桜庭一樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
偉大なポップスターの死を残された人々の視点から描いた作品。
様々な人物の物語や想いが、最後の、彼の死から2ヶ月後に催された特別なセレモニーのシーンに繋がっていく。
彼を送るためのセレモニーはとても素敵だった。彼のことを知らない、一読者であるわたしも思わず彼の死を悼み、叫んでいる。そんな想像が頭の中で広がった。本の内容だけでなく、個人的な感情や思い出も押し寄せてきて、ゾクゾクっと背筋に何か走った気がした。GLAYの20万人ライブの熱狂や、小さな劇場で、卒業公演の後の挨拶を行い涙を流す演者を包み込む熱気。ZARDの坂井泉さんの突然の訃報やミスターこと長嶋茂雄が病で倒れたニュースを聞いた時。頑張っ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」とテーマは通じていて、あちらをちょっとマイルドにして、大人の筆で描きなおしたような感じなのですが、やっぱり面白くて、一気に読めます。
冒頭からいきなり「中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した」と来る。
桜庭さんて、ほかの作品もそうなんだけど、最初の一行がすごいうまい。
もうのっけから引っ張り込まれる。
(で、中二、というだけでなくこの十三歳という年齢が後からまたすごく意味を持ってきたりして、感服)。
主人公の女子中学生、義理の父は飲んだくれで暴力的、母はいつも疲れていて不幸をアピールし続けている、かなりつらい家庭環境。
なの -
Posted by ブクログ
マイケル・ジャクソンを現代日本で再現したら?という話。
桜庭一樹は父もしくは母との関係により、少女が健全に生きられないという話が多かった。
今回はスーパースターに性的いたずらをされた復讐と、彼の娘の傷跡が対照的に描かれている。
復讐はスーパースターの視界に入るために、また大人たちにのせられて、彼を訴える。けれども、スーパースターは彼女に同情するだけ。一方、傷跡は彼が亡くなっても生きていけるように、自由になるように配慮される。保護される者とそうでない者。持つ者、持たざる者。
傷跡に対する彼の行動、傷跡が立ち上がる姿は今までの桜庭一樹にはなかったように思う。強い。
この対比は彼を取り巻く人間にも言