桜庭一樹のレビュー一覧
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切実な痛みをもった、女子中学生が主人公の青春小説です。
読んだあと、切なくて苦しくて悲しくてたまらないのに、なぜか爽やかな気持ちになりました。
主人公のなぎさには引きこもりの兄がいて、不思議な転校生の藻屑は、父親に虐待を受けています。
藻屑の抱える苦しみ、なぎさの抱える悩み、幼さの中に見え隠れする深い絶望とかすかな希望。
この物語は、藻屑という不幸な少女の、やるせない人生を描く鬱物語なのか。
それとも、藻屑との出会い、交流をとおして、痛みをともないながら残酷に成長していく、なぎさの切ない青春物語なのか。
それとも、運命に抗い戦った、あまたの少年少女たちに捧げる、暗く哀しい救 -
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親愛と性愛の重なり合い、言語化されるのが躊躇われるような情緒を、これ程に巧みに表現できるのは凄い。
しっかりと気持ち悪いが、花の気持ちに理解できる部分が多いのも、また歯痒くて悲しくて苦しい。
時を経ていくにつれ、純真でただ愛しかった互いの存在が、共依存のような退廃した関係性になっていくのがキツくてたまらない。
「生きている意味とは」を、ふっと考えさせられる作品。当たり前に生きることは、こうにも難しいのか。
桜庭一樹さんは、心理描写、情景描写ともに文章があまりにも上手すぎる。冒頭フィジーのエメラルドの海が、読み進めるほどに「中身のないバカみたいな美しさ」の対比を効かせてくる。
ああ、ふ -
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直木賞受賞作
『私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。‥‥傘盗人なのに、落ちぶれ貴族のようにどこか優雅だった』
40才になる腐野淳悟
結婚直前の養女、花
この2人には何かある
そう思わせる冒頭の文章
もうここから引き込まれていく
凄い話なのになんだか
美しささえ感じてしまう
以前「赤朽葉家の伝説」を読んで
すっかり好きになってしまった
桜庭一樹さん
でもこの小説はまた違った
魅力がある
最後まで謎があって
想像が止まらないのも良い
今後の2人がどうなるのかも
謎!
腐野 (くさりの)なんて名前も
ふざけてるし‥
『おまえが、濡れるといけないと思って。花』
こ -
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ネタバレ気持ちが悪い話だった。父と娘の共依存、殺人、北国、肉欲、潮の匂い。汗と欲望でむせ返る湿った敷布団の匂いが小説を読み終わった今でも何処かから漂ってくるみたいだ。淳悟は父であり、花は娘で、そして母なんだ。私はこの話を「近親相姦」だとか「タブー」といった薄っぺらい言葉で表現したくない。心理学的視点で言えば淳悟が幼い花から心を、血を身体を奪ったというのが正しいんだろうけど、多分2人は元から痩せ細った枯れ木だったのだと思う。作中にもあったように「2人とも乾いて痩せている」のだ。絡み合って、奪って、補っていかないと歩けない。そこには血があって、欠陥があって、2人があるのだ。説明はそれだけで十分な気がする。
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しっかりと読み終えました。
長い小説でした。
山陰の旧家名家の赤朽葉家の万葉、毛毱、瞳子の三代に渡る物語りです。
特に、山の民の末裔で置き忘れられた子である万葉の話が貴重で面白かったです。千里眼というのが、とても興味深かったです。その子供の泪や鞄なども変わったキャラクターですし、いじめっ子でのち友人になった黒菱みどりもとても個性的に描かれてました。
長女の毛毱は、不良で暴走族の製鉄天使アイアンエンジェルの頭として中国地方制覇をする美女でブサメン好みで、その青春が描かれました。その後売れっ子漫画家になるのです。異母妹の百夜との対比もよく書かれていました。
次に、その子供の瞳子の話ですが、これは万 -
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ネタバレ2日で読み終え、そのあと二回読み返しました。
1回目はそのまま読み、2回目はもう一度初めから読み返し、3回目は最終章から前の章へ、時系列を逆にして、、、。それくらい衝撃的な話でした。自傷をするような感覚で読み返しました。
(以下自分語りになってしまいますが、、)
私も父子家庭、不完全なDV家庭で育ち(性的虐待はなかったが)歪んだ愛というものを痛いほど思い出しました。
日常的に手をあげていながら、機嫌のいい時には「お前は俺の嫁だよ」「お前のことは命に変えても守るからな」と言う父でした。覚醒剤依存で何度も捕まり、睡眠薬のオーバードーズで自殺未遂をするなど、不安定で依存しやすい性質の父を思い出し、 -
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鳥取の製鉄業を営む旧家に生きる女性三代の話
千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし
目次で
第一部最後の神話の時代
第二部巨と虚の時代
第三部殺人者
とあって、第三部の最後の女性は殺人を犯してるのかと思っていたら違った
第三部では平成の世代で
自分の在り方に悩みながらも孫が祖母の最後の言葉を探っていく
女性三代を通して
高度経済成長、ハブル崩壊、平成へと移る様子
女性たちの生き様
周りの人たちとの関わり
すべて描写されていて…圧巻
読者を飽きさせない
読後感半端なかった
私にはかなりおもしろかった
最初は字が少し小さいなぁ…読めるかなぁと心配だったけどサクサク読めた -
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マイノリティに刺さる物語を書くことに長けた作家さんだなと改めて感じた一冊
高校生の女の子が副担任の女性に囁かれたある一言で恋と共にじごくに落ちた時の「クラリとして、かなしくなって、私はたちまち、落ちた」この一文凄く素敵。この一説はほんためのあかりんが紹介していて、聞いた瞬間に惚れて書店に走った笑
絶対地獄に落ちると分かってる恋。そんな恋に落ちる瞬間をこんなラブリーに表現出来る作家さん中々いない
50年前に一世を風靡しスキャンダルによって姿を消した人気アイドルA。Aが消えてからアイドルという存在が1人も出てきてない日本で、再びアイドルを誕生させる為ある計画を実行する「A」という物語も良かったで