あらすじ
その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは徐々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日――直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。
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Posted by ブクログ
9/26再読。"好きって絶望だよね"、"大人になって自由になったら。だけど十三歳ではとこにもいけない"桜庭一樹の言葉選びが光る。藻屑が死ぬのは最初にわかっているのに死んでしまうシーンでは涙が出てしまった。それまでなんだコイツと思ってた担任の先生をすごく好きになる。"おまえには生き抜く気、会ったのかよ……?"のセリフが胸に刺さる。実際どうだったんだろう?どうしてなぎさと逃げられなかったのか。お父さんに捕まって行けなかったのだと思いたい。
匿名
家庭と学校という狭い世界で生きなければならない二人の中学生の話。もしそこが地獄だったら。無理に適応しようとしたり現実逃避したり。
間に合いはしなかったが、子どもを助けたいと思う大人の存在が救いになります。
話は鬱だが、子供の視点で書かれていてとても読みやすいです。
Posted by ブクログ
間違いなく読んだ本の中のベストテンに残り続けると思えた一冊。
タイトルからしてすでに秀逸だ。
砂糖菓子の弾丸を打ちまくった藻屑は死んでしまった。
私はこの本を夏のじめっとした部屋の中で読んだ。この環境で読んで良かったと心から思う。まとわりつく様な気持ちの悪い暑さと、この文章は非常に相性が良い。
藻屑が本当に人魚だったら良かったのにという感想を目にして、私も心から同意した。藻屑は自由を手にして海の底で卵をポコポコと産んで微笑を浮かべているべきなのだ。
「この人生は全部、嘘だって。嘘だから、平気だって。」
Posted by ブクログ
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
このタイトルの意味はいまいち、わかるようではっきりとした答えは言えない。
実弾はお金。
砂糖菓子の弾丸は空想など、、、
とにかく可哀想。変な転校生かと思う。でも愛情と憎しみがわからない。って言うのはよくある。虐待されている子供によくみられるよね。
最初に死亡ニュースが書かれているので最後も予測ができ、話の流れ的に特に驚くことはない。だけど涙が出る。
実際に現場を見たら終わり。
教員の立場を考えても本当に辛いだろうな
Posted by ブクログ
父が死に兄がひきこもりの山田なぎさは、人生に直接関係のある「実弾」にしか興味がない。
たとえばその日の糧についてだし、たとえば毎日しなくてはならない料理についてが「実弾」である。
ある日砂糖菓子の弾丸を打ちまくる転校生、海野藻屑がくる。ミネラルウォーターを投げたり、嘘をついたり、虐待された痣を汚染と言い張る。
この話は海野藻屑が虐待の果てに殺されて近くの山にバラバラで捨てられるまでを描いている。
子供が放てる砂糖菓子の弾丸では大人の実弾には、勝てない。
海野藻屑のちょっとした魅力がすてきで、悲しい本でした