桜庭一樹のレビュー一覧
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『読まれる覚悟』は、「本を書くこと」ではなく、「本が読まれ始めてから何が起こるのか」を描いた一冊だった。
印象に残ったのは、作品が世に出ると、作者だけでなく読者や批評家、ファンまで含めた関係性が生まれるということだ。人は作品をそのまま読むのではなく、自分の経験や知識を通して意味を再構成するため、誤読はある程度避けられない。一方で、批評を書く立場には、その評価に至った根拠を示す責任があり、批評そのものも読者から評価される時代になってきていることは健全な変化だと感じた。
また、ファンダムは作品を支え、作者を応援する大きな力になる一方で、過熱すると作者を神格化したり、人格への攻撃につながったりす -
Posted by ブクログ
ネタバレわたしは海無し県の田舎で育ったから、この物語の舞台の日本海に面した田舎町はなんだかファンタジーのような遠い世界にも思えて、海野藻屑の嘘ばっかりの話も何だか受け入れられてしまうような不思議な力がある文章だった。
登場人物みんな一般の感覚とはだいぶズレているように思えた。田舎町にありがちな閉ざされた空間の中で狂ってしまった価値観がそのままテクストにも通用しているようだった。「実弾」を求める主人公の「あたし」の視点もかなり偏っていて、引きこもりの兄を神と崇めるように扱うのは彼女なりの貧しい暮らしを生きぬく術なのだろう。読者である自分も兄を美形でインテリの、知識人として受け入れていたが、「あたし」の -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族愛の話だと思った。歪み切ってはいるけれど……。ただの禁忌的な愛の話では終わらせない、受け入れざるを得ない説得力のある語りと設定の生々しさ。
淳悟も花も、自分に欠けていた血の繋がりのある家族愛を求めすぎた結果なのかなと思った。
淳悟は花に母の面影を重ねているというよりは母の血そのものを求めていると思った。亡くなった母の血が流れているのは、自分と、花だけだから。
6章で、花以外の家族が抱き合って津波に飲み込まれるシーンが1番残酷だった。一緒に死ねない自分だけが本当の家族じゃないとまざまざと分からせられる無慈悲で残酷な描写はこれ以上に無い。ここまで読んできた花の歪んだ感覚全てが、このシーンだ -
Posted by ブクログ
目次
・仔馬のパズル
・花降る亡霊
・夏から遠ざかる列車
・怪人の夏
・絵から出てきた娘
・初恋
長編と長編の間を埋める短編集。
今回は、二人が出会ってはじめての夏休みに起きた出来事を。
フェアにミステリを書こうと思うと、ヒントや伏線が隠しきれなくて難易度が下がるか、ヒントや伏線が生かされずに難易度が上がることが多いけれど、この作品集はどちらかというと前者。
でもまあ、ミステリ小説とはいえ、この作品のメインはキャラクター小説だろうから、これはこれでいいのだ。
一弥の姉や二人の兄たちも、愉快なキャラであることがわかったし。
セシル先生がなぜ学園のOGだった(つまり貴族だった)のに、教師なん