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Posted by ブクログ 2022年12月13日
東京・六本木、廃校になった小学校で夜毎繰り広げられる非合法ガールズファイト、集う奇妙な客たち、どこか壊れた、でも真摯で純な女の子たち。体の痛みを心の筋肉に変えて、どこよりも高く跳び、誰よりも速い拳を、何もかも粉砕する一撃を―。新シリーズ「赤×ピンク」の第1巻。
躁鬱の激しいブルマ少女、まゆ14歳(実...続きを読むは21歳)。魅せることに喜びを感じる女王様、ミーコ(実はSMの女王様)。女性にモテる女性恐怖症の空手家、皐月(実は…)。
彼女たちが毎夜働くのは、廃校の校舎を改良したファイトクラブ、それぞれが秘めた思いを胸に、たたかい続ける…。 都会の異空間に迷い込んだ3人の女性たち、そのサバイバルと成長と、恋を描いた、最も挑発的でロマンチックな青春小説。
DV、ネグレクト、性同一性障害などを抱えながらガールズファイトに参加して自分なりの道を探して殻を破って成長していく荒ぶる青春小説。
べたつかない女子同士のぶつかり合いながら深めていく友情と戦いが荒削りに描かれていて、熱に浮かされて一気に読破できます。本格的な格闘シーンや男前女子同士の同志のような熱い友情が、スカッとした後味の青春小説の傑作です。
「格闘技は自分を知るためにやるもの」「自分の戦い方を知ることが、自分の生き方を知ること」
Posted by ブクログ 2022年11月05日
桜庭一樹さんの描く少女が好きなのだが、この本は本当にドンピシャだった。
まゆ、ミーコ、皐月の3人の女の子たち、それぞれのお話による3部構成。
まゆのことを檻から出すのは男であり、
ミーコは皐月の助言、
皐月は千夏という女によって檻から出る。
大人になっても頭の隅に残っている少女性が、彼女たちの...続きを読む不安定さと呼応する。
話の構成的に1編目のまゆが1番インパクトが強く、皐月にかけて尻すぼみになっていく気もするが、
まゆがケッコンして檻から出る部分がこの小説の見せ場であり、そこにかけて加速した物語はもう減速していくだけと考えると、まあ妥当かとも思う。
実際、まゆがケッコンすることにより少女の輪を抜け出し、それに呼応するようにしてミーコと皐月も自身の少女性・帰巣本能との戦いに蹴りをつけるのだから、
まゆの急激な変化は最初にないとダメなのだ。
Posted by ブクログ 2022年05月28日
「失うまいと一心不乱にかき抱く。こんなにも力を込めているのに、指と指の間から、まるで液体でできているかのようにこぼれ落ちていく。」
親に庇護を受ける少女でもなく、自立した大人の女性でもない。おんな と こども の間の孤独で、不安定で、脆く、儚い、女の子達が愛おしい。
「あの子に彼氏が出来た」事に反...続きを読む応しただけで、「あの子のシアワセ」だとか「あの子の彼氏」にはちっとも興味が湧かない。女の子ってきっとそういうもの。
P 38「こうやってボルテージが下がったとき、わたしはふと、なんかわたし、うっかりこのまま死んじゃいそうだって気づくことがある。その気持ちには、死にたい、さぁ死ぬぞ、っていうほどの積極性はなくて、ただ、ついうっかりこの世からいなくなってしまいそうな弱さだ。」
Posted by ブクログ 2018年07月17日
すごく甘酸っぱくて
女の子たちが精いっぱい生きていて
でも、そこには消えないとげがあって…
ここにでてくる女の子は3+1人。
一人は最後のほうにほんのちょっぴり出てきます。
この子も消えないとげを持つ子です。
マイノリティを知る、という意味で
最後に出てくる皐月という子の部分は
読んでおいてほし...続きを読むいなーと思います。
これ、実はこの感想を書いている人が
部分的に当てはまります。
ただし皐月ほど強烈ではないですが。
だからすごく胸がキューっとしましたね。
一部の人には私がそういう人だとは言っていますが…
(というか格好で察しがつくと思います)
また読みたくなる、そんな本です。
Posted by ブクログ 2016年02月10日
内容は結構強烈なんだけど、なんかすんなり感情移入してる作品。
本当になんかすごい。
読んでいて楽しいし。
キャラクターの様々な視点で話が切り取られていく。
ハラハラしながら読み終わるとストンと何か腑に落ちるものがある。
なんか心のつっかえみたいなものがデコボコのちょっと飲み込むと痛そうな硬いモノが胸...続きを読むの中を通り過ぎたことでゴロンと取っていっちゃった感じ。
面白い。
Posted by ブクログ 2013年09月28日
女の子の好きそうな題名とお話です。表紙からしてまず良い。
ああこういう衝動あるなー、なんか似てるか?共感できる部分が多い全然自分に似ていない女の子たち。
全ての女の子のテーマが詰まっていると思えました。
Posted by ブクログ 2014年11月18日
三人の少女がそれぞれの人生を決めていく話し。
皐月と皐月がバイトをしている所の代理店長との駆け引きで文学は、と問いをかけると「三島派」「太宰派」に分れたところが何故か印象深い。
勿論他にもまゆが永遠の14歳を卒業したり、ミーコがアイデンティティを見つけようとする所など光るところ、目立つ所は多々ある。...続きを読む
みんな傷ついてるけれど、それでも立ち上がって進む。
Posted by ブクログ 2023年05月31日
帰りたい場所がある人に刺さりそう。少なくとも俺には刺さった。人は自分にしかわからない苦しさを抱えてるものだし(特に思春期は)、それが蓄積されて現実から逃げ出したくなる気持ちも痛いほどわかる。けど逃げ出して終わりじゃ良くない。勇気を持って帰れる強さを持ちたい。
Posted by ブクログ 2022年04月30日
主人公視点で3話、それぞれ3人の女の子が主役のお話。
難しい表現はなくて、とても読みやすい。
違う視点で、登場人物が同じなので面白い心情描写とかもとても好き。
舞台は少し、アングラっぽいけど人はピュアな人ばっかりだし、バットエンドはないので読みやすく、面白く楽しかった。
個人的には、人間ドラマって感...続きを読むじがしたけどもう少し内容が重たかったらなーと思った部分もある。
読みやすい=若干物足りないのかも
まゆちゃん派ですかね( ー`дー´)キリッ
Posted by ブクログ 2021年03月04日
三人の少女の視点からみる少女たちの世界
精神的に不安定な子が運命の相手に出会い世界から飛び出す話とその子を必要としていたSM嬢が自分を探そうとする話とFTMの子が理解者かつ好きな女に出会う話
みんなアングラ少女格闘技みたいなことをやっている
桜庭一樹さんのことを男性だとおもっていた
Posted by ブクログ 2018年04月29日
女の子たちが檻の中でたたかう『ガールズブラッド』が毎晩、廃校になった小学校で行われています。女の子たちはO嬢で、お客さんは女の子たちが心からも体からも流す血を観に集まってくる、つかのまのステファン卿です。
女の子たちはみんな何かを抱えていながらも、一生懸命生きています。だから、桜庭一樹さんの描く女...続きを読むの子たちは、大好きです。
まゆ十四歳は、“この場所が、居心地悪い。(p58)”と思うと同時に“ここじゃないと生きていけない。(p59)”とも思います。
まゆはずっと、檻の中にいて、閉じこめられなくなってからもずっと、心の中にその檻を持っていました。だから檻の中には、“安堵感と、ずっと近くなった死の気配(p61)”があったのです。
けれどまゆは、自ら、そこから出ていくことを決めました。
ミーコは、“なにを欲しているのか察して、それに応える(p97)”ように生きてきました。なんにでもなれました。でもミーコにも、“誰が好きかも、どうしたいかも、ぜんぜんわからない、(中略)だけど、やりたい格闘スタイルだけは、ある(p124)”のでした。
“好きなように生きる(p145)”って、ミーコのようにどういうことなのかわからない人もいるのかもしれません。でもやっぱり、好きに生きて楽しんでいる方が素敵でした。
皐月は、女の子の裸を見たくないし、見られたくありませんでした。それは“物心ついたときから、男だと思ってた(p239)”からでした。でも、誰にも話せませんでした。
そして高校二年の終わり頃、母親にエロ本が見つかり、家出しました。けれど、女、千夏のおかげで、“家に帰らなくてはいけない”、“本当のことを話すべきなのだ”(p246)と思います。
悩んでもがきながらも希望が見えた気がして、よかったです。
Posted by ブクログ 2014年09月07日
【本の内容】
東京・六本木、廃校になった小学校で夜毎繰り広げられる非合法ガールファイト、集う奇妙な客たち、どこか壊れた、でも真摯で純な女の子たち。
体の痛みを心の筋肉に変えて、どこよりも高く跳び、誰よりも速い拳を、何もかも粉砕する一撃を―彷徨のはて、都会の異空間に迷い込んだ3人の女性たち、そのサバ...続きを読むイバルと成長と、恋を描いた、最も挑発的でロマンティックな青春小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
ミステリは殺人や謎解きばかりと思って敬遠していませんか?
でも、実際には起こり得ない状況を設定しつつも、読後、「どこかで本当にあるかも」と思わせてしまう話も立派にミステリだと私は思います。
直木賞作家・桜庭一樹さんの『赤×ピンク』もその一冊。
ここで描かれるのは、夜毎、非合法なガールズファイトを繰り広げる少女達。
檻の中で戦い、鎖に繋がれながら客と会話をし……。
誰かに愛されたい。
認められたい。
不器用な生き方の中で懸命に自分の居場所を探す少女達の心の叫びは、本を閉じてもなお胸に響きます。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ 2013年11月16日
オリジナルは2003年に出版された桜庭一樹の初期作品です。表紙が普通の小説っぽくなって驚きました。しかし、この頃の桜庭作品は好きです。本作は六本木の廃小学校で夜な夜な行われる女性だけの非合法格闘技イベント"ガールズ・ブラッド"に出演するまゆ、ミーコ、皐月の3人の物語です。まゆの物...続きを読む語が引き金になって、その後の2人の進む道が変わるので、連作短編という形式なんでしょうか。"檻"と"手錠"という拘束する道具が印象的に使われ、ちょっと現実離れした話ですが、リアルな男子高校生っぽい武志が出てくると作品が和みます。
Posted by ブクログ 2013年11月10日
闇キャットファイトの世界で生きる女性3人の話。
ですが、それ自体がメインの話ではなく、3人の風変わりな生き方が書かれています。
自分には縁の無い世界の話なので、興味深くて面白いです。
Posted by ブクログ 2013年07月01日
三人の女の子それぞれのオムニバスって感じ構成になっています。
桜庭さんの作品は幾つか読みましたがこれが一番読みやすいと感じます。
女の子なら誰しもが共感してしまう内容で読み終えたあと不思議と元気になれる作品です。
Posted by ブクログ 2013年05月07日
「居場所ってなんだろう?」と考えさせてくれる一作。登場人物3人の視点で、ちょっとずつ時間軸をずらして物語全体が描かれる構成が興味深い。
少々極端な設定ながらもそれゆえに物語がいい意味で檻にはまり、重たい内容の割には不思議と読みやすい。ただ、登場人物3人とも物語という檻に入っているから客観的に見られる...続きを読むわけで、いざそんな当人を目の当たりにしたら自分はどう対応するんだろう、と思うと…まぁすごくヘタレな対応を取るんだろうな、とも。自分自身を檻の外に出したり内に投影してみたり、3人いる登場人物に自分や身の回りの人を投影してみたり。それを自在にできる物語構成が、男女ともに読みやすい作品に仕上がっている一因なのかもしれません。スポーツをちょっと斜に構えて観てる人は、同じノリでこの作品も楽しめるかもしれず、多分自分もそんな楽しみ方をした一人かもしれません。
Posted by ブクログ 2015年11月12日
まゆ、ミーコ、皐月、3人の女の物語。
物語という言葉がぴったりの小説。
ミーコ。
「こうして人を喜ばせることは、ちがうんだろうか?
死にもの狂いでこうやって生きていることは、ちがうんだろうか?
わたしがいなかったら、あの人はどうなるんだろう。
べつの・・・・真性女王様のところで同じことをするだけ...続きを読むだろうか?
わたしという存在はいてもいなくてもなにも変わらないんだろうか?」
「なんでみんなコーラなんだろ?
悲しいときにはコーラなの?」
高校生の時にこんなライトノベルに出会っていたら
人生変わっていそう。
Posted by ブクログ 2024年01月30日
友達からのオススメとして桜庭さんを聞いたのとジャケ買い
本作は非合法の闘技場にいる3人の女性のそれぞれの視点での物語で構成されている
悩みはそれぞれだが、皆等しく悩み闘い答えを探し苦しんでいる
しかし闘う方法であったり、答えを見つけた後の行動も十人十色で良いんだよなと思えた
今後悲しい事があった...続きを読むら酒ではなくコーラを飲もう
Posted by ブクログ 2019年05月03日
舞台は非合法のガールズファイト。
まゆ、ミーコ、皐月。
性格、境遇の異なる3人の女性の視点から描かれる短編集。
3人の共通点は、現実から逃げるようにして、闘いの場に身を任せている。
どこか刹那的に生きている彼女たちが生き方を探っているような描写が印象的。
Posted by ブクログ 2018年07月16日
世界観がなかなかフィクション性強いが、女の子たちの内面、心情面が緻密に描かれていておもしろかったなあ、
まゆ14歳が、息苦しいここでしか生きてはいけないという考え、とても共感できました。
Posted by ブクログ 2016年12月31日
廃校になった校舎で行われる女性のレスリング。登場人物の三人はそれぞれに悩みを抱えている。女性を愛せない女性、高校生から娼婦になりSMクラブで働く、年齢を詐称する女性。女流作家ならではだろうか。女性の視点を重視しており、私にとっては新鮮さを感じる。惜しいのは、結末が短すぎることだろう。最後に各々のエピ...続きを読むローグを用意して欲しかった。
Posted by ブクログ 2016年06月20日
普通に面白かった
それぞれが内面的なものを抱えつつ、関わって戦ってという話し
見ているものや感じているもの、他人や自分に対してのそれが全然異なる辺りが実にっぽい
舞台や設定はフィクション臭がパないけどね
(観ている人を満足させる様な試合を毎日続けるのは無茶やろう…流石に)
とはいえ、駆け足で3人の話...続きを読むが語られた、その速度はとても良いペースだった
Posted by ブクログ 2014年04月02日
初めは非日常的で、格闘技という全然分からない世界観だったので、少し戸惑った。でも技やらなんやらが分からないのはさておき、話はスラスラ読めた。
それぞれの少女の葛藤と人間性。一見おかしいように思える彼女たちは、実は女性なら誰しも持っている奇妙な心なのかもしれない。
過去のトラウマに縛られ、恐怖と安堵を...続きを読む同士に得てしまう、不安定な真由。
一見強そうに見えて愛を欲しがる、人に尽くす事を喜びとする反面で本当は我が儘に甘えたい衝動を持つミーコ。
異質さや弱さの塊である自分を守る為、必死に拒絶し突っぱねる。本当は自分のありのままの姿を誰かに認めて欲しいのに。そんな想いを抱える皐月。
共感という言葉で片付けるには遠いけれど、女という生き物の、哀しさと虚しさ苦しさと痛みが、全面に見えた作品だった。最後の皐月の話で少し救われた気がした。
Posted by ブクログ 2013年11月09日
廃校で少女たちが夜な夜な闘ってる。関係者がほぼ全員格闘技に魅せられてるのがいい。偽女王様と真性奴隷のSMプレイが最終的に愛の域に達してよかった。本当の自分を愛して欲しい&愛したい欲の爆発の話。
Posted by ブクログ 2013年05月07日
こんな世界か、意外だ、と読み始めた。
ふだん接することのない舞台と、ちょっとずつ現実離れした女の子たちのおかげか、いろいろあるのに爽快感。
山﨑ナオコーラさんの後書きに頷き、うんうん、中で考える、ってかグルングルンするよね、うんうん、我もさ、なんて思っていたが、いかん、登場人物たちは十代だったりした...続きを読む。
オトナか〜。ぐぅ。
Posted by ブクログ 2014年03月30日
中身は、まゆ編、ミーコ編、皐月編に分かれていて、特に難解な文章ではなく、スラスラと読めました。
解説にもあった通り、主人公はまゆで、まゆの旅立ちがあってそれが二人の成長を促していて、恩田陸さんの「ドミノ」を思い出しました。
武志の「Noooooo」がけっこういい味出してました。ここだけ現実味があ...続きを読むってよかったです。