桜庭一樹のレビュー一覧
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シリーズ最終巻。
コルデリア・ギャロによって監獄「黒い太陽」から脱出し、未来への希望を託されたヴィクトリカは、ブライアン・ロスコーとともに新大陸へ向かいます。ブロワ警部も、ヴィクトリカを戦争の道具としか考えていない父・ブロワ侯爵に背いて、ヴィクトリカの脱出に手を貸し、父にも妹にも力を借りず、みずからの力で生きていく決意を固めます。
学園に残ったセシルとゾフィ、イギリスに帰ったアブリル、「名もなき村」を出て書店に務めているアンブローズたちも、それぞれの居場所で力強く生きていきます。
そして、ヴィクトリカと離れ離れになった一弥は戦場に借り出されることになりますが、2人の心はしっかりとつながれ -
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聖マルグリット学園のヴィクトリカのもとを、ブロワ警部が訪れます。彼は父であるブロワ侯爵から、ヴィクトリカを連れて帰るように命じられていました。首都ソヴレムで娘と対面したブロワ侯爵は、10年前に王妃ココ=ローズが殺害された事件の謎を解くように命じます。そんなヴィクトリカを追って、一弥やセシル先生、寮母のゾフィさんまでもがソヴレムにやってきますが、今度の事件の背後には大きな闇が隠されていることに感づいたヴィクトリカは、彼らを事件に巻き込んではならないと考えるようになります。
折しもソヴレムにある劇場「ファントム」では、王妃の生涯を描いた「ソヴレムの青い薔薇」が上演されることになっていました。この -
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ある日一弥は、「灰色狼」の末裔に夏至祭の参加を呼びかける新聞広告を発見します。ブロワ警部がヴィクトリカのことを「灰色狼」と呼んでいたことが気になった一弥は、その広告をヴィクトリカに見せますが、それ以降、彼女は考え込んでしまい、いつも以上に一弥のことなど気にも留めないようになってしまいます。
ところがその夜、一弥は学園からこっそり抜け出そうとしているヴィクトリカを発見します。彼女を放っておくわけにはいかないと、一弥もヴィクトリカについて行くことにします。やがて彼女がたどりついたのは、灰色狼たちの住む「名もなき村」でした。
じつはヴィクトリカの母コルデリア・ギャロはこの村の出身で、20年前に前 -
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第二次世界大戦勃発。
その大きな風に吹かれ、離れ離れになる2人とコルデリアの救出劇まで。
先見があるっていうのは、時として苦々しい思いに苛まれるのだな。。
一弥との別れを予見することも、己の身の成り行きも、その頭脳で見通せてしまうことの物悲しさを考えると、
歯痒くて無力。
それを知らされない一弥の側も、さよならも言えない唐突の別れには絶句するしかなく、
どんなに一緒にいたいと願っていても、
国家の前では一人の人間など蟻のようだ。
ブロワ侯爵の頭がイッテしまった感といい(もしかしたら、現代を生きているからそう思うのかもしれないけど)
娘をただの生物兵器にしか見えないところといい、
私はこの -
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ネタバレ古書店の二階にひっそりすむ謎の女・白井沙漠。
沙漠と知り合い、体の関係を持つようになった吉野解。
二人はそれぞれ、多重債務で苦しんでいた。
沙漠の正体がわかったとき、今までさりげなく出てきていた部分がすべて伏線なんだと気付いた。
さりげない描写の沙漠はすべて偽者で、
そのにせものの自分をさらにきれいにするために、お金を求めて消えた。
それに対して解は、由乃に拾われ、表面的にお金持ちのコーティングをされ、心は開けず、生活費と奨学金で多重債務に陥っていく。
二人が行く末が交わったとき、
300万円で運命が変わった。
二人ともバラバラで、しっくりこない人生を生きていたのかもしれない。
二人以外の -
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ネタバレ想像できなかった何かが起こってコルデリアも一緒にいたほうのブライアンも救出、ハッピーエンド!
になるわけではもちろんなく。
娘の未来に自分の命の全てを懸けたコルデリアの想いが熱かった。
グレヴィールが最後の最後でいい兄貴になった。もう知恵の泉はいないけど、幸せになってほしい。
アヴリルちゃんは最後の最後で辛かったんだけど…。その後の描写がないのでどうなったか気になる。新章で冒険家として再登場したりするのかな?
それぞれ指輪とペンダントを持ちながらお互いを想う久城とヴィクトリカ。
指輪とペンダントは失ってしまうけれど、久城はそのおかげで命を落とさずに済んだし、ヴィクトリカも娼婦として働かされるの