桜庭一樹のレビュー一覧
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ネタバレ1行目で心を奪われてしまった。
花が浮悟について語るとき、複数の呼称を使う。
状況、心情によって変わるものかと思っていたが、違うのかもしれない。私の男、淳悟、おとうさん、花にとってその全てが腐野淳悟なんだろう。
呼称の使い方が巧妙。
お父さん/おとうさん これは別の人物
お兄さん→名前呼び これは関係性の変化
複数回出てくる「お⋯⋯」の気味悪さと言ったらもう肺に吐瀉物が溜まるような気分。
・花の母と淳悟のこと
レイプなのか。そうだとしてどうして産んだのか。
『母』が恋しくて断れない程に縋ったのか。
・淳悟視点での淳悟が求めたもの
血の人形←愛しているとは思えない表現
あんなに舐めるようにして愛し育てているのに、この表現は花ではない他の何かを愛しているようだ。
それが「お⋯⋯」なのだろうか。本人の語りで知りたい。(本人から語られないからこそ良いのだろう)
・淳悟の行方
・田岡の処分方法
・小町は田岡の失踪をどう考えるのか
田岡が淳悟宅を尋ねる予定だったこと、地元の連中にバレてないということは、小町は田岡から連絡があったことを淳悟いがいの誰にも話してないんじゃないかと思う。なぜなのか。
・美郎は淳悟と花の関係に気づいているのか。
ハネムーンを終始楽しそうに過ごしたというところ、そんなに楽しそうに出来るかな?と思う。淳悟から奪って淳悟の手が届かない場所に花といる喜びなのだろうか。
とにかく面白かった。
私はこれを読みながら、蕁麻疹が出た。
そして読み進めるほどに肺が痛くなった。
要するに体に支障をきたすほどの内容なのに読み終えるまで止まれなかった。
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Posted by ブクログ
ネタバレとにかく出だしが最高なので何があっても最後まで読むと決めた。「わたし、川村七竈十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。」
語り手を話ごとにスイッチしていく方法をとっていたり、雪や七竈の情景描写を比喩としたり、遺伝子的に現れ等、最後まで面白く読ませる工夫がたくさんあって流石と思いつつ、何と言っても古風な言い回しが平成九年生まれの私にとっては滑稽のような洗練されているような不思議な面白さを味わった。
私は川村七竈のように美しい、かんばせ、を持つ人間ではないけれど何だか世間に対する怒りを特に思春期の頃に抱えていて、そういった感情を引っ張り出させてもらえるような力強さがこの作品にあると思う。
これが平成21年の作品だが、地方の小さな町に生まれ育った者は当然その町で生き続ける通念が根深くあったのだろう。逆にいうと高校生がスマホを携帯しインターネット日常的に使い始める時代にはいると、より詳細な都会の暮らしや生き方が入ってくるので、小さな町にあるしがらみからの脱走についてはマインド的にこの作品よりも軽やかにできそうなものなのかなとも思った。 -
Posted by ブクログ
親愛と性愛の重なり合い、言語化されるのが躊躇われるような情緒を、これ程に巧みに表現できるのは凄い。
しっかりと気持ち悪いが、花の気持ちに理解できる部分が多いのも、また歯痒くて悲しくて苦しい。
時を経ていくにつれ、純真でただ愛しかった互いの存在が、共依存のような退廃した関係性になっていくのがキツくてたまらない。
「生きている意味とは」を、ふっと考えさせられる作品。当たり前に生きることは、こうにも難しいのか。
桜庭一樹さんは、心理描写、情景描写ともに文章があまりにも上手すぎる。冒頭フィジーのエメラルドの海が、読み進めるほどに「中身のないバカみたいな美しさ」の対比を効かせてくる。
ああ、ふたりが出会った時から、誰も知り合いのいない場所で、静かにふたりきりで暮らせていたらよかったのにと思う。同時に、子どもが永遠に自分の元にいることなんて有り得ないと、覚悟して育てる勇気がいることもね。
家族って、血って、呪いだ。
だが間違いなく、他に変えようのない愛しい感情を教えてくれるのも、家族であり血であるとも思う。
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Posted by ブクログ
直木賞受賞作
『私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。‥‥傘盗人なのに、落ちぶれ貴族のようにどこか優雅だった』
40才になる腐野淳悟
結婚直前の養女、花
この2人には何かある
そう思わせる冒頭の文章
もうここから引き込まれていく
凄い話なのになんだか
美しささえ感じてしまう
以前「赤朽葉家の伝説」を読んで
すっかり好きになってしまった
桜庭一樹さん
でもこの小説はまた違った
魅力がある
最後まで謎があって
想像が止まらないのも良い
今後の2人がどうなるのかも
謎!
腐野 (くさりの)なんて名前も
ふざけてるし‥
『おまえが、濡れるといけないと思って。花』
このセリフにもう心は
持ってかれてます
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Posted by ブクログ
しっかりと読み終えました。
長い小説でした。
山陰の旧家名家の赤朽葉家の万葉、毛毱、瞳子の三代に渡る物語りです。
特に、山の民の末裔で置き忘れられた子である万葉の話が貴重で面白かったです。千里眼というのが、とても興味深かったです。その子供の泪や鞄なども変わったキャラクターですし、いじめっ子でのち友人になった黒菱みどりもとても個性的に描かれてました。
長女の毛毱は、不良で暴走族の製鉄天使アイアンエンジェルの頭として中国地方制覇をする美女でブサメン好みで、その青春が描かれました。その後売れっ子漫画家になるのです。異母妹の百夜との対比もよく書かれていました。
次に、その子供の瞳子の話ですが、これは万葉が最後に残した謎を解くことに費やされました。
その時代時代の空気をうまく表現していて、自分の事も思い出しながら読みました。
私は、古い小説ですがパールバックの「大地」を思い出しました。
もっと書けることありますが、これくらいにします。
是非みなさんにも読んでいただきたい小説でした。