不思議な世界観のお話。
かつて名探偵だった風くんとその助手だった鳴くん 。
今では引退し、喫茶店のマスターの奥さんとなった主人公の夕暮さんが、
かつての名探偵と共に過去の事件を調べに行く。
50才という超同年代の彼女の悩みというかモヤモヤが、他人事とは思えず親近感。
最後が特に好き。
あの頃二人ぼっちだったとふりかえるシーンは、切なくて、でも少し前進した二人の成長?というかなんというかがとても良い!
これは、 -
Posted by ブクログ
桜庭一樹さん、ずっと読みたくて、ようやくこの作品で触れることができた。これが文章力、筆力というものかと圧倒された。何度も涙がこぼれた。素晴らしい作品。読む前はずっと男性だと勝手に思い込んでいたのだが、読んでてまさかこれを男性が書いてる?女性では、と思ってしまうような書き口が多々あり…。流石に女の方だったので納得。
養父の淳悟と震災孤児である花の倒錯的で必然的ともいえる性愛の軌跡を、遡るように辿っていく物語。描写力、造形力もさることながら、その緻密に計算された全体の構成と随所に散りばめられたピースにあっぱれとしか言いようがない。ぐんぐん引き込まれて、もっと続きが読みたいのに、でも何度も何度も最