あらすじ
その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは徐々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日――直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。
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Posted by ブクログ
海のシーンで、藻屑は本当に自殺したかったのかもしれない。
本来はあの日、自殺する予定だった。
でも、藻屑はその自殺を止めてくれる特別な存在(藻屑は友達と言っていた)が現れてくれることを願っていて、山田なぎさがその存在になってくれた。
きっと、股関節に障害を持つ藻屑は泳げない。
そんな自分を助けてくれる。必死に救ってくれる。
嘘つきな自分を嘘つきだって知った上で、それでも大切に思ってくれる存在を渇望し、山田なぎさがそんな友達になってくれたことが嬉しくて、水面に顔を上げた彼女は笑ったのだと思う。
藻屑が最期の時、諦めと一緒に恐怖を覚えられたのは山田なぎさのおかげなのだと思う。
あの海の日から、藻屑が生きたいと思えるように成ったのだけが、救いなのだと感じた。
砂糖菓子の弾丸では現実を撃ち抜けなかった。
藻屑は生き残れなかった。
だけど、砂糖菓子の弾丸は山田なぎさの心を撃ち抜き、彼女の人生を変えることはできたのだ。
Posted by ブクログ
2026.05.17 (日)
※子供の虐待の他に動物虐待の描写があります…
重い……重すぎる……痛くて痛くて……ドカンとした衝撃はない。ただ、淡々と重い…。藻屑の言葉はいつも甘くて痛かった……彼女の秘密をひとつ知る度に甘く抜けないトゲが刺さるような痛みを覚える……
わたしはこれまでに、これほどの胸が詰まる物語を読んだことがない…………
正直ずっとノンフィクションを見ている気分だった…とても物語だと思えない……ズシンと心を掴まれて切な苦しい気持ちが抜けない………
普段決して読むペースが早くはないわたしが2時間そこらで読み終えてしまった。スルスル読める。だけど、あまりにも辛い。なにか、新聞の片隅に小さく載ったある地域の一件。そのくらいささやかに、だけどどこかで毎年起きている事件。
とてもフィクションとして消化できない……これはかなり心を持ってかれます………
あのクイズは、ウミガメのスープというものに出てきたことがあるのでどう答えるのか分かっていた……。ポチが鉈で解体され、子供のような字で「さよなら、ポチ」と書かれていたと読んで、結末を想像してしまった…だって藻屑は字が綺麗だとなぎさが言っていたから……
後にも先にもこんな悲しい物語には出会わないと思う……
Posted by ブクログ
非常に好きだった。
生き残るための"実弾”を持たない、どこにも行けない子供たち。
実弾をうてるのは大人だけ。
実弾を持てない少女は砂糖菓子の弾丸を撃ち続けるが、その弾は全て溶けて儚く消えていく。
全ての子供が大人になれるとは限らない。
苦しく虚しく残酷なお話なのにどこか美しさを感じてしまった
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読み終わってしばし放心。悲しみ寂しさやるせなさ全部私の心に置いていってくれた
こんな感情、本を読まなければ味わうことなかったかもな...と思うとやっぱり読書っていいな〜〜
上手く言語化できなかったけどとても印象深い作品でした
Posted by ブクログ
数年前に読んだことあるけど、改めて読み返したくて読んだ。
本当に大好きなダークな世界観で読後は気分がずっしり重くなるけど藻屑となぎさの関係性の変化と藻屑のキャラクター、なぎさの心理描写のうまさでどんどん引き込まれる感じが最高に良かった。桜庭一樹さんの本もっと読んでみたい!
Posted by ブクログ
子からの無償の愛
それに甘える有象無象
子は自分の”家族”しか知らないから、自分の家族がおかしいと思えない。
本物は病院に行くことすらできないんだよなぁ…。やるせない。
家庭は戦争だからね、この子の戦争が終わって良かった。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良かった!!!
最初からバッドエンドが分かっているからこそ、2人が歪な友情を深めてくのが辛かった。
最初の自己紹介のシーンで、自分の中で藻屑は完全にあるアニメのキャラのイメージが定着しちゃった。現代にアニメ化したら藻屑の声優はあのちゃんになりそう。
Posted by ブクログ
結末が最初から分かっているからこそ、読み進めるのがとても苦しかった。
実弾を持たない中学生が経験するには、あまりにも痛ましい話だが、同時にどこか不思議な清々しさも感じた。
最後の解説で語られる「地獄の中にある浄化」が、それをうまく言語化してくれていて、とても印象的だった。
Posted by ブクログ
思春期の感情と学生という子供の世界感覚から大人の感覚への繋ぎ方、心情描写が秀逸。重苦しい話ではあるが、高校生で読んで実弾と砂糖菓子の弾丸がどういうものか、他者存在の理解の難しさに触れて欲しいと思う。とても好きな本です
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好きなフレーズ
↓↓↓
・好きって絶望だよね
・この世界ではときどきそういうことが起こる。砂糖でできた弾丸では子供は世界と戦えない。あたしの魂は、それを知っている。
・彼女はさしずめ、あれだね。”砂糖菓子の弾丸”だね
・なぎさが撃ちたいのは実弾だろう? 世の中にコミットする、直接的な力、実体のある力だ。だけどその子がのべつまくなし撃っているのは、空想的弾丸だ
・こんな人生は全部、嘘だって。嘘だから、平気だって。
匿名
家庭と学校という狭い世界で生きなければならない二人の中学生の話。もしそこが地獄だったら。無理に適応しようとしたり現実逃避したり。
間に合いはしなかったが、子どもを助けたいと思う大人の存在が救いになります。
話は鬱だが、子供の視点で書かれていてとても読みやすいです。
Posted by ブクログ
少女性を「砂糖菓子の弾丸」って表現してるのすごい。
甘くてふわふわしたイメージの「砂糖菓子」と攻撃的でつめたいイメージを持つ「弾丸」という一見チグハグな表現(組み合わせ)なはずなのに,物語の世界を的確に表現している。甘くて、甘すぎて、残酷な世界
Posted by ブクログ
原色のような鮮烈な印象と言葉に出来ない程の閉塞感を感じる物語でした。引きこもりの兄がいて母親は仕事で家にいないことが多いため1人で家事全般を担わなければならないなぎさと父親からアザが残るほどの暴力を受ける藻屑。それぞれの辛さはたった13才の子供である彼女達にはどうすることも出来ない…。その事実に彼女達が未成年であることの残酷さをひしひしと感じます。藻屑の奇想天外な言動は、辛い現実から逃れるためのせめてもの足掻きだったのかなぁ…。鬱小説の代表格という評判に深く同意します。
Posted by ブクログ
とにかく儚くて、あのひと夏を一冊の本に引き延ばしたみたいな本だった。
例えるなら、溺れるナイフ、みたいな。もし実写化されたら、挿入曲は「コウを追いかけて」がぴったりだろう。疾走感があって、青くて、一瞬で、脆くて弱い嘘の膜の内側で息をする少女のお話。
この不思議なタイトルに惹かれて手に取ってみて良かったです。
Posted by ブクログ
わたしは海無し県の田舎で育ったから、この物語の舞台の日本海に面した田舎町はなんだかファンタジーのような遠い世界にも思えて、海野藻屑の嘘ばっかりの話も何だか受け入れられてしまうような不思議な力がある文章だった。
登場人物みんな一般の感覚とはだいぶズレているように思えた。田舎町にありがちな閉ざされた空間の中で狂ってしまった価値観がそのままテクストにも通用しているようだった。「実弾」を求める主人公の「あたし」の視点もかなり偏っていて、引きこもりの兄を神と崇めるように扱うのは彼女なりの貧しい暮らしを生きぬく術なのだろう。読者である自分も兄を美形でインテリの、知識人として受け入れていたが、「あたし」の担任のセリフでその認識が見事にひっくり返される。外から見れば兄は親から自立できていない単なる引きこもりであり、「あたし」が兄を異常なほどまでに崇拝していたと気づく。担任の先生は、花名山が校長室で絞られ、野球部からの退部を言い渡された後に「これで髪が伸ばせるな」と声をかけてしまうような無神経な人間として描かれるが、その一方で教師としての理想を持ち、「あたし」や藻屑を貧困や虐待から救おうと、「あたし」の視点からは語られていない部分で奔走していたのかもしれないことが終盤で分かる。藻屑を救えなかった担任の流す涙は、教育者としての責任というよりもむしろ海沿いの閉鎖的な田舎町に暮らす一般的な大人の無力さを感じた。
海野藻屑の嘘ばかりのセリフ、「砂糖菓子の弾丸」は、最初こそ異質だが、短い物語が進んでいくにつれてどんどん悲しみを、切実さを帯びていく。愛する父を、そして自分を守るために彼女がついた嘘も全て許せてしまうようになる。本を読み終わったあとも、彼女の放つ砂糖菓子の弾丸を欲してしまう自分がいることに気づく。
Posted by ブクログ
初めから結末がわかっているのに、その結末までをぐっと堪えてなぎさの目線から追いかけていく。 大人なら理解出来ること動けることが13歳には困難で、それでも対抗しようと藻掻くことを砂糖菓子の弾丸と呼ぶ。 甘くてベタベタでどうにも出来ないやるせなさ。 重いテーマでありハッピーエンドでは無いけれど、胸がぎゅっとなる苦しくて愛おしい。
Posted by ブクログ
最後は前向きな気持ちになれる話ではあるものの、自分にはかなり辛い話でした。
主人公達、十三歳!?かなり大人びていましたが、そうならざるを得ない環境だったのでしょうね。
でも大人の元でないと生きていけない、バイトも出来ない年齢で、もどかしく思いました。
Posted by ブクログ
ずっと名作鬱作品として存在は知っていたのですが今回初めて読むことができました。文章が独特で読み始めは世界観に入れずにいましたが、主人公たちの絶望や閉鎖感が伝わってきてからはどんどん読み進めることができました。ショッキングな描写が多く映像ではグロ耐性がない私は確実に見れないので小説という形でこの物語を読めて良かったなと感じています。個人的に主人公のお兄ちゃんが好きでした。特に後半はグッときました。悲しい物語ではありますが読後は悲しさだけではなく不思議と爽やかさもあります。中学生だからこそのむき出しの感情表現もありエネルギーを感じました。
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切実な痛みをもった、女子中学生が主人公の青春小説です。
読んだあと、切なくて苦しくて悲しくてたまらないのに、なぜか爽やかな気持ちになりました。
主人公のなぎさには引きこもりの兄がいて、不思議な転校生の藻屑は、父親に虐待を受けています。
藻屑の抱える苦しみ、なぎさの抱える悩み、幼さの中に見え隠れする深い絶望とかすかな希望。
この物語は、藻屑という不幸な少女の、やるせない人生を描く鬱物語なのか。
それとも、藻屑との出会い、交流をとおして、痛みをともないながら残酷に成長していく、なぎさの切ない青春物語なのか。
それとも、運命に抗い戦った、あまたの少年少女たちに捧げる、暗く哀しい救いに満ちた、鎮魂歌レクイエムの物語なのか。
きっとそれら全ての要素を持つ、鬱で青くて、儚くて、清く正しく間違っている鎮魂歌。それこそが、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」なのではないでしょうか。
まるで、清涼感あふれる真夏のサイダーのような、青春文学の傑作。
2人が再び出会ったとき、この世界が、全ての子供たちが幸せな、楽園のような世界になっていることを願って。
子供、そして、かつて子供だった人に読んで欲しい、もろくて儚いストーリーです。
Posted by ブクログ
タイトルイメージと中身が違うという事前情報と共におすすめされたので。没入して読めたのは楽しかったが、普段読んでる純文学とは違い作り話感と"だから何?"が拭えず…。こういうジャンルが好きな人は好きなんだろうなとは思いました。かつての携帯小説っぽさを感じた。
追記:兄が自分すぎて心に残っているのを時間が経つにつれて実感。評価を1上げる
Posted by ブクログ
抵抗して逃げるのではなくて、花名島の気が済んで、自然に手を止める時を待っているのだ。暴力にいつか終わりがあることを藻屑は知っている。そして終わらなければ死ぬだけだと達観──いや、あきらめているんだ。
Posted by ブクログ
とっても悲しく、現実に起きて欲しくない話でした。
たくさんの人が様々な方法で守ろうと努力していながらも、最悪な形で終わってしまった、悲しい。というのが最初に出る感想です。
中学1年生という多感な時期ということが、この事件から守ることができなかった要因なのかなと思いました。何が愛なのか、どれを信じて生きるべきなのか、先導するのは親である。親は子を愛するものであるため自身がどんなに痛いこと、ひどいことをされてもそれを愛と純粋に受け止めてしまう。作中何度か出てきていたストックホルム症候群が鍵になっていました。
海野雅愛がなぜ殺しをしてしまうのか、犬と藻屑を死に追いやった本当の理由が知りたいと個人的に思ってしまいました。
最初こそ胡散臭い子だなと思っていた藻屑ですが、だんだん愛おしく思えてきていたのに最後が本当に残念で、悲しくて悔しかったです。
物語としては事件当日の朝と転校初日からの2つの時間軸で展開されていて、読み進める手が止まらなくとても面白い作品だなと思いました。
Posted by ブクログ
可愛くて悲しいお話。
砂糖菓子の弾丸でしか戦えない子どもたちの、だけど戦おうと藻掻いている姿が素敵だった。
お兄ちゃんが妹のために家を出たときの、兄の中にいた神様がピンクの靄になって出ていく描写が何となく好きだった。
Posted by ブクログ
初心者向けの地獄と表されていて、確かにと思った。
子供の頃特有の、何とも言えない独特なあの世界の狭さ。
結末が分かっているからこそのしんどさ。
読むのが辛くなるけど、読み進めたくなる感覚。
どうとも形容し難いのだけれど、
またきっと時が経ったら読み返すのかなと思いました。
Posted by ブクログ
現実の中で生きようとするなぎさと、物語の中で生きようとする藻屑。
正反対のように見える二人だが、どちらも自分の望む場所にたどり着けない。
藻屑の置かれた状況を知りながらも、なぎさにはそれを変えることはできなかった。
どうすることもできない現実と、抗えなさを抱えたまま、時間だけは流れていく。
大人になるとは何かを突きつけられるようだった。
危うさと残酷さをまといながらも、どこか静かで美しい物語だった。
Posted by ブクログ
初めて触れた桜庭一樹作品。
久しぶりに読み返し。
新聞記事の抜粋から始まる物語は、海野藻屑がバラバラ遺体になる終わりへ向かって進んでいく。
あたしたちは十三歳で、あたしたちは未成年で、あたしたちは義務教育を受けてる中学生。あたしたちにはまだ、自分で運命を切り開く力はなかった。
(省略)
大人になって自由になったら。だけど十三歳ではどこにも行けない。
子どもは親の庇護下で、大人になっていく存在だと思う。でもそれが難しいこともある。その役割を親が担えないなら、他の大人が代わりにするべきだ。でも守られていない、助けが必要な子どもを見つけたり、適切に助けたりすること、子どもがその手を取ることも、とても難しいことなんだと思う。
友彦は、ずっとお兄ちゃんだった。
そんなお兄ちゃんが、私は好きだ。
Posted by ブクログ
「好きって絶望だよね」
・大人にならないと世界とは戦えない。世界に傷をつけたいなら生き抜かなくてはいけなくて、その生き抜きたいって気持ちを大人が守ってあげなくちゃだめだよな。
・鬱小説と聞いていたので身構えていたが、結末が分かっていたので個人的にはあまり引きずっていない。