【感想・ネタバレ】砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bulletのレビュー

あらすじ

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは徐々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日――直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

海のシーンで、藻屑は本当に自殺したかったのかもしれない。

本来はあの日、自殺する予定だった。
でも、藻屑はその自殺を止めてくれる特別な存在(藻屑は友達と言っていた)が現れてくれることを願っていて、山田なぎさがその存在になってくれた。

きっと、股関節に障害を持つ藻屑は泳げない。
そんな自分を助けてくれる。必死に救ってくれる。
嘘つきな自分を嘘つきだって知った上で、それでも大切に思ってくれる存在を渇望し、山田なぎさがそんな友達になってくれたことが嬉しくて、水面に顔を上げた彼女は笑ったのだと思う。

藻屑が最期の時、諦めと一緒に恐怖を覚えられたのは山田なぎさのおかげなのだと思う。
あの海の日から、藻屑が生きたいと思えるように成ったのだけが、救いなのだと感じた。


砂糖菓子の弾丸では現実を撃ち抜けなかった。
藻屑は生き残れなかった。

だけど、砂糖菓子の弾丸は山田なぎさの心を撃ち抜き、彼女の人生を変えることはできたのだ。

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2026年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2026.05.17 (日)

※子供の虐待の他に動物虐待の描写があります…


重い……重すぎる……痛くて痛くて……ドカンとした衝撃はない。ただ、淡々と重い…。藻屑の言葉はいつも甘くて痛かった……彼女の秘密をひとつ知る度に甘く抜けないトゲが刺さるような痛みを覚える……
わたしはこれまでに、これほどの胸が詰まる物語を読んだことがない…………
正直ずっとノンフィクションを見ている気分だった…とても物語だと思えない……ズシンと心を掴まれて切な苦しい気持ちが抜けない………
普段決して読むペースが早くはないわたしが2時間そこらで読み終えてしまった。スルスル読める。だけど、あまりにも辛い。なにか、新聞の片隅に小さく載ったある地域の一件。そのくらいささやかに、だけどどこかで毎年起きている事件。
とてもフィクションとして消化できない……これはかなり心を持ってかれます………

あのクイズは、ウミガメのスープというものに出てきたことがあるのでどう答えるのか分かっていた……。ポチが鉈で解体され、子供のような字で「さよなら、ポチ」と書かれていたと読んで、結末を想像してしまった…だって藻屑は字が綺麗だとなぎさが言っていたから……
後にも先にもこんな悲しい物語には出会わないと思う……

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2026年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ良かった!!!

最初からバッドエンドが分かっているからこそ、2人が歪な友情を深めてくのが辛かった。

最初の自己紹介のシーンで、自分の中で藻屑は完全にあるアニメのキャラのイメージが定着しちゃった。現代にアニメ化したら藻屑の声優はあのちゃんになりそう。

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2026年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きなフレーズ
↓↓↓



・好きって絶望だよね

・この世界ではときどきそういうことが起こる。砂糖でできた弾丸では子供は世界と戦えない。あたしの魂は、それを知っている。

・彼女はさしずめ、あれだね。”砂糖菓子の弾丸”だね

・なぎさが撃ちたいのは実弾だろう? 世の中にコミットする、直接的な力、実体のある力だ。だけどその子がのべつまくなし撃っているのは、空想的弾丸だ

・こんな人生は全部、嘘だって。嘘だから、平気だって。

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2026年02月20日

匿名

ネタバレ 購入済み

家庭と学校という狭い世界で生きなければならない二人の中学生の話。もしそこが地獄だったら。無理に適応しようとしたり現実逃避したり。
間に合いはしなかったが、子どもを助けたいと思う大人の存在が救いになります。
話は鬱だが、子供の視点で書かれていてとても読みやすいです。

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2025年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

原色のような鮮烈な印象と言葉に出来ない程の閉塞感を感じる物語でした。引きこもりの兄がいて母親は仕事で家にいないことが多いため1人で家事全般を担わなければならないなぎさと父親からアザが残るほどの暴力を受ける藻屑。それぞれの辛さはたった13才の子供である彼女達にはどうすることも出来ない…。その事実に彼女達が未成年であることの残酷さをひしひしと感じます。藻屑の奇想天外な言動は、辛い現実から逃れるためのせめてもの足掻きだったのかなぁ…。鬱小説の代表格という評判に深く同意します。

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2026年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしは海無し県の田舎で育ったから、この物語の舞台の日本海に面した田舎町はなんだかファンタジーのような遠い世界にも思えて、海野藻屑の嘘ばっかりの話も何だか受け入れられてしまうような不思議な力がある文章だった。

登場人物みんな一般の感覚とはだいぶズレているように思えた。田舎町にありがちな閉ざされた空間の中で狂ってしまった価値観がそのままテクストにも通用しているようだった。「実弾」を求める主人公の「あたし」の視点もかなり偏っていて、引きこもりの兄を神と崇めるように扱うのは彼女なりの貧しい暮らしを生きぬく術なのだろう。読者である自分も兄を美形でインテリの、知識人として受け入れていたが、「あたし」の担任のセリフでその認識が見事にひっくり返される。外から見れば兄は親から自立できていない単なる引きこもりであり、「あたし」が兄を異常なほどまでに崇拝していたと気づく。担任の先生は、花名山が校長室で絞られ、野球部からの退部を言い渡された後に「これで髪が伸ばせるな」と声をかけてしまうような無神経な人間として描かれるが、その一方で教師としての理想を持ち、「あたし」や藻屑を貧困や虐待から救おうと、「あたし」の視点からは語られていない部分で奔走していたのかもしれないことが終盤で分かる。藻屑を救えなかった担任の流す涙は、教育者としての責任というよりもむしろ海沿いの閉鎖的な田舎町に暮らす一般的な大人の無力さを感じた。

海野藻屑の嘘ばかりのセリフ、「砂糖菓子の弾丸」は、最初こそ異質だが、短い物語が進んでいくにつれてどんどん悲しみを、切実さを帯びていく。愛する父を、そして自分を守るために彼女がついた嘘も全て許せてしまうようになる。本を読み終わったあとも、彼女の放つ砂糖菓子の弾丸を欲してしまう自分がいることに気づく。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

抵抗して逃げるのではなくて、花名島の気が済んで、自然に手を止める時を待っているのだ。暴力にいつか終わりがあることを藻屑は知っている。そして終わらなければ死ぬだけだと達観──いや、あきらめているんだ。

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2026年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とっても悲しく、現実に起きて欲しくない話でした。

たくさんの人が様々な方法で守ろうと努力していながらも、最悪な形で終わってしまった、悲しい。というのが最初に出る感想です。

中学1年生という多感な時期ということが、この事件から守ることができなかった要因なのかなと思いました。何が愛なのか、どれを信じて生きるべきなのか、先導するのは親である。親は子を愛するものであるため自身がどんなに痛いこと、ひどいことをされてもそれを愛と純粋に受け止めてしまう。作中何度か出てきていたストックホルム症候群が鍵になっていました。

海野雅愛がなぜ殺しをしてしまうのか、犬と藻屑を死に追いやった本当の理由が知りたいと個人的に思ってしまいました。
最初こそ胡散臭い子だなと思っていた藻屑ですが、だんだん愛おしく思えてきていたのに最後が本当に残念で、悲しくて悔しかったです。

物語としては事件当日の朝と転校初日からの2つの時間軸で展開されていて、読み進める手が止まらなくとても面白い作品だなと思いました。

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2026年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めて触れた桜庭一樹作品。
久しぶりに読み返し。

新聞記事の抜粋から始まる物語は、海野藻屑がバラバラ遺体になる終わりへ向かって進んでいく。

あたしたちは十三歳で、あたしたちは未成年で、あたしたちは義務教育を受けてる中学生。あたしたちにはまだ、自分で運命を切り開く力はなかった。
(省略)
大人になって自由になったら。だけど十三歳ではどこにも行けない。

子どもは親の庇護下で、大人になっていく存在だと思う。でもそれが難しいこともある。その役割を親が担えないなら、他の大人が代わりにするべきだ。でも守られていない、助けが必要な子どもを見つけたり、適切に助けたりすること、子どもがその手を取ることも、とても難しいことなんだと思う。

友彦は、ずっとお兄ちゃんだった。
そんなお兄ちゃんが、私は好きだ。

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2026年04月12日

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