桜庭一樹のレビュー一覧

  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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    ネタバレ

    この本は最初のページに主人公の友達となる藻屑が死ぬことが書かれていて、もうここでそんなこと書いちゃっていいの?って驚いた。話の最初は(藻屑、、すごい子だな)とだけ思いながら読んでたけど、話が進んでいくうちに亡くなってしまうこと自体は最初から分かっていたのに最後物凄いショックを受けてしまった。(嫌だ死んでないよね、生きていて!!!)とまで思うくらいに藻屑がおかれている家庭環境や過去の辛さが読み進めていくうちにボロボロと明らかになってきて悲しくなった。この物語の主人公なぎさも普通ではない家庭環境で暮らしていて、そんな2人が出会ったことが作中の唯一の救い、また奇跡だったと思っている。2人が出会えてよ

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    2025年12月18日
  • 私の男

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    濡れ場が変にいやらしくなく情感たっぷりで美しい。ひとりぼっちだったふたりが親子となってふたりぼっちをやっているのがとてもいじらしく、歪ながらも美しくて幸せに過ごしてほしいと思った。
    時系列を逆に遡って話が進むので、恐らくふたりが1番幸せだったであろう時で話が終わるのが憎いなぁ。
    歴代トップ3には入る大好きな作品になりました。

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    2025年12月10日
  • 少年になり、本を買うのだ

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    このシリーズバラバラに読んでますな。
    2006年の記録です。ガツガツと本を読む。そんな表現がピタリとくる読書量と読書形態。
    執筆の様子も描かれ、情報のインとアウトが渾然一体となる様が見て取れる。きっと本でできた人なのだろう。

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    2025年11月09日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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    砂糖菓子の弾丸を吐き出す時代があったことを思い出す備忘録。好きって絶望だよね 人魚になった藻屑はなんて言うんだろう

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    2025年11月04日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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    切実な痛みをもった、女子中学生が主人公の青春小説です。

    読んだあと、切なくて苦しくて悲しくてたまらないのに、なぜか爽やかな気持ちになりました。

    主人公のなぎさには引きこもりの兄がいて、不思議な転校生の藻屑は、父親に虐待を受けています。


    藻屑の抱える苦しみ、なぎさの抱える悩み、幼さの中に見え隠れする深い絶望とかすかな希望。


    この物語は、藻屑という不幸な少女の、やるせない人生を描く鬱物語なのか。


    それとも、藻屑との出会い、交流をとおして、痛みをともないながら残酷に成長していく、なぎさの切ない青春物語なのか。


    それとも、運命に抗い戦った、あまたの少年少女たちに捧げる、暗く哀しい救

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    2025年10月20日
  • 私の男

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    親愛と性愛の重なり合い、言語化されるのが躊躇われるような情緒を、これ程に巧みに表現できるのは凄い。
    しっかりと気持ち悪いが、花の気持ちに理解できる部分が多いのも、また歯痒くて悲しくて苦しい。

    時を経ていくにつれ、純真でただ愛しかった互いの存在が、共依存のような退廃した関係性になっていくのがキツくてたまらない。

    「生きている意味とは」を、ふっと考えさせられる作品。当たり前に生きることは、こうにも難しいのか。

    桜庭一樹さんは、心理描写、情景描写ともに文章があまりにも上手すぎる。冒頭フィジーのエメラルドの海が、読み進めるほどに「中身のないバカみたいな美しさ」の対比を効かせてくる。


    ああ、ふ

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    2025年10月19日
  • 青年のための読書クラブ(新潮文庫nex)

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    架空の聖マリアナ学園の、創立から合併による終わりまでを、読者倶楽部のメンバーが引き起こす事件を追う形で綴った編年体。面白い小説は、次に何が起きるかが予測できないところにあり、この小説はそれを満たしている。桜庭一樹独特の語り口で、不思議な空気を醸し出し、事件の当事者と別にクラブ誌を残した語り部がいて、彼女らが皆、主人公。人の思いは、たとえ朽ちても若者に引き継がれていく。

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    2025年10月13日
  • 私の男

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    直木賞受賞作

    『私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。‥‥傘盗人なのに、落ちぶれ貴族のようにどこか優雅だった』

    40才になる腐野淳悟
    結婚直前の養女、花
    この2人には何かある
    そう思わせる冒頭の文章
    もうここから引き込まれていく
    凄い話なのになんだか
    美しささえ感じてしまう

    以前「赤朽葉家の伝説」を読んで
    すっかり好きになってしまった
    桜庭一樹さん
    でもこの小説はまた違った
    魅力がある
    最後まで謎があって
    想像が止まらないのも良い
    今後の2人がどうなるのかも
    謎!
    腐野 (くさりの)なんて名前も
    ふざけてるし‥

    『おまえが、濡れるといけないと思って。花』

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    2025年10月05日
  • 名探偵の有害性

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    桜庭一樹さんの作品、久しぶりに読んだ気がするなぁ(*´-`*)とても楽しい時間だった(*^^*)♪この作品はドラマ化か映画化してほしいわね〜(ノ´∀`*)

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    2025年09月29日
  • 少女には向かない職業

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    ネタバレ

    読んだことないと思っていたけど、たぶん中学生くらいの時に読んだことのある本だった。

    女子中学生2人が殺人者になる話。
    クラスの人気者だけど本当の自分は弱いと思っている大西葵と、網元の孫娘でクラスでは目立たない宮乃下静香が協力して2人の大人を殺す。

    途中で静香が裏切ったんじゃないかと思われるフェーズが入るが、それは葵の興味を惹くためだった。

    最終的には2人は逮捕されるんだろう。
    警察官に罪を告白したのだから。

    でも静香のために罪を犯す葵に中学生ならではの不安定さ、それによる絆を感じた。
    2人は確かに友だちだった。

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    2025年09月29日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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    ネタバレ

    9/26再読。"好きって絶望だよね"、"大人になって自由になったら。だけど十三歳ではとこにもいけない"桜庭一樹の言葉選びが光る。藻屑が死ぬのは最初にわかっているのに死んでしまうシーンでは涙が出てしまった。それまでなんだコイツと思ってた担任の先生をすごく好きになる。"おまえには生き抜く気、会ったのかよ……?"のセリフが胸に刺さる。実際どうだったんだろう?どうしてなぎさと逃げられなかったのか。お父さんに捕まって行けなかったのだと思いたい。

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    2025年09月26日
  • 東京ディストピア日記

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    2020年が過ぎ去った今、あの時の世界はなんだったのか、あの時の世界が今、何を作ったのかを桜庭一樹さんが作家ならではの書きぶりで私たちに語りかけてくれる心に残る作品です。後世、コロナ禍を知る人も知らない人にも読んで欲しいと願っています。

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    2025年09月24日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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    鬱小説として名高いお話
    でも、この物語の本質はそれだけではない

    以下、公式の説明
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    直木賞作家がおくる、暗黒の少女小説。
    
    ある午後、あたしはひたすら山を登っていた。そこにあるはずの、あってほしくない「あるもの」に出逢うために――子供という絶望の季節を生き延びようとあがく魂を描く、直木賞作家の初期傑作。
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    中学生の山田なぎさは、世の中に出るための「実弾」を求めている
    そんななぎさのクラスに転校生 海野藻屑(うみのもくず)が現れる
    彼女は美しく、芸能人の父を持つが、美しい顔とは裏腹に体には痣があり、

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    2025年09月05日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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     増田佳江『不規則な部屋』(2009年)を装画に使ったカバーが、情感が有って素晴らしい(カバーデザイン/鈴木成一デザイン室)。富士見ミステリー文庫版は、内容とはちぐはぐな萌え絵が表紙で興醒め。

     海野藻屑は「ボク少女」で、ラノベによく有りがちで、食傷気味ですが、萌え系と違って、この子には血が通っています。藻屑は「自分は人魚」だと嘘を付きますが、私の中学時代にも「私は多重人格者だ」と言っていた女の子がいたので、リアルだと感じました。思春期の苦しさを思い出しました。十代の時に読んでいたらどう感じたんでしょうか?
     舞台である鳥取県境港市のザラザラした空気感が伝わってきます。これって舞城王太郎にも

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    2025年09月05日
  • 私の男

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    ネタバレ

    個人的なフェチに刺さりまくり大好き……………………

    理想とされる倫理感や正義感に責め立てられる苦しさ 
    正しさに見放された時寄り添ってくれる危うさの温かみ
    1人で立つことができた時、自分を助けてくれてた不健全なものから巣立つ強さ

    フェチすぎて最高だった…………良い悪いとかじゃなくとにかく本当にフェチ………

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    2025年08月29日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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    藻屑のことは結局救えなかったのに、砂糖菓子の弾丸はもうどこにもないのに結局クラスで無視されないようになって、兄が社会に馴染めるようになって、なぎさが進学できて、良い方向に進んでいってるのがとても悲しい。

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    2025年08月25日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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    高校生の頃に出逢った大切な本。
    桜庭一樹さんの本は高校生〜大学のときに読み漁りましたが、そのきっかけとなった一冊です。

    10代特有の、将来への絶望やもどかしさ、息苦しさが生々しく描かれています。
    いわゆる「少女小説」とも呼べる本書なのですが、大人になった今読み返しても、主人公たちに感情移入して胸が苦しくなります。

    子どもは親を選べない。
    産まれてくる家庭を選べない。
    その残酷さを知っているからこそ、大人になって読み直しても、この物語の残酷さが私の心を揺さぶり続けるのだと思います。

    以下は、特に印象に残っているフレーズ抜粋です

    「好きって絶望だよね」-53ページ

    「こんな人生、ほんとじ

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    2025年08月24日
  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

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    何回も読んでしまう本。
    悲しさや苦しさの中に甘さをほんのり感じられるような不思議な読後感がある気がする。余韻も含めて大好きな本です。

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    2025年08月22日
  • 私の男

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    ネタバレ

    気持ちが悪い話だった。父と娘の共依存、殺人、北国、肉欲、潮の匂い。汗と欲望でむせ返る湿った敷布団の匂いが小説を読み終わった今でも何処かから漂ってくるみたいだ。淳悟は父であり、花は娘で、そして母なんだ。私はこの話を「近親相姦」だとか「タブー」といった薄っぺらい言葉で表現したくない。心理学的視点で言えば淳悟が幼い花から心を、血を身体を奪ったというのが正しいんだろうけど、多分2人は元から痩せ細った枯れ木だったのだと思う。作中にもあったように「2人とも乾いて痩せている」のだ。絡み合って、奪って、補っていかないと歩けない。そこには血があって、欠陥があって、2人があるのだ。説明はそれだけで十分な気がする。

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    2025年08月21日
  • 赤朽葉家の伝説

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    しっかりと読み終えました。
    長い小説でした。
    山陰の旧家名家の赤朽葉家の万葉、毛毱、瞳子の三代に渡る物語りです。
    特に、山の民の末裔で置き忘れられた子である万葉の話が貴重で面白かったです。千里眼というのが、とても興味深かったです。その子供の泪や鞄なども変わったキャラクターですし、いじめっ子でのち友人になった黒菱みどりもとても個性的に描かれてました。
    長女の毛毱は、不良で暴走族の製鉄天使アイアンエンジェルの頭として中国地方制覇をする美女でブサメン好みで、その青春が描かれました。その後売れっ子漫画家になるのです。異母妹の百夜との対比もよく書かれていました。
    次に、その子供の瞳子の話ですが、これは万

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    2025年08月05日